日本映像学会第18回大会
1992年6月6日‐8日
主催校:武蔵野美術大学
実行委員長:吉田直哉
こんにち映像は、芸術的創造活動の手段であるばかりでなく、コミュニケーションの重要な媒体として、社会生活におけるライフラインの役割を果たしていると言えます。衛星によって瞬時に全世界に伝えられる映像は、地球上のあらゆる場所との間の距離を限りなくゼロに近づけ、全世界の人々が同時に同じ映像を見るという事を可能にし、そのことが世界の歴史を大きく変えつつあります。そしてテクノロジーの進歩は、一方で様々な画像処理を可能にし、ちょうど音のように映像を複雑に重ねることができるようにしました。これは新しい視覚言語の多角的な展開を予感させます。またいっぽうでテクノロジーの進歩は、映像の精細度をますます高めており、その静止画像はもはやコピーとか複製の段階を超え、「もう一つの本物」と呼びたくなるものの鑑賞を可能にしております。そのような状況で、映像について考えるというこの大会、最前線の気鋭の発表者多数のご参加を得て開かれます第18回大会の成果に、私どもは大きな期待をかけております。(実行委員長による挨拶文からの抜粋)
研究発表
曽根幸子「視覚芸術における演出」
小出正志「アニメーションの定義における諸問題」
宇佐美昇三「インタラクティブ・マルチメディアの映像構成:エキスポからCD-ROMまで」
小林裕和「時間・空間周波数による動きの記述と生成」
武田 潔「映画作品における写真の意味作用」
ほしのあきら(+檜山茂雄)「フィルム映像の新時代へ向けての考察1~フィルム・フル・タイム・コード・システム」
豊原正智「映像における複製の問題」
李 佩穂「台湾地域におけるコンピュータグラフィックス映像現状」
藪野正樹「日本建築画像大系について」
隈部紀生「ハイビジョン放送と映像文化」
シンポジウム
「ファインアートと映像」
柏木博・武邑光裕・たにあらた・布施英利・吉田直哉(司会)
講演
前田常作「マンダラと私」
映像作品展
(ビデオテープ作品)
池田光恵「Story of the trees」
伊奈新祐「Sketch of Viwa」
遠藤賢治「日本の夏 8・15 盆おどり」
千光士義和「オープニングアニメーション(タイトル美術の表現例)」
VISUAL BRAINS(風間正+大津はつね)「De-Sign 3(STAND:DRIFT)」
吉川信雄「一メートルのダンス」
(映画)
ほしのあきら作品集(フィルム作品)
「くすんでも らせん」「憑絵」「きゃからばあ」「FIX-TONE」
(平面作品)
川口吾妻+松本明彦「OPERA ARIAS」
鈴鹿芳康「空色1、2、3」
脇リギオ「サービスプリントによる作品A、B、C」
(メディア インスタレーション)
串山久美子「SHELF─棚の空間 Vol.4」
柴田良二「タッチスクリーンを使用したインタラクティブ映像システム」
土佐尚子「来場者参加型CGインスタレーション 未文化な感情体『NEURO BABY』」
エクスカーション
武蔵野美術大学造形学部映像学科施設見学
(執筆・記録:黒坂圭太)