2026/02/17 アニメーション研究会
日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会,日本アニメーション学会心理研究部会 合同研究会
日時:2026年3月15日(日)
場所:日本大学芸術学部A棟地下2階AB202教室
時間:13:00-17:30
日本アニメーション学会心理研究部会・日本映像学会映像心理学研究会 13:00-15:00
13:00-13:45
表題 「大学生のフィクション作品に関する記憶とその心理学的機能」
発表者 新美亮輔
所属 新潟大学人文学部
要旨
私たちは、フィクション作品に影響を受けたということを年を経てから思い出すことがある。昔よく読んだ本や好きなアニメについて、なつかしく思い出したり人と話したりすることはよくあるだろう。しかし、このような記憶の心理学的性質についてはあまり研究がない。近年、フィクション作品の記憶の一部が、現実のできごとの記憶と類似した自伝的記憶(AM, autobiographical memory)としての機能を有しているのではないかと指摘されている。AMは、その人にとって重要な意味づけがされてたびたび想起され、アイデンティティの形成や意思決定の助けとなる機能を持つとされる。そこで本研究では大学生を対象に、よく思い出したり話したりするフィクション作品の中のできごとの記憶を想起してもらった。その質やAMとしての機能を現実のできごとの記憶と比較した結果や、メディア種別の影響について報告する。
13:45-14:00 質疑応答
14:00-14:45
表題 「アニメを心の教科書に-『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が教える心
の成長-」
発表者 西郷 達雄
所属 北海道医療大学心理科学部
要旨
本発表では、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を題材に、対人援助職に求められる「心の成長」について検討する。かつて感情を持たない「戦争の道具」であった主人公は、手紙の代筆という仕事を通じ、依頼人と向き合い、その想いを言葉にする中で、技術と心が「共に成長」していく過程を経験する。当初は論理的な理解に留まっていた主人公だが、他者の痛みに触れることで、やがて愛を届ける一人の人間へと成長を遂げた。この物語は、専門的な技術と豊かな人間性が不可分であることを示している。本発表では、本作がいかにして「心の教科書」となり、次代の医療・心理職の人間性を育む一助となるかについて報告する。また、その他の医療系アニメーション作品にも触れ、これらが教科書だけでは学べない倫理的な問いや、患者への共感を擬似体験させる教材となり得るかについて論じる。14:45-15:00 質疑応答
15:00-15:10 休憩
日本映像学会アニメーション研究会 15:10-17:30
15:10-16:10
表題 「CGレイアウト時代の作画と、生成AIのアニメーション表現における応用の可能性」
発表者 芦谷 耕平
所属 日本大学芸術学部
要旨
近年の日本のアニメーション制作においては、3DCGによるレイアウト設計を前提とし、それを基に手描き作画を行う制作手法が広く定着しつつある。作画監督として『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』(2024)、『ONE PIECE FILM RED』(2022)などの現場に携わる中で、こうした「CGレイアウトから描く作画」は、空間把握やカメラワークの精度を高める一方、アニメーターの身体感覚や描線の自由度との折り合いも含め、新たな関係性を生み出していると感じている。本発表では、実制作の事例をもとに、CGレイアウトが作画工程や表現選択に与える影響を整理する。あわせて、近年急速に発展する生成AI技術を、作画の代替ではなく「補助用途」「検討用の視覚化装置(プリビズ)」として捉え、今後のアニメーション作画にどのような可能性をもたらすのかを考察する。
16:10-16:20 質疑応答
16:20-17:20
表題 「アニメーションの作画はどこへ回帰するべきなのか」
発表者 片渕須直
所属 日本大学芸術学部 コントレール
要旨
日本の商業的なアニメーションの起点を、仮に戦後の長編第一弾である「白蛇伝」とするならば、現代までに68年が経過している。その間、作画の行われ方が一様であったわけではないが、「作画監督」「原画」「動画」というそれぞれの職種とその職分が創り出され、少なくとも20世紀中は一定の方向を見て安定していた。
しかし、今世紀に入ってアニメーションが、本数として大量に消費されるようになると、例えば、一作品に作画監督が数人から数十人が立てられ、原画の作業が「第一原画」「第二原画」などに分かれるような複雑化が発生している。これらは本来は、作らなければならない映像の量に対してアニメーターの人材が不足する状況の中で緊急退避的行われた方策だったはずで、決して理想的なものではない。しかし、異常な緊急避難が四半世紀にも渡って持続してきてしまうと、戻るべきところをしらない世代が現場で大半になってしまっている。
こうした点についての問題提起を必要としつつ、同時に理想的な方法があるとするならばそれはどういったものなのかを考える必要がある。現場で演出を行い、アニメーターの新人育成を行いつつある立場から知見を得た「どのようであるべきなのか」について述べたい。
17:20-17:30 質疑応答
