2023/08/16 映画文献資料研究会
第54回映画文献資料研究会のお知らせ
日本映像学会映画文献資料研究会では、下記のように、研究例会を開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちいたします。
記
「ドキュメンタリー映画監督・片山明彦の足跡を追って~「片山明彦資料集」編纂と新たなる探究~」
発表者:宮下啓子(映画研究者・『活動倶楽部』世話人)
発表概要:戦前・戦後を通じて映画俳優として活躍した片山明彦(1926~2014)は、映画俳優を引退後、舞台の仕事を経て、ドキュメンタリー映画の監督として30年余り活動を続けたが、このことはほとんど知られていない。我々(宮下・山口博哉・柳下美恵)は、片山の遺品である数々の資料と関係者へのインタビューを踏まえて、私家版「片山明彦資料集」(2部構成)を2022年11月に完成させた。
宮下は、編纂作業を通じてドキュメンタリー監督としての片山の活動に注目し、資料集の完成後も引き続き調査を進め、今ではすっかり埋もれてしまっている片山が演出した作品の発掘を試みている。
本発表では、新たに発掘した作品群を紹介するとともに、作品に込められた片山の映画作りにかける思いを、数々の証言を交えて紹介する。
発表内容1.資料集の概要~自伝の発見
「片山明彦資料集」編纂に至るまでの経緯と資料集の構成内容を紹介する。最大の発見は本人筆による自伝(未完)である。幼少期のエピソードが情感豊かに紹介されていると同時に、撮影現場の様子や私淑する名監督の仕事ぶりに関する細かい記述に、映画作りへの思いが強く感じられる。
2. 片山明彦の映画人生~演じ手から作り手へ
片山明彦の生涯を活動時期に分けて分類し、ドキュメンタリー監督に至るまでの経緯をたどる。映画業界の斜陽化に翻弄されつつも、“最後のカツドウヤ”の自負心を忘れずに、志高く映画作りに情熱を注ぎ続けた多彩な映画人生を紹介する。
3.発掘したドキュメンタリー映画~片山明彦からのメッセージ
片山が手掛けたドキュメンタリー映画の発掘調査の中間報告として、現時点における作品リストを提示し、作品の傾向や演出スタイルについて分析を行う。発掘した作品のうち、片山が特に満足していたという作品(29分)を参考上映する。
日時:2023年9月9日(土)15時~16時30分(予定)
会場:東京工芸大学芸術学部1号館1階ゼミ7
東京都中野区本町2-9-5
参加費:無料
連絡先:西村安弘 nishimurimg.t-kougei.ac.jp
主催:日本映像学会映画文献資料研究会(代表:西村安弘)
※例会の後に、有志による懇談会を予定