2019/03/01 関西支部
日本映像学会関西支部第86回研究会(3月23日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会関西支部第86回研究会を開催いたします。会員の皆様の参加をお待ち申し上げます。
日時:平成31年3月23日(土)午後2時より
会場: 関西学院大学西宮上ヶ原キャンパスF号館102教室
研究発表1:トリュフォー映画における死のイメージ再考
発表者: 関西学院大学 安部孝典
要旨:フランソワ・トリュフォー(François Truffaut, 1932-1984)は、1950年代末のフランスで起こったヌーヴェル・ヴァーグを代表する映画監督であり、短編・中編を含む全23本の監督作で、書物、女性、子供、そして映画への愛に満ちた眼差しを向け続けた。
本発表は、これまでにも多く論じられてきたトリュフォー映画における死のイメージについて再考するものである。先行研究では、死を予感させる「不動性の強迫観念」とそれを振り払うものとしての「活発な可動性」や、死と直接的、あるいは間接的に結びつく「不吉な力」を持つ写真との関係といった観点から議論されてきた。
これらをふまえ本発表では、主要登場人物が悲劇的な死を迎える作品を中心に取り上げ、車輪や輪転機によって想起される機械的、かつ自動的な運動と死の結びつきという新たな観点を提示する。そして、写真や彫刻によって呼び寄せられる死の静的なイメージは、機械的な動きによって活性化される動的なイメージを介することで、むしろ人物をさらに死へと駆り立てるものになる可能性を検証する。
研究発表2:ジャン・ルーシュとクリス・マルケル−アフリカとシネマ・ヴェリテ−
発表者:大阪大学文学研究科 東志保
要旨:ジャン・ルーシュとクリス・マルケルは、戦後フランスを代表するドキュメンタリー映画作家として、また、同時録音を駆使した1960年代のシネマ・ヴェリテの担い手として比較されることが多い。しかし、彼らにはアフリカという、もうひとつの共通点があった。その象徴的な例が、1952年に出版された『ブラック・アフリカ』に、ふたりが寄せた論考である。ここで、ルーシュは、アフリカの様々な地域の儀礼を紹介し、マルケルは、黒人美術についての見解と展望を著している。これらは、ルーシュが1940年代から取り組んできた、アフリカの儀礼を記録した民俗誌映画、マルケルがアラン・レネ、ギスラン・クロケと共作した『彫像もまた死す』と連動するものである。この発表では、ルーシュとマルケルの初期の作品にみられるアフリカへの関心が、その後、シネマ・ヴェリテの手法によって、いかにフランス社会を異化するまなざしへと繋がっていったのかを検討する。
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