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中部支部2025年度第1回研究会【9月5日】

中部支部では、下記の通り2025年度 中部支部 第1回研究会を開催いたします。
中部支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。

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2025年度 | 日本映像学会 中部支部 | 第1回研究会
https://jasias-chubu.org/wp/?p=1313

日時:2025年9月5日(金) 13:30 より
会場:名古屋芸術大学内 西キャンパス B棟2階 視聴覚室
開催方式:対面

スケジュール(予定)
 13:00 – 第1回研究会 受付開始
 13:30 – 開会挨拶
 13:35 – 14:35 研究発表(2件)
休憩
 14:50 – 15:50 招待講演(1件)
 15:50 – 16:20 ディスカッション
 16:20 – 閉会挨拶
休憩
 16:30 – 支部総会(研究会終了後)
 研究会終了後、別会場にて懇親会を予定

招待講演タイトル:
コミックコンテンツの趨勢 日韓のマンガ・ウェブトゥーン交流を通じて

要旨:
『鬼滅の刃』や『梨泰院(イテウォン)クラス』の映像コンテンツとしての世界的ヒットは記憶に新しいが、其々原作はマンガ、ウェブトゥーン(縦読みマンガ)である。ナカノが主幹する名古屋芸術大学「マンガゼミ」(自主ゼミ)と世界最大級のコミックカルチャー教育機関である韓国・青江(チョンガン)文化産業大学マンガ・ウェブトゥーンスクール(日本の大学の学部・学科に相当)との協働を基に、日本のマンガ、韓国のウェブトゥーンなど世界のコミックコンテンツの趨勢とメディアとしての特性を紐解く。

ゲスト紹介:
ナカノ ケン氏
デザイナー。高校中退。河合塾コスモ(大検・高認コース)千種校を経て大学入学資格検定(現・高等学校卒業程度認定)取得。東北芸術工科大学デザイン工学部情報デザイン学科情報計画コース卒業。インターメディウム研究所「大学院」講座修了。書籍装丁・本文デザインから電子書籍オーサリングまで、主に出版メディアの制作に携わる。アルフェイズ有限会社取締役。名古屋芸術大学大学院デザイン研究科・芸術学部芸術学科デザイン領域准教授。

研究発表(2件)

映画制作の教育手法に関する実践的研究
鈴木 清重|愛知淑徳大学

要旨:
種々の携帯端末が普及した現在、「誰でも映画が撮れる時代」といわれる。しかし、単発的に消費されやすい動画が普及した一方で、年間に制作される作品に占める映画(劇場鑑賞可能な映像)としての作品の割会は減少している可能性がある。
本研究では、現代の映像技術(テクノロジー)水準化で、映画を制作するために必要な技能(スキル)、技法(アート)を検討する。大学での教育プログラムの実践を紹介しながら、映像教育の課題を考察する。

SNSアプリにおける〈ホームタブ〉のUI設計の考察―再帰的な自己形成を支える「家」としてのSNS
林 亮太|名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科 助手

要旨:
本発表は、SNSアプリにおける〈ホームタブ〉の設計に着目し、ユーザーの行動様式や自己認識に与える影響を考察する。かつて「ネットサーフィン」として語られた漂流的な閲覧体験とは異なり、SNSでは、ユーザーごとに最適化された〈ホーム〉へ逐一回帰する構造を前提としている。このようなインターフェース環境が、投稿や閲覧を通じて自己像や他者関係を再帰的に調整・管理する、若者に顕著な実践に関与している可能性を論じる。

補足情報
日本映像学会中部支部 幹事会
※幹事メンバーのみ
会場:名古屋芸術大学内 西キャンパス B棟2階 ゼミ室
時間:12:30 – 13:00

会場へのアクセス
https://www.nua.ac.jp/about/access/
https://www.nua.ac.jp/campuslife/campus/west/
名鉄犬山線「徳重・名古屋芸大駅」より徒歩約12分
お車でお越しの方は、学生用駐車場をご利用ください

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日本映像学会 中部支部事務局
email: msaitonuas.ac.jp (齋藤)

日本映像学会映像心理学研究会 共催イベント【9月9日】

日本映像学会映像心理学研究会 共催イベントのお知らせ

日本映像学会映像心理学研究会では、日本生態心理学会が主催する“「周囲 surroundings」について考える -フレデリック・ワイズマン『視覚障害』上映会+平井 百香氏講演会『触覚に基づく視覚障害者の知覚と身体運動―インスタントコーヒーを作る動作に着目して―』-”を、日本認知科学会「身体、システム、文化」研究分科会、科学研究費補助金「日常生活行動における「活動切り替え」の生態学的研究」(23K02306)と共に開催することとなりました。
映像学的にも非常に興味深い内容かと思います。是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。なお、ご参加を希望される場合は、下記「参加申込フォーム」にてお申し込みください。

日本映像学会映像心理学研究会 代表:横田正夫

「周囲 surroundings」について考える
-フレデリック・ワイズマン『視覚障害』上映会+平井 百香氏講演会『触覚に基づく視覚障害者の知覚と身体運動―インスタントコーヒーを作る動作に着目して―』-

《企画概要》
本研究会は、ヒトはどのように「周囲」を知覚しているのかという問いを、視覚障害という主題を通じて、映像学、建築学、生態心理学、身体論等の知見から学際的に探求する試みである。
第一部では、アメリカのドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマンによる 1986 年の作品『視覚障害(Blind)』 を 16 ミリフィルムで上映する。上映前には、簡単な作家紹介が行われ、作品の歴史的・文化的背景をふまえた鑑賞が可能となる。ドキュメンタリー作家のワイズマン作品は「見ること」そのものを問い返す力を持ち、新たな知覚の可能性を提示する。
第二部では、日本女子大学の平井百香氏による講演会「触覚に基づく視覚障害者の知覚と身体運動―インスタントコーヒーを作る動作に着目して―」を実施し、建築学的な視点に基づき、視覚障害者の知覚と身体運動の特性や、環境デザインが与える影響について実証的研究をふまえてお話いただく。その後のディスカッサントとして、生態心理学・視覚障害心理学を専門とする伊藤精英氏(公立はこだて未来大学)や障害者の雇用実態や支援について研究する渋谷友紀氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)との対話を通じて、多角的な視点から「周囲を知ること」について議論を深める。

■ 日 時:2025年9月16日(火)10:30~16:30
■ 場 所:日本大学芸術学部 江古田校舎東棟地下 EB-2教室
■ 参加費:無 料
■ 形 式:対面のみ
■ 参加申込フォーム:https://forms.gle/fqxiop2S9AvqFZJD7 
※参加申込〆切は2025年9月9日(火)まで
■ スケジュール
《第一部》 司会:佐藤由紀
 10:30~ フレデリック・ワイズマンとは誰か
 10:40~13:10 フレデリック・ワイズマン『視覚障害』上映
 13:10~14:00 休憩
《第二部》 司会:青山慶
 14:00~14:05 オープニング
 14:05~15:05 講演「触覚に基づく視覚障害者の知覚と身体運動―インスタントコーヒーを作る動作に着目して―」平井百香氏(日本女子大学)
 15:05~15:15 休憩
 15:15~15:30 ディスカッサント① 伊藤精英氏(公立はこだて未来大学)
 15:30~15:45 ディスカッサント② 渋谷友紀氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構) 1
 15:45~16:25 ディスカッション
 16:25~16:30 クローズ

■ 内 容
 ●上映映画
・『視覚障害Blind』1986年/132分/カラー/16mm
・監督:フレデリック・ワイズマン
・撮影:ジョン・デイヴィー
・1984年の秋にアラバマ聾盲学校(AIDB)で行った撮影の結果、一本の映画にまとめることは不可能だと判断したワイズマンは、約九時間の長編としても成立する四部作として「Deaf and Blind シリーズ」を完成させた。第一部となる本作は、視力をもたない子どもたちの盲学校での日常を、技法的な編集を極力排して丹念に描き出していく(コミュニティシネマセンター)。
・フィルム提供:一般社団法人コミュニティシネマセンター
 ●講演会
 ・「触覚に基づく視覚障害者の知覚と身体運動―インスタントコーヒーを作る動作に着目して―」
 ・講演者:平井百香(日本女子大学)
 ・講演要旨 建築の分野において、行為と環境の関係は合わせ鏡のように捉えられてきました。環境の設えは人間の行為を誘発し、人間は行為を行いやすいように環境を改変するとされ、自宅ではこの関係が最も顕著に現れます。視覚障害者の自宅における家具や物の配置、行為中の接触の様子をみると、触覚を基準としたレイアウトのルールが存在していることが分かりました。 研究成果から着想を得て、天板にクレーター状の触覚的な手がかりを設け、食器の位置を固定できるようにデザインしたテーブルを開発しました。開発したテーブルと、天板がフラットなテーブルを用いて、視覚障害者が2種類のテーブルでインスタントコーヒーを作る実験を行い、テーブルデザインに応じた動作の特性を比較しました。生態心理学の分野で蓄積されてきた晴眼者のマイクロスリップに関する研究成果を参照しながら、視覚障害者の知覚と身体運動の特性や、環境デザインが与える影響について考察します。

■ 企画者:青山慶(岩手大学)・佐藤由紀(玉川大学)
■ 問合先:jcss.sig.bsc( at )gmail.com ※( at )をアットマークに修正してください。
■ 主 催 
 ●日本生態心理学会
■ 共 催 
 ●日本認知科学会「身体、システム、文化」研究分科会
 ●日本映像学会 映像心理学研究会
 ●科学研究費補助金「日常生活行動における「活動切り替え」の生態学的研究」(23K02306)

以上

アナログメディア研究会協力企画 実験映画上映 太田曜 作品特集【7/26-27】

アナログメディア研究会協力企画 実験映画上映 太田曜 作品特集

太田曜 実験映画作品上映
2025年7月26日土曜日 27日日曜日 14時から上映(13時30分開場)18時頃終了予定

“美術”と“場所”と“実験映画”

札幌映像機材博物館 
https://binmuseum.web.fc2.com/
札幌市白石区平和通2丁目南1-6(旧:カメラ懐館)
https://binmuseum.web.fc2.com/

映画フィルムにこだわり、現在もフィルムでの制作を続ける実験映画作家、太田曜の作品上映。札幌、北海道では初の個展上映です。全てフィルム作品、上映もフイルムで行います。トークも予定しています。土曜日は映像作家、美術家、北海道教育大の伊藤隆介氏、日曜日は映像作家、北海道情報大学の大島慶太郎氏。

太田曜 
http://www.tokyo100.com/ota/
https://www.facebook.com/yo.ota.18/

入場資料代:
一日 1000円 二日 1500円 プラスコーヒー500円

上映予定 プログラム:

太田曜 上映予定作品リスト 2025年7月26日 土曜日

“美術(家)とのコラボレーション”
12作品 88分

●STÄDEL 16ミリ カラー サイレント 7分1986年
●5400Secondes 16ミリ カラー サイレント 10分1987年
●INSTALLATION TIME 16ミリ カラー サウンド 6分1993年
●ENTOMOLOGIST 16ミリ カラー サウンド/サイレント 8分1996年
●INCLINED HORIZON カラー サウンド 8分2007年
●REFLEX/REFLECTION カラー サウンド 8分2009年
●FANTÔME カラー サウンド 8分2011年
● 根府川(Nebukawa) パート・カラー サウンド 6分2012年
●ULTRAMARINE カラー サウンド 5分2014年
●『The Militia Campany of Captain Frans Banning Cocq』 2015 カラー サウンド5分
●Le Mur(ル・ミュール 壁の意味のフランス語)2017/16mm(撮影はスーパー16mmカメラ)モノクロ 光学サウンド+別出し/7分 原案:タタラ タラ 音楽:村井隆文
■改造16ミリフィルム映写機で映写、上映 予定
●『ブライドピーク(Bride Peak)  チョゴリザ 花嫁の峰』2021年8mm (24コマ/秒)10分音声別だし
波多野哲朗先生撮影の8ミリフィルムに基づいて作成された“ファウンド・フッテージ”作品

太田曜上映予定作品リスト 2025年7月27日 日曜日

“場所に関わる作品”
14作品 97分

●UN RELATIF HORAIRE 16ミリ カラー サイレント 2分1980年
●UNE SUCCESSION INTERMITTENTE 16ミリ カラー サイレント 2分1980年
●UN RELATIF HORAIRE No3 16ミリ カラー サイレント 3分1980年
●FLOTTE 16ミリ カラー サウンド/サイレント 9分1994年
●DISTORTED “TELE” VISION カラー サウンド 11分1998年
●INCORRECT CONTINUITY カラー サウンド 9分2000年
●INCORRECT INTERMITTENCE カラー サウンド 6分2001年
●SPEED TRAP カラー サウンド 6分2004年
●ANTONYM of CONCORD(E) カラー サウンド 9分2005年
●SURF/LENGHT カラー サウンド 8分2010年
●L’Image de la Pucelle 2 カラー サウンド 12分2013年
●『BLANK SPACE』2016年制作16mm スーパー16mmフォーマット 光学録音 (一部音声別だし)8分
■改造16ミリフィルム映写機で映写、上映 予定
●『Les Grands Boulevards』 2019 カラー サウンド6分16mm スーパー16mmフォーマット & ノーマル16mmフォーマット光学録音 (一部音声別だし)8分
■改造16ミリフィルム映写機で映写、上映 予定
●『OPTICAL SOUND FILM』2024年制作16mm スーパー16mmフォーマット & ノーマル16mmフォーマット光学録音 (一部音声別だし)8分
■改造16ミリフィルム映写機で映写、上映 予定

プログラムは、フィルム、機材などのコンディションによって変更になる可能性があります

主催:札幌映像機材博物館 https://binmuseum.web.fc2.com/

協力:日本映像学会アナログメディア研究会 https://www.facebook.com/analogmedia

アジア映画研究会(第3期第28回)公開イベント(京都開催)のお知らせ【7月27日】

アジア映画研究会会員/日本映像学会会員各位
「アジア映画研究会(第3期第28回)公開イベント(京都開催)のお知らせ」

アジア映画研究会(第3期第28回)公開イベント【7月27日】
マレーシア映画上映会「わすれな月2025」
Forget-Mak-Not 2025
会期:2025年7月27日(日)13時~16時(開場12時30分)
会場:京都大学稲盛財団記念館 3階大会議室(京都市左京区吉田本町)
主催:混成アジア映画研究会
共催:日本映像学会アジア映画研究会
協力:京都大学東南アジア地域研究研究所
※参加費無料・事前登録不要

【概要】
アジア映画研究会は京都大学を母体とする混成アジア映画研究会との共催でマレーシア映画『細い目』の上映とトークを開催します。
21世紀初頭に巻き起こった「マレーシア新潮」の中心人物として活躍し、51歳の若さで2009年に亡くなったヤスミン・アフマド監督の劇場公開用の長編第一作『細い目』がマレーシアと日本で上映されて今年で20年を迎えます。混成アジア映画研究会が毎年開催している「わすれな月」は、ヤスミン監督の命日の7月25日にちなんで、毎年7月末にヤスミン作品やヤスミン監督ゆかりの作品を観ながらそれぞれの記憶を共有する場です。
当研究会は今年の「わすれな月」に初めて共催し、多言語映画である『細い目』のセリフを言語ごとに色分けした多色字幕付きの実験的な上映と、当研究会員が登壇するディスカッションを行います。(配信は行わず対面のみでの開催です。)

【タイムテーブル】
13時   開会挨拶
13時10分 『細い目』上映
15時   休憩
15時15分 ディスカッション(山本博之(混成アジア映画研究会)x石坂健治(日本映像学会アジア映画研究会))
16時   閉会

※イベント詳細はwebページ参照
https://yama.cseas.kyoto-u.ac.jp/film/event/20250727yasmin.html

アジア映画研究会(第3期第29回)開催のお知らせ【8月6日】

アジア映画研究会会員/日本映像学会会員各位
「日本映像学会アジア映画研究会(第3期第29回)開催のお知らせ」

アジア映画研究会(第3期第29回)を下記のとおり開催します。
日時:2025年8月6日(水)19:00~20:30  ZOOMによるオンライン開催

下記URLより事前登録してください。会議前日にミーティング参加に関する情報の確認メールをお届けします。
https://forms.gle/REhhS7aAPXb2ndW89

報告1:「中国の無声映画における民族音楽の実践と聴覚的現代性」
報告者:宋振華(SONG Zhenhua/北京大学芸術学院博士課程・本学会員)
要旨:1920年代後期から1930年代初頭にかけて、中国の無声映画は急速に発展し、映画音楽の実践は重要な文化現象となった。とりわけ上海の一部映画館では、外国映画の上映経験を踏まえて、民族音楽を中国産映画と結びつける試みが展開された。その中でも、呂文成らによる広東音楽の活用は特筆に値する。本発表では、民族音楽が無声映画にいかに
導入され、それが後の中国映画音楽にどのような影響を与えたかを考察する。「聴覚的現代性」という概念を手がかりに、この実践が近代中国における文化的変容といかに関係していたかを明らかにする。さらに、左翼映画運動との連関にも注目し、民族音楽が政治的意味を帯びた映画音楽として果たした役割についても検討する。

報告2:『李安の華語映画における視線のポリティクス』(2025年3月)について 
報告者:陳悦(CHEN Yue/中国東南大学芸術学部 講師)
要旨:本書は、台湾出身で華語映画の巨匠である李安(アン・リー)の作品を対象として、ジェンダーとフェミニズムの視点から、映画の中の諸空間に登場する人物の視線のポリティクスを軸に、スクリーンに隠秘・提示される欲望や権力関係を検討した上で、映画における視線権力の構造を明らかにしようと試みである。同時に視覚装置としての映画の特徴を視野に入れ、映像技法の分析を採用し、映画のテクスト精読を通して、李安の華語映画に対する新たな解読を図った。

皆様のご参加をお待ちしております。
8月座長:韓燕麗

映像人類学研究会第10回研究会【8月9日】のお知らせ

日本映像学会映像人類学研究会第10回研究会(2025年8月9日)のお知らせ

下記の通り、日本映像学会映像人類学研究会第10回研究会を、対面とZoomでのオンラインの同時ハイブリッドで開催いたします。
今回は、社会派ドキュメンタリーの第一線で活躍される大島新氏をお招きします。『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『国葬の日』など、日本政治や社会構造の核心に迫る作品を手がけてきた大島氏。その視点と語り口は、現代日本における「記録」と「表現」の可能性を私たちに問いかけます。
今回は、これらの代表作を振り返りながら、大島氏がどのような思いで映像を制作してきたか、そして、今後の映像のあり方についても語っていただく予定です。若手研究者や学生、現役制作者の方も含め、幅広い方々のご参加をお待ちしています。

概要:現在、日本社会は分断や無関心、情報の過多と空洞化といった課題に直面している。政治への距離感や公共性の揺らぎが広がる中で、ドキュメンタリーは「記録」と「表現」の両面から社会と個人をつなぎ直す力を持っている。
大島新氏は、こうした時代の空気を鋭く捉えながら、政治家の葛藤や市民の声を丁寧にすくい上げる作品を発表してきた。『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『国葬の日』は、いずれも現代日本の民主主義のあり方を問い直す連作であり、観る者に「自分はこの社会の一員としてどう関わるのか」という根源的な問いを投げかける。
第10回研究会では、これらの作品を振り返りながら、大島氏がどのような視点で社会と向き合い、どのような方法で映像を構築してきたのかを探る。とりわけ、政治や公共性をテーマにしたドキュメンタリーが、今なぜ必要とされるのか。その必然性を、制作者自身の言葉で紐解いていく。
当日は、大島氏と主催者によるトークセッションを中心に、制作秘話や現場での葛藤、表現の選択について語っていただく。後半には参加者との質疑応答・意見交換の時間を設け、映像表現の可能性と社会との接点について、共に考える場とする。

日時:2025年8月9日(土)14時00分〜16時00分(予定)
形式: 対面とZoomによるオンラインの同時ハイブリッドで開催
場所:桜美林大学東京ひなたやまキャンパス(東京都町田市本町田2600-4)
https://www.obirin.ac.jp/access/tokyohinatayama/
*オンラインでの参加を希望される方には、研究会前日の18時までにZoomの招待を送らせていただきます。
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。
参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは一週間前の2025年8月2日(土)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/8FF6dq2vqCm2uxjc8
メールでお問い合わせ: visualanthropology2021gmail.com

ねらい:大島新氏は、テレビと映画の両領域で長年にわたりドキュメンタリー制作に携わり、社会や政治、個人の葛藤に鋭く迫る作品を発表してきた。『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『国葬の日』など、現代日本の民主主義や公共性を問い直す作品群は、単なる記録を超えて、観る者に「自分自身の生き方」を考えさせる力を持っている。
本研究会では、大島氏がどのような視点で被写体に向き合い、どのような意図をもって作品を構築しているのかを探る。また、テレビと映画という異なるメディアの特性や、編集・構成における表現の違いについても考察する。
さらに、ドキュメンタリーにおける「公共⇔個人」のバランス、そして「作家性」や「芸術性」がどのように作品に反映されるのかを検討する。日本と海外のドキュメンタリー文化の違いにも目を向け、映像表現の可能性を広く考察する場とする。
現役の制作者、研究者、学生、そしてドキュメンタリーに関心を持つすべての人にとって、創作の動機や倫理、表現の自由について考える貴重な機会と位置づける。

ゲストスピーカー略歴:大島新(おおしま・あらた)
ドキュメンタリー映画監督・プロデューサー・テレビディレクター
1969年神奈川県藤沢市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、1995年にフジテレビ入社。『NONFIX』『ザ・ノンフィクション』などの番組でディレクターを務めた後、1999年に退社しフリーに。以降、『情熱大陸』(MBS)や『課外授業 ようこそ先輩』(NHK)など、数多くのテレビドキュメンタリーを手がけた。
2009年に映像制作会社「ネツゲン」を設立。映画監督としては『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』(2007)、『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020)、『香川1区』(2021)、『国葬の日』(2023)などを発表。政治や社会に鋭く切り込む視点と、被写体との距離感に配慮した誠実な映像づくりに定評がある。
2024年より東京工芸大学芸術学部教授を務めている。

司会・パネリスト:本研究会代表・田淵俊彦(桜美林大学)
運営:中垣恒太郎(専修大学)・西野毅史(桜美林大学)

式次第(予定)
14時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第8回)の活動報告
14時15分〜 ゲストスピーカー・大島新氏とのトークセッション(対面)
15時15分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 終了予定

映像人類学研究会代表:田淵俊彦

関西支部第103回研究会【7月5日】

日本映像学会関西支部第103回研究会(7月5日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第103回研究会を開催いたします。関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。

日時:2025年7月5日(土)午後2時より4時頃まで
会場:関西学院大学上ケ原キャンパス F号館102教室

研究発表1:トリュフォー映画における偶発性
発表者:関西学院大学 安部孝典会員 
要旨:
本発表は、フランソワ・トリュフォー(François Truffaut, 1932-1984)の長編第一作『大人は判ってくれない』において、主人公アントワーヌが少年鑑別所で精神科の女医から聞き取り調査を受ける場面の分析から始め、他のヌーヴェル・ヴァーグの作品を参照しながら、トリュフォー映画における偶発性の積極的な取り込みについて一考察を加えることを目的とする。
 前述のシーンでは、まず監督のトリュフォー自身がアントワーヌ役のジャン=ピエール・レオー(Jean-Pierre Léaud, 1944- )に個人的な質問を投げかけ、その反応を映像に収めた後、トリュフォーの声だけを女医役の女性のものに吹き替えるという手間をかけている。ここでは、トリュフォーとレオーの間に構築された擬似的な親子関係から、内緒話のような親密さが醸し出され、アントワーヌの受け答えの内容には、物語上のアントワーヌとしての人生とそれを演じる生身の俳優レオー、さらにはアントワーヌ=レオーに監督トリュフォー自身の経験が混同されている。
 こうした撮影時の偶発的なものの取り込みは、アントワーヌ・ド・ベックやアラン・ベルガラらの先行研究が明らかにするように、初期ヌーヴェル・ヴァーグの作品に散見される。トリュフォー映画以外でも、たとえばジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』(1960)やエリック・ロメールの『獅子座』(1962)では、街頭での隠し撮りが多用され、道行く人が好奇の目でカメラや俳優の方を見やる姿がそのまま作品内に取り込まれている。
 さらに、トリュフォー映画における子どもの即興演出については、アンドレ・バザンの批評を介したネオレアリズモ映画との関係、そして街頭での野外撮影における偶発性については、トリュフォーが敬愛するジャン・ルノワールの『素晴らしき放浪者』(1932)や『ピクニック』(1936)などの影響を指摘できるだろう。
 本発表では、これまでに漠然と即興演出と言われてきたヌーヴェル・ヴァーグのひとつの特徴を、トリュフォー映画における偶発性の取り込みという観点からあらたに捉え直し、その作家主義的な意義を明らかにしたい。

研究発表2:伊藤高志の映画におけるカオスと秩序――空間とリズムをめぐって
発表者:四天王寺大学 松井浩子会員
要旨:
本発表は、伊藤高志(1956–)の作品に通底する「空間」への関心に着目し、初期の構造映画と近年の劇映画における空間表現の差異と連続性を明らかにすることを目的とする。分析の中心には、実質的なデビュー作『SPACY』(1981)と最新作『遠い声』(2024)を据え、アンリ・マルディネの空間=リズム論を理論的枠組みとして援用する。
 『SPACY』においては、映像が逃れることのできない透視図法を基盤としつつも、その構造を循環的に撹乱することで画面の中に飲み込まれるような閉鎖的空間が構成される。そこでは、永遠に消失点へ到達しないさまよいが視覚化されており、マルディネが語る方向を失ったカオスの空間として捉えうる。一方、『遠い声』では、登場人物を伴いつつも物語性を抑制した構成のなかで、空虚な風景が横断される。拡がる風景空間のなかを、人物たちは依然としてあてどなさをさまよい続ける点において、初期作との連続性が見出せる。マルディネは、このような空間に秩序をもたらすものとして「リズム」の概念を提示する。
 本発表では、両作品に描かれるカオス的空間と、その中で異なる仕方で形成されるリズムに注目し、作品ごとの空間的差異と、その根底に流れる空間観の持続を考察する。

会場:関西学院大学上ケ原キャンパス F号館102教室
交通アクセス:https://www.kwansei.ac.jp/access/uegahara
キャンパスマップ:https://www.kwansei.ac.jp/cms/kwansei/pdf/about/campus/nuc_map_2025.pdf

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)
email:eizouosaka-geidai.ac.jp

アナログメディア研究会主催:実験映画を観る会vol.14 【6月22日】

アナログメディア研究会主催 実験映画を観る会 VOL 14 6月22日 14時から上映

実験映画を観る会VOL.14
渡辺哲也と1970年代の実験映画
“再撮影映画は映画の構造を検証する”
 渡辺哲也は、1970年代に活動した美術家・映像作家である。この時期は現代美術で映像をつくることが流行し、渡辺もそうした作家の一人だったが、映像を本職とした点が他の美術家と異なっていた。1970年代の実験映画では、写真やフィルムをコマ撮りすることが流行しており、渡辺の映画も再撮影に特徴づけられる。映像によって映像を撮影するメタ的な視点が、映画の構造を検証したのである。今回の特集では、渡辺哲也の実験映画と再撮影による同時代の実験映画を上映することで、1970年代の実験映画をめぐる状況を振り返ってみたい。
日時:2025年6月22日(日曜日) 14時から上映
場所:小金井市中町天神前集会所
   (〒184-0012東京都小金井市中町1丁目7-7)
 https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/13210/21331137107/
 武蔵小金井駅南口から徒歩約14分
参加資料代:1000円(当日現金でお支払い下さい)
 参加は予約制です。予約フォームにご記入ください。
 https://forms.gle/V516Yg4XZ9U9Zs1u9
【上映作品】
渡辺哲也『エマルジョン・シー』1972年、11分
渡辺哲也『ウォール・シー』1972‐1973年、12分
渡辺哲也『クロッシング』1974年、3分
渡辺哲也『コーヒーを飲む』1975年、15分
奥山順市『LE CINÉMA 映画』1975年、5分
奥山順市『映画の原点original of motion picture』1978年、4分
居田伊佐雄『オランダ人の写真』1976年、7分
居田伊佐雄『プレパラート』1977年、12分
瀬尾俊三『フィルム・ディスプレイ』1979年、6分
(すべて16mm)
【スケジュール】
13:45 開場
14:00~16:30 上映、解説
16:30~16:45 休憩
16:45 トーク&質疑応答「1970年代の実験映画」 (西村智弘)
17:30 終了予定
主催:日本映像学会 アナログメディア研究会

上映会のイベントページ
 https://www.facebook.com/events/1187533439777305/
 https://www.facebook.com/analogmedia
 https://twitter.com/analogmedia
8ミリフィルム小金井街道プロジェクト
 http://shink-tank.cocolog-nifty.com/perforation/
 https://twitter.com/8mmfkkp

2025年度 第1回 日本映像学会「映像アーカイブ」研究会【6月21日】

2025年度 第1回 日本映像学会「映像アーカイブ」研究会
〈映像アーカイブに関する講演および広島市映像文化ライブラリー見学〉

 広島市による公立フィルム・アーカイブ施設である〈広島市映像文化ライブラリー〉の見学および映像文化専門官・森宗厚子氏(映像学会会員)による講演を伺うという企画です。同館は1982年に日本の地方自治体が初めて設けた公立フィルム・アーカイブであり、2026年度の移転により現施設は10月から休館となるため今回の見学は貴重な機会となります。旧来型の35mmフィルムによる名作映画コレクションに重きを置いた上映事業を主とするフィルム・アーカイブであり、また戦後にCIE映画の流れを汲んで文部省が全国地方自治体の図書館に設置を促した社会教育施設「視聴覚ライブラリー」の機能も併せ持ち16mmフィルム等の市民団体上映会向け貸出業務も行っています。なお、森宗氏は2024年に同館に着任する以前にも、国立映画アーカイブ(2020~24)や川崎市市民ミュージアム(2015~18)にてフィルム・アーカイブにおける上映事業を中心に従事してきました。
ご関心のある方はどうぞ奮ってご参加ください。尚、講演を行う部屋の大きさ上、申込人数が10名に達した時点で締め切りとさせて頂きます。また、参加は会員に限定させて頂きます。この点どうぞ御了承のほど宜しくお願いいたします。参加申込フォームの「ご所属」欄に、所属支部(東部支部、中部支部、関西支部、西部支部)もご記入下さい。
申込者には当日の集合場所などを追ってご案内致します。また、定数に達して参加をお断りする場合には6月15日(日曜日)までに連絡いたします。申込後のお問い合わせは〈wadamarciano.mitsuyo.6wkyoto-u.ac.jp〉にお願いします。

【日時】2025年6月21日(土)14:30-17:00(その後、懇談会を予定)

【会場】広島市映像文化ライブラリー(広島市中区基町3-1)

【参加費】参加費無料(懇親会は別途)

【参加方法】参加を希望される方は、以下のフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/XktCkgixaPyVJhzr7

【定員】事前予約制/予約締切:6月14日 ※定員に達し次第、申込を締切します。
10名

【プログラム】
趣旨説明:ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(京都大学)
講演:森宗厚子(広島市映像文化ライブラリー 映像文化専門官)
・研究会講演(1階試写室にて)14:30~16:00
・施設見学(映写室・ホール・収蔵庫)16:15~17:00
・懇談会(近隣の飲食店にて)17:30~19:30頃 ※任意参加

【使用言語】日本語

【共催】広島市映像文化ライブラリー、日本映像学会映像アーカイブ研究会

プロフィール:森宗厚子
フィルム・アーキビスト、映画研究者。広島市映像文化ライブラリー映像文化専門官として、上映企画及び映画保存に携わる。1972年京都市生まれ、89年より自主上映や映画館に従事し、97年よりフィルムアート社の編集部を経て、2001~10年東京フィルメックス事務局に勤務。2015~18年川崎市市民ミュージアム映画担当学芸員、2020~2024年国立映画アーカイブ上映室特定研究員を経て2024年4月より現職。

メディア考古学研究会(第4回)開催のお知らせ【6月24日】

メディア考古学研究会(第4回)開催のお知らせ【6月24日(火)】

日本映像学会メディア考古学研究会(第4回)を下記のとおり開催いたします。館内入場無料、事前予約などはございませんので、会場に直接お越しください。皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時:2025年6月24日(火)17:30~19:00(17:00会場)
開催場所:大阪大学中之島芸術センター3階スタジオ(大阪市北区中之島4丁目3-53)
入場料:無料(予約不要・先着順)

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「映像メディア論講義・特殊講義VI—メディア考古学からみた日本の映像文化―」特別講義・上映会および日本映像学会メディア考古学研究会第4回研究発表会
『よみがえる紙フィルム映画―日本の新旧アニメーション夢の競演』

【概要】
1930年代、国内の映画館で映画のトーキー化がはじまり、はじめてのフルカラーアニメーションがアメリカから輸入されました。人々が日本製のフルカラートーキーアニメーションも見てみたいと思いはじめた頃、その願いを叶えるべく販売されたのが、この「紙フィルム映画」です。家庭向けの玩具ゆえにこれまでほとんど知られていなかった戦前のフルカラーアニメーションが、紙フィルム研究プロジェクト(バックネル大学)のご尽力による最新のデジタル技術で、今ここに生き生きとよみがえります。また当時の製作技法で再現製作された、かねひさ和哉氏による最新のアニメーション作品を、修復された当時の家庭用「トーキー」映写機でご覧いただきます。現在と過去が交錯するアニメーション、一夜限りの夢の競演です。

【スケジュール】
1.特別講義・上映会の趣旨とその歴史的意義:福島可奈子(大阪大学大学院人文学研究科助教/中之島芸術センター兼任教員)
2.デジタルでよみがえる日本の紙フィルムについて:エリック・フェーデン(バックネル大学映画・メディア学部教授)
3.紙フィルム映画デジタル上映+生演奏(デュオ夢乃(木村伶香能(箏)玉木光 (チェロ))
4.よみがえった「家庭トーキー發聲映寫器」による新作紙フィルムアニメーションの上映:山端健志(板橋区立教育科学館研究員、武蔵野美術大学大学院博士後期課程)、かねひさ和哉(アニメーション作家・アニメーション研究家)

主催:大阪大学大学院人文学研究科芸術学専攻アート・メディア論コース
共催:日本映像学会メディア考古学研究会
協力:紙フィルム研究プロジェクト
協賛:柳井イニシアティブ、公益財団法人徳間記念アニメーション文化財団(三鷹の森ジブリ美術館)

問い合わせ先:
日本映像学会メディア考古学研究会
代表・福島可奈子
korogattahotmail.co.jp