第52回全国大会ーご挨拶
大会テーマ:「名古屋国際ビエンナーレARTECの記録からアート&テクノロジーの現在地を問う──artport、MEDIA SELECTを経て」(仮)
会期:2026年5月30日(土)・31日(日)
会場:愛知淑徳大学
日本映像学会第52回全国大会
大会実行委員長 村上 泰介

第52回となる全国大会は、2026年5月30日(土)・31日(日)の2日間、愛知県長久手市の愛知淑徳大学にて開催する運びとなりました。長久手市は名古屋市に隣接する自治体であり、2005年に開催された「愛・地球博(愛知万博)」の会場として知られる地域です。自然豊かな環境と都市的利便性を兼ね備えたこの地において、学会の新たな歩みを刻む機会を得たことは大きな意義を持つと考えます。

本学会は、映像研究の理論的探求を基盤に、その根源にある〈イマージュ〉とは何かを問い続けてきました。映像は単なる表象や記録にとどまらず、人間の知覚や記憶、社会的実践のあり方に深く関わる存在です。その影響は芸術的表現から日常生活における文化的営みまで多岐にわたり、情報技術の進展によってその射程はますます広がっています。特に人工知能や拡張現実、バーチャルリアリティといった新たな技術は、映像を生み出す方法や受け取られ方を根底から変容させています。このような状況の中で、学問として映像に向き合い、批評的かつ多角的に考察を進めることこそが、映像学の使命であるといえます。したがって、本大会は〈イマージュ〉の意味を改めて問い直す場として重要な役割を担うものです。

また、名古屋地域は映像文化と先端技術の融合を早くから実践してきた歴史を有しています。その代表的な例が、1989年に初めて開催された「名古屋国際ビエンナーレARTEC」です。ARTECは1997年までに合計5回開催され、アートとテクノロジーの新たな関係性を示す国際的な舞台となりました。そこで紹介されたインタラクティブアートやデジタル映像の作品群は、映像表現の可能性を大きく広げ、今日のメディア芸術の発展にもつながっています。この歴史的背景を有する愛知の地で全国大会を開催することは、過去と現在をつなぎ、映像研究の未来を展望する上で格好の機会となるでしょう。

第52回全国大会では、ARTECの歴史を参照しつつ、テクノロジーが〈イマージュ〉に及ぼした影響を再考することを一つの契機とします。もちろん限られた時間の中ですべてを網羅することは難しいかもしれません。しかし、「映像芸術」と「理論」の原点を改めて見つめ直し、その関係性を俯瞰することによって、会員の皆さまの研究や制作にとって新たな視点や着想の一端となることを願っています。

さらに、愛知県は歴史文化と最先端の都市開発が共存する地域であり、多様な価値観が交錯する独自の地域性を持っています。城下町としての伝統やものづくり産業の蓄積、そして現代的な学術研究の拠点としての機能が複合的に結びつくことで、ここにしかない学問的・文化的交流が生まれています。このように多層的な背景を有する愛知での開催は、まさに「愛知らしい大会」として記憶されるものになるでしょう。
会員の皆さまには、この意義深い機会にぜひ多数ご参加いただき、研究の成果を共有し、新たな議論を深めていただきますよう心よりお願い申し上げます。

会期 2026年5月30日(土) 、31日(日)
会場 愛知淑徳大学 長久手キャンパス
〒480-1197 愛知県長久手市片平二丁目9

 

第52回大会実行委員会
委員長 村上 泰介 (愛知淑徳大学)
副委員長 齋藤 正和 (名古屋学芸大学)
委員 青山 太郎 (名古屋文理大学)
委員 小川 順子 (中部大学)
委員 小倉 史 (愛知淑徳大学)
委員 伏木 啓 (名古屋学芸大学)
委員 村上 将城 (名古屋学芸大学)
委員 森田 明日香 (愛知淑徳大学)