中部支部2019年度第2回研究会【12月21日】

2019年度 | 日本映像学会 中部支部 | 第2回研究会
http://jasias-chubu.org/wp/?p=788

日時:2019年12月21日(土)13時30分より
会場:椙山女学園大学(星が丘キャンパス)
文化情報学部メディア棟128教室
(〒464-8662 名古屋市千種区星が丘元町17番3号)

◎研究会スケジュール(予定)
13:00 –  第2回研究会 受付開始
13:30 –  開会あいさつ
13:35 – 14:35 研究発表(2件)
休憩
14:50 – 15:50 招待講演(1件)
15:50 – 16:20 ディスカッション
16:20 –  閉会あいさつ

◎招待講演
人類学実践ツールとしての映像制作 —関係の記録を例として
南出 和余 氏

要旨:
ふるくはマリノフスキーの頃から人類学者たちは、フィールドワークの中で「イメージ」を記録するために、写真や映像を活用してきた。「厚い記述」によって人類学者の立ち位置や関係性が注視される以前に、映像人類学ではすでにルーシュによって「カメラの人格化」が提示されていた。カメラ(と撮影者)がそこに在ること(撮影すること)がその場に影響を及ぼし、時にカメラの前の人々をトランス状態にする。カメラが収める「真実」とはそうした撮影者と被写体の共犯関係によって作られたものであるとされる。
本報告者は、2000年からバングラデシュの農村でカメラを持ってフィールドワークを継続してきた。当初の調査対象は「子ども」であったが、同じ対象を追い続けているうちに彼ら彼女らは「子ども」ではなくなった。最初、カメラは子どもたちと私の間の「遊び道具」であったが、彼らが変化するに連れて、私の撮影に対する彼らの態度もカメラの存在も変わっていった。また、子どもの頃から撮り貯めてきた映像は彼ら彼女らの記録となり、私と彼らとの関係の変化をも示し、時折一緒に見返すことで、互いの再帰的解釈を生み出す。本報告では、1人の少女=女性と私の記録映像を事例に紹介しながら、自己と他者、過去と現在が交差するところに導かれるイメージ理解、それを助ける映像実践について考えてみたい。

南出 和余(みなみで かずよ)氏 プロフィール
1975年生まれ。現在、神戸女学院大学文学部英文学科准教授。
神戸女学院大学大学院人間科学研究科(修士)、総合研究大学院大学文化科学研究科(民博)(博士)。専門は、文化人類学、映像人類学。
著書に、『メディアの内と外を読み解く―大学におけるメディア教育実践-』(南出和余、木島由晶編著、せりか書房、2018年)『「学校化」に向かう南アジア―教育と社会変容―』(押川文子、南出和余編著、昭和堂、2016年)『「子ども域」の人類学―バングラデシュ農村社会の子どもたち―』(南出和余、昭和堂、2014年)『フィールドワークと映像実践―研究のためのビデオ撮影入門―』、(南出和余、秋谷直矩、ハーベスト社、2013年)等。映像作品にXX Parnu International Documentary and Anthropology Film Festival Award for Best Scientific Documentary 「Circumcision in Transition(割礼の変容)」(2006年、36分)等がある。

◎研究発表(2件)

サークルとしてのアニメーション文化—1960~1980年代の日本を中心に
林 緑子 会員(シアターカフェ 運営)
名古屋大学人文学研究科博士課程前期課程

要旨:
従来の日本のアニメーション研究は商業アニメと著名作家の短編作品の分析が中心であり、アニメーションのファン文化研究では商業アニメのファンとしてのオタクの分析が中心だった。だが、オタクという呼称の成立以前の1960年代後半から、 国内外で制作された様々なアニメーションを好むファンの動向が国内で起き、国内各地にアニメーションサークルが発足している。彼ら・彼女らは受容・上映・制作の側面における活動を通じて、商業アニメとも関連しながら、オタクとは異なる文脈で日本のアニメーション文化を支えてきた。この事実はこれまでの研究史からは見過ごされている。
本発表では、アニメーションサークルの特徴を明らかにした上で、この活動を日本のアニメーション研究とファン文化研究の文脈に位置付ける。これにより従来の研究とは異なる観点から、アニメーション文化史の研究に貢献したい。

意味の発掘としての「取材」
—事物への意味付けの変化を提示する作品とその制作プロセスについて
片山 一葉 会員(美術作家)
愛知学泉大学、愛知淑徳大学、大同大学、名古屋大学、非常勤講師
/愛知県立芸術大学教育研究指導員

要旨:
近年、作品の設置される環境にまつわる情報から展開されるサイトスペシフィックな芸術作品は、国際美術展や各地のアートプロジェクトの広がりとともに、確立された表現の一種となった。そのような作品は、何らかの形でその場所に関する情報を収集し編集することで成立するが、私の制作活動においても、ある場所または人物について取材を行い、そこで得たモノ・映像・言葉といった素材をもとにインスタレーションを構成することにより、日常の中で意識されることなく存在の意味が失われつつある事物を採り上げ見つめ直すことを目的としている。また、上記の制作における方法論を用いて、ギャラリーや美術館のイベントとして、日常生活とは違った事物の観察手法を体験するワークショップも行っている。
本発表では、「取材(そしてその結果の提示)という行為による、事物への視点や意味付けの変化」を「意味の発掘」として捉えることを試みながら、今までに制作した作品・実施したワークショップの事例を報告する。

◎会場へのアクセス
椙山女学園大学(星が丘キャンパス)
http://www.sugiyama-u.ac.jp/univ/campus/map/hoshigaoka/
地下鉄東山線「星ヶ丘」下車、6番出口より徒歩5分。
会場は上記リンク先のD棟(文化情報学部メディア棟)。
正門から直進、右側の赤い柱がある棟の中に入り階段を上がった1階。

日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒503-0006
岐阜県大垣市加賀野4丁目1番地7
情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科内

インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2019【東京会場/12月7日-8日】開催のご案内

映像表現研究会「インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2019」(東京会場)のお知らせ

映像表現研究会が主催する「インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2019」東京会場のお知らせです。
東京会場は、12月7日(土)、8日(日)の二日間、日本大学芸術学部江古田校舎にて開催します。

12月7日(土)は、13:00〜16:30に各校10分以内(2作品以内)又は10分以上20分以内(1作品)で選抜された代表作品プログラムを上映し、17:00〜19:30(予定)には昨年度ISMIE2018セレクト作品集の上映と、講評会を予定しています。
講評会は、波多野哲朗会員(東京造形大学名誉教授)に講演をを行っていただき、参加校推薦教員との意見交換を予定しています。

12月8日(日)は、10:30〜18:00に各校25分以内で推薦された全作品を上映します。

上映作品の詳細は、以下よりご確認ください。

全作品リスト(https://e-h-kenkyu.hatenadiary.org/entry/2019/11/26/193232
代表作品一覧(https://e-h-kenkyu.hatenadiary.org/entry/2019/10/27/074754
WEBパンフレット(https://e-h-kenkyu.hatenadiary.org/entry/2019/10/27/074818

全て入場無料です。
是非お誘い合わせの上、ご来場ください。

[東京会場プログラム]
12月7日(土)
13:00〜 代表作品プログラムI(約90分)
愛知淑徳大学、イメージフォーラム映像研究所、大阪芸術大学、九州産業大学 芸術学部、京都精華大学 芸術学部、久留米工業大学、尚美学園大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]、椙山女学園大学、成安造形大学 情報デザイン領域

15:00〜 代表作品プログラムII(約90分)
宝塚大学 東京メディア芸術学部、玉川大学 芸術学部 メディア・デザイン学科、東京工芸大学 芸術学部、東京造形大学 造形学部 デザイン学科 映画・映像専攻、東北芸術工科大学 デザイン工学部 映像学科、名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科、日本工業大学 情報工学科、日本大学 芸術学部、文教大学 情報学部 メディア表現学科、北海道教育大学

17:00〜 ISMIE2018セレクト作品集上映(60分以内予定)+講評会(約90分)
講演:波多野哲朗会員(東京造形大学名誉教授)
内容:昨年度のISMIE2018で上映された代表作品プログラムから、各校の推薦教員による互選によって選ばれた作品集を上映し、講評を行います。
セレクト結果と上映作品は、当日発表します。
前年度の代表作品は、ISMIEのYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/user/ismie2012/)にてご覧いただけます。

12月8日(日)
10:30〜 各校プログラムA(約100分)
愛知淑徳大学、イメージフォーラム映像研究所、大阪芸術大学、九州産業大学 芸術学部、京都精華大学 芸術学部

12:40〜 各校プログラムB(約80分)
久留米工業大学、尚美学園大学、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]、椙山女学園大学、成安造形大学 情報デザイン領域、宝塚大学 東京メディア芸術学部、玉川大学 芸術学部 メディア・デザイン学科

14:20〜 各校プログラムC(約90分)
東京工芸大学 芸術学部、東京造形大学 造形学部 デザイン学科 映画・映像専攻、東北芸術工科大学 デザイン工学部 映像学科、名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科、日本工業大学 情報工学科

16:10〜 各校プログラムD(約110分)
日本大学 芸術学部、文教大学 情報学部 メディア表現学科、北海道教育大学、武蔵野美術大学

[会場]
日本大学芸術学部江古田校舎 A棟地下2階 A-B201
〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
(西武池袋線各駅停車にて江古田駅下車 北口より徒歩2分)
http://www.art.nihon-u.ac.jp/information/access.html

日本映像学会映像表現研究会
ISMIE 2019 事務局
〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部映画学科(研究室A)
担当:奥野邦利/野村建太/古沢将太