日本映像学会会員/アジア映画研究会会員 各位
「日本映像学会アジア映画研究会(第3期第1回)開催のお知らせ」
アジア映画研究会(第3期第1回/通算第34回)を下記のとおり、Zoomによるオンラインで開催します。
日時:2020年8月4日(火)18時~20時
(Zoomによるオンライン開催:事前申込制)
申込:7月30日(木)締切
下記URLより所定のフォームにご記入の上,お申込みください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfdlAN3wFZCo3coXHJ6fMRhQ8Z1HZfpzV9sv3tOThCcX3UqSA/viewform?usp=pp_url
内容:
発表1:雑賀広海(SAIKA Hiromi/本学会員)
「シネマ・シティとツイ・ハーク――集団創作における監督」(40分+討議)
要旨:シネマ・シティは1980年に設立されると、またたく間に香港の映画市場を席捲した。それと同時期の1970年代末からは、香港ニューウェーブと呼ばれる運動が起きている。ニューウェーブ監督の多くは、配給網を持たない独立系の会社において映画製作を開始した。既存の映画産業の外部で製作をはじめた彼らには、反商業主義的な作家性と保守的な産業の変革が期待された。しかし、彼らが台頭しはじめた矢先に、シネマ・シティが劇場のスクリーンを支配し、独立系の会社が作品を公開する機会はきわめて限定されてしまう。こうして、1980年代に入ると、ニューウェーブは映画産業の内部に吸収されていく。その典型的な例が、ツイ・ハークのシネマ・シティへの加入である。
以上のことから、シネマ・シティは1970年代末に期待された多様な映画製作の種を摘み取った会社として、否定的な評価を与えられることがしばしばある。また、作品の内容についても、物語やギャグが形式的で画一的であると批判される。その一方で、それまでの興行収入の記録を大幅に更新し、1980年代の香港映画産業を牽引した存在であることはまちがいない。本発表は、シネマ・シティの功罪について、ツイ・ハークを中心に再考する。とくに注目するのが、集団創作というシネマ・シティの製作スタイルであり、監督個人の判断で撮影することは厳しく禁じられていた。そのために、ツイ・ハークは数年で脱退することになるものの、集団創作の経験は有益だったとも述べている。それはどのような点で有益でありその後の製作でも参照されたのか。作家主義とは相反するようなシネマ・シティの集団創作が、ツイ・ハークや1980年代の香港映画産業に与えた影響を探る。
発表2:晏妮(YAN Ni/本学会員)
「映像空間はいかに歴史の時間と記憶を表象するのか――『ドキュメンタリー作家王兵 現代中国の叛史』を読む」(20分+討議)
要旨:王兵を論じる最初の日本語著書が刊行された。本発表は『映画芸術』に書いた拙文を基に、四部からなる本書の構成と書き手たちがどのように王兵を捉えているのかを簡単に紹介する。被写体から個人の記憶を最大限に引き出して映像によって歴史を記録してきた王兵。彼の歴史に向き合う姿勢、被写体との関係性を考えた上で到達した映像テクニックについても言及する。
8月座長:韓燕麗(HAN Yanli/本学会員)