映像心理学研究会・アニメーション研究会合同研究発表会【7月30日】

2011/07/14 アニメーション研究会

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日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会
合同研究発表会開催のご案内
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盛夏の候、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて、日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会の合同研究発表会を下記の如く開催いたします。
是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。 

//代表 横田正夫//

■日時

平成23年(2011年)7月30日(土曜日) 
映像心理学研究会:13:30~14:30
アニメーション研究会:14:45~17:00

■会場

日本大学文理学部 本館5階 H514教室
東京都世田谷区桜上水3-25-40
交通アクセス http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access_map.html
キャンパスマップ http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/swf/map.html

■プログラム(映像心理学研究会)

表題:「鉄腕アトム」の臨床心理学的分析
(13:30~14:30 質疑応答時間を含む)

発表者:横田正夫会員(日本大学)

要旨:
アトムで描かれた世界には、生みの親に捨てられた子どもの愛情喪失があり、家族全員が頼りにする依存があり、崩壊家族が認められた。そうしたなかでの成長しない子どもの物語であった。周囲との関係が失われ徐々に孤立が深まり、自己中心性が高まる物語でもあった。アトムは、感情表出が衝動的で、怒りの統制ができない子どもでもあったのであり、攻撃性は徐々に過激になっていった。我慢がならない出来事には狂っていると決め付け、切り捨ててしまうような、まさに忍耐心のないものであった。こうした世界の中でアトムの示す行動は、精神障害の進展に対応したような心理的な展開を示していた。すなわち人間からロボットへの価値の引き下げ、自己破壊や閉じこもりといった自我障害、そして妄想構築であった。「鉄腕アトム」の世界は、心理的に、実に不安定なものであった。こうした不安定さは、手塚の置かれた状況とそれへの心理的な反応を、作品世界に反映させたために生じたものと思われた。ところで、アトムの世界の今日的意味はなんであろうか。心理的に不安定なキャラクターの示す、衝動的暴力的行動、ならびに自己中心性、忍耐心の乏しさや家族の崩壊、愛情喪失などは、今日的なアニメーションなどの映像メディアに描かれる世界のものでもある。アトムの世界は、今日の映像メディア世界の原型を、見事に提示しているとみることができる。

■プログラム(アニメーション研究会)

表題:韓国の最新アニメーション事情
(14:45~15:45 質疑応答時間を含む)

発表者:三宅敦子氏・田中恵美氏(韓国インディ・アニフェスト紹介上映「花開くコリア・アニメーション」実行委員)

要旨:
韓国で毎年開かれるインディペンデント・アニメーション専門映画祭「Indie-AniFest」。コンペ部門には、毎回全国から約250本の作品が集まります。海外のさまざまな映画祭で受賞し、韓国のインディーズ・アニメーションへの国際的な評価は、急速に高まっています。しかし、政府の制作支援の縮小、配給や上映機会の確保、作家の生活保障など、問題も少なくありません。そのような状況下で、長編アニメーションへの挑戦や、若い作家たちの自主上映など、インディーズとしての新たな道を切り開くための、さまざまな取り組みが行われています。これらの最新事情を、韓国のインディーズアニメーション制作環境や、国の支援体制、教育機関、卒業後の進路、現在公開中の長編アニメーション最新作や制作中の長編作品について、資料映像や画像を交えながら紹介します。

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表題:ヨーロッパにおけるオタク的消費の実態
(16:00~17:00 質疑応答時間を含む)

発表者:薄葉彬貢氏(映画専門大学院大学)

要旨:
近年TVや新聞、書籍、ネットを通じて日本のアニメが海外で人気を博しているという話題が日常的に報じられるようになったが、アニメ業界の海外売上は2006年を境に減少の一途を辿っている。メディアが謳う海外人気と比して何故売上は減っているのか、その原因を解明すべく、欧州7か国の大学生1400人に対して視聴行動、情報収集、購買環境、イベント活動を中心にアンケート調査を行なった。その結果、違法視聴の横行は然ることながら、主な情報源がクチコミであることとサイトで視聴できるタイトルに偏りがあることで、日本で放送している作品を必ずしも見ていないことが明らかになった。更に購買環境については購入可能な商品が限られ、イベント活動では主に交流を目的として参加する傾向が高かったことから、視聴から消費に発展していないことが明らかになった。加えて発表では、現地企業の取組みや店頭販売方法等、アニメコンテンツの海外展開における具体的な問題も報告する。

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■参加申込
どなたでも参加できますが、資料作成の都合上、7月23日までに下記までお申し込み頂けますと助かります。
なお申込み無しでのご参加の場合、配布資料をご用意できない場合がございますので、予めご了承ください。

■参加申込・問合せ先:
日本大学文理学部心理学研究室(横田正夫)
E-mail: myokota@chs.nihon-u.ac.jp
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427

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日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会
〒156-8550東京都世田谷区桜上水3-25-40
日本大学文理学部心理学研究室内
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427


報告:会報第156号(2011年10月1日)35頁