2017年度第2回(第17回)映像テクスト分析研究会【1月20日】

2017/12/16 映像テクスト分析研究会

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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2017年度第2回(通算第17回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位
   
映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。
  
日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
  
■日時===========================
2018年1月20日(土曜日)15時30分開始~18時終了予定
発表後に休憩をはさんで質疑応答あり
※発表に先だち、13時30分より参考上映を行ないます
   
■会場===========================
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館2階演劇映像実習室(283教室/定員60人)
〒162-8644 東京都新宿区戸山1-24-1
最寄り駅:地下鉄東京メトロ東西線「早稲田駅」、副都心線「西早稲田駅」
交通アクセス
https://www.waseda.jp/top/access/toyama-campus
キャンパス案内図
http://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2016/10/20161020toyama_campus_map.pdf
*スロープは上らず、スロープと工事フェンスの間の狭い通路を抜けて31号館に
突きあたったところで右折し、正面の階段を上っていただくのが近道です。
(あるいはスロープを上がり、31号館と33号館の間を通って中庭を抜けてください。)
   
■発表者==========================
早川由真(立教大学大学院現代心理学研究科映像身体学専攻博士後期課程)
 
■表題・概要===============================
ジョン・ハートの受難――『10番街の殺人』の分析を中心に

 映画において画面上に映しだされる身体とは、どのような存在なのか。この大きな問題について考える手がかりとして、画面上の身体にとって生命とは何かという問題を考えてみたい。そこで本発表は、60年代から21世紀のこんにちに至るまで数々のフィルムに出演した俳優ジョン・ハートの身体イメージに着目する。彼が演じる役柄は往々にして酷い目に遭い、しばしばその命を落とすことになる。ときに陰惨、ときに滑稽、そしてときに感傷的な死にっぷりこそが、ハートの独特の身体イメージを特徴づけている。では、画面上における彼の身体は、なぜそのようにたびたび暴力を被らなければならないのか。
 本発表はまず、初期の出演作から、母国イギリスだけでなくアメリカでの活躍も目立ちはじめる80年代中盤までの作品のなかで重要と思われる諸作品を取りあげ、具体的な画面上の要素に着目しつつ、ハートの身体イメージが担う意味について検証する。70年代末から80年代にかけて、レーガン政権成立に至るヴェトナム戦争後の保守化の流れのなか、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーに代表されるアクション・ヒーローたちの鍛え上げられたハードな身体が、スペクタクル化した暴力を駆使しながらハリウッドを席巻していった。だがその裏側には、画面上において自らのソフトな身体を損傷させ続けるジョン・ハートの存在があった。たとえば1979年に始まる『エイリアン』シリーズで戦う女性としてのイメージを形作るシガニー・ウィーバーの背後で、あるいは、旧来の体制の決定的な崩壊と70年代ハリウッドの作家主義的な風潮の終焉を象徴してもいる『天国の門』(1980年)の砂埃のなかで、受難する彼の身体イメージはどのような意味をもつのか。そのことを明らかにしたうえで、初期の代表作『10番街の殺人』(1971年、リチャード・フライシャー監督)に着目し、演技をふくむハートの身体イメージの細部が示す「パッション」について、作品全体の分析を交えながら検証していく。分析を通じて、一方的に暴力をうける被害者という単純な位置づけには必ずしも還元できない、彼の独特の身体イメージが描きだされるだろう。偶然にも彼の訃報からほぼ一年後の開催となるが、何度でも画面上に蘇るハートの身体イメージを通じて、画面上の身体という不思議な存在の姿に迫りたい。

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お問合せ先:
日本映像学会東部支部 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujii(a)waseda.jp