映像心理学研究会・アニメーション研究会 合同研究会【3月6日】

2022/02/21 アニメーション研究会

日本映像学会映像心理学研究会とアニメーション研究会の合同究発表会を、Zoomを用いたオンライン形式で開催いたします。参加登録をしていただければ、どなたでも参加いただける会です。
ご興味、ご関心がございましたら、是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会 代表:横田正夫

■開催概要

曜日:令和4(2022)年3月6日(日曜日)
時間:14:00~17:10
場所:Zoomを使ったオンライン研究会
参加費:無料

参加登録:参加をご希望される方は、3月4日(金曜日)までに下の参加登録フォームに必要事項をご記入ください。
https://forms.gle/3N9BWRVLPKraQqp27
※登録後、ご記入いただいたメールアドレスに参加用URLをご案内いたします。ご案内のメールは野村(nomura.worksgmail.com)よりお届けいたします。登録から数日経っても連絡がない場合は、お手数ですが野村までお問い合わせください。
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■プログラム

第1部 アニメーション研究会

14:00~14:45(発表30分、質疑応答15分)
表題:映画とアニメーションにおける「異常心理」の映像表現研究
発表者:景燁(京都芸術大学大学院)
発表要旨:現代社会は人々に物質的には満足のいく生活を実現したが同時に、大きな精神的圧迫ももたらした。薬物やアルコールによる心理的異常もまた社会問題化しており、精神疾患を患う人の数はますます増加している。精神疾患は現代人の健康を脅かす問題になってきていると言ってよい。 研究の内容は映画とアニメーション両方における「異常心理」の映像表現についての考察であり、具体的な「異常心理もの」の表現方法を映画とアニメーションの両面での分析を試している。そして、「異常心理」というものが映画やアニメでどのように表現されるか、という研究に基づいて、精神的な病気を持っている人たちが感じていることを描き、アニメーション作品を制作する。 本発表では、それらの研究内容に基づいて、「制作中の作品」、「異常心理もの」ジャンル研究、「これまでの研究で得たもの」という三つ部分から、今までの博士一年、二年に得た成果を発表する。

5分休憩

14:50~15:35(30分発表、質疑応答15分)
表題:「関係性」とトランスナショナル・ヒストリーとしての「漫画映画」
発表者:堀 ひかり(東洋大学文学部) 
発表要旨:本発表では、『戦争と日本アニメ 『桃太郎 海の神兵』とは何だったのか』(青弓社、2022年1月刊行)について、編者の一人として企画趣旨を論じ、また発表者自身が担当した章について論じる。
 本書は、日本の戦時期アニメーションの代表的存在として扱われてきた『海の神兵』をそのアニメーション技術の特色、テクスト分析、同時代のメディアスケープにおける位置づけ、中国・韓国との関係性について論じたものである。企画趣旨の一つは、『海の神兵』を、日本の特殊性・特異性といった日本の国民アイデンティティを強固に構築するような語り方ではなく「関係性」というキーワードで考察することであった。つまり「日本初」の長編アニメーションとして、ともすれば愛国的な言説や非歴史的な感情とともに称賛されもしてきた作品を、歴史的にコンテスト化することである。
 歴史的な作品を分析してはいるが、現代アニメーション研究の手法にも通じると視点を提供したい。

5分休憩

15:40~16:15(30分発表、15分質疑応答)
表題:戦時期の日本アニメーション研究―歴史・現在・未来―
発表者:佐野明子(同志社大学文化情報学部)
発表要旨:佐野明子・堀ひかり編『戦争と日本アニメ 『桃太郎 海の神兵』とは何だったのか』(青弓社、2022年1月刊行)は、戦時期の日本アニメーションに焦点を絞り、東アジアを中心とする国際的な視野から、戦争と日本アニメーションの関わりを検証する初の論集である。
本発表ではまず、執筆者(渡辺泰、大塚英志、秦剛、キムジュニアン、木村智哉、堀ひかり、佐野明子)および国内外の研究者によって取り組まれてきた戦時期の日本アニメーション研究の歴史と現状を概観し、本論集の意義を確認する。そして、日本アニメーションが現在は多様な分野で検討されているものの、海外に流通する「Anime」のような近年の作品群が主要な研究対象となっている傾向を鑑みて、今後どのように戦時期のアニメーション研究を学際的・分野横断的に展開させうるか、その現在的な意義は何か、展望を示していく。

10分休憩

第2部 映像心理学研究会

16:25~17:10(30分発表、15分質疑応答)
表題:アニメーション鑑賞時における認知過程の特徴
発表者:野村康治(松蔭大学コミュニケーション文化学部)
発表要旨:多くの人にとって馴染みのあるセルルックの2Dアニメーションは、マンガと類似した表現ととらえられることがある。2次元の線画によるキャラクター造形は、確かに共通した印象をもたらすし、また実際、マンガ作品を原作としたアニメ作品は数多く存在している。一般の鑑賞者にとって、アニメーションとマンガは極めて親和性の高いものとごく自然に受け止められているのではないだろうか。しかし、アニメーション表現にはマンガ表現にはない動きや音といった情報が付加される。こうした情報の違いは鑑賞時の認知過程にも影響を及ぼすと考えられる。本発表では、アニメーションとマンガにおける表現の違いを確認し、そこからアニメーション作品を鑑賞する際の認知過程の特徴を特に自動的処理と統制的処理という観点から検討していく。また、これを通してアニメーションという映像表現の特異性について考察を行いたい。