2025/02/09 アニメーション研究会
2024年度 日本映像学会 アニメーション研究会・映像玩具の科学研究会・映像心理学研究会合同研究会開催案内
日本映像学会 アニメーション研究会・映像玩具の科学研究会・映像心理学研究会合同研究会の合同究発表会を下記の通り開催いたします。今回は、日本アニメーション学会心理研究部会との共催でもあり、多くの発表者が登壇いたします。充実した有意義な会になると思います。
ご参加は下記フォームにてご登録いただければ、どなたでも参加できます。ご興味、ご関心がございましたら、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。
日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会 代表:横田正夫
■開催概要
日時:令和7(2025)年3月16日(日)
場所:明治大学(中野キャンパス)6階セミナー室3
共催:日本アニメーション学会心理研究部会
参加登録:ご参加を希望される方は、3月15日(土)までに下の参加登録フォームに必要事項をご記入のうえ、送信ボタンを押してください。
https://forms.gle/18MfX1LGx3iRhq8T8
送信後、フォームに記入した内容を確認するメールが届き、参加登録完了となります。確認メールが届かない場合は、お手数ですが運営の野村(nomura.worksgmail.com)までお問合せください。
■プログラム
1:25 開会
アニメーション研究会(1:30~3:30)
アニメーションの視聴覚グルーヴ表現研究(1:30~2:20)オンライン発表
江馨怡(京都芸術大学大学院)
要旨:アニメーションは動きを作る芸術である。動きによって様々な表現を提示し、観衆の感情を揺さぶって多様な体験をもたらす。見ていて心地の良い作品を作るにはどうすればよいか、この命題に対して最初はアニメーションにおける朦朧表現の研究に取り組み、不透明·不明瞭な視覚像によって、視覚以外の感覚が引き出されている状況および体験について考察した。観衆を楽しませる表現と方法について考えたとき、時間軸に沿ったリズム構造とそれによって惹起される「グルーヴ感」の存在が浮かび上がる。そこで、一定のテンポで計算可能なリズムに含まれるシンコペーションのズレについて、アニメーションの視聴的グルーヴ表現の分析を行った。研究を進めるなかで、計算に従う構造をもった表現以外にもグルーヴを感じさせるものがあることに気づき、目で見る、耳で聞く、体で感じる「体験」に注視する必要に行き当たった。そこで新たに「無拍」という概念と表現について考察し、研究とアニメーションの制作を平行して進めることとなった。というのも、「無拍」および「体験」には実際の制作体験も内容に含まれるからである。本発表では、構造的リズム表現とは異なる体験を得られる作品を作るにはどうすればよいか、という問いについて、実際に制作したアニメーション『やまなし』を参照しながら論説を行う予定である。
質疑応答(2:20~2:30)
宮崎駿と〈視覚的叙述〉―『ハウルの動く城』を中心に(2:30~3:20)対面発表
米村みゆき(専修大学)
要旨:宮崎駿によるアニメーション映画『ハウルの動く城』(2004 年)について2つの点についてお話したい。1点めは、宮崎映画は〈視覚的叙述〉に大きな特徴があること、2点めは、同作に描かれたケアやエイジングの問題である。同作は、18 歳の主人公が 90 歳の高齢者になり、ハウルの動く城で住民と共同生活をする話である。ほかの多くの宮崎映画と同様に、児童文学の「原作」をもとにして脚色された。その際、宮崎は視聴覚表現で文学作品における「行間」等を表現することを行っている。これを〈視覚的叙述〉として着目するとき、なかでも90 歳の高齢女性になったソフィーがハウルの城で料理をしている場面は目をひく。高齢女性における恋愛の論点が描出されているからだ。エイジングの問題は、荒地の魔女の脚色など、宮崎によって意図的に演出されていることがわかる。
質疑応答(3:20~3:30)
休憩(3:30-3:40)
映像玩具の科学研究会(3:40~4:40)
“驚き盤”が意味する装置とその社会的変遷(3:40~4:30)対面発表
橋本典久 (明治大学 総合数理学部)
要旨:現在”驚き盤”といえば、ジョセフ・プラトーらが考案した[Phenakistiscope]を指す名称として定着し、教科書などでも紹介されている。この”驚き盤”という名称は、古川タクが1975年に再現し、その際に命名したというのが定説となっている。しかし、それまではどのように呼ばれていたのだろうか?調査を行うと、明治〜昭和前半までは[Zoetrope]が”驚き盤”と呼ばれており、古川タクの再命名によって[Phenakistiscope]にすり替わったようだ。安政年間に長崎の出島で購入されたという記録に始まる”驚き盤”にまつわる概念や社会の変遷について発表を行う。
質疑応答(4:30-4:40)
映像心理学研究会・日本アニメーション学会心理研究部会(4:40~5:40)
静止画の組み合わせによるアニメーションと仮現運動 〜「動き」を見るメカニズムについて(4:40~5:30)対面発表
佐藤壮平(目白大学)
要旨:映画やアニメーションはコマ撮りの連続呈示によって視覚的に連続した動く視野像を表現することが可能である。この連続呈示に対して動きを見るメカニズムはapparent motion(仮現運動)によるものと説明されている。しかしアニメーションの中でも特にlimited animationの動きの説明として仮現運動の説明を直接当てはめると、一貫性に欠いた状況が生じる。特に3コマ打ちに動きが見えることを説明するのが困難である。一方視覚的な応答特性や信号解析の観点から、動きを構成する輝度差の勾配に対して、時空間周波数別に感度特性が異なるというMarr & Ullman(1981)やAdelson & Bergen(1985)の観点からより踏み込んだ形で説明することが可能である。これらの研究の紹介を通して、コマ送りに動きを見るメカニズムについて、静止画の連続呈示からanimationとして見えるための視覚情報の統合について紹介する。
質疑応答(5:30-5:40)
5:40 閉会