映像人類学研究会第1回研究会【10月31日】のお知らせ

日本映像学会映像人類学研究会第1回研究会(10月31日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第一回研究会をオンライン(Zoom)にて開催いたします。会員に限らず多くの方の参加をお待ちしております。
『ネシアの旅人〜もうひとつの海のシルクロード』(実尺112分44秒,1999,テレビ東京)を題材に、「テレビ・ドキュメンタリーと民俗誌映像の間」を考える

概要:参加者の皆さんには発表者(田淵俊彦)が制作した上記の作品を事前に鑑賞して頂き、当日は発表者の研究発表の後に、参加者の皆さんと「テレビ・ドキュメンタリーと民俗誌映像の間にある溝」という観点で活発な意見交換を行いたいと思います。

日時:2021年10月31日(日)14時00分〜16時00分
形式:Zoomを使ったオンライン開催(当該番組の映像を事前にご覧になってご参加ください)
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。出入り自由です。
お気軽にお申し込みください。*当日は、テレビ・ドキュメンタリーの制作を手がけてきたベテランドキュメンタリストの方々の出席も予定しています。現場からの生の声や意見も聴けるかと思います。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください!

参加申し込み方法:下記 Googleフォーム、もしくは研究会のメールからお申し込みください。締め切りは10月29日(金)17:00とさせていただきます。
お申し込みを頂いた方には、順次『ネシアの旅人〜もうひとつの海のシルクロード』を事前視聴して頂けるように映像共有のURLをご指定のメール宛に送付させて頂きます。
Googleフォーム:https://forms.gle/xHCvc3pH4b1kEbFGA
メールでのお申し込み、お問い合わせ: visualanthropology2021gmail.com

『ネシアの旅人〜もうひとつの海のシルクロード』(実尺112分44秒,1999,テレビ東京)作品概要:今年の7月27日に「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されました。現在の私たちの生活様式や考え方などの日本文化と呼べるものは、実は縄文文化を基盤としていると言われています。私たちが想像するより高度な文化が縄文時代には花開いていたのです。発表者は今から四半世紀前にその点に着目し、〈海を渡った縄文人〉という切り口で長期にわたるフィールドワーク(1996年~1999年)を行い、テレビ・ドキュメンタリーとして企画、番組化しました。モンゴロイドが南米大陸まで渡ったルートとしてはベーリング海峡説が有力ですが、この番組では、高度な文明や技術を持った縄文人が日本列島から海を渡り、ミクロネシア、ポリネシア、メラネシアという〈3つのネシア〉の島々を辿りながら南米大陸にたどり着いたという仮説を検証しました。手法としては俳優・仲代達矢氏を旅人(レポーター)として現地に日本文化との共通性を探りました。この番組は、テレビ東京の開局35周年記念企画として制作、放送されました。

ねらい:ダイアン・ヴォーン氏はメディアによって社会学の知見が活用されるときに生ずる歪曲、倭小化、偏向の危険を指摘しました。ウルリッヒ・ベック氏は「社会学者の研究成果がジャーナリストらによって利用される時、再解釈され、彼らの目的に即して変容される」と述べました。日本でも、飯田卓氏によって研究用の民族誌的な映像と民族誌的なテレビ・ドキュメンタリーが混同され論じられている場合が多いと指摘されているように、テレビ・ドキュメンタリーと民俗誌映像の間には「見えない溝」があるような気がします。実際に「見えない溝」はあるのでしょうか? もしあるとしたらそれはどういうものなのでしょうか? そしてその溝はなぜ起こるのでしょうか? またその溝を解消する手段はあるのでしょうか? それらの疑問をきっかけに、「映像人類学とメディアとの協働は可能なのか」といった未来への提言を考えるきっかけにできればと思います。

発表者略歴:
田淵俊彦 / (株)テレビ東京制作局企画委員(現在はドラマを担当)
相模女子大学・文教大学・桜美林大学・宝塚大学非常勤講師
日本文藝家協会正会員、日本映像学会正会員、日本映画テレビプロデューサー協会会員
単著:『秘境に学ぶ幸せのかたち』(講談社)、『チベット聖なる七つの智慧』(大和出版)ほか
映像集:『世界秘境全集 第一集・第二集 全12巻』ほか 
30年以上にわたりドキュメンタリーを手掛け、訪れた国は100か国以上、中尾佐助氏が提唱した照葉樹林文化論を基盤とする壮大な映像誌『日本人の源流シリーズ』を発表

司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、中垣恒太郎)

式次第(予定):
14時00分〜 開会の挨拶、研究会の紹介、事前に観て頂いた『ネシアの旅人〜もうひとつの海のシルクロード』の紹介、およびダイジェスト映像(番組のOP部分)を視聴
14時30分〜 研究発表「今回の番組の意図、〝事実〟と〝真実〟について」(内容は変更の可能性があります)
15時00分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 修了

映像人類学研究会代表:田淵俊彦

アジア映画研究会 公開イベントのお知らせ【10/2・10/15-17】

アジア映画研究会 公開イベント

よみがえる台湾語映画の世界

◎記念上映と国際シンポジウム
2021年10月2日[土] アテネ・フランセ文化センター
◎特集上映
2021年10月15日[金]〜17日[日] 国立映画アーカイブ 小ホール
※いずれも無料・申込制

【開催趣旨】アジア映画研究会は、本年度の公開イベントとして、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターほかと共催で「よみがえる台湾語映画の世界」を開催します。

台湾映画といえば1980年代に巻き起こった侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、楊徳昌(エドワード・ヤン)らのニューウェイブが有名ですが、それ以前も豊かな映画の世界が人々を魅了していました。本イベントでは1960年代に人気を博した「台湾語映画」(台語片)に注目し、「台湾映画・メディア文化センター」(國家電影及視聽文化中心)によりデジタル修復されて現代によみがえった作品の中から、日本初の特集として7作品(日本語字幕付き)を上映し、記念の国際シンポジウムを開催します。(10月座長:石坂健治)

【台湾語映画とは何か(text by 韓燕麗)】
台湾人口の7割以上を話者とする台湾語は、中国福建省の南部で話されている閩南語から派生したものであり、言語学的に中国語方言の一つとみなされる。「台語片」こと台湾語映画とは、1955年から81年にかけて台湾語のセリフだけで製作された映画群をさす。総数1000本を超えたこれらの映画は、伝統人形劇をベースにした歌仔戯映画や現代劇のメロドラマ、コメディやホラーなどのジャンル映画が多く、幅広い年齢層を魅了してきた。

その後も台湾語を部分的に使ったものとしてはニューウェイブ作品や古い台湾語映画のリメイクなどがあったが、大量生産の時代に庶民に愛されていたこの1000本あまりの映画群とは区別して考えられている。

台湾語映画の製作に関わったのは本省人(台湾出身)の監督と民営企業だけでなく、外省人(中国大陸出身)の監督と公営の映画組織も参入した。台湾映画・メディア文化センターによる収集・修復作業が1990年代初頭から始まり、現存するフィルムは200余り。近年では主要作品が次々とデジタル化されている。

【台湾映画・メディア文化センターとは】
映像・メディア資産の収蔵を職責とする台湾唯一の行政法人機構。映像・メディア資産の収蔵、修復、研究及び普及を促進し、資産の公共化の任務を目的として保存を通して記憶と歴史を未来につなげる。1978年設立の中華民国映画事業発展基金会附属映画図書館を基礎とし、1989年には財団法人映画図書館、2014年には財団法人国家映画センターと称す。現在、国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)、東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)、国際テレビアーカイブ連盟(FIAT/IFTA)等国際組織の正会員。

主催|台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
共催|日本映像学会アジア映画研究会、アテネ・フランセ文化センター
協力|台湾映画・メディア文化センター、国立映画アーカイブ

◎記念上映と国際シンポジウム
2021年10月2日[土]アテネ・フランセ文化センター(東京都千代田区神田駿河台2−11)

●14時~15時30分 記念上映『チマキ売り』
『チマキ売り』(燒肉粽)1969年/89分
監督|辛奇 脚本|辛金傳(辛奇) 撮影|廖慶松
出演|陽明、金玫、金塗、戴佩珊
1949年に発表された人気の流行歌が映画のタイトルになり、映画の中でも父と娘が雨の夜にチマキを売り歩くシーンで挿入歌として使われている。ファミリー・メロドラマで涙を誘う場面が多いがコメディの要素もあり、冒頭におけるノワール的な場面に辛奇監督の力量がうかがえる。2019年に現代版リメイクも作られている。(text by 韓燕麗)

●15時45分~17時15分(予定) 国際シンポジウム「よみがえる台湾語映画の世界」
[ビデオメッセージ]
謝 長廷(台北駐日経済文化代表処 代表)
王 君琦(台湾映画・メディア文化センター 執行長)
岡島 尚志(国立映画アーカイブ 館長)

[シンポジウム]
張 昌彦(映画史研究者)※台湾からリモート出演
四方田 犬彦(映画誌・比較文学研究者)
三澤 真美恵(日本大学教授/台湾映画史研究)
石坂 健治(日本映像学会アジア映画研究会 代表)

◎特集上映
会場|国立映画アーカイブ 小ホール(東京都中央区京橋3−7−6)

10/15[金] 12時00分 『モーレツ花嫁 気弱な婿さん』(三八新娘憨子婿)1967年/101分
      16時00分 『地獄から来た花嫁』(地獄新娘)1965年/117分
10/16[土] 12時00分 『夫の秘密』(丈夫的秘密)1960年/100分
      16時00分 『五月十三日 悲しき夜』(五月十三傷心夜)1965年/97分10/17[日] 12時00分 『危険な青春』(危険的青春)1969年/95分
      16時00分 『第6の容疑者』(六個嫌疑犯)1965年/108分

【作品解説(text by 韓燕麗)】

『モーレツ花嫁 気弱な婿さん』(三八新娘憨子婿)1967年/101分
監督|辛奇 脚本|陳小皮 撮影|陳忠信
出演|金玫、石軍、金塗、楊月帆

強い女性と弱い男性のカップルによる爆笑コメディ。美青年の家の外で群れる女性たち、結婚前の同棲を提案するヒロイン、そしてエンディングで結婚相手の家に嫁いで行く老父など、笑いの中にも伝統的な家父長制の秩序を転覆させるような設定もあって驚かされる。

『地獄から来た花嫁』(地獄新娘)1965年/117分
監督|辛奇 脚本|張淵福 撮影|洪慶雲・林贊庭
出演|金玫、柯俊雄、柳青、歐威、戴佩珊

エリナー・ヒバートの小説『琥珀色の瞳の家庭教師』(Mistress of Mellyn) (1960)を映画化したもの。殺人事件や幽霊などミスティックな要素が満載のホラー映画だが、当時まだ7歳の子役だった戴佩珊の演技力も見どころの一つ。父親が映画プロデューサーだった彼女は4歳から映画に出演し、今回の上映作では4年後の『チマキ売り』で主役を演じている。

『夫の秘密』(丈夫的秘密)1960年/100分
監督|林摶秋 脚本|陳舟 撮影|陳正芳
出演|張美瑤、張潘陽、吳麗芬

竹田敏彦の小説『涙の責任』(1939)と松竹の同名映画(1940)をベースにした作品。ヒロインを演じた張美瑤はのちに台湾と東宝の合作『香港の白い薔薇』(1965)にも出演した。公開当時はそれほどヒットしなかったが、2002年に香港映画評論学会が「華語映画ベスト200」の一本として選出し、再評価の機運が高まっている。

『五月十三日 悲しき夜』(五月十三傷心夜)1965年/97分
監督|林搏秋 脚本|洪信德(劍龍)・林翼雲(林搏秋) 撮影|林鴻鐘
出演|張清清、陳雲卿、張潘陽

姉妹が同じ男性に恋心を抱くという常套的なストーリーだが完成度が高く大ヒットした作品。5月13日の大稲埕(台北の西部にある古い市街地)における祭りの盛況を映像に記録したことで知られるが、中盤では「反攻大陸」(大陸に反撃せよ)のセリフが出るなど、この時代の記録としても興味深い。

『危険な青春』(危険的青春)1969年/95分
監督|辛奇 脚本|辛金傳(辛奇)・張宏基 撮影|廖慶松
出演:石英、鄭小芬、高幸枝

風俗産業の実態や売春の斡旋など道徳が崩壊した社会の暗黒面を暴いた作品。青少年に対する教訓的メッセージをラストに出してはいるが、同時期の台湾で作られていたいわゆる「健康写実主義」の北京語映画とは正反対の趣になっている。のちに台湾ニューウェイブの侯孝賢監督とコンビを組むことになる編集の名手・廖慶松が本作と『チマキ売り』では撮影を担当している。

『第6の容疑者』(六個嫌疑犯)1965年/108分
監督|林搏秋 脚本|林翼雲(林搏秋) 撮影|陳正芳・簡栄添出演|呉東如、張潘陽、夏琴心、田明

1965年に完成するも出来に不満足だった監督がフィルムを封印、90年にようやく初公開された作品。原作は南條範夫による推理小説『第六の容疑者』で、井上梅次監督による同名の日本映画(1960)がある。主人公が住むマンションのセットや軽快なジャズ音楽などが大都会のモダンな雰囲気を醸し出している。


《お申し込み方法》
・10/2[土] 記念上映と国際シンポジウム
ご招待人数:65名 お申し込み締切:9月27日[月]
①インターネットでお申し込み  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdTtCCSkRbh5ObfVyJmGTGIXEoLHajvHCMgyxxBQWE1A7RIgQ/viewform?usp=sf_link

上記申込フォームより氏名・氏名フリガナ・メールアドレスをご入力のうえお申し込みください。
※招待者には9/28に【taiwane-mu.biz】からメールで通知します。

・10/15[金]〜10/17[日] 特集上映
ご招待人数:各上映75名 お申し込み締切:10月5日[火]
①インターネットでお申し込み  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfzqSOOF2NsHlroQJrCot-8ZEDTTcb11Pw68k4nMYM_1HuBwg/viewform?usp=sf_link

上記申込フォームより氏名・氏名フリガナ・メールアドレス・鑑賞希望作品をご入力のうえお申し込みください。
※鑑賞希望作品は1回の申し込みにつき1作品です。複数作品希望の方はその都度お申し込みください。
※招待者には10/6〜8に【taiwane-mu.biz】からメールで通知します。

 ②ハガキでお申し込み
住所・氏名・氏名フリガナ・電話番号・鑑賞希望作品をご記入のうえ下記住所までお送りください。
※鑑賞希望作品は1通のハガキ申し込みにつき1作品です。
※招待者には10/6〜8に招待ハガキを郵送します。
〒107-0052 港区赤坂4-2-3-411 エミュー「台湾上映」係まで

お問合せ
有限会社エミュー(運営協力)
e-mail: taiwane-mu.biz   Tel:03-6659-6151(平日13:00〜19:00)

チラシは、こちら

第49回映画文献資料研究会【10月9日】

第49回映画文献資料研究会のお知らせ

日本映像学会映画文献資料研究会では、下記のように研究例会を開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちいたします。

「日本インディペンデント映画研究2 映画監督山本晋也再考」

企画概要:第47回の例会では、「日本インディペント映画研究 獅子プロの時代」と題して、映画監督の佐藤久寿監督をゲストに迎え、向井寛の獅子プロの活動について振り返りました。今回は映画『大色魔』(1971)の上映に併せて、映画史研究家の鈴木義昭氏をゲストにお迎えし、山本晋也監督とその作品世界についてのお話を伺います。

〇山本晋也
1939年東京生まれの山本晋也監督は、1963年日本大学藝術学部演劇学科を卒業後、日本教育テレビ(テレビ朝日)に入社。岩波映画製作所では羽仁進に師事し、市川崑の『東京オリンピック』(1965)制作時には、撮影助手として参加。ピンク映画の初期に、『狂い咲き』(1965)で監督デビュー。日本映画データベース(http://www.jmdb.ne.jp)によると、監督作は188本に上る。新東宝退社後の小森白が設立した東京興映では、渡辺護と中心的な監督として活躍した。『貸間あり 未亡人下宿』(1967)をヒットさせ、人気シリーズに仕立てたのを始め、<女湯もの>や<痴漢もの>といった戯作志向の強い作風で注目された。今回上映される『大色魔』は、日活ロマンポルノ裁判時に、東京地方裁判所で参考試写上映されたことでも知られる。ジョン・ランディスの『ケンタッキー・フライド・ムービ-』(1977)に触発された、赤塚不二夫原案・脚本の『下落合焼とりムービー』(1979)では、一般映画に進出。1980年代以降は、テレビ朝日の深夜番組『トゥナイト』のリポーターとして活躍した。

日時:2021年10月9日(土)15時~17時
会場:国立映画アーカイブ試写室
スケジュール 15時:参考上映『大色魔』(1971年)
16時:鼎談
〇鈴木義昭:映画史研究家
1957年東京生まれ。著書に、『日活ロマンポルノ異聞』(2008年)、『若松孝二 性と暴力の革命』(2010)、『「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎』(2016)、『ピンク映画水滸伝 その誕生と興亡』(2020年)など、多数。
〇田島良一:元日本大学藝術学部映画学科教授。
〇西村安弘:東京工芸大学芸術学部映像学科教授(進行)

参加費:入場無料
※会場の関係で、今回は先着10名までがご参加できます。参加希望の学会員は、連絡先のメール・アドレスに9月20日(月)までにお申し込み下さい。
連絡先:西村安弘 nishimurimg.t-kougei.ac.jp

主催:日本映像学会映画文献資料研究会(代表:西村安弘)