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関西支部第80回研究会【3月4日】

2017/02/28 関西支部

日本映像学会関西支部第80回研究会(3月4日)開催のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第80回研究会を開催いたします。会員の皆様の参加をお待ち申し上げます。

日時:平成29年3月4日(土)午後2時より
会場:京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパス 東3号(ノートルダム)館1階K101講義室
    京都市左京区松ヶ崎橋上町1
    京都市営地下鉄松ヶ崎駅下車 徒歩約8分
    アクセスマップ: https://www.kit.ac.jp/uni_index/matsugasaki/
    キャンパスマップ: https://www.kit.ac.jp/uni_index/campus-map/

研究発表1:ミシェル・ルグラン監督映画作品『6月の5日間』における音楽・音響の一考察
発表者:関西学院大学大学院文学研究科博士後期課程 倉田麻里絵会員
要旨:作曲家ミシェル・ルグラン(Michel Legrand, 1932- )の映画音楽に関する研究は、彼の多様な音楽活動の一面として、主に作曲家の視点から言及されることが多い。本発表ではルグランが唯一映画監督を務めた『6月の5日間 (Cinq Jours en Juin)』(1989年)を採り上げて、映画監督として創造しようとした音楽・音響世界の中に、作曲家としての彼がどのように位置づけられるのか −対立あるいは共存か− を考察し、彼の映画音楽再考への契機とする。ルグランの脚本による自伝的な物語が描かれている点でも希有な本作は、もちろん音楽監督も彼が担当している。その中で着目すべきなのは、本作において彼の「オリジナル音楽」は制限され、クラシック音楽の引用や背景音の構成に重点が置かれていることである。つまりここでは3種の響き(オリジナル音楽、クラシック音楽、背景音の鳥の鳴き声)が聞こえることになる。本発表では、それらの配置構成を作品にそって観察、さらにミシェル・シオンの映画音響論を援用しながら分析し、ルグランが映画監督として作品全体を通してどのような意図をもって音楽・音響の意味づけを行い、効果を得ようとしたのかを浮き上がらせる。ルグランによる視覚的映像と聴覚的表象を同等に扱うこの試みは、彼の映画音楽に対する新たな視点を提示するだろう。

研究発表2:アクションリサーチと映像デザインの創造的循環:「名を呼ぶ日」の活動プロセスの報告と検討
発表者:京都工芸繊維大学大学院博士後期課程 青山太郎会員
    公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構研究員 高森順子氏
要旨:実験的な社会活動などに対して映像メディアはそれを記録し、再現することで、そうした活動を報告し、世に知らしめるという役割を担ってきた。しかし、その成立過程から活動と映像が有機的に連関することで、相互に目的や責任を明確に浮かび上がらせるなどの作用が生じ、活動のさらなる充実が図られると考えられる。本発表では、2017年1月に行われた阪神・淡路大震災の犠牲者の方々の名前を読み上げるプロジェクト「名を呼ぶ日」の実践の過程に記録映像のデザインプロセスがどのように関与・作用したかを分析することで、アクションリサーチと映像デザインの創造的関係の可能性を考察する。具体的には、まず「名を呼ぶ日」の目的と概要を紹介し、そこで制作された映像を上映する。次に参加者への作用という観点から、その映像化における5つのポイントを指摘し分析する。その上で、こうした映像デザインが単なる活動の記録に留まらず、活動そのもののデザインプロセスにも内在的に関与し、そうした活動を、研究と実践の両面から現場のベターメント(改善)を志向する「アクションリサーチ」として成立させる要因として作用しうるのではないかと提案する。

以上

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