第9回大会[1983年]報告

日本映像学会第9回大会
1983年6月17日‐19日
主催校:京都工芸繊維大学
実行委員長:黒崎彰

 この大会は関西では3回目、京都では初めての大会であった。そして大会事務局にあたる実行委員は当番大学の意匠工芸学科に所属し、特にヴィジュアル・デザイン、グラフィック・デザインを専門としていた。そういった特徴をこの大会に反映できないかと考え、研究発表において映画評論で著名であり、本学教授であった清水光についての研究発表を杉山平一氏に依頼した。また当大学美術工芸資料館において、前身の京都高等工芸学校の時代以来蒐集されたポスターと新たに購入されたポスターを中心とする所蔵品を映像展と共に展示した。またエクスカーションの東映映画村と大映撮影所は映画史に関心のある会員にとって興味を呼ぶものと思われた。その後、大映撮影所が閉鎖されたことを考えると複雑な心境である。

研究発表
佐々木侃司「キャラクター造型のコンセプトについて」
吉岡敏夫「S・クラカウアーの映像論」
山田幸平「中井正一論─哲学と映像─」
加藤文一「実用立体写真について」
脇リギオ「クロロフィル・レッド・フィルターの発見、その原理と応用」
伊奈新祐「ビデオ・アートにおける時間現象についての一考察」
吉積 健「映像の具体性」
杉山平一「清水 光について」

映像作品展
ほしのあきら「映画『憑影』について」
広沢文則「辻村ジュサブローの世界、失われた文化を求めて 吉原」
池田光恵「A Soft Wall」
今井祝雄「マレーネ・ディートリヒ」
伊奈新祐「『流(FLOW)』the series of GRID(格子)Part4, NO.2」
大森康宏「私の人生・ジプシー」
豊原正智「AFTER IMAGE II」
中川邦彦「白い人」
平野哲郎「”マクロ’83″について」
水野哲雄「無題」
山口良臣「サーキット─2」
江藤隆介「物質Aと心象Bのイメージ 写真A・Bにおける画像形成の背景と、その物的存在の意味」

エクスカーション
京都工芸繊維大学美術工芸資料館
東映映画村・大映撮影所

(執筆・記録:吉岡敏夫)