2025/01/21 映像人類学研究会
日本映像学会映像人類学研究会第9回研究会(2025年3月15日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第9回研究会を、対面とZoomでのオンラインの同時ハイブリッドで開催いたします。
今回は、現在全国の劇場で公開中のドキュメンタリー映画『小学校〜それは小さな社会〜』の監督である山崎エマ氏をお招きします。山崎氏は19歳で渡米し、ニューヨーク大学映画制作学部を卒業後、巨匠サム・ポラードの編集助手としてキャリアを開始しました。単身でアメリカに渡って映像を学ぼうと思ったきっかけは何だったのか。そしてそのパワーの源はどこにあるのか。日本と海外のドキュメンタリーの考え方や作り方の「違い」などについてもお話を伺ってみたいと考えています。
山崎氏には、大変ご多忙のなか対面での講演をご快諾いただきました。とても貴重で刺激的な研究会になると思います。多くの方の参加をお待ちしています。特にこれから映像業界や映画監督、編集などの技師を目指す学生さんも積極的に参加してください。
概要:参加を希望される方は、ゲストスピーカー(山崎エマ氏)が制作し、現在公開中の最新作『小学校~それは小さな社会』https://shogakko-film.com/ をご覧いただきご参加ください。参加申し込みをされた方は、研究会の1週間前から当日まで山崎エマ監督作品『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』https://koshien-movie.com/ を事前視聴できるURLをお送りします。当日は、これら2つの作品を中心に制作秘話や苦労話を伺いながら、山崎氏と主催者とでトークセッションを繰り広げたいと思います。そしてその後、参加者との質疑応答、意見交換をおこないます。現役のクリエイターから直接、お話を伺い、意見交換をする場は貴重な機会です。多くの皆様の参加をお待ちしています。
日時:2025年3月15日(土)14時00分〜16時00分(予定)
形式: 対面とZoomによるオンラインの同時ハイブリッドで開催
場所:桜美林大学東京ひなたやまキャンパス(東京都町田市本町田2600-4)
https://www.obirin.ac.jp/access/tokyohinatayama/
*オンラインでの参加を希望される方には、研究会前日の18時までにZoomの招待を送らせていただきます。
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。
参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは一週間前の2025年3月8日(土)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/CqvYg9pUcqLBB8g1A
メールでお問い合わせ:visualanthropology2021gmail.com
作品概要:
『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』(2020年)
山崎氏が監督を務め、米・撮影クルーとともに「夏の甲子園」第100回記念大会へ挑む激戦区神奈川県の雄・横浜隼人高校と、大谷翔平や菊池雄星を輩出した岩手県・花巻東高校の球児とその指導者へ1年間に渡る⻑期取材を敢行したドキュメンタリー映画。物語は、30年近いキャリアの中でも特別な想いで記念すべき年に挑む横浜隼人高校の水谷哲也監督、そして水谷の愛弟子である花巻東高校の佐々木洋監督。第100回の夏へ挑むふたりの監督を追いながら、純粋に青春の全てをぶつける高校球児と、教育の最前線にたつ指導者の葛藤、喜びを見つめていく。大谷翔平選手も出演した本作は、2019年11月アメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭「DOC NYC」でワールドプレミア上映、さらに 2020年6月アメリカ最大級のスポーツ専門チャンネル「ESPN」にて全米放送され、⽇本人メジャーリーガーたちの“原点”を描いた作品として、また⾼校野球を“⽇本社会の縮図”と位置づけ変わりゆく時代の空気をも切り取る山崎エマ監督ならではの視点とその⼿腕に、野球⼤国であるアメリカ全⼟で⾼い関心と⼤きな話題を集めた。
『小学校~それは小さな社会』(2024年)
日本の公立小学校に通う1年生と6年生の学校生活を春夏秋冬にわたって描いたドキュメンタリー映画。4月、入学したばかりの1年生は挙手のしかたや廊下の歩きかた、掃除や給食当番など、集団生活の一員としての規律と秩序について初めて学ぶ。そんな1年生の手助けをするのは6年生で、子どもたちはわずか6年の間に自分が何者であるかという自覚を持ち、6年生にふさわしい行動をとるようになる。コロナ禍で学校行事実施の有無に悩み議論を重ねる教師たち、社会生活のマナーを学ぶ1年生、経験を重ねて次章への準備を始める6年生。3学期になると、もうすぐ2年生になる1年生は新入生のために音楽演奏をすることになる。山崎氏が公立小学校で150日、のべ4000時間にわたる長期取材を実施。掃除や給食の配膳などを子どもたち自身がおこなう日本式教育「TOKKATSU(特活=特別活動)」の様子もふんだんに収めながら、さまざまな役割を担うことで集団生活における協調性を身につけていく子どもたちの姿を映しだす。教育大国フィンランドでは4カ月のロングランヒットを記録するなど、海外からも注目を集めた。
ねらい:
山崎エマ氏は、日本で公立小学校、中・高はインターナショナルスクールに学び、その後、アメリカで映像制作を学んだ、そのユニークな背景からも日本社会を国際的な視点で捉える知見を活かし、日本の子どもたちを主たる題材としてとりあげ、ドキュメンタリー映画に仕立て上げている。それぞれが葛藤したり、成功に喜んだりする姿を親密な距離で活き活きと描いている点に特色がある。山崎氏の創作の動機はどこにあるのだろうか。編集から始まり、監督やプロデューサーなどのさまざまな顔を持つ、そのパワーの源はどこにあるのだろうか。編集と監督、その2つの職種の違いや共通点をも探る。さらに、日本と海外におけるドキュメンタリーを取り巻く環境の違いにも目を向けたい。日本では、現在、「コンプライアンス」や「プライバシー」の観点が重視される傾向にある。一方、海外のドキュメンタリー、とりわけアメリカでは、「作家性」や「公益性」、「芸術性」が尊重されると言われている。「公共⇔個人」をめぐる比重が異なるともみなされている日米のドキュメンタリー事情についても展望してみたい。
ゲストスピーカー略歴:
山崎エマ/Ema Ryan Yamazaki ドキュメンタリー監督・編集者
神戸生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。大阪の公立小学校を卒業後、中・高は神戸のインターナショナルスクールに通った。青春時代にはモダンダンスに没頭し、自己表現の面白さと難しさを学ぶ。中学生の授業でビデオカメラを使って「何か」を伝える機会をもらった時に映像制作に興味を持ち、自らが「ストーリーテラー」になることに魅力を感じた。19歳で渡米しニューヨーク大学映画制作学部を卒業後、巨匠サム・ポラードの編集助手としてキャリアを開始。携わったドキュメンタリー作品がサンダンス映画祭や米放送局PBS、HBOなどで上映・放送される。編集とプロデューサー補を担当した長編ドキュメンタリー『CLASS DIVIDE』が2015年、アメリカ最大のドキュメンタリー映画祭 DOC NYCでグランプリを受賞。主な作品は、『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』(2018)、『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』(2020)。3本目の長編監督作品となる『小学校〜それは小さな社会〜』が2023年東京国際映画祭でワールドプレミアとして上映された後、海外の様々な国の映画祭で上映され好評を得る。同作から生まれた短編『INSTRUMENTS OF A BEATING HEART』は、米アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門のショートリストに選出されている。伊藤詩織監督の『BLACK BOX DIARIES』の編集と共同プロデュースも務めている。
司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、西野毅史)
式次第(予定):
14時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第8回)の活動報告
14時15分〜 ゲストスピーカー・山崎氏とのトークセッション(対面)
15時15分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 終了予定
映像人類学研究会代表:田淵俊彦