アジア映画研究会 公開イベントのお知らせ【10/2・10/15-17】

2021/09/09 アジア映画研究会

アジア映画研究会 公開イベント

よみがえる台湾語映画の世界

◎記念上映と国際シンポジウム
2021年10月2日[土] アテネ・フランセ文化センター
◎特集上映
2021年10月15日[金]〜17日[日] 国立映画アーカイブ 小ホール
※いずれも無料・申込制

【開催趣旨】アジア映画研究会は、本年度の公開イベントとして、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターほかと共催で「よみがえる台湾語映画の世界」を開催します。

台湾映画といえば1980年代に巻き起こった侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、楊徳昌(エドワード・ヤン)らのニューウェイブが有名ですが、それ以前も豊かな映画の世界が人々を魅了していました。本イベントでは1960年代に人気を博した「台湾語映画」(台語片)に注目し、「台湾映画・メディア文化センター」(國家電影及視聽文化中心)によりデジタル修復されて現代によみがえった作品の中から、日本初の特集として7作品(日本語字幕付き)を上映し、記念の国際シンポジウムを開催します。(10月座長:石坂健治)

【台湾語映画とは何か(text by 韓燕麗)】
台湾人口の7割以上を話者とする台湾語は、中国福建省の南部で話されている閩南語から派生したものであり、言語学的に中国語方言の一つとみなされる。「台語片」こと台湾語映画とは、1955年から81年にかけて台湾語のセリフだけで製作された映画群をさす。総数1000本を超えたこれらの映画は、伝統人形劇をベースにした歌仔戯映画や現代劇のメロドラマ、コメディやホラーなどのジャンル映画が多く、幅広い年齢層を魅了してきた。

その後も台湾語を部分的に使ったものとしてはニューウェイブ作品や古い台湾語映画のリメイクなどがあったが、大量生産の時代に庶民に愛されていたこの1000本あまりの映画群とは区別して考えられている。

台湾語映画の製作に関わったのは本省人(台湾出身)の監督と民営企業だけでなく、外省人(中国大陸出身)の監督と公営の映画組織も参入した。台湾映画・メディア文化センターによる収集・修復作業が1990年代初頭から始まり、現存するフィルムは200余り。近年では主要作品が次々とデジタル化されている。

【台湾映画・メディア文化センターとは】
映像・メディア資産の収蔵を職責とする台湾唯一の行政法人機構。映像・メディア資産の収蔵、修復、研究及び普及を促進し、資産の公共化の任務を目的として保存を通して記憶と歴史を未来につなげる。1978年設立の中華民国映画事業発展基金会附属映画図書館を基礎とし、1989年には財団法人映画図書館、2014年には財団法人国家映画センターと称す。現在、国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)、東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)、国際テレビアーカイブ連盟(FIAT/IFTA)等国際組織の正会員。

主催|台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
共催|日本映像学会アジア映画研究会、アテネ・フランセ文化センター
協力|台湾映画・メディア文化センター、国立映画アーカイブ

◎記念上映と国際シンポジウム
2021年10月2日[土]アテネ・フランセ文化センター(東京都千代田区神田駿河台2−11)

●14時~15時30分 記念上映『チマキ売り』
『チマキ売り』(燒肉粽)1969年/89分
監督|辛奇 脚本|辛金傳(辛奇) 撮影|廖慶松
出演|陽明、金玫、金塗、戴佩珊
1949年に発表された人気の流行歌が映画のタイトルになり、映画の中でも父と娘が雨の夜にチマキを売り歩くシーンで挿入歌として使われている。ファミリー・メロドラマで涙を誘う場面が多いがコメディの要素もあり、冒頭におけるノワール的な場面に辛奇監督の力量がうかがえる。2019年に現代版リメイクも作られている。(text by 韓燕麗)

●15時45分~17時15分(予定) 国際シンポジウム「よみがえる台湾語映画の世界」
[ビデオメッセージ]
謝 長廷(台北駐日経済文化代表処 代表)
王 君琦(台湾映画・メディア文化センター 執行長)
岡島 尚志(国立映画アーカイブ 館長)

[シンポジウム]
張 昌彦(映画史研究者)※台湾からリモート出演
四方田 犬彦(映画誌・比較文学研究者)
三澤 真美恵(日本大学教授/台湾映画史研究)
石坂 健治(日本映像学会アジア映画研究会 代表)

◎特集上映
会場|国立映画アーカイブ 小ホール(東京都中央区京橋3−7−6)

10/15[金] 12時00分 『モーレツ花嫁 気弱な婿さん』(三八新娘憨子婿)1967年/101分
      16時00分 『地獄から来た花嫁』(地獄新娘)1965年/117分
10/16[土] 12時00分 『夫の秘密』(丈夫的秘密)1960年/100分
      16時00分 『五月十三日 悲しき夜』(五月十三傷心夜)1965年/97分10/17[日] 12時00分 『危険な青春』(危険的青春)1969年/95分
      16時00分 『第6の容疑者』(六個嫌疑犯)1965年/108分

【作品解説(text by 韓燕麗)】

『モーレツ花嫁 気弱な婿さん』(三八新娘憨子婿)1967年/101分
監督|辛奇 脚本|陳小皮 撮影|陳忠信
出演|金玫、石軍、金塗、楊月帆

強い女性と弱い男性のカップルによる爆笑コメディ。美青年の家の外で群れる女性たち、結婚前の同棲を提案するヒロイン、そしてエンディングで結婚相手の家に嫁いで行く老父など、笑いの中にも伝統的な家父長制の秩序を転覆させるような設定もあって驚かされる。

『地獄から来た花嫁』(地獄新娘)1965年/117分
監督|辛奇 脚本|張淵福 撮影|洪慶雲・林贊庭
出演|金玫、柯俊雄、柳青、歐威、戴佩珊

エリナー・ヒバートの小説『琥珀色の瞳の家庭教師』(Mistress of Mellyn) (1960)を映画化したもの。殺人事件や幽霊などミスティックな要素が満載のホラー映画だが、当時まだ7歳の子役だった戴佩珊の演技力も見どころの一つ。父親が映画プロデューサーだった彼女は4歳から映画に出演し、今回の上映作では4年後の『チマキ売り』で主役を演じている。

『夫の秘密』(丈夫的秘密)1960年/100分
監督|林摶秋 脚本|陳舟 撮影|陳正芳
出演|張美瑤、張潘陽、吳麗芬

竹田敏彦の小説『涙の責任』(1939)と松竹の同名映画(1940)をベースにした作品。ヒロインを演じた張美瑤はのちに台湾と東宝の合作『香港の白い薔薇』(1965)にも出演した。公開当時はそれほどヒットしなかったが、2002年に香港映画評論学会が「華語映画ベスト200」の一本として選出し、再評価の機運が高まっている。

『五月十三日 悲しき夜』(五月十三傷心夜)1965年/97分
監督|林搏秋 脚本|洪信德(劍龍)・林翼雲(林搏秋) 撮影|林鴻鐘
出演|張清清、陳雲卿、張潘陽

姉妹が同じ男性に恋心を抱くという常套的なストーリーだが完成度が高く大ヒットした作品。5月13日の大稲埕(台北の西部にある古い市街地)における祭りの盛況を映像に記録したことで知られるが、中盤では「反攻大陸」(大陸に反撃せよ)のセリフが出るなど、この時代の記録としても興味深い。

『危険な青春』(危険的青春)1969年/95分
監督|辛奇 脚本|辛金傳(辛奇)・張宏基 撮影|廖慶松
出演:石英、鄭小芬、高幸枝

風俗産業の実態や売春の斡旋など道徳が崩壊した社会の暗黒面を暴いた作品。青少年に対する教訓的メッセージをラストに出してはいるが、同時期の台湾で作られていたいわゆる「健康写実主義」の北京語映画とは正反対の趣になっている。のちに台湾ニューウェイブの侯孝賢監督とコンビを組むことになる編集の名手・廖慶松が本作と『チマキ売り』では撮影を担当している。

『第6の容疑者』(六個嫌疑犯)1965年/108分
監督|林搏秋 脚本|林翼雲(林搏秋) 撮影|陳正芳・簡栄添出演|呉東如、張潘陽、夏琴心、田明

1965年に完成するも出来に不満足だった監督がフィルムを封印、90年にようやく初公開された作品。原作は南條範夫による推理小説『第六の容疑者』で、井上梅次監督による同名の日本映画(1960)がある。主人公が住むマンションのセットや軽快なジャズ音楽などが大都会のモダンな雰囲気を醸し出している。


《お申し込み方法》
・10/2[土] 記念上映と国際シンポジウム
ご招待人数:65名 お申し込み締切:9月27日[月]
①インターネットでお申し込み  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdTtCCSkRbh5ObfVyJmGTGIXEoLHajvHCMgyxxBQWE1A7RIgQ/viewform?usp=sf_link

上記申込フォームより氏名・氏名フリガナ・メールアドレスをご入力のうえお申し込みください。
※招待者には9/28に【taiwane-mu.biz】からメールで通知します。

・10/15[金]〜10/17[日] 特集上映
ご招待人数:各上映75名 お申し込み締切:10月5日[火]
①インターネットでお申し込み  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfzqSOOF2NsHlroQJrCot-8ZEDTTcb11Pw68k4nMYM_1HuBwg/viewform?usp=sf_link

上記申込フォームより氏名・氏名フリガナ・メールアドレス・鑑賞希望作品をご入力のうえお申し込みください。
※鑑賞希望作品は1回の申し込みにつき1作品です。複数作品希望の方はその都度お申し込みください。
※招待者には10/6〜8に【taiwane-mu.biz】からメールで通知します。

 ②ハガキでお申し込み
住所・氏名・氏名フリガナ・電話番号・鑑賞希望作品をご記入のうえ下記住所までお送りください。
※鑑賞希望作品は1通のハガキ申し込みにつき1作品です。
※招待者には10/6〜8に招待ハガキを郵送します。
〒107-0052 港区赤坂4-2-3-411 エミュー「台湾上映」係まで

お問合せ
有限会社エミュー(運営協力)
e-mail: taiwane-mu.biz   Tel:03-6659-6151(平日13:00〜19:00)

チラシは、こちら