映画にとってフィルムとは何か その1 オンラインレクチャー

2021/12/29 アナログメディア研究会

映画にとってフィルムとは何か その1オンラインレクチャー

趣旨
1895年12月28日のシネマトグラフ一般公開以来、百年以上にわたって映画の媒体(支持体)はフィルムだった。急速なデジタル化が進む中、それは忘れ去られつつあるようだ。
しかし映画産業に関わる者や映画制作者の中には、デジタル映像とは異なるフィルムでの映像表現に、今なお新たな可能性を見出す者も存在する。
コストや情報伝達の合理性から見放されたことは否めないが、表現の分野ではその魅力は失われていない。そして多様な選択肢は表現の裾野を広げ、より豊かな実りに繋がるはずである。
更なる映像表現の可能性に向けて、フィルムによる映画製作(制作)のこれまでを理解し、これからを志向するレクチャーを実施する。
「映画にとってフィルムとは何か」レクチャーでは3日間・6セッションに渡り、フィルムのプロセスである【撮影】【現像】【映写】【アーカイブ】について、それぞれの専門家から紹介・解説を行う。またフィルムによって作品制作やパフォーマンス表現をしている作家から、フィルムを使う理由とともに、新たな表現の可能性について問う。

■スケジュール 2022年
①1月16日(日) 13時〜15時
セッション1:「フィルムとは何か」
レクチャー担当 稲見成彦(コダックジャパン)
1963年生まれ。大学卒業後、ソニーPCLに入社、映画フィルム現像所の品質管理全般に従事。1992年より日本コダック(現コダック合同会社)に入社、米イーストマン・コダック社開発の映画用デジタル、ハイブリッド、フィルム製品の日本導入及び技術サポートに従事、2011年に執行役員エンタテインメント イメージング本部長に就任、現在に至る。
コダック合同会社(コダックジャパン)
米イーストマン・コダック社の日本法人。イーストマン・コダック社は印刷ならびに先端材料、化学薬品分野に特化したグローバルテクノロジー企業として、業界をリードするハードウェア、ソフトウェア、消耗品ならびにサービスを主に商業印刷、パッケージ印刷、出版印刷、製造ならびにエンタテインメント分野のお客様に提供している。

セッション2:「撮影 デジタルと異なる撮影について」
レクチャー担当 丸池納(撮影監督、元桜美林大学映画学科准教授)
●平成30年度文化庁映画賞(映画功労 部門)受賞
●劇映画担当作品
「よあけの焚き火」2020「ミッドナイト・バス」2018 「さくらんぼ-母と来た道」2007
「絆-きずな」1997「眠る男」1995「快盗ルビィ」1988「ウホッホ探険隊」1986

②1月23日(日) 13時〜15時
セッション3:「現像 現像所の仕事」
レクチャー担当 郷田真理子(IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)
1982年生まれ。フィルム技術者。株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス メディア制作部 アーカイブグループ勤務。大阪のフィルムプロセス部にてタイミング、フィルム調査等を担当のち、現在は東京にてタイミング、整理場の担当。大学卒業後、NPO法人映画保存協会の活動、映像制作会社、8mmフィルム現像所での仕事を経たのち、東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館で5年間フィルム調査に従事、2014年より現職。その他活動にプラキシノスコープなど初期映像装置の製作と関連したワークショップの講師など。

株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
https://www.imagica-ems.co.jp/ 事業内容は、フィルムの現像・プリントの他、映像の修復・復元・保存サポート、映画の映像・音声編集、DCP(デジタルシネマパッケージ)作成、コンテンツ流通・配信サービス、デジタル合成・VFX・CG/グラフィックデザインの企画・制作、吹替・字幕・翻訳、各種映像技術サービス。

セッション4:「上映・映写 フィルム上映とデジタル上映との違い」
レクチャー担当 石川亮(元新宿ミラノ座、フィルムセンター(当時)映写技師、映像作家、SpiceFilms主宰)
84年生まれ。映像作家。音楽スタジオ勤務後、2007年より閉館まで新宿ミラノ座で映写スタッフとして勤務、2014年より東京国立近代美術館フィルムセンター(現:国立映画アーカイブ)技能補佐員として映写及び主に小型映画の検査を担当。2015年に東京国立近代美術館「Re:play1972/2015-「映像表現 ’72」展で8ミリフィルムの複製・現像を担当。 現在は都内の某劇場の映写担当。作家として、フィルムによる映像作品/インスタレーション作品などを制作。8ミリフィルム作品上映企画「!8-exclamation8」や、自家現像ワークショップを企画運営している映像作家集団SpiceFilms主宰。

セッション5:「アーカイブ フィルムで映画を保存する」
レクチャー担当 とちぎあきら(フィルムアーキビスト/国立映画アーカイブ特定研究員)
2003年より18年まで、東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)にて、映画フィルムの収集保管・保存復元・アクセス対応の業務を担当。現在は特定研究員として配信業務に携わるとともに、フリーでも活動している。国立映画アーカイブは国立美術館を構成する一館として、映画フィルムと関連資料の調査研究に基づいた幅広い保存活用事業を行っている、国立唯一の映画専門機関。

③3月6日(日) 13時〜15時
セッション6:「フィルムでの映画制作、パフォーマンスの作品制作」
レクチャー担当
■ 伊藤隆介(実験映画作家、美術家、北海道教育大学教授)
主に既存の映画フィルムを素材にした、物理的コラージュ映画を制作している。また美術作品として、人力フィルム映写機などの映像機材制作も制作。
■ 石川亮(元新宿ミラノ座、フィルムセンター(当時)映写技師、映像作家、SpiceFilms主宰)
84年生まれ。映像作家。音楽スタジオ勤務後、2007年より閉館まで新宿ミラノ座で映写スタッフとして勤務、2014年より東京国立近代美術館フィルムセンター(現:国立映画アーカイブ)技能補佐員として映写及び主に小型映画の検査を担当。2015年に東京国立近代美術館「Re:play1972/2015-「映像表現 ’72」展で8ミリフィルムの複製・現像を担当。 現在は都内の某劇場の映写担当。作家として、フィルムによる映像作品/インスタレーション作品などを制作。8ミリフィルム作品上映企画「!8-exclamation8」や、自家現像ワークショップを企画運営している映像作家集団SpiceFilms主宰。

■ 川口肇(映像作家、尚美学園大学准教授)
1967年東京生まれ。九州芸術工科大学で映像作品制作を始める。視覚現実の模造である映像、その擬制の側面に着目し、粒子/ノイズ/映写/時間等を基軸にしたフィルムおよびビデオ作品制作を続けている。尚美学園大学准教授、フィルムメーカー。

■ 水由章(映画作家、ミストラル・ジャパン代表)
実験的映像作品の制作・配給を行う。スタン・ブラッケージの回顧展を日本国内で開催。アラン・エスカル『浮世物語』(2001)、黒坂圭太『緑子/MIDORI-KO』(2010)などのプロデューサーを担当。自らも実験映画を制作し作品数は50本余を数える。

■ 南俊輔(造形作家、映像作家)
1985年北海道石狩市生まれ、現在は東京を拠点に活動中。映写機という装置そのものや映写技師による映写の行程など、映画周辺の環境に着目し、映像インスタレーションの制作やパフォーマンスを行っている。近年は8ミリフィルム映写機を素材にした作品を制作し、映写機の持つ本来の機能やその意味を分解・再構成し、映像の合成や変換を試みる「実験」を行う。

■ 太田曜(実験映画作家、日本映像学会アナログメディア研究会共同代表)
パリ第8大学映画科でクローディーヌ・エジックマン、ギィ・フィ・マンから実験映画を、フランクフルト シュテーデル美術大学でペーター・クーベルカから実験映画と料理を学ぶ。映画が作り出す時間と現実の時間との差異についての映画を主に制作。国内外で上映多数。『ブライドピーク(Bride Peak) チョゴリザ 花嫁の峰』2021年8mm 10分は映像学会元会長波多野哲朗先生がカラコルムの7.000m峰登山隊記録係として8ミリカメラで撮影したフィルムを編集した“ファウンドフッテージ”作品。

■参加募集期間
①〜2022年1月14日(金)締切
②〜2022年1月21日(金)締切
③〜2022年3月4日(金)締切

⬛︎申込・問合せ:
主催:日本映像学会アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
担当:太田曜(オオタ ヨウ)
distortedcinema-ws@yahoo.co.jp