第10回大会[1984年]報告

日本映像学会第10回大会
1984年6月23日‐24日
主催校:成城大学
実行委員長:浅沼圭司

 本年は、日本映像学会創立10周年にあたるので、記念行事として、本大会におうて、ハンガリー映画界の代表的な監督、フェレンツェ・コーシャ氏を招いて、氏の特別講演及び作品「ゲルニカ」上映の催しがもたれた。
 第1日の午後に、シンポジウム「映像とは何か」が開かれ、心理学、コミュニケーション・芸術表現・技術論といった様々な方面から、映像についての見解が提起され活発な討論が進められた。
 第1日の午後並びに第2日の午前は、個人の研究発表にあてられ、11名の発表があった。
 第2日の午後、「ゲルニカ」上映の後、コーシャ氏の講演に移り、ゲルニカ制作の動機や核兵器の根絶による世界平和への願いが述べられ、フロアからの質問にも熱心に応答されるなど、大変有意義な会合となった。参加者は会員66名、非会員(学生を含む)13名に達し、盛会裡に終了した。

研究発表
加藤文一「焦点距離並びに基線長の異なった立体写真のスライド実験映写」
飯村隆彦「ビデオの記号学」
中川邦彦「cinema dynarratifにおけるエノンシアシオンについて」
松本俊夫「制度とゲネシス」
池宮信夫「なんばへらへら─なんばバリエーションによるダンスアイアと個体映像」
土山 伸「コンピュータグラフィック・極めて日本的な事情より」
ほしのあきら「きやらかばあ」
飯沢耕太郎「日本写真史における「芸術写真」の成立」
岩本憲児「享楽的映画研究者─権田保之助─」
牧野 守「哲学者谷川徹三における映画とその理論について」
中野 泰「純粋映画の今日的意味」

シンポジウム「映像とは何か」
穐山貞登、小林宏一、波多野哲朗、八木信忠、浅沼圭司(司会)

特別講演
フェレンツェ・コーシャ

作品上映
「ゲルニカ」

(執筆・記録:宮司正男)