ヴィデオアート研究会vol13/初期ヴィデオアートとテレビ放送

2015/12/21 ヴィデオアート研究会

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クリス・メイ=アンドリュースをゲストに迎えてのレクチャー

日時:2015年10月12日(月・祝)17:00-20:30 会場:co-lab渋谷アトリエ2F 会議室3

テーマ:ヴィデオアートの歴史を振り返る:初期ヴィデオアートとテレビ放送

内容:当研究会で何度か参考文献とした「ヴィデオ・アートの歴史 その形式と昨日の変遷」(三元社)の著者である、クリス・メイ=アンドリュースを迎え、イギリスを中心にヴィデオアートの歴史と、また同時に進行していたテレビ文化とのクロスオーバーに関して紹介して頂く。

パネリスト:クリス・メイ=アンドリュース(Chris Meigh Andrews/ セントラルランカシャー名誉教授・西イングランド大学客員教授) 進行:瀧健太郎(ビデオアートセンター東京代表)

 今回は自らも作家活動を行っているアンドリュース氏の幅広い見識から、主にイギリス・アメリカなどのヴィデオ作家の作例を辿りながら、あまり語られることのないテレビとヴィデオ、放送とアートの往来に関する貴重なレクチャーをして頂くことができました。  テレビ、ヴィデオはカメラ、モニターなどの技術的な背景と、中継・即時性というメディウムの特性を共有しながらも片方は広域放送分野として、後者は現代美術分野の出来事として、横断的に見られることは多くありませんでした。アンドリュース氏の挙げる例により、1960年代後半に産声を上げた初期ヴィデオアートに関わるアーティストの何人かは、広域放送としてのテレビジョンを「自宅に居ながらにしてアート鑑賞ができる」という潜在的な観客であるとみなしていたことが分かりました。またそこで行われた数々の表現の試行では、物質性に囚われないアートの提示という新たなメディウムの可能性を作り手が感じていたこと、文化の発信方法として非中心的な構造と、また手法のフレキシビリティを意識していたことなどがわかりました。  ヴィデオアートの研究において、閉じた一つの表現区分として捉えるのではなく、同時代のこうした文化的な背景との関係性の中で考えることについて改めてその重要性を認識することができる、今後の研究活動につながる充実したお話をしていただくことができました。

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ヴィデオアート研究会の様子

参考リンク: http://www.meigh-andrews.com/

http://www.sangensha.co.jp/Author/author-Meigh-Andrews_Chris.htm