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関西支部第76回研究会【11月28日】

2015/11/16 関西支部

日本映像学会関西支部第76回研究会(11月28日)開催のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第76回研究会を開催いたします。会員の皆様の参加をお待ち申し上げます。

日時:平成27年11月28日(土)午後2時より
会場:谷岡学園梅田サテライトオフィス『CURIO-CITY(キュリオ-シティ)』
(〒530-0011大阪府大阪市北区大深町4番20号グランフロント大阪タワーA[南館]16階)

研究発表1:日本における1970年代後半の自主上映:オルタナティヴな映像環境の行方
発表者:大阪芸術大学芸術学部 非常勤講師 田中晋平会員
要旨:本発表では、日本の主に1970年代後半に発展した非商業的な自主上映の意義を検討する。先行研究では、戦後の自主製作・自主上映の歴史のなかで、60/70年代以降にかつての政治主義的な上映運動と異なる、映画ファン、シネフィルによる活動が隆盛し、後のミニシアター・ブームなどに繋がったとする見方が一般化している。これに対して、発表で当該期に注目する狙いは、当時の〈個人〉という立場や非商業主義を強調する自主上映が構築しようとした、オルタナティヴな映像環境の役割を捉え返すことにある。議論の流れとして、まず1968年の鈴木清順問題共闘会議におけるシネクラブの問題提起を出発点に据え、以降の自主上映に繋がる論点を摘出する。次に70年代後半に現れる自主上映グループとその共同配給などの取り組み、具体的には欧日協会やシネマテーク・ジャポネーズの活動について考える。最後に、その活動が担った映画文化が、80年代以降にどのように変容するかを探る。

研究発表2:『ヴィトリーヌ』のヴァリエーションとその映像的視覚効果
発表者:大阪経済大学人間科学部 北市記子会員
要旨:メディアアートの先駆者・山口勝弘は、戦後の前衛芸術そのものを体現する希有な存在である。その70年近くに及ぶキャリアの中で、時に様々にスタイルを変化させながら表現活動を展開してきたが、今もなお彼がこだわり続けているのが、初期の代表作『ヴィトリーヌ』である。
 『ヴィトリーヌ』は、作品と鑑賞者との関係性によって動的なイメージが立ち現れる、環境的な広がりを持った造形作品のシリーズである。その最初の作品は1951年に制作され、翌1952年の「実験工房第三回発表会」で発表された。以後1958年までの約7年間に、100点近くの作品が制作されたと考えられており(正確な作品数は不明)、ヴァリエーションも様々である。作品の一部は美術館にコレクションされ世界的にも高く評価されているが、一方であまりの作品数の多さから、山口自身もその全容を把握しきれていないのが実状である。
 前述したように、山口が実質的に『ヴィトリーヌ』制作に取り組んだのは、活動初期のわずか7年ほどの間である。しかしその後も折にふれて、幾度となくこの作品をリバイバルさせている。最近では、2013年に神戸で開催された展覧会「回遊する思考:山口勝弘展」において、『ヴィトリーヌもどき』という新作が発表された。実は私自身、当該作品の制作に関して、その構想段階から密接に関わっていたという経緯がある。そのプロセスにおける山口との直接的なやり取りの中で、『ヴィトリーヌ』が美術史の文脈において高く評価されているだけでなく、山口自身にとっても、今なお非常に大きな存在であるということを改めて思い知らされたのである。
 私は現在、山口勝弘のアーティスト活動の全容をまとめるべく研究を進めているところであるが、その最初のアプローチとして、まずは彼が生涯に渡ってこだわり続ける初期の代表作『ヴィトリーヌ』について、詳細な分析を行うことが重要であると考えた。そこで具体的なアプローチとして、これらの作品群を可能な限りリスト化して「可視化」し、改めてその構造や表現上の特徴を比較・分析することとした。系統立てて分析を行うことで、山口が作品を通して提示しようとした理念や思考をつまびらかにすることができるのではないか、と考えたからである。今回は、現在進めている上記の研究成果の一部を発表する。

[会場案内]
谷岡学園梅田サテライトオフィス『CURIO-CITY(キュリオ-シティ)』
大阪駅前 グランフロント大阪タワーA(南) 16階
当日11時~17時のみ対応電話番号 06-6940-7845
※アクセス方法
大阪駅中央口北口2Fデッキからオフィス用シャトルエレベータで9F、そこから11F~18Fエレベータに乗り換えて16へ。
http://www.tanigaku.ac.jp/contents/guide/img/satellite_access.pdf に詳細データがあります。

研究会終了後(午後4時30分頃)同会場にて支部総会を行います。
また午後6時頃より懇親会を催します。会費5000円程度、会場は当日お知らせします。皆様の参加をお待ちしています。

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)


報告:会報第173号(2016年1月1日)4頁