2019/10/08 お知らせ
2019年10月8日
「あいちトリエンナーレ2019」への補助金全額不交付の決定に対する会長声明
日本映像学会
会長 武田潔
日本映像学会は、1974年の設立以来、映像に関する研究と創作を推進することにより、映像文化の向上に寄与することを目的として活動を続けてきました。映像を含む諸芸術や諸媒体が培う文化的に豊かな生活を営むためには、表現の自由が守られ、表現者の自主性が尊重されることが必須であり、そのためには、行政が公的支援等で表現活動に関与する際には判断の公正さが遵守されなければなりません。
こうした見地から、今般、「表現の不自由展・その後」の中止をめぐる状況のもとで、文化庁が「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の全額不交付を決定したことは、本学会としてきわめて憂慮すべき事態であると認識しています。外部の審査委員により決定された補助金について、一部の企画で生じた問題を全体のものと断じ、当該事業が実施中であるにもかかわらず補助金全額の不交付を決定した今回の措置は、これまでの文化行政の中できわめて異例なものであり、補助金適正化法等を形式的な根拠にした文化庁の説明はおよそ説得力がありません。
この件については一部で事実上の検閲であるとの批判もなされており、表現活動に関わる者はもとより、広く国民の理解を得るためにも、今回の決定に至った経緯について文化庁が速やかに明確な説明を行うとともに、補助金全額不交付の決定を撤回することを求めます。
以上