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関西支部第74回研究会【3月28日】

2015/03/19 関西支部

日本映像学会関西支部第74回研究会のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第74回研究会を開催いたします。

日時:平成27年3月28日(土)午後2時より
会場:関西学院大学大阪梅田キャンパス(K.G.ハブ スクエア大阪)1405教室

研究発表1:1970年代における「劇画」を原作とした映画の過剰さについて
              ~三隅研次・鈴木則文・伊藤俊也の作品を中心に~
発表者:関西学院大学 中村聡史会員
要旨:日本において映画と漫画との関係はきわめて興味深いものである。1940年代後半から1950年代、いわゆる手塚治虫に代表されるようなストーリー漫画は映画的手法を取り入れているとされ様々に議論されてきた。また近年の日本映画界における漫画を原作とする作品群は、毀誉褒貶にさらされてはいるが決して無視できるようなものではないであろう。
 しかしこのような映画と漫画との深い関係性はなにもストーリー漫画黎明期や近年の日本映画界に限ったことではなく、1970年代においても注目すべきものであったと考える。
 当時の日本において、映画も漫画もある種の転換期にあり、映画界ではメジャーである映画会社がその作品内容や表現をより過激な方向へと変更するようになり、漫画界においても「劇画」と呼ばれる性描写や暴力描写においてこれも過激な内容、表現を持った作品が支持を得るようになる。この「劇画」と映画が結びつき、「劇画」を原作とした映画が相当数制作され、それらの作品のいくつかはその過激さが過剰とさえ言えるものとなっている。本発表では、上記のような1970年代における「劇画」を原作とした映画の過剰さのあり様を三隅研次監督『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972年)、『子連れ狼 死に風向かう乳母車』(1972年)、鈴木則文監督『堕蘼泥の星 美少女狩り』(1972年)、伊藤俊也監督『女囚701号 さそり』(1972年)を分析することで考察していく。

研究発表2:エドワード・ヤンの映画における主体・視線のずらしと刹那的人生の倫理
発表者:近畿大学文芸学部 吉岡ちはる会員
要旨:エドワード・ヤンの映画は、通常であれば主人公と呼ばれる特定の人物の視点に固定されることを、悉く回避する。彼の映画の世界ではしばしば、物語を担う主体が、ひっきりなしに入れ替わる。また、当初は無関係に見えた人物たちが、様々な仕掛けによって結び合わされたり、当初はある関係にあった人物たちが、その関係性を変えさせられたりする。そのような人物の関係性や運命を司るのは、きわめて巧妙精緻に組み合わされた小道具たちである。戸口、電話、エレベーター、ガラスの反射等々。そのような仕掛けによってヤンは、人生の刹那的瞬間を鋭く捉え、それによって人々が翻弄される様相を描いている。そこではあたかも、細かい小道具たちこそが、人間の運命を決定する神のような存在となっている。しかし、そのような刹那性に人生を支配されているかのような人間たちを描くヤンの画面は、きわめてクールであることによって逆説的に、彼の倫理観を強力に表象するものとなる。本発表では、ヤン映画のそのような仕組みを分析していく。

(会場アクセス)
関西学院大学大阪梅田キャンパス(K.G.ハブ スクエア大阪)
〒530-0013 大阪市北区茶屋町19-19アプローズタワー14階
アクセス:阪急「梅田駅」 茶屋町口改札口より 北へ徒歩5分。
JR「大阪駅」御堂筋出口から徒歩10分、地下鉄御堂筋線「梅田駅」から徒歩7分、「中津駅」から徒歩4分。
http://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/index.html

以上
日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel:0721-93-3781(内線3327)


報告:会報第171号(2015年7月1日)4頁