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関西支部第67回研究会【12月8日】

2012/11/24 関西支部

関西支部第67回研究会(12月8日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第67回研究会を開催いたします。
会員の皆様には奮ってご参加下さいますようお願い申し上げます。

日時:平成24年12月8日(土) 午後2時より
会場:神戸学院大学有瀬キャンパス 9号館6階961教室

研究発表1:ジャン・コクトーの映画『詩人の血』(1930)にみるデッサンからの変容
発表者:大阪大学大学院文学研究科博士後期課程三年 水田百合子
要旨:フランスの詩人ジャン・コクトー(1889-1963)は、詩、小説、演劇、評論、デッサン、映画と、多くの分野で活躍した。本研究は、その中でもとりわけ彼の映画に着目し、その制作過程を明らかにするものである。彼自身が監督した映画は全部で6本あるが、今回の発表では処女作である『詩人の血』(1930)を取り上げる。当初アニメーションとして企画されていたこの映画には、彼が1920年代後半に描いたデッサンの影響が強くみられる。この映画の構想と同じ時期に、コクトーは、阿片の解毒治療の苦しみと治癒の過程を日記『阿片』(1930)に残しているが、その文章やデッサンには『詩人の血』の原型とみられるモチーフがある。たとえば身体にできた傷口は、映画の詩人を想像させるし、手足がもがれた人物や周囲の物体と一体化する身体などは、映画の中の彫像やオブジェを思わせる。コクトーにおける静止したデッサンから動くデッサンへの変容は、人間の自然的知覚を超えた世界をリアルに表現する映画の可能性を示唆している。

研究発表2:インド映画におけるジャンル―テルグ語映画のフォークロア映画を題材に―
神戸学院大学人文学部 赤井敏夫
要旨:インド映画においてサイレント時代に成立した「ソーシャル/ミソロジカル/ヒストリカル」というジャンルの分類方法は非インド文化圏観客には違和感が大きい。しかしこのジャンル分けが今でも有効であるからにはそこに何らかの文化的要因が介在しているはずであり、それをテルグ語映画のフォークロアと呼ばれるサブジャンルから考察してみようというのが本発表の目的である。テルグ語映画はインド映画市場の中でも神話映画が多数製作されてきたという特徴がある。しかし細かく観察してみると厳密にはミソロジカルには分類しにくい、境界領域のジャンルがあることが分かってくる。これは現在ソシオ・ファンタジーと呼ばれるが、40‐50年代にかけて流行したフォークロア映画が先駆型としてあるらしい。フォークロア映画はエロール・フリン等の主演で流行した剣戟映画やアーサー・ルービンのオリエンタリズム映画の影響のもとに成立したとする説があるが、その実態はさらに複雑で他にも幾つかの起源が想定できる。本研究ではテルグ語映画の代表的なフォークロア映画をとりあげ、映像学的観点からその独自のフォーマットを分析し、それがインド人の映画認識といかに関係するのかを考察してみる。

研究会終了後(午後4時30分頃)、同会場にて支部総会を行います。
午後6時頃より懇親会を催します。会費5000円程度、会場は当日お知らせします。

神戸学院大学 有瀬キャンパス
神戸市西区伊川谷町有瀬518  Tel:078-974-1551(代)
アクセス
JR神戸線「明石駅」下車、北側バス停「北1番」のりばから、神姫バス「神戸学院大学行」に乗車し、神戸学院大学前下車(約5分おきに発車、所要時間約20分)
JR神戸線「朝霧駅」下車、北側バス停のりばから神姫バス「神戸学院大学行」に乗車し、神戸学院大学前下車(運行本数が少ないため、発車時間をご確認ください。所要時間約10分)
詳しくは http://www.kobegakuin.ac.jp/access/arise.html

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)


報告:会報第161号(2013年1月1日)6頁