2015年度第2回(第13回)映像テクスト分析研究会【1月9日】

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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2015年度第2回(通算第13回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
みなさまのご来場をお待ちしています。

日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 中村秀之

■日時===========================
2016年1月9日(土曜日)15時30分開始~18時(終了予定)

■会場===========================
立教大学 池袋キャンパス 4号館別棟1階4151教室
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
JR各線・東武東上線・西武池袋線・
東京メトロ丸ノ内線/有楽町線/副都心線
「池袋駅」下車。西口より徒歩約7分。

交通アクセスマップ
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
キャンパスマップ
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
*4号館は上記キャンパスマップで中央下にありますが、「別棟」の名称が記載されていませんので,以下リンクPDFの「略図」でご確認ください。
https://jasias.jp/wp-content/uploads/2015/12/bldg4s_RikkyoIkebukuroCampus.pdf

■発表者・討論者
発表者:玉田健太(早稲田大学大学院)
■表題・概要===============================
表題:雪解けの前に――ニコラス・レイ『危険な場所で』のラストシーン再訪

概要:ニコラス・レイは映画を発明し直すことが出来るというジャン=リュック・ゴダールの言葉が、たとえレイとリュミエールをかけた名前の洒落に過ぎないとしても、レイの監督による『危険な場所で』(On Dangerous Ground, 1951)ほど、闇とそこに投げかけられる光が問題となる映画はないだろう。
 本作は、40年代以降に現れた、現在言うところのフィルム・ノワールの代表的な一本として言及されることも多い。しかし、一方で『危険な場所で』はその特異な画面・物語構成でその一群の映画から突出する存在であることも知られている。物語は主人公の刑事が住む、まさに「ノワール」な漆黒の都会から始まるが、途中で急に山地へと舞台が変わり、雪に覆われた白銀の世界となるのだ。また先行研究が示すように、本作では犯罪の捜査そのものに代わって、犯人検挙のためとなれば暴力を抑えられない独り身の刑事が、捜査中に出会った盲目の女性との交流を通じて、いかに自らの変容を遂げるのかということが焦点として浮上する。それは触れることの主題を通じて表現されており、ラストシーンの手と手が触れ合うという印象的なアクションに辿り着く。
 本発表では触れることの主題の展開を辿りつつ、本作がその主題にどのような意義を見出しているのかを明らかにしていく。主人公に訪れた救済として特権的な、手と手の触れ合うショットが、ゴダールも引用するなどして有名だが、果たしてあの唐突なラストは厳密に何を意味しているのだろうか。それは本作のラストショットが、雪化粧の山地の風景ショットであることにも関係する。見ることと触れること、漆黒の都市と雪の山地という、二対の対比の交点として考える必要があるだろう。その上で、本作がハリウッド映画の展開の中でどのように位置づけられるのかという点についても考察する。

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お問合せ先:
日本映像学会 映像テクスト分析研究会
代表 中村秀之
〒352-8558 埼玉県新座市北野1-2-26
立教大学現代心理学部映像身体学科
e-mail:hideyukin@rikkyo.ac.jp
mobile: ○8○-3770-5972

中部支部2015年度第2回研究会【12月5日】

2015年度日本映像学会中部支部第2回研究会

日時:2015年12月5日(土)13:00より
会場:中部大学春日井キャンパス「不言実行館 ACTIVE PLAZA」一階「アクティブホール」
所在地:〒487-8501 愛知県春日井市松本町1200
http://www3.chubu.ac.jp/about/location/

◎スケジュール
13:00〜13:05:開催校挨拶
13:05〜14:15:研究発表(2件を予定)
-林桃子会員
-佐近田展康会員+伏木啓会員

14:30〜15:30:長門洋平氏によるご講演
15:30〜16:40:ディスカッション
-ディスカッサント:福田貴成氏(中部大学人文学部共通教育科教員)、尾鼻崇会員(中部大学人文学部教員)
17:30〜:懇親会(会場:中部大学春日井キャンパス「不言実行館 ACTIVE PLAZA」六階「アロハテーブル」)

◎研究発表
林桃子会員
タイトル:「リンケージを示すイメージリテラシー・ツール」
要旨:本研究は、電子ネットワーク社会におけるイメージの理解や発見をリンケージ(繫がり)を通して促すためのツールを開発することを目的としている。その基礎的な技術として、写真の形や色などの構成要素から類似検索することができるコンテンツベースト・イメージリトリーバル(CBIR)を用いている。人が写真を見る際の注視行動を、写真への注視範囲に関する調査用紙とアイカメラを用いた被験者の注視点データ分析により測定した。そしてその分析結果を考慮に入れ、写真の類似検索を通して三種類のリンケージを表わす機能を持たせたイメージリテラシー・ツールを開発した。

佐近田展康会員+伏木啓会員
タイトル:「映画における〈音〉の機能」ビデオクリップ集の制作を巡って
要旨:本研究は、科研費基盤研究(B)「映画における〈音〉の機能──その多角的分析と映像教育資源の開発」(課題番号25284045、2013~2015年度)の助成を受けて進行中の研究であり、映画における「音」(声・音楽・物音・音響操作すべてを含む)について、過去の理論研究と映画作品事例の検証を通じて、それが果たしている「機能」を多角的に分析するものである。最終的な研究成果として、分析された音の機能が顕著に分かるシーン事例を映像化し、同一映像に対する〈音〉機能の有無や複数の解釈による音付けを比較対照できるオリジナルのビデオクリップ集を制作する。完成したビデオクリップ集は、理論的解説を付したうえで、インターネット上に無償公開することを企図している。
今回の発表においては、現時点における〈音〉の機能の分析枠組みを提示したうえで、ビデオクリップ集制作の進捗状況について報告したい。

◎ご講演
長門洋平氏
タイトル:映画産業における「サントラ」レコードの諸問題――初期角川映画と薬師丸ひろ子を中心に
要旨:近年、日本の大衆文化産業における「メディアミックス」についての学術的議論がみられるようになってきた。しかし、わが国のメディアミックスに関するこれまでの言説において、映画と音楽との関係に関するまとまった考察はほぼ皆無である。本講演では、1976年に設立された角川春樹事務所=「角川映画」を代表するアイドル/女優/歌手の薬師丸ひろ子と、彼女の声を中心化した「サントラ」レコードに注目してみたい。スタジオ・システムおよび戦後日本映画の中核たるプログラムピクチャーの凋落から、異業種主導のメディアミックスへという時代の流れを決定的に印象づけた初期角川映画は、まさに日本映画界における「戦後」の終焉を象徴するプロダクションであったと言える。本講演の主眼は、薬師丸のサントラ・レコードに注目することで映画産業におけるサントラ盤の意義を整理するとともに、いわゆる「角川商法」が映画界に与えたインパクトを聴覚面から再考することにある。

長門洋平氏プロフィール:
国際日本文化研究センター機関研究員。総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻、博士後期課程修了。博士(学術)。
『映画音響論― 溝口健二映画を聴く』(2014年、みすず書房)にて、第36回サントリー学芸賞(〈芸術・文学部門〉)受賞。
http://www.msz.co.jp/event/07809_suntory_prize/


日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒470-0196 愛知県日進市岩崎町竹の山57
名古屋学芸大学メディア造形学部映像メディア学科内


報告:会報第173号(2016年1月1日)5頁