アナログメディア研究会 協力企画のご案内【1月29日】

2023/01/18 アナログメディア研究会

アナログメディア研究会 協力企画のご案内です、

ブラジルコンテンポラリー8ミリフィルム 作品上映&トーク
「小さなしぐさについての小さな心覚」

[日程]
2023年1月29日(日) 16時00分〜

[会場]
イメージフォーラム3F「寺山修司」
東京都渋谷区渋谷2-10-2
TEL. 03-5766-0116
※ご来場の際は必ずマスクをご着用ください。

映像学会会員 資料代 800円 (イメージフォーラム 会員は600円)

[主催]
丸山徹也
イメージフォーラム

[協力]
Spice Films
日本映像学会アナログメディア研究会
株式会社ダゲレオ出版

イントロダクション
ブラジル在住の映像作家・丸山徹也によるセレクション。ニューヨークやリオ・デ・ジャネイロの映画祭で紹介された、知られざるインディペンデントでエクスペリメンタルなブラジルの映像作家による8ミリフィルム作品を特集する。宇宙に行くなどのグランジェスチャー(Grand Gesture)がグランメディア(Grand Media)で祝福される世界では、昆虫の死体を集めるなどの小さなジェスチャー(しぐさ)が変位の点となりえるだろうか? ブラジルのさまざまな場所のアーティスト/シネアスタ(artista-cineasta)によって作られたこれらの作品郡は、その場での小さな仕草を祝うための断片化された時空間を提供する。祖先への儀式的な呼びかけ、母なる大地の頭蓋骨から盗用/発掘された自然文化(nature-culture)、8ミリフィルムという素材に対面する作家自身の仕草、人間と人間以外の一時的な生まれ変わり。すべてではないがほとんどの作品は組織的な支援無しにアーティスト自身によって現像、製作された。プログラム内のすべての作品はオリジナルフォーマットである8ミリフィルムで上映され、その性質上それぞれのフィルムが唯一無二のものである。映写技師の存在は体験の重要な部分を占める。 このプログラムは、一つしか存在しない我が子を提供する各作家の信頼によるネットワークによって可能になった。スーパー8は今も昔も、非商業的なアーティストにとって完璧な媒体である。16ミリや35ミリなどの大きな形式とは異なり、この小型映画形式は、そのアマチュア (amador)と認識される特徴において、ブラジルの軍事独裁政権の間、検閲を通過しなかった。今日のブラジルの芸術的土壌におけるスーパー8を熟考することは適切であり、現在の巨大なメディア/資本力の存在においてはなおさらである。(企画・文:丸山徹也)

作品紹介

レヴェン・ナチュラ(Revém Natura) Ж / 7分/ 2013 「地球」(それは何か)「天国(それは無)から逃れられない」(エックハルト・フォン・ホッホハイム)『レヴェン・ナチュラ』は、CI.NE(Natural Expanded Cinema)と呼ばれる大規模な研究の一部を形作っている。これは人間以外のものと接触しながら生物中心のバイオリズムについての映画を制作する試みである。映画システムにネイティブ・アメリカンの遠近法を取り入れた実践的な経験であり、スーパー 8 フィルム(海に投げ出され回収されたもの)とその装置(スクリーン、プロジェクター)からなるこのシステムを、「水、海、“環境”」と生命システムとの共生の中に位置づけた経験でもある。 偽りの分裂した自然と文化を破壊するシンプルな試み。食人映画の提案。「食人とは環境を飲み込むこと」(H. Oiticica)

フィルムは戦場(A Film is a Battleground) ニコラス・キャンディド(Nikolas Candido )/ 5分/ 2022  最初に白い先端の上の音。 金属音。 文字。 ばらばらの手紙。 戦闘的な音。 汚れ。 白地に赤のレイヤー。 映画制作の象徴的な戦いを想起させる音と映像の質感の断片。

デデントロ(Dedentro) マテウス・ホーザ(Mateus Rosa) / 3分/ 2018 この映画は人類の出現についての祖先の体験であり、彼らが人生の始まりにおいてどのように泥の中を移動したかを描いている。

美術館訪問(Visita ao Museu) リジア・テイシェイラ、フランシスコ・ベンヴェヌー ト(Lígia Teixeira & Francisco Benvenuto) / 4分/ 美術館での午後、花とブルーベリーのスープ。 コロナのパンデミックの隔離中に撮影された。 ブルーベリー、秋の花、ハーブのスープで自家現像された。2021 年 3月。

ヴェール2(Véu II) ホドリーゴ・ファウスチーニ(Rodrigo Faustini) / 3分/ 2022「ヴェール」は、フィルム上映、上映会場、イメージとしての神秘的なフィルムロール、サウンドを使うためにチューニングを外したAMラジオなどを素材とした、偶然と機会によるシリーズである。『ヴェールI』 は、40年の眠りから覚めて復活したカメラで撮影されたフィルムロールの投影だった。『ヴェールII』 は、ブラジルの路上で現像前に発見されたロールの最初の投影であり、1974年頃にコダクロームで撮影され、2020年に白黒ネガとして処理されたものである。それは「幽霊」のような人々の偶然の映像で、時間が経過が感じられ、親密な雰囲気で統一されているが、文脈や色彩が欠如している。それらがスクリーン上で新たに再構築される。

我を復活せよ(Ressuscita-me) アトス・デ・ムーカ・コレクティブ(Coletivo Atos da Mooca) / 6分/ 2017 糸車の前で老婆が糸を紡いでいる。繭と糸玉の間で遊んでいる子供。糸、生地、質感、テキスト – 言葉についての言及が現れる。本作はスーパー 8で撮影された各ショットによる集合的な構成の、詩的な実験の結果である。映画的な恍惚。

ナルキッソスの変身または頭の上のタマネギ(Metamorfose de Narciso ou Uma cebola na cabeça) デュオ・ストラングロスコープ & アンヘル・ルエダ(Duo Strangloscope&Angel Rueda)/ 4分/ 2016 この少年は何をもって一日中鏡で自分自身を見なければならないのか? 頭には玉ねぎ。人間は疲労による深い眠りによって野菜になり、神々は彼らの情熱 による透明な催眠術によって植物になる。しかしナルキッソス、あなたは透明な思春期の恐ろしい香りの現れによって形成され、水の花のように眠る。動けなくなったナルキッソスは、食虫植物の消化の遅さを反映して、姿が見えなくなる。彼に残っているのは彼の頭の幻覚的な真っ白な曲線だけで、頭は再び繊細になり、愚かな手の指先で、恐ろしい手で、食糞の手で、彼自身の反射による死すべき手で支えられる。この頭が分かれるとき、この頭が割れるとき、この頭が激しく砕けるとき、それは花になる、新しいナルキッソス、レアンドロ – 私たちの愛。

閉じ込められた流転(Fluxo Confinado) ヘルダー・マルティノフスキー(Helder Martinovsky)/ 3分/ 2022 閉じ込められた流転から脱出する短い試み。

破れ目(Rasgos) ホザーナ・カシアトーレ(Rosana Cacciatore)/ 3分/ 2022 野生の混沌から身を守るために、人間は自分の周りに驚異的な要塞を築くが、この防御は彼らを窒息させる。そのため、生命を維持しようと、太陽への窓、シミュラクラ現象、色鮮やかな混沌の粗い複製を描く。

若人頌歌(Ode aos Jovens) ナタリア・ポリ(Natália Poli)/ 3分/ 2022 無情な昆虫の死骸のコレクション。 残されたもの。 無情な人骨のコレクション。 残されたもの。 ヴァニタスのシンボル、メメントモリ。 有限性。 儚さ。 無常。

アンチフィルム(ANTFILM) 丸山徹也(Tetsuya Maruyama)/ 3分/ 2021 あなたがその一部である場合、どのようにシステムに反対することができますか?

丸山徹也
1983年、横浜生まれ。映画、パフォーマンス、サウンド、インスタレーションとそのすべてを学際的に実践するアーティストである。彼の作品は日常的に見受けられる誰も気に留めない記録としての、ファウンド・フッテージの素材やその質感の再文脈化から始まっている。彼の作品は各国の映画祭、美術館、ギャラリーなどで幅広く展示されており、ハイチの同名民話から着想を得たデビュー作は、2018年のVIII FestivalMárgenes(マドリード、スペイン)で最優秀作品賞を受賞した。現在リオ・デ・ジャネイロ在住。アーティストが運営するフィルムラボ 「Megalab」 を設立し活動している。

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