第2回大会[1976年]報告

日本映像学会第2回大会
1976年11月13日‐15日
主催校:大阪芸術大学
実行委員長:依田義賢

 関西で初の大会であり、会場は真摯にして初々しく、しかもある種の華やぎも感じられた。発表会場は初日中之島SABホール、2日目は芸大に場所を移した。足立巻一氏の講演「近世文学における美的なもの」は、江戸後期文芸と映像とを独自な角度から論じたものであり、依田、宮川両会員のシナリオとカメラの両面からの解説による『祇園の姉妹』の上映は、豪華な映画史的足跡となった。研究発表では、のちに各自の研究の礎石となったものが多く、その意味で重要な学会であったと回想される。諸井誠『音楽と映像』は珍しい主題、『祇園の姉妹』上映に呼応する田島良一「溝口健二と永井荷風」それに京都の深い民俗を表現する『やすらい祭の記録』がビデオと口頭発表で追尋された。懇親会は天王寺都ホテルで行われ、南会長のウィットに富んだスピーチによって始められ、会たけなわの折り、関西の若い研究者を育てた河本敦夫会員の映像学会への希望の言葉もあった。

研究発表
小笠原隆夫「映像学」覚書
諸井 誠「音楽と映像」
加藤文一「視覚教育とOHP」
田島良一「溝口健二と永井荷風」
吉積 健「Computer Filmによる美的感覚の構造主義的研究」
小幡 章 創作バレエ「火の鳥」ヴィデオ作品
杉山平一「映像と言語表現」

創作発表
浅井敬三「アメリカCFに見る最近の傾向」
吉岡敏夫「Frames and Framing(齣と枠)」
小林博道「Lapse communication」
深井 純・西村滋人「やすらい祭の記録」

講演
足立巻一「近世文学における美的なもの」
映画上映
『祇園の姉妹』(依田義賢、宮川一夫解説)

映像展
高橋正行 写真パネル展示

エクスカーション
奥嵯峨の秋をさぐる 大河内山荘見学

(執筆・記録:山田幸平)