2013年度第2回アニメーション研究会【3月22日】

日本映像学会 アニメーション研究会
研究発表会開催のご案内
 
早春の候、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて、日本映像学会アニメーション研究会(2013年度第2回)を下記の如く開催いたします。 
是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。
 
日本映像学会アニメーション研究会代表 横田正夫
 
■日時
 平成26年(2014年)3月22日(土曜日)13:00~18:00
 
■会場
日本大学文理学部 3409教室(3号館4階:エレベータをご利用ください)
※3201教室→3409教室へ変更となりました。
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
京王線 下高井戸あるいは桜上水下車、徒歩8分
交通アクセスマップ http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/
 
■プログラム
 13:00~14:00
表題:キャラクターを成立させる技術と映画の視点
発表者:足立加勇会員
発表要旨:アニメ、マンガにおけるキャラクター製作の方法論は、キャラクターと消費者の関係の変化を反映している。当発表では、この関係の変化を視野に入れ、キャラクターの製作法とその映像作品への影響を論じる。
 
14:10~15:10
表題:世界10ヶ国におけるアニメ・マンガ消費の実態
ゲスト発表者:薄葉彬貢氏(『世界アニメ・マンガ消費行動レポート』の著者)
要旨:日本のアニメやマンガは海外で人気を博しているというのは本当だろうか。
その実態を解明すべく、2012年10月から2013年3月にかけてアメリカやスペイン、アラブ首長国連邦等の世界10ヶ国の学生1800人に対してアニメやマンガに関する消費行動についてのアンケート調査を行なった。結果は惨憺たるもので、違法アップロードサイトが日常的に利用されていることは然ることながら、回答者の大半が日本で当時放送されていたアニメを見ていなかった。また、海外では日本で出回っている情報の大半が把握されておらず、そもそもどんな新番組が放送されるのかすらも知られていないことが明らかになった。更に購買環境については、日本と比べて購入可能な商品が限られ、店頭販売の方法や告知などにも問題が散見され、10カ国中どの国も例外なくアニメ視聴が消費に発展していなかったのである。この調査により、海外のファンが「お金は使いたくないけれどアニメは好き」というスタンスであることを改めて認識するに至った。そして、何故日本と海外で消費者にここまで違いが生まれてしまったのか、どうすれば海外のファンはお金を使うようになるのかについて、情報の観点から私なりの私見を交えつつ、発表したいと思う。
 
15:20~16:20
表題:アニメーション監督今 敏という生き方と作品における表現の連鎖:文化資源に基づく一考察
ゲスト発表者:藤原正仁氏(専修大学)
要旨:今 敏監督は、生前に、漫画やアニメーションといった作品のみならず、絵コンテやイラスト、パンフレットなどの関連資料の他、日誌、Blog、インタビュー記事、口述、書籍などの多様なメディアを通して、人や作品をより深く理解するための手がかりとなる貴重な資料を遺している。そこで、本報告では、これらの資料の発掘、収集、整理、保存、再構成、考証を通して、アニメーション監督今 敏という生き方と作品における表現の連鎖について考察し、新たな分析視角や知見の導出を試みる。これまであまり着眼されてこなかった多種多様な資料を資源化し、それらを総合的に考察することは、時代背景、社会、文化、技術、表現、作家、スタッフ、作品といった多元的な視点やそれらの連関などについての意味生成につながり、今 敏研究のより一層の発展が期待される。
 
16:30~17:30
表題:脳内世界の歩き方 ~2014・聖地巡礼再考~
ゲスト発表者:原田央男氏(東洋大学文学部通信教育非常勤講師)
要旨:本来は宗教の聖地への巡礼を意味する「聖地巡礼」は、近年、まんがやアニメの舞台となる場所をファンが訪ねる用語としても使われるようになり、今世紀に入ってそちらの意味での「聖地巡礼」現象が多発するようになった。映画やテレビのロケ地を訪ねる行為は、舞台となる場所とドラマとが密接な関係を持つ「男はつらいよ」のような御当地映画によってすでに定着してはいたものの、実写と異なる画像(まんが)や映像(アニメ)の舞台(モデルとなった場所)をファンが訪ねる行為は、それとは一線を画すものとして考える必要がある。発表者は2010年発売の「アニメ&コミック 聖地巡礼NAVI」(飛鳥新社)の企画・編集に携わったことからその現象に注目するようになり、現実世界と空想世界が交わるそのような「聖地」についての考察を行ってきた。今回はその途中経過報告として、アニメから発する「聖地巡礼」の現状を報告すると共に、「現実は最高の虚構(フィクション)である」とする、まんが・アニメのファンの心理析をも試みる。
 
17:40~18:00
全体的討論
 
 
■参加申込 
どなたでも参加できますが、資料作成の都合上、3月20日までに下記までお申し込み頂けますと助かります。なお申込み無しでのご参加の場合、配布資料をご用意できない場合がございますので、予めご了承ください。
 
■参加申込・問合せ先
日本映像学会アニメーション研究会
代表 横田正夫
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
日本大学文理学部心理学研究室(横田正夫)
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427

報告:会報第166号(2014年4月1日)11頁

第2回ヴィデオアート研究会【2月25日】

第2回ヴィデオアート研究会開催のお知らせ

日時:2014年2月25日(火) 11:00-15:00
会場:阿佐ケ谷美術専門学校521教室
アクセス:東京都杉並区梅里1-3-3
http://www.asabi.ac.jp/access.php

内容:「ヴィデオアート展示・映像祭のオーガナイズという視点から」
 本研究会は、ヴィデオアートのアカデミックな研究と、制作や展示現場のフィールドワークを交互に行なう方針で発足されました。今回は、東京都写真美術館で開催されていた恵比寿映像祭の上映プログラマー、碓井千鶴さんをお迎えし、ヴィデオアート展示の舞台裏や、映像祭参加の作家の取り組みにより深い関心を寄せつつ、ヴィデオアートを見せる現場についての実地調査・研究として開催したいと思います。

予定出席者
ゲストパネリスト:碓井千鶴氏(恵比寿映像祭上映プログラマー)
パネリスト:今村 純子会員(女子美術大学・武蔵野美術大学非常勤講師)
       河合 政之氏(東京造形大学・東北芸術工科大学非常勤講師)
       角尾 宣信氏(東京大学大学院総合文化研究科表象文化論 博士課程)
       西尾 千尋会員(東京大学大学院学際情報学府博士課程)
       原島 大輔氏(東京大学大学院総合文化研究科表象文化論博士課程)
       岸みづき氏(東京造形大学非常勤講師)
進行:瀧 健太郎会員(ビデオアートセンター東京代表、早稲田大学川口芸術学校講師)

お問合せ:
日本映像学会ヴィデオアート研究会
代表 瀧健太郎
e-mail:taki.kentarou@ebony.plala.or.jp
〒333-0844 埼玉県川口市上青木3丁目12-63
早稲田大学川口芸術学校内
tel:080-4355-1721


報告:会報第166号(2014年4月1日)7頁-8頁

関西支部第71回研究会【3月1日】

日本映像学会関西支部第71回研究会(3月1日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第71回研究会を開催いたします。

日時:平成26年3月1日(土) 午後2時より
会場:立命館大学映像学部 松竹スタジオ2F 教室

研究発表1:物語の幻影に抗して—小津安二郎の作品における「話法の形成」について—
発表者:京都造形芸術大学大学院・学術研究センター特別研究員 金東薫氏
要旨:芸術作品の制作において、現実の再現、対象の再現はストーリーテリングを生む。そして、そこに幻影が生じるのである。映画史的な観点から、ジャンルとしての劇映画の確立過程は、現実の再現による叙事空間の構築過程でもあった。映画監督、小津安二郎は、幻影の再現に没頭している劇映画の歴史的な流れに抵抗し続けた。しかし、小津は、決してフレームの転覆を図った前衛映画作家ではなかった。彼はいつも劇映画における物語、つまり再現性を意識していて、それをいかに扱うかで絶えず苦労していたからである。
 小津安二郎は晩年、6編のカラー作品を残した。そして、「現実の色」を 手に入れた小津映画は、むしろ現実の再現に対する脅迫から意図的に離れていた。現実をより完璧に再現できる手段を手に入れることで、小津映画はむしろ現実から離れていく。この矛盾は一体、何に起因しているのであろうか。
①新しい明日への期待感と、まだ形の定まらない状況に対する可能性をもはらんだ不安が表裏一体となって漂う時代としての 1920 年代。活動写真から映画へ、時代における新しい映画の成立と若手映画人としての当時の小津安二郎について考察。
②産業としての劇映画における幻影性の加速化そして、世界恐慌とそれに伴う社会状況の急変が小津映画にもたらした影響について考察。
③トーキー化以降、当代の主流の劇映画と小津の映画における「現実性」と「再現性」について考察。
④小津の映画演出における規範(カノン)の成立とその背景について考察。演出において、変数を避けて、常数で表現しようとする彼の傾向。つまり、inputに対するoutputの過程を簡潔な公式として成立していく小津映画の姿とその背景にある原因を考察。
⑤カラー化以降、小津映画において、さらに強化された物質性、つまり美術、小道具(材料)への執着について考察。そこには世俗的な物質趣向を通して超越的な精神性を追求した中世美術に通じる原理が働いている。
 1920 年代に映画界へ入った小津にとって、社会的な状況にせよ世間におけるジャンルとしての劇映画の確立過程にせよ、その後の時代の流れは予測の範囲を超えるものであったであろう。
 劇映画の映画史的な成長期に、新進気鋭の若手監督や押しも押されぬ巨匠として、いつもその中心に君臨しながらも、一度も主流の劇映画に相応しい叙事空間を作らなかった、あるいは、作ることができなかった小津安二郎。確かに、彼は巨匠であり、映画史において欠かすことのできない監督の一人である。しかしそれは、彼が天才であったからではない。むしろ、自分の映画を映画史的な観点から見つめることができ、その中で、自分の映画がどうあるべきか模索し、独自の解決法を見 出すことができたがゆえに、彼はあのような素晴らしい作品を残すことができたのであろう。

研究発表2:大阪万博論争からみる『家族』(70、山田洋次)と『少年』(69、大島渚)の呼応性
発表者:立命館大学映像学部 冨田美香会員
要旨:本報告は、前衛芸術や映像メディアの分野から再評価が近年おこなわれている大阪万博(日本万国博覧会)に着目し、日本映画史の領野にとって大阪万博のムーブメントとはなんだったのか、その検証を試みるものである。
 大阪万博は、日本にとって悲願の成就であり、戦中および戦後日本のナショナリズムのキーワードでもあった「科学振興と文化日本」の到達点を国内外に明示する場となった。その「科学と文化」を代表する映画・映像界からは、第一線で活躍する作家や映画人たちが大阪万博に動員あるいは積極的に参画をし、その結果、万博参加側と反博側との大論争が展開されたことは周知の事実である。従来、この論争やパビリオン映像、大阪万博への批判を直接的に表現した作品としても名高い『家族』(70、山田洋次)に関する個別の論評は多々あるが、他分野と同様に、日本映画の歴史軸からこの大阪万博をめぐる個々のムーブメントを総体的にとらえ直す試みも必要であろう。
 以上の問題意識から、本報告では、大阪万博をめぐる同時代の日本映画のムーブメントについて、論争、産業、映画作品の三つの視点から考察する。考察をとおして、同時代的な評価および批判点、映画界の大阪万博への関与と機能、『家族』と『少年』(69、大島渚)の類同性と対称性にみる共通した批判性、を明らかにしたい。

会場とアクセス:立命館大学映像学部 松竹スタジオ 2F 教室
京都市右京区太秦堀ヶ内町12-9 株式会社松竹撮影所本館2F
JR嵯峨野線「太秦」下車 徒歩約6分 または嵐山本線「帷子ノ辻」下車 徒歩約3分

*撮影所の見学はできません。撮影所正門から本館2Fへお進みください。

以上

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)


報告:会報第166号(2014年4月1日)3頁

中部支部2013年度第3回研究会【2月13日】

日本映像学会中部支部2013年度第3回研究会(2月13日)開催のお知らせ

下記の通り日本映像学会中部支部2013年度第3回研究会を開催いたします。

日時:2014年2月13日(木)13時30分~18時30分頃まで
会場:中京大学 名古屋キャンパス 1号館6階:162教室

■スケジュール
 13:30-15:00 第一部 特別企画トークセッション
 15:10-16:00 第二部 研究発表
 16:10-18:30 第三部 学生作品プレゼンテーション
 ※18:30以降:学内にて懇親会の予定

第一部 特別企画トークセッション「幸村真佐男の情報と芸術(仮) (13:30-15:00)
 メディアアートのパイオニアである幸村真佐男氏の作品をめぐって、ディスカッションの場を設定します。
 -13:30-14:00 水野勝仁会員(名古屋芸術大学非常勤講師)
 -14:00-14:30 茂登山清文会員(名古屋大学大学院情報科学研究科)
 -14:30-15:00 座談会(パネラー:幸村真佐男+水野勝仁+茂登山清文 / 司会進行:和田伸一郎)

第二部 研究発表 (15:10-16:00
「映像としてのGoogle Maps
 水野雄太会員(情報科学芸術大学院大学修士課程)
 要旨:「イメージの氾濫状態」と言われる今日の社会の中で、私たちは映像をどのように見ているのだろうか。日常生活の便利なツールとして広く使用されるGoogle Mapsの衛星写真やストリートビューの映像アーカイブは、その膨大な量において現代の映像環境を考察する上で看過することのできない存在である。現代の アーティストは、このような遍在的・網羅的な映像のなかに、現代を表象する「風景」を見出している。  
 Google Mapsの映像を用いた作品の分析を通じて、今までの記録的な映像とは異なる性質をもったGoogle Mapsの性格を明らかにする。

「過去の展覧会の仮想的なオンサイト体験」
 稲垣拓也会員(名古屋大学大学院博士前期課程)、茂登山清文会員
 要旨:情報技術の発展により、1990年代から美術館、博物館において、収蔵品のデジタルアーカイブ化が急速に進み、アーカイブの収集と利用の面でデジタル技術を用いた試みがなされてきた。このような背景の中、本研究では、アーカイブの利用の面に注目し、AR技術を用いて展覧会アーカイブをオンサイトで体験するシステムを開発した。
 このシステムの目的は、展覧会や作品についての多様な理解や新たな気づきをもたらすことである。 システムは、ある展示空間を想定し、カメラのついたデジタルデバイスを利用者が壁面に向けることにより、過去にそこでおこなわれた展覧会の風景を、アーカイブ化された画像から呼び出しデバイスのスクリーン上に表示するものである。システムの実証のため、2013/11/25 – 29の期間、名古屋大学教養教育院プロジェクトギャラリー「clas」において「clas」AR-chive展を企画し、実験をおこなった。「clas」AR-chive展では、アート作品を実際の会場に展示し、その作品をARマーカーとして利用し、システムを機能させた。また、ARで表示させる過去の展覧会ごとに計7個のiOSアプリを制作した。そしてシステムの利用者に対してアンケート調査を実施し、46の回答を得て、それをもとに考察を加えた。アンケートでは、約5割の回答者から、システムを利用することによってなにか発見や気づきがあったとの結果が得られた。そして、記述回答の中では、被験者にとって普段の自分の鑑賞行為自体をかえりみるという、展覧会の多様な見方へ繋がる可能性が見られる回答を得られた。

休憩(16:00-16:10)

第三部 学生作品プレゼンテーション(16:10-18:30)※1校20分以内
 参加校
 -愛知淑徳大学
 -静岡産業大学
 -情報科学芸術大学院大学(IAMAS)
 -椙山女学園大学
 -中京大学
 -中部大学
 -名古屋学芸大学

※18:30以降:学内にて懇親会(予定)

■会場へのアクセス
 会場へは公共交通機関でお越し下さい。
 [交通アクセス]中京大学 名古屋キャンパス
 名古屋市営地下鉄 八事(やごと)駅5番出口 徒歩0分
 (アクセスマップ)
 http://www.chukyo-u.ac.jp/information/access/index.html
[会場の教室]
 名古屋キャンパス1号館6階:162教室
 会場の場所に関しては下記のリンク先をご確認ください。
 (キャンパスマップ)
 http://www.chukyo-u.ac.jp/information/facility/g1.html

以上。

日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒487-8501愛知県春日井市松本町1200
中部大学人文学部コミュニケーション学科内


報告:会報第166号(2014年4月1日)4頁-5頁)