第50回全国大会 – ご挨拶
大会テーマ:「映像芸術と理論の現在」(仮)
会期:2024年6月1日(土)、2日(日)
会場:九州産業大学芸術学部
日本映像学会第50回全国大会
大会実行委員長 黒岩俊哉

第50回の節目となる2024年度の全国大会は、2024年6月1日(土)・2日(日)の2日間、九州は福岡の地にて開催する運びとなりました。
ふり返りますと、日本映像学会の第一回目の全国大会は、学会が設立した翌年の1975年に東京の岩波ホール(日本大学芸術学部主催)で開かれ、大会テーマは「映像学への途」というものでした。当時も映像をとりまく状況の変化の渦中で、映画・テレビといった映像メディアを横軸に、多様な理論を縦軸として、<映像>をいかに普遍的・本質的な学問として捉えなおすのかという、諸先輩方の強い意志を感じとることができます。以来本学会は<映像>の先端的な探求の場でありつづけていますが、今日の映像状況の変化は、当時にも勝るとも劣らない「すさまじさ」の一言ではないでしょうか。作品にとっては<芸術>や<表現>が、理論にとっては人や社会そして自然に対する価値基準や選択の多様化・複雑化が、今日の映像研究の難しさであり、おもしろさでもあるでしょう。
半世紀前と比べれば、機械技術はアナログからデジタルへと移行し、<情報化>が一般化し、<メディア>の概念が拡がりました。電子計算機や情報端末の一般化や、ネットワークを介したコミュニケーションの登場は人の志向(思考)そのものや、量を劇的に変化させました。
九州・沖縄での大会開催は、2014年の沖縄県立芸術大学以来6度目、九州産業大学での開催は2005年以来3度目となりますが、この間にもスマートフォンが現れ、近年ではA.I.やメタバースを例とする<人間>の拡張領域が大規模データ技術によって生み出されつつあり、それらの未来は予測が困難な状況です。ひるがえりますと、これらの映像を取り巻くコンテクストの変化は、<映像>とは何か、<人>とは何かという根源的な問いが、これまで以上に私たちに突きつけられているように思えます。それらは、技術、社会、制度、情報、生活、美(芸術)、文化、紛争(戦争)、環境、自然、疾病、歴史の問題や動向に関わるものですが、映像学が<image>(イマージュ)とはなにかをつきつめ考察していく学問であるとすれば、今日の混沌や混迷をきわめる世界にとっても、重要かつ中核的な学問領域であるのではないでしょうか。
さて九州からは、実験映像を中心に優れた映像芸術の作家やアーティストを輩出してきたという背景と、第1回大会の年に設立された西部支部を中心に映像理論の研究が行われてきたという歴史があります。映像学が当初目指した(今でも目指している)多くについては、今回の大会では十分に言及することはできないかもしれませんが、「映像芸術」と「理論」の原点を今一度見つめなおし俯瞰することによって、わずかながらも学会員のみなさまの研究・制作の手がかりの一端になりえればと願っています。
福岡市は、人口増加率および若い世代の人口比率が政令指定都市の中で最も高く、そのなかでも学生と女性の比率が高いことが特徴です。アジア圏からのアクセスも比較的容易であるため留学生や外国人居住者も多く、近年では特にクリエイティブな会社や企業が、福岡を第二の拠点とする動きも活発になっています。このように、若くエネルギッシュで多様な価値観をもち、人と人との距離が近いという地域性もふくめ、九州らしい大会になればと考えておりますので、会員の皆様にも多数のご参加をいただきますようお願い申し上げます。

会期 2024年6月1日(土)、2日(日)
会場 九州産業大学芸術学部
〒813-8503福岡県福岡市東区松香台2-3-1
第50回大会実行委員会
委員長 黒岩俊哉 (九州産業大学)
副委員長 井上貢一 (九州産業大学)
委員 伊藤高志 (実験映像作家)
委員 伊原久裕 (九州大学)
委員 岩田敦之 (九州産業大学)
委員 佐藤慈 (九州産業大学)
委員 進藤環 (九州産業大学)
委員 趙瑞 (九州産業大学)
委員 西谷郁 (映像研究/映画プロデューサー)