2024/11/12 映画文献資料研究会
第57回映画文献資料研究会のお知らせ
日本映像学会映画文献資料研究会では、下記のように、研究例会を開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちいたします。
記
「大島渚の韓国」
企画概要:松竹ヌーヴェル・ヴァーグ、創造社とATGの共作、『愛のコリーダ』(1976)裁判、『戦場のメリークリスマス』(1983)の国際的成功など、日本映画史における大島渚(1932~2013)の軌跡は、これまで様々な切り口で語られて来ました。2021年12月に出版された、大島渚プロダクション監修、樋口尚文編著の『大島渚全映画秘蔵資料集成』は、今後の大島渚の作家研究の礎石となるだけなく、日本映画史研究にとっても里程標となることでしょう。
征韓論で知られる対馬藩士・大島友之允を先祖とする大島渚は、韓国・朝鮮に最も強い関心を寄せた日本の映画人です。『夏の妹』(1972)で沖縄返還を題材にした大島は、しかしながら、沖縄よりも寧ろ韓国・朝鮮を好んで取り上げたように見えます。ポスト植民地主義の立場から、大島の描いた韓国・朝鮮にアプローチすることは、日本映画史の研究を比較映画史へ繋げることにもなります。
「大島渚の韓国」と題した今回のシンポジウムでは、日本と韓国の両方の立場から、改めて大島渚の作品に現れた韓国・朝鮮の表象についての再考を試みます。
〇基調講演「大島渚と韓国」
第1部 韓国人の表象~大島監督は韓国人をどのように表現したのか
1,日本映画の中の韓国人
2,大島渚の映画と韓国人
3,『忘れられた皇軍』から見る韓国人の表象
4,韓国人の表象の流れ
第2部 韓国国内における大島渚~マスコミでの紹介と映画の受容
1,マスコミでの紹介
2,映画の受容
3,韓国内における大島の評価
・卜煥模(ボク・ファンモ):韓国湖南大学校映像公演学科元教授(1996年3月~2023年8月)。韓国漢陽大学校演劇映画学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士・博士号(演劇映像学専攻)取得。主な論文:「成瀬巳喜男作品の様式」、「韓国映画史初期における伊藤博文の映画利用に関する研究」。著書:『朝鮮総督府のプロパガンダ』(2023)。
〇パネラー
・大島新:東京工芸大学教授、ドキュメンタリー監督・プロデューサー。1995年フジテレビ入社、1999年同退社。2009年映像制作会社ネツゲン設立。監督作品:『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020)、『香川一区』(2022)、『国葬の日』(2023)。プロデュース作品:『ぼけますから、よろしくお願いします。』(2018)、『私のはなし 部落のはなし』(2022)、『うんこと死体の復権』(2024)。著書:『ドキュメンタリーの舞台裏』(2022)。
・丁智恵:東京工芸大学准教授。専門はメディア史、在日コリアン研究。主な論文:「歴史の忘却と抵抗の痕:1960年代社会派ドラマの放送中止事件から」浅野豊美編『和解学叢書6 文化・記憶 想起する文化をめぐる記憶の軋轢:メディアの和解と行方』(2023、明石書店)、「朝鮮戦争報道と占領期日本――映像メディアの分析を中心に」蘭信三ほか編『帝国のはざまを生きる:交錯する国境、人の移動、アイデンティティ』(2022、みずき書林)など。
進行
・西村安弘:東京工芸大学教授。
日時:2024年11月30日(土)13:30~17:00(予定)
会場:東京工芸大学芸術学部1号館B1大講義室
東京都中野区本町2-9-5
(最寄り駅:地下鉄丸ノ内線及び大江戸線・中野坂上駅)
入場無料
連絡先:西村安弘 nishimurimg.t-kougei.ac.jp
主催:日本映像学会映画文献資料研究会(代表:西村安弘)/科研費若手研究「冷戦下東
アジアにおける〈ポスト帝国〉の越境的映画人ネットワーク」(課題番号:23K12048)研究代表 丁智恵