第8回クロスメディア研究会【11月29日】

2014/11/11 クロスメディア研究会

第8回クロスメディア研究会開催のご案内

第8回クロスメディア研究会を下記のごとく開催します。
会員の皆さんのご参加をお待ちしております。

開催日時:2014年11月29日(土)14:00−17:00
開催場所:尚絅学院大学4号館3階4-328講義室
〒981-1295 宮城県名取市ゆりが丘4-10-1
TEL:022-381-3300(代表)/FAX:022-381-3325
交通アクセス http://www.shokei.jp/general/access.php
キャンパスマップ http://www.shokei.jp/campuslife/map.php

【研究発表プログラム】
タイトル:社会芸術から社会起業へ
発表者:河合明会員(河合孝治、芸術メディア研究会)
概要:人は誰もが「戦争、災害、格差」という社会問題を克服したいと思っていることだろう。しかし、もし「戦争、災害、格差」がなくなったら、案外「少しは戦争、災害、格差あった方がまだましだった」と思うかもしれない。なにしろ我々は「いつだって大変な時代を」演出しているのだから。(そういえば、広告代理店の社訓に「混乱をつくりだせ」「無駄遣いさせろ」というのがある)従ってどうぜ理想国家などやってこないことを考えれば、ヨーゼフ・ボイスの「人間は誰でも芸術家である。」という言葉や仏教の即身成仏「誰しも元から覚っている」という言葉は、我々の生き方にとって大切な示唆となるのかもしれない。それはまず自己に「気づく」ことでもある。

タイトル:プログラミング教育に係る諸問題
発表者:名手久貴会員(東京工芸大学芸術学部)
概要:人の動作や位置を検出するモーション・センサー・デバイスのプログラム開発環境の一般化 が進んでいる。これは、ゲームで使用されているモーション・センサー・デバイスのソフトウエア開発に必要なプログラムをまとめたソフトウ エア・ディベロップメント・キットが公に配布されていることが大きい。このため、芸術系の学生を含めた幅広い層の人々が開発できる環境に あり、ソフトウエア開発に素養のある芸術系の学生は、これらのデバイスを利用したインスタレーション作品を発表している。しかし、モー ション・センサー・デバイスを利用した作品のアイデアがあり、製作したいが、プログラミングという問題の為に、考え出したアイデアを実現 できずにいる学生も多くみられる。本発表では、事例を通じて、芸術系学生がソフトウエア開発のどのようなところでつまずくのかについて検討するとともに、現在の開発環境自体の問題についても考察する予定である。

タイトル:児童・幼児と音楽について(一)
発表者:斎藤恵氏(大妻女子大学)
概要:児童・幼児の音楽世界を季節や自然との関連から考えてゆく。
(1)発表者のこれまでの研究と本発表の動機・目的
(2)他者の研究成果について
(3)西欧と日本のクラシック作品における四季について
(4)ポピュラー音楽における四季について
(5)四季(春・夏・秋・冬)に関する童謡・唱歌について
(6)日本の愛唱歌における四季について
(7)日本の歌謡曲における季節について
(8)考察
(9)まとめ:結論・展望
(10)付記:大学の授業について(映像あり)。

タイトル:プログラミング手法による映像表現の特性検討
発表者:李容旭会員(東京工芸大学芸術学部)
概要:コンピュータのプログラミング手法による映像表現は1960年代に始った。当初はXY軸の座標変換による位置情報のバリエーションによって構築されたグラフィックスイメージの並列化=アニメーション的手法が中心であった。ここにZ軸=奥行きの空間概念がコンピュータに導入され3次元空間の形成が可能となり現在のコンピュータグラフィックスの礎となった。今回の考察ではコンピュータプログラミング手法が映像表現にもたらした幾つかの特徴を提示し検討する。

タイトル:二次元からの変容 ~日本のPOPカルチャーを越えて~
The change from two dimensions“Japanese pop-culture : History and future”.
発表者:三橋純会員(横浜芸術大学)
概要:2020年東京オリンピック開催にあたり、従来までサブカルチャーと呼ばれていたものを売り物にしていこうとする流れがある。日本人は戦後マンガやゲーム、アニメを始めとする表現をどう見てきたのか。2000年を迎え『スーパーフラット』や『日本ゼロ年』から宣言され、サブからメインに押し上げられた文化は何を得て何を失おうとしているのか。その源流と経緯を考察する。

タイトル:テレビCMでの広告塔スポーツ選手と商品イメージ
発表者:柴岡信一郎会員(日本ウェルネススポーツ大学)・渋井二三男氏(城西短期大学)
概要:テレビCM制作において客観的な視点を確立するために、視聴者はテレビCMに登場するスポーツ選手に対してどのようなイメージを抱いているかについて、主成分析・因子分析により考察した。テレビCMはスポーツ選手イメージを商品イメージに重ね合わせることで強いメッセージを発信する。発信したい商品イメージによって起用されるスポーツ選手は選択される。スポーツ選手は自身の競技実績を基にした安心感や信頼感、力強さを元々有しているので、これらのイメージがそのままCMのイメージとなる。競技実績に裏付けされた「本物」のイメージは説得力、臨場感がある。

タイトル:マーティン・スコセッシとデイヴィッド・リンチが表す狂気の論考 
発表者:山下史朗会員(アート批評)
概要:この論考はマーティン・スコセッシとデイヴィッド・リンチのテクストが表す狂気が如何に表現されるかを考察する。スコセッシとリンチに物質社会の狂気が表さ れる。この狂気は3つの様相に分けられる。一つは物質社会の人々が外界との関係を築くよりも、心的なものを満足することで生まれる狂気である。また一つ は、その社会における主人公の自己と自己ならざるものとの葛藤である。そしてもう一つは、主人公の意識におさまらない心の過程や外界に顕れるその力動であ る。三つの狂気は織り成され、何が自身の心に浮かんだものなのか、どこから先が外界の現実なのかを曖昧にし混沌とさせる。主人公は内奥に在る生というカオ スを激しく露出させ、自律性を再び築くべく始源的な物質を掴むべく霊知を顕わす。スコセッシとリンチは音と映像でそうした狂気を表すのである。

タイトル:古典的デクパージュに基づいた動画像の感性情報処理アルゴリズムの提案
発表者:百束朋浩会員(東京工芸大学芸術学部)
概要:本研究では、古典的デクパージュと知られる1940年代までのハリウッド映画で培われた撮影技法・編集技法の特徴に基づいた感性情報処理アルゴリズムの提案をする。従来の画像解析では物理レベルでの性質に着目し、パターン認識や画像処理、境界検出などを解析手法が知られている。しかしこれらの方法ででは意味レベル・感性レベルにおけるセグメンテーションは非常に困難であった。しかし、多くの場合これらの解析では、人間介在することで、セグメンテ−ション化容易になることがよく知られている。そこで、古典的デクパージュと呼ばれる基礎的な映像技法にもとづき、セグメンテーション化の辞書とパターンを用意し、画像特徴空間の意味解析をするアルゴリズムを提案する。

【問い合せ先】
日本映像学会クロスメディア研究会
代表 李 容旭
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5
東京工芸大学芸術学部映像学科
lee@img.t-kougei.ac.jp 
Tel&Fax 03-5371-2717 

【会場問い合せ先】
尚絅学院大学表現文化学科 広瀬愛
〒981-1295 宮城県名取市ゆりが丘4-10-1
a_hirose@shokei.ac.jp
TEL:022-381-3300(代表)/FAX:022-381-3325

なお、研究会終了後および翌日に市内の寺社、せんだいメディアテーク http://www.smt.jp/ の見学を予定しています。集合場所・タイムテーブル等詳細は上記研究会へお問い合わせください。

以上


報告:会報第169号(2015年1月1日)5頁-11頁