2022/11/21 関西支部
日本映像学会関西支部第95回研究会(12月10日)及び関西支部総会のお知らせ
下記の通り日本映像学会関西支部第92回研究会を開催いたします。対面にて実施いたしますが、リモート(Zoom)併用で行ないます。関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。
日時:2022年12月10日(土)午後2時より4時頃まで。
会場:大阪芸術大学 7号館51教室
リモート参加を希望される方は12月9日午前中までに下記リンク(Google form)から申し込みをお願いします。研究会前日にZoom招待をメールにてお送りいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScRYe4n9TuEQ_cP4F7D19QpyDBTAHr-2L83A0ZclNlLMH5kJQ/viewform
研究発表1:「もの」から意味を剥がすイメージ:1960年前後の松本俊夫と勅使河原宏
発表者:神戸大学国際文化学研究科 大谷晋平会員
要旨:
本発表は、松本俊夫と勅使河原宏による、被写体に対する固定観念を解体する1960年頃の映画活動について考察するものである。
1950年頃より安部工房や花田清輝らのアヴァンギャルド芸術運動、「具体」や「実験工房」など、文学、美術、音楽、映画などの分野横断的な芸術運動が盛んになり、松本と勅使河原の映画もこうした運動の一部に位置づけられてきた。彼ら(特に松本)は、1950年代後半より、映画が戦時中に戦意高揚や、1950年代の共産党のプロパガンダに用いられ、映画人がそれらに無節操に追従してきたことを批判し、人間が疎外される状況を作家が主体的に探究してそれに抗える映画表現を目指して同時代のアヴァンギャルド芸術と共鳴した。
ただ、ここで重要なのは、あくまで理念の共有という観点から彼らがアヴァンギャルド運動の上に位置付けられてきた点である。例えば松本は、そうした時代的な潮流の上で、「前衛記録映画論」において、「もの」に付随する意味が映像によって変容させられ得る可能性について議論を展開したが、具体的にその論に沿う映画表現とはどのようなものであり、スクリーンで提示されたイメージは終戦から1960年頃の日本映画史的にいかに位置付けられるのだろうか。
こうした疑問を念頭に、本発表では、松本によるイメージに関する具体的な方法論を整理しつつ、彼に共鳴し、草月シネマテークなどでも共に活動した勅使河原の『砂の女』(1964)を中心に、「もの」に付随する意味を変容させる/させないイメージのあり方を考察するが、そこでは、我々が普段目にする物の非日常的なイメージを提示して観客を惹きつける、科学映画の系譜が浮かび上がるだろう。すなわち、被写体の非日常的なイメージを用いて自由主義・民主主義教育を意図した占領下の教育映画をも射程に含めつつ、本発表では松本らによる被写体とイメージ、そしてイデオロギーの連関をめぐる活動を戦後日本映画史においていかに位置付けられるのか、その概観について検討する。
研究発表2:〈千年シアター〉と1980年代関西の自主上映文化
発表者:神戸映画資料館研究員 田中晋平会員
要旨:
〈千年シアター〉は、小川プロダクションによる『1000年刻みの日時計―牧野村物語―』(1986年)を上映するため、1987年夏の京都に土と藁と丸太を用いて建設され、一ヶ月後に解体された仮設の劇場である。本発表では、〈千年シアター〉が設立された過程を、残存する資料(記録映像含む)と証言から辿り直す。その建設に参加した関西における自主上映グループと当時の小川プロの映画がどのように協働していったかを考察し、転換期にあった1980年代の映像文化の実態に迫りたい。
当時大阪で景山理たちが発行してきた『映画新聞』(1984年創刊)は、誌面にて『1000年刻みの日時計』が完成に至るまでの連載、また〈千年シアター〉の建設の詳細、さらにその全国各地での上映のプロセスについても報告を掲載しており、当時の小川プロと上映グループの関係を考えるための重要な資料として活用できる。また、〈千年シアター〉のドキュメンタリー映像も、『京都鬼市場・千年シアター』(1987年)など複数存在している。発表内では、こうした記録映像の一部にも言及しながら、小川プロの映画上映の変遷、およびローカルな上映文化に与えた影響を検討していく。
・研究会終了後、同会場にて2021年度日本映像学会関西支部総会を行います。4時半頃開始予定。
会場:大阪芸術大学7号館51教室
近鉄南大阪線「喜志」駅下車スクールバスまたは金剛バス(近つ飛鳥博物館博物館前行き)東山(芸大前)下車
交通アクセス:https://www.osaka-geidai.ac.jp/guide/access
キャンパスマップ:https://www.osaka-geidai.ac.jp/guide/access/campus
日本映像学会関西支部事務局
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