映像テクスト分析研究会 2020年度(通算第20回)研究発表会【3月27日】

2021/03/15 映像テクスト分析研究会

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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2020年度通算第20回研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
Zoomによるオンライン開催となりますため、運営の都合上、事前に登録された日本映像学会会員のみご参加いただけます。ご了承ください。
みなさまのご参加をお待ちしています。

日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子

■日時===========================
2021年3月27日(土曜日)14時開始~16時終了予定
発表後に休憩をはさんで質疑応答あり

■参加方法===========================
Zoomを利用してのオンライン開催です。下記のフォームを通じて3月26日(金)17時必着でお申し込みください。その後、登録されたメールアドレスに接続情報をお送りします。

https://forms.gle/d5LRkr9qiE8QRN1a7

なお、今回は成人映画に関する研究発表のため、ご参加にあたっては接続環境への十分なご配慮をお願いいたします。

■発表者==========================
鳩飼未緒(早稲田大学総合人文科学研究センター助手)

■表題・概要===============================
日活ロマンポルノの黎明期――『団地妻 昼下りの情事』から摘発事件を経た路線の確立

 日活ロマンポルノは総体として見た際、それ以前の男性向けプログラム・ピクチャーとは決定的に異なる姿を呈している。日活アクションや東映やくざ映画では男性スター演じる主人公が同時代の男性観客の強い同一化と憧憬や陶酔の対象となり、ファンタジーを満たす英雄(ヒーロー)としてスクリーン上で輝き続けたのに対して、ロマンポルノは基本的にこのような英雄的な男性のイメージを差し出さなかったのだ。そもそもロマンポルノのほとんどは女性を主人公に据えており、物語において副次的な存在である男性たちが英雄的でないのは当然かつ瑣末なことだと思われるかもしれない。しかし、男女の性愛をドラマの軸とするロマンポルノにおける英雄的男性のイメージの不在は、実のところ、この成人映画路線の成立と存続の根幹に関わる問題なのである。
 英雄的男性を描くことを放棄し、女性に焦点を当てた現代劇というロマンポルノのプロトタイプとなったのは、第一回作品のうちの1本、『団地妻 昼下りの情事』(西村昭五郎、1971年)である。しかし本作の特徴を後続の作品群が全面的に踏襲したわけではなく、ロマンポルノはこの第1作を下敷きにしつつ、徐々に変質していくこととなった。そしてその直接的な契機となったのが、本作の公開から3ヶ月後に起きたロマンポルノの摘発事件である。この発表では『昼下りの情事』を中心に摘発前後の作品のテクストを参照し、ロマンポルノという成人映画路線が確立されていく過程を検証する。『昼下りの情事』は男性観客が享受することを見込んで作られた「ポルノ」としては様々な矛盾を内包する作品であるが、摘発事件を経たロマンポルノが、そうした矛盾をいわば発展的に解消することによって、英雄を描かない異形の男性向けプログラム・ピクチャーとして存続の道を見出したことが明らかになるだろう。

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お問合せ先:
日本映像学会東部支部 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujiiwaseda.jp