2018年度第1回(第18回)映像テクスト分析研究会開催のお知らせ【9月22日】

2018/08/19 映像テクスト分析研究会

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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2018年度第1回(通算第18回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。

日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子

■日時===========================
2018年9月22日(土曜日)15時30分開始~18時終了予定
発表後に休憩をはさんで質疑応答あり

■会場===========================
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館2階演劇映像実習室(283教室/定員60人)
〒162-8644 東京都新宿区戸山1-24-1
最寄り駅:地下鉄東京メトロ東西線「早稲田駅」、副都心線「西早稲田駅」
交通アクセス
https://www.waseda.jp/top/access/toyama-campus
キャンパス案内図
http://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2016/10/20161020toyama_campus_map.pdf
*スロープは上らず、スロープと工事フェンスの間の狭い通路を抜けて31号館に
突きあたったところで右折し、正面の階段を上っていただくのが近道です。
(あるいはスロープを上がり、31号館と33号館の間を通って中庭を抜けてください。)

■発表者==========================
川﨑佳哉(早稲田大学)

■表題・概要===============================
奥行きという「闇の奥」——『市民ケーン』のスクリーンをめぐって

1939年に映画会社RKOと契約を交わしたオーソン・ウェルズが、ハリウッドでの監督第一作目としてジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』の映画化を企画したことは、映画史上の傑作として名高い『市民ケーン』(1941)の前史としてしばしば言及されてきた。主に主人公の回想形式で展開する一人称小説である原作と同様に、ウェルズはほぼ全編を主人公の視点から見せる=一人称カメラによって撮影するという構想を持っていたが、技術的な困難を多く抱えていたこの企画は予算の問題等から実現しなかった。
先行研究においては、この『闇の奥』の映画化企画が『市民ケーン』の同じく回想形式で進行する語りやカメラの視点に影響を与えた可能性について指摘されてきた。しかし本発表では、『市民ケーン』がこの企画から受け継いだものが、物語構造や映画スタイルの次元にとどまるものではなく、スクリーンと観客の関係という、映画というメディアの根底に関わるものであったことを明らかにする。ハリウッドにやってくる以前はニューヨークで演劇活動をしていたウェルズは、演劇と映画を比較し、後者が観客との関係という点である大きな問題を抱えていると考えていた。『闇の奥』の一人称カメラが、その問題に対する解決策として導入される予定であったことが資料の検討を通じて明らかになるだろう。また、こうした観点から『市民ケーン』を分析することによって、その問題意識がこの映画の画面を貫いていることを示していく。最終的には、『市民ケーン』の特徴として繰り返し挙げられてきた奥行きのある画面について、それが映画スタイルの問題ではなく、スクリーンと観客の関係を変革することを試みた『闇の奥』という実験の延長線上にあったことを論じたい。

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お問合せ先:
日本映像学会東部支部 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujii(a)waseda.jp