2019/02/08 映像テクスト分析研究会
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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2018年度第2回(通算第19回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位
映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。
日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
■日時===========================
2019年3月2日(土曜日)15時30分開始~18時終了予定
発表後に休憩をはさんで質疑応答あり
■会場===========================
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館2階演劇映像実習室(283教室/定員60人)
〒162-8644 東京都新宿区戸山1-24-1
最寄り駅:地下鉄東京メトロ東西線「早稲田駅」、副都心線「西早稲田駅」
交通アクセス
キャンパス案内図
https://waseda.app.box.com/s/rjr9co01i8y1kuzr0wqnuyjbdx1n3pww
■発表者==========================
木原圭翔(東京大学大学院情報学環 特任研究員)
■表題・概要===============================
『或る夜の出来事』における「身体=システム」の策略
名匠フランク・キャプラの『或る夜の出来事』(It Happened One Night, 1934)は、1930年代の古典的ハリウッド映画を考察するうえで今なお重要な指標となる作品である。とりわけ、「エリコの壁(the Walls of Jericho)」と呼ばれる毛布によって男女が隔てられたモーテルでの一夜は、本作の中でも最もよく知られたシーンの一つだろう。そのシーンの序盤において、クラーク・ゲーブル(ピーター)が服を脱ぎ始める身ぶりは、彼の絶大な人気を示すある有名な逸話を生み出すことになった。すなわち、このシーンの影響で、多くの男性が素肌の上に直接ワイシャツを着るようになったために、下着シャツ(undershirt)の売り上げが急降下したというのである。以後、多くの文献に幾度となく引用されることになるこの逸話の真相はいかにも疑わしい。一方で、映画作品が与えたこうした(マイナスの)経済効果の実態以上に重要なのは、まさにその当該場面において、現代の観客からすると、ミスとも思えるような編集がなされているという端的な事実である。しかし、ここで見られる奇妙なつなぎは、ピーターが試みている独自の戦略に観客の視点を誘導したいという、作り手側の意図が明確に刻まれている。さらに、ここでのピーターの身ぶりは、ヒッチハイクのためにエリー(クローデット・コルベール)がスカートの裾をめくり上げて脚を見せるという、もう一つの有名なシーンとも呼応している。すなわち、本作の主人公たちは、独自の方法で自らの「身体(system)」を巧みに駆使することで、それぞれが重大な目的を達成させているのである。
本発表では、こうした彼らの「身体=システム」が本作の中でいかに機能しているのかをより詳細に考察することで、「スクリューボール・コメディ」の嚆矢という評価に対する種々の批判をより具体的に補強していきたい。
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お問合せ先:
日本映像学会東部支部 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujii(a)waseda.jp