日本映像学会関西支部第96回研究会(3月11日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会関西支部第96回研究会を開催いたします。対面のみでの実施ですが、関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。
日時:2023年3月11日(土)午後2時30分より4時30分頃まで。
会場:大阪経済大学大隅キャンパス
研究発表1:『みんなのうた』のアニメーターとアニメーションの特徴からみる子どもの歌
—1980年半ばから90年半ばまでの番組テキストの資料を参考に —
発表者:ノートルダム清心女子大学 葉口英子会員
要旨:
本研究は、NHKが1961年から放送開始した音楽番組『みんなのうた』を対象に、1980年半ばから90年代半ばにかけての番組テキストの資料をもとに、この時期『みんなのうた』で活躍したアニメーターの創造性やアニメーションの種類や手法を明らかとする。
NHK『みんなのうた』は、歌詞の字幕が挿入された映像を伴う1、2曲の歌で構成される5分間の隙間番組である。先行研究では、1970年初頭までは実写、アニメーション、シルエット、絵・スチールなど多様な映像表現が見られたことが明らかとなっている。とりわけアニメーションの場合、外部クリエーターを多く起用しており、初期の頃から常連の作家が存在していた。アニメーションが主流となった80年代半ばから90年代半ばにかけても、『みんなのうた』を手がける常連のアニメーターが数多く存在した。
そこで本研究では、番組テキストの「アニメーター訪問」「アニメーター素顔のスケッチ」「うたのアトリエ」という連載記事に掲載された内容を、各アニメーターにみる創作の手法・アイデアをはじめ、制作過程や番組スタッフとのやりとりといった項目で整理し、この時期の『みんなのうた』のアニメーターやアニメ映像にみる特徴を分析した。
今回の発表では、当時の『みんなのうた』のアニメーターやアニメーションの種類・手法を確認すると同時に、「うた」の音楽的要素とも照らし合わせ、当時の『みんなのうた』が音楽とアニメ映像によって子どもの歌をいかに表現したのか、検証する。
研究発表2:ジャンルとしてのデスゲーム考察 『イカゲーム』『今際の国のアリス』『バトル・ロワイアル』を題材として
発表者:神戸芸術工科大学芸術工学部まんが表現学科 泉政文会員
要旨:
2021年Netflixにおいて全世界で大ヒットとなった『イカゲーム』の監督ファン・ドンヒョクはインタビューで、『ライアーゲーム』『賭博黙示録カイジ』などのデスゲームを扱った日本の漫画を読んでインスピレーションを得たとし、それらとの違いをこう語っている。「他の作品ではゲームが難しく複雑なので天才のような主人公が進行するが、『イカゲーム』は単純なので見る人がゲームよりも人に集中するようになるという点が違い」(WEBサイト「HANKYOREH」『ネトフリ1位「イカゲーム」監督「敗者たちを忘れちゃいけない」』2021.9)。『イカゲーム』公開の前年には日本のデスゲーム漫画を原作とする『今際の国のアリス』が同じくNetflixで公開され、確かに難解なゲームを主人公の才気でクリアしていく展開だった(2022年に第2シーズン公開で完結)。
本発表ではジャンルとしてのデスゲームを規定する要素がなにかをこのジャンルに大きく影響を与えたとさ れる『バトル・ロワイアル』(2000年)を起点とし、登場キャラクターや、ストーリー展開などの共通項から、デスゲームをジャンルとして規定する要素をまず見出したい。また『イカゲーム』を紹介する日本の記事には「なぜ日本で『イカゲーム』は生まれなかったのか?」という論調のものがあった。これに対してデスゲームというジャンルが持つ社会的な意義についても考察したい。それはデスゲームというジャンル名にある“ゲーム”をどう捉えるのかの違いがあると思われる。最後に人がゲームをする様を見る視聴体験の現代性について考察したい。
研究会会場:大阪経済大学大隅キャンパス B館3階 B32教室
交通アクセス https://www.osaka-ue.ac.jp/profile/access/areamap/index.html
構内マップ https://www.osaka-ue.ac.jp/profile/facility/
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