2014年度第1回(第19回)映像理論研究会【5月17日】

2014年度第1回(第19回)映像理論研究会の御案内

 2014年度第1回(第19回)映像理論研究会を下記の要領で開催します。約6年振りの開催となります。皆様の御来聴をお待ちしております。

日時:5月17日(土)15:00-18:30
場所:成城大学7号館722教室
※733教室から722教室へ変更されました。
(小田急線「成城学園前」駅北口より徒歩5分)

〒157-8511東京都世田谷区成城6-1-20
交通案内 http://www.seijo.ac.jp/access/index.html

発表者及び論題
木下耕介(群馬県立女子大学)「映像の人称を再考する――FPS、GoPro、ファウンド・フッテージ、そして『湖中の女』――」
中村秀之(立教大学)「ドゥルーズは『シネマ』で何をやったのか――映画的思考の思惟学(ノオロジー)について――」

発表要旨

木下耕介「映像の人称を再考する――FPS、GoPro、ファウンド・フッテージ、そして『湖中の女』――」
 映像の人称の問題は複雑である。例えばブルース・カウィンはかつて自著において、ベルイマンやゴダール、レネ、ウェルズ、黒澤らの作品―アメリカ映画研究ではしばしば〈芸術映画(art film)〉と分類されるもの―を対象にこの問題に取り組んだが、その結論は些かあいまいだった。彼は視覚的ないし光学的問題(POVショットであるかなしかといった問題)と物語情報の分類の問題(誰かの主観的想像・思考の内容なのか、それとも物語世界内の客観的出来事なのか)との関係を追求せず(ジャン・ミトリもこの問題を混同した)、ただ後者に関しては、登場人物ないし映画作家の心中の想像や思考を表す映像として「心中の光景(mindscreen)」という語を提案するにとどまった。
 以来、おそらくはこういった厄介さもあって、また映画理論自体が、この発想の前提となっているところでもある、自ら長く依拠してきた言語学的方法論から距離を置くようになったこともあって、映像を人称で分類するという思考法はさほど重要視されてはこなかった。
 しかしながら今日では、各種映像・情報機器の普及により、映像の人称の問題が再浮上するような事態が到来している。例えば巷では、FPS(First Person Shooter、すなわち一人称の射撃ゲーム)と呼ばれる、徹底してPOVショットにより構成されるコンピューター・ゲームが人気を博している。また、Go Proのような小型高性能カメラの普及と動画投稿サイトの流行は、パルクールと呼ばれる危険な都市部でのフリーランニング(建物の屋根から屋根へ飛び移ったり、高層建築用のクレーンに命綱なしでぶら下がったりする)などの疑似体験的POVシークエンスを流通させている(この映像はFPSにも吸収・模倣されている)。これらはいずれも、「一人称の」映像と呼ばれてもやむないものだ。
 また映画の世界では、ファウンド・フッテージ・フィルムと呼ばれるジャンルが隆盛を見せている。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』The Blair Witch Project (1999)がおそらく嚆矢となり、『パラノーマル・アクティビティ』Paranormal Activity (2007)や『クローバーフィールド/HAKAISHA』Cloverfield  (2008)のヒットにより確立されたこのジャンルもまた、凄絶な事件の被害者が残した記録映像(found footage)という体裁から、「一人称の」映像と呼ばれてもおかしくないように思われる。
 ではこういった映像はどのような意味で「一人称」と呼ばれるのか?本発表ではこの問題に取り組む。その際、言語のモデルが暗黙に前提としてきた話者=発信者中心のモデルに立脚するのではなく、認知主義の理論を援用しながら、観るものを中心とした理論モデルの構築を試みたい(カウィンもこのことの重要性には言及している)。さらに本発表では、提案するモデルの検証として、有名なロバート・モンゴメリの『湖中の女』Lady in the Lake (1947)を分析することを考えている。

中村秀之(立教大学)「ドゥルーズは『シネマ』で何をやったのか――映画的思考の思惟学(ノオロジー)について――」
 本発表は、ジル・ドゥルーズの『シネマ』に対する新しい読み方を提案する。ドゥルーズは『シネマ1*運動イメージ』の序文で、本書は映画史ではなくイマージュとシーニュについての分類の試みであると宣言した。これを受けて、歴史と分類学の関係についてはときに議論がなされてもきたが、同じ序文でドゥルーズが『シネマ』におけるイマージュの位置を示唆していることには意外にも注意が払われてこなかった。すなわち、「偉大な映画作家たち」は概念の代わりにイマージュ=運動やイマージュ=時間によって思考する、という言明である。してみると、『シネマ』は「偉大な映画作家たち」の「思考」を彼らがそのための手段ないし素材として用いるイマージュを分類することで明らかにしようとした企てということにならないか。実際、ドゥルーズは『運動イメージ』刊行時のインタビューでこう語った。「私が考えていたのは映画について哲学するということではなく、記号の分類を通して映画を、映画自体のために考えるということでした。〔略〕私が述べているのはごく単純なこと、つまり偉大な映画作家には思考があり、映画を作るとはいきいきとした創造的な思考の問題であるということです」(「観客としての哲学者の肖像」)。別のところでは「映画は常に思考のイメージを構築しようとつとめてきたし、思考のメカニズムの表現をこころがけてきた」と書いている(「想像界への疑義」)。そして、「さまざまな思考のイメージを調べていく研究」を、ドゥルーズ自身は「思惟学(ノオロジー)」と呼ぶ(「哲学」)。『シネマ』におけるドゥルーズの哲学的思考の第一義的な対象は、映画作品ではなく、「偉大な映画作家たち」の創造的な映画的思考とその条件なのである。したがって『シネマ』は「映画的思考の思惟学(ノオロジー)」の企てにほかならない。本発表はこのような観点から、さしあたり『運動イメージ』前半の議論の構成を再検討し、これまで必ずしも明確に捉えられてこなかった諸問題を一貫したパースペクティヴのもとで理解することを試みる。すなわち『運動イメージ』は、まず『創造的進化』に依拠して〈運動の思考〉を基礎づけ、自然的知覚と映画的知覚を区別し(第1章)、次いでバーチ的なパラメーター分析を通して〈映画的思考〉の本質をモンタージュとして確立し(第2章)、その映画的思考=モンタージュの諸傾向を主にサイレント期の映画作家たちを対象に分類し(第3章)、さらに『物質と記憶』にもとづいて、映画的思考の素材であり条件であるイマージュ=運動とその変種の演繹的発生を論じる(第4章)。イマージュとは物質的素材であり、シーニュとはその素材に形式を付与する表現的機能を担った特別なイマージュである。こうして、映画的思考の条件の演繹と条件づけられた思考の差異化の過程を追求する『シネマ』は、ドゥルーズ特有の超越論的経験論の実践、「新しい感性学」の企てとして読むことができる。

問い合わせ先:木村建哉(映像理論研究会代表) kimura02■seijo.ac.jp(■を@に変えて下さい)

以上

日本映像学会映像理論研究会
代表 木村建哉
〒157-8511
東京都世田谷区成城6-1-20
成城大学文芸学部内

第4回ヴィデオアート研究会【4月19日】

第4回ヴィデオアート研究会(4月19日)開催のお知らせ

日時:2014年4月19日(土) 14:30-17:00
会場:渋谷勤労福祉会館2F会議室 洋室1
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kinro.html

内容:台湾關渡美術館チーフキュレーターの呉達坤(ウー・ダークン)さんをゲストに、彼が主宰する開催中のAAA「アジア・アナーキー・アライアンス」 展とともに、 展覧会の組織・また作品関する解説などをお聞きしたいと思います。

AAA「アジア・アナーキー・アライアンス」展は特にヴィデオだけの展示というわけでは有りませんが、キュレーター自身がヴィ デオ作家の経歴があり、展示にいくつか映像作品が入っています。 研究会会場の階下、トーキョーワンダーサイト渋谷ほかワンダーサイト本郷でも行なっております。研究会前に展示をご覧頂ければよりキュレーターとのセッションが深まるかと思います。
http://www.tokyo-ws.org/archive/2014/02/S0308.shtml

ゲスト講師略歴: http://www.tokyo-ws.org/creator/w/post-285.shtml

予定出席者
呉達坤(ウー・ダークン、台湾關渡美術館チーフキュレーター)
司会・進行:瀧 健太郎会員(ビデオアートセンター東京代表)

お問合せ:
日本映像学会ヴィデオアート研究会
代表 瀧健太郎
e-mail:taki.kentarou@ebony.plala.or.jp
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町42-6 co-lab 渋谷アトリエ内
ビデオアートセンター東京


報告:会報第167号(2014年7月1日)6頁

会報第166号を発行しました。

会報第166号(2014年4月1日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter166
会報第166号

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