映像心理学研究会・アニメーション研究会合同研究発表会【7月6日】

2014/06/16 アニメーション研究会

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日本映像学会 映像心理学研究会・アニメーション研究会
合同研究発表会開催のご案内
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青葉の候、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて、日本映像学会東部支部 映像心理学研究会・アニメーション研究会の合同研究発表会を下記の如く開催いたします。
参加申込みに関しては文末をご覧下さい。どなたでもご参加いただけますので、是非ご出席くださいますようご案内申し上げます。

映像心理学研究会・アニメーション研究会代表 横田正夫

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日本映像学会東部支部
平成26年度 映像心理学研究会・アニメーション研究会合同研究発表会

日時:2014年7月6日(日)1:00~5:30
会場:日本大学文理学部百周年記念館会議室2
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
(http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/)

第1部 映像心理学研究会
1:00~2:00
「ポイント・ライト・ウォーカーを使った、アニメーションの動きの解析と評価について」
野村建太会員(日本大学芸術学部映画学科)

要旨
人体を10数個の点によって表現すると、点の運動だけで人体の運動を知覚させることができます。
この点によって人体を表現したものを、「ポイント・ライト・ウォーカー」と呼びます。
アニメーションの作画は従来、感覚的に評価されることがほとんどでしたが、作画されたキャラクターを「ポイント・ライト・ウォーカー」に変換し、解析することによって、客観的に作画を評価することが出来るのではないかと考えました。
本発表者が大学で勤務していることから、数名の学生が作画したアニメーションを素材にして、動きの解析を試みます。

2:10~3:10
「仮現運動の長短二分法をアニメーションの実際の作画に照らし合わせたとき見えて来るもの」
片渕須直会員(日本大学)

要旨
 昨年5月の日本アニメーション学会大会でのシンポジウムで、おおよそ以下のような問題提起を行った。
「アニメーションの実作上の表現の背後にあるはずの基本原理を明確化することで、それぞれの表現の意味合いを明確に言語化することを目指したい。しかしながら、アニメーション制作の実作者の側も、アニメーション教育に携わる教育者の側も、実作上の経験則に偏重していて、そうした基本原理を明確なものとして多く持ち合わせていないように思える。そのことで適切な言語化が妨げられることがあり、結果としてアニメーションの作品表現全体の中での『動き』を評価する部分が必要以上に小さなものとなってしまっているのではないか」
これが契機となって、アニメーションの「動き」について専門的に研究する立場の方々と我々実作者の立場とのあいだで意見交換を行う機会を設けていただけるようになり、そうした場を通じていくつかの知見を新たにすることができるようになった。
特に、いわゆる仮現運動はSRAMとLRAMという認知機構の異なる二種類に分かれるのではないか、という二分説に接することができたことは大きな刺激となった。これまでの実作を通して経験則として持ち合わせていたことと、符合する部分が多いように思われたのである。
今回は、この仮現運動二分法によって、実作者である自分自身がどのように納得する部分を得たか、その上でさらに浮上して来た疑問点にどのようなものがあるのかを提示してみたい。それをもって今後の「アニメーションの動きについての掘り下げ」がさらに活発なものなることを願えれば、と思う。

第2部 アニメーション研究会
3:20~4:20
「東映動画株式会社に関する産業史的研究――1960年代後半から70年代を例に――」
木村智哉氏(ゲスト)(日本学術振興会 特別研究員)

要旨
 東映動画株式会社についての歴史記述では、1972年前後を一つの転機とすることが多い。創業者である大川博の死去、80分規模の長編製作の継続的製作中断、一般的に長期の「ロックアウト」として知られる「事業所閉鎖」、後年有名になる一部人員の他社への流出、テレビアニメ『マジンガーZ』のヒットに伴う商品化権ビジネスの躍進などといった要素が、その認識を構成していよう。
 しかし本報告では、そうした転機に至る経緯とその結果とを、むしろ連続したものとして捉える。そして60年代後半から70年代にかけての東映動画の経営改革の推移を、独自の調査を行った各種資料を基に、同社のアニメーション製作会社としての特質を表出したものとして分析する。
またこれにより、主として作品と人員の面から東映動画の変容を捉える、既存の歴史記述とは異なる視角を提示したい。

4:30~5:30
「クリエイターを目指すには、技術以前に教養と知識を身に付けるべし」
黒田昌郎会員(アニメーション監督)

要旨
急速なデジタル科学の進歩に、学生は技術の習得を目指すことに執着します。
しかし、その前に、もっとアナログ的な感性を磨いて欲しいと思います。
道具を使う前に、その道具が無い時にはどうやっていたのか?
アナログ世代の人間の歴史と、過去の作品に、あるいは、なまな作品…演劇、音響、絵画に触れて生な感動を体感して欲しいと思います。歴史の中の時代、知識を教養として身に付けることからスタートして欲しいと思います。
アニメーションの本質、本来動かないものに、動きを与え、命(魂)を吹き込むという手法であるというスタートに立ちたい。
静止画のキャラクターの魅力、台詞に頼るストーリーの魅力に頼る事無く、動きの中で伝える作品を志向して欲しいと思います。

会場アクセス
京王線「 下高井戸」あるいは「桜上水」駅下車、徒歩8分
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/

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■参加申込
どなたでも参加できますが、資料作成の都合上、7月4日(金)までに下記までお申し込み頂けますと助かります。
■参加申込・問合せ先:
日本大学文理学部心理学研究室(横田正夫)
E-mail: myokota@chs.nihon-u.ac.jp
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427
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報告:会報第168号(2014年10月1日)41頁-42頁