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研究企画委員会からのお知らせ(1:研究会登録申請、2:2014年度研究会活動費助成の公募、3:2013年度研究会活動の報告)

研究企画委員会から研究会活動にかんする3 件のお知らせ。

1: 研究会登録申請について
 研究企画委員会は引き続き2014 年度の目標として、本学会に所属する研究会活動のさらなる活性化を奨励します。
 あわせて、新規の研究会の発足を奨励するとともに、有意義な研究会活動を支援し、研究会活動の成果の共有化を図ることを具体的な課題としています。
 2013 5 11 日の理事会において、その目標の実現に向けて研究企画委員会では、既存の研究会の活動実態を把握するとともに、研究会活動の統括をになうことが決定されました。
 2013 年度中は目標達成にむけ、これまでの研究会の所属関係を整理し、原則的にすべての研究会はあらためて各支部に登録申請書を提出し、承認を得ることになりました。
 これにともない、理事会の直属機関である研究企画委員会に直属していた4 研究会についてもその所属関係が解消され、当該の研究会が研究会活動の継続を希望する場合は、あらためて各支部に登録申請を行ない、許諾を得ることが必要となりました。
 *登録申請を検討中の研究会は代表者の所属する支部、または所属する研究員が多数を占める支部に登録申請をおこなってください。なお、研究会内にさらに支部会などを組織する場合は、必要に応じて各研究会内部で調整をおこなってください。
 *研究会に配分される運営費は登録する支部予算の中から支給されます(配分額については各支部の裁量による)。
 *研究会の申請時期は春期(4月末)、秋期(9 月末)の年2 回とします。
 *過去2 年間以上にわたり実質的な研究会活動が見られない研究会は、研究活動に対する休止の正当な理由、存続の必然性の有無、研究会を構成する会員の意欲および、今後の研究活動の継続への意思などが問われます。
 研究活動の休止の理由などについて充分な説得力が得られない場合には研究企画委員会・理事会の審議を経て本学会が公認する研究会としての承認が得られない場合があります。
 なお、その対象となった研究会は、2 年間同一の会員が主宰する同名の研究会として申請することができなくなります。

◎「研究会登録申請書」について
 新規に発足を希望する研究会、および2013 年度中に各支部への登録申請が済んでいない既存の研究会の主宰者は添付の記入票(研究会登録申請書.xls)に、必要事項を記入のうえMail にて映像学会事務局・支部宛(登録を希望する支部)に登録申請を行なってください。(電子メールの場合の送信先アドレス: jasias@nihon-u.ac.jp
*なお、「研究会登録申請書」の記入内容については学会ホームページに掲載の記入票をご覧ください。

2: 2014 年度研究会活動費助成の公募について
●研究会活動費助成の公募
 2014 年度、本学会は映像にかんする研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する研究活動にたいして研究会活動費助成の公募をします。
 有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とし、研究会活動費助成の公募をします。
 応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。
 なお、活動休止中の研究会については、研究会活動の再開計画の立案、組織の再編成案の策定のうえ応募を検討されるか、あるいは活動の停止・解消等の検討を充分行なうことが望まれます。
●応募期間:2014 2 1 日〜3 31
●応募資格:各支部に所属する研究会の代表者
●公募内容:研究会が企画・運営する研究会活動費として以下の2 種の助成金を交付します。企画内容にそってどちらかを選択して応募してください。( ただし、応募状況により予算額の調整を行なう場合があります)
  予算額A: 150,0002 件程度)
  予算額B: 80,0003 件程度)
  ( 総額¥500,000~540,000 程度)
●審査結果の通知:2014 5 月中旬
●助成金の交付:審査結果にもとづき助成金額を通知します。原則として年度末に領収書と引き換えに交付します。事情により事前の交付についても柔軟に対応する用意があります(総務扱い)。
●研究会活動の結果の報告書の提出:年度末(学会報、大会などでの公表)
●研究会活動費の運用についての報告:(総務へ提出)
*なお、申請内容に食い違いが生じたものや、実施できなかったものについては報告と、助成金の返還を求める場合があります。

◎「研究会活動費助成申請書」について
 応募する研究会の主宰者は添付の記入票(研究会活動費助成申請書.xls)に、必要事項を記入のうえMail にて映像学会事務局・研究企画委員会宛に送ってください。(電子メールの場合の送信先アドレス: jasias@nihon-u.ac.jp
* なお、「研究会活動費助成申請書」の記入内容については添付の記入票をご覧ください。

3: 2014 年度研究会活動の報告
 各研究会は2013 年度中に行なった研究会活動の結果の報告書の提出が必要です。
●研究会活動の成果の共有化を図るという観点から、各研究会は研究会活動の結果を報告書として提出することが必要です。
*とくに研究会活動助成金を受けた研究会は会員に対して、その研究成果、活動運営費の使途・決算書を公表する義務があります。年度末の学会報への掲載に合わせて、研究成果については大会での公表が望まれます。
*学会報に報告書を掲載される場合は、文字数など学会報の規定のフォーマットに従って報告書を作成してください。
*大会で研究発表される場合は大会運営委員会の指示にもとづいて行なってください。
●研究会活動費の運用についての報告は決算報告書に加えて領収書を総務へ提出してください。

以上

日本映像学会研究企画委員会
委員長 相内啓司

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研究会登録申請書.xls

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研究会活動費助成申請書.xls

中部支部2013年度第2回研究会【12月14日】

中部支部2013年度第2回研究会

日時:12月14日(土)15:00〜
会場:名古屋文化短期大学C館3階 ハイビジョンホール(C301)
(名古屋市東区、地下鉄東山線新栄駅すぐ。)

■スケジュール
・15:00〜16:00 研究発表・研究報告
発表者:林桃子会員(名古屋芸術大学デザイン学部非常勤講師)
タイトル:「写真の焦点と注視点からみたイメージの領域」
発表要旨:イメージを見ること,あるイメージとあるイメージが似ていると受けとめること,そこから何かしらか気づくこととはどういうことか,その理解の仕方や想像性などについて,内容に基づくイメージリトリーバルの手法を用いて研究を進めてきた.今回は写真を見る時に人がどのような領域を注目しているのか,焦点と注視点の関係から調査する.アンケートによる実験とアイトラッカーを用いた実験の結果からイメージの領域についての考察を行う.

報告者:伏木啓会員(名古屋学芸大学)
タイトル:「映像インスタレーション“waltz / ワルツ”ー中川運河におけるアートプロジェクトの報告」

・16:00〜17:00 講演
堀潤之会員(関西大学)
タイトル:「歴史家ゴダール――『ゴダール・ソシアリスム』再考」
講演要旨:ジャン=リュック・ゴダールの『ゴダール・ソシアリスム』(Film socialisme, 2010)は、『映画史』(Histoire(s) du cinéma, 1988-98)以降のゴダールの歩みで、まぎれもなく最も力強く、ラディカルで、密度の濃い作品である。本講演では、この作品で演じられているイメージの異種交配の様態にも目を向けつつ、パレスチナ/ユダヤの観念連合を核として、より根本的な次元でいかにゴダールの歴史的想像力が作動しているかを解明する。『映画史』で頂点に達したかに思われたゴダールの歴史叙述の方法論は、この作品で新たな展開をみせることになるだろう。

・17:00〜17:30 ディスカッション

・18:00〜 懇親会

以上
日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒487-8501愛知県春日井市松本町1200
中部大学人文学部コミュニケーション学科内


報告:会報第165号(2014年1月1日)12頁

関西支部第70回研究会【12月14日】

日本映像学会関西支部第70回研究会(12月14日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第70回研究会、支部総会を開催いたします。

日時:平成25年12月14日(土) 午後2時より
会場:大阪大学豊中キャンパス
    全学教育推進機構講義棟(旧共通教育講義棟)A棟 1階A102

研究発表1:時代劇映画の演出の特色 -山中貞雄を中心に-
発表者:岡田彰仁会員(大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了)
要旨:山中貞雄の「河内山宗俊」 が製作された1936年(昭11)は、サイレントからトーキーへの移行が大幅に進められた時期であり、翌年(’37)まではトーキー化が完了していたといわれている。昭和11年度の日本映画封切本数は521本であったことを考えると、物語の素材を小説や戯曲に求めたのも理解できる。そんな中、山中は前進座のレパートリーであった「河内山宗俊」を映画化するが、同時期に製作された伊丹万作の「赤西蠣太」に比べると、作品批評では山中の評価が高かった。とりわけ山中は撮影技術を主にした演出に腕をふるい、伊丹は登場人物の性格に重点をおいた演出を行っていると批評されている。実際、山中は作中人物の心理を表現するに当って、その表情を直接捉えることはせず、T字セットと照明効果を巧みに利用して、人物の感情や心理を際立たせるといった手法をとっている。
 本発表は山中と伊丹の作品に加え稲垣浩の作品も取り上げ、山中の映画演出について考察する。あくまで過去の批評の刷り直しではなく、批評されていない部分を重点に、山中の演出を明らかにしたい。

研究発表2:メディアのスピリチュアルな役割について-日本と韓国における『ハイジ』-
発表者:朴紀昤(パク・キリョン)会員(韓国中央大学先端映像大学院)
要旨:スイスの作家ヨハンナ・スピリが書いた『ハイジ』(1880~1881年)はこれまで多数の国で翻訳されてきた。また、さまざまなメディアの形で変容されてきた。もっとも知られているテレビ用アニメーション『アルプスの少女ハイジ』は、1974年日本で放映されて以来、社会的・文化的観点から取り上げられるようになっている。さらに、そのアニメーションは韓国でも1976年放映され、やはり翻訳された原作より、知られている。『アルプスの少女ハイジ』には、原作と異なる設定がみられるが、一方では、原作の精神が継承されているといえる。このようなメディア間の差異と類似性がメディア拡散のエネルギーになっているのではないか。本発表をとおして、日本と韓国におけるスピリの『ハイジ』を、メディアの変容という観点から考察し、そのアニメーションの役割について考えてみる。

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大阪大学豊中キャンパス:大阪府豊中市待兼山町1-5
TEL:06-6850-6410 (三宅研究室)
アクセス:阪急石橋駅、または大阪モノレール柴島駅下車 徒歩15分程度
周辺地図・キャンパスマップ:
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/toyonaka/toyonaka.html
—————————————————————

研究会終了後(午後4時30分頃)同会場にて支部総会を行います。

また午後6時頃より懇親会を催します。会費5000円程度、会場は当日お知らせします。(阪急石橋駅近辺を予定しています。) 皆様の参加をお待ちしています。

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)


報告:会報第165号(2014年1月1日)12頁

2013年度第2回映像心理学研究会【12月14日】

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日本映像学会映像心理学研究会
研究発表会開催のご案内
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深秋の候、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて、日本映像学会映像心理学研究会を下記の如く開催いたします。
是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日本映像学会映像心理学研究会代表 横田正夫

■日時===========================================
平成25年(2013年)
12月14日(土曜日)
14:00~18:00

■会場===========================================
日本大学文理学部3510教室
(東京都世田谷区桜上水3−25−40)
交通アクセス 京王線 下高井戸あるいは桜上水下車、徒歩8分
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/access/

■プログラム=====================================
14:00-15:00 (ゲスト発表)
「アニメーションの動きについて」
深井利行氏(ブレインズ・ベース)
動きを創造する行為は、結果様々な手段によって時間の推移による状態の変化を現すことになります。そして、なめらか(自然)な動きを創造するあるいはそのように認識させる為には、その中で起こる運動のズレ(時間差)を適切に現すことが重要になり、自然と運動曲線はより複雑になります。それらを、特に「フォロースルー」「セカンダリーアクション」「ムービングホールド」という技法へ現場レベルではどのように結びつけているのか。

15:10-16:10 (ゲスト発表)
「提案~アニメーションとは「動きの造形」である」
森田宏幸氏(アニメーション作画・演出)
「動きの造形」とはどのようなものか? 先行する研究を参照しつつ分かりやすく示します。その上で、日本アニメは本当に動いているのか?問題提起させていただき、その上で、アニメーションの作り手が認める「動き」について考え、「動きを作る技術」とは何か?その再定義を提案いたします。

16:20-17:20 (ゲスト発表)
「コマ撮りの違いがポイント・ライト・ウォーカーの印象に与える効果について」
中村 浩氏(北星学園大学短期大学部) 
床上歩行、氷上歩行、氷上急ぎ足歩行、雪上歩行4種類のポイント・ライト・ウォーカーについて「1コマ撮り」、「2コマ撮り」、「3コマ撮り」のアニメーションを作成し、それらに対する18の形容詞対による印象評定を比較した。その結果、歩行動作に特徴の少ない「床上歩行」と「氷上歩行」については3アニメーション刺激に対する印象評定間に違いが認められたが、特徴的な歩行動作をする「氷上急ぎ足歩行」および「雪上歩行」については、印象評定に大きな差は認められなかった。研究会では、この結果およびその解釈について議論を深めたいと考えています。

17:30-18:00
全体討議

■参加申込======================================
どなたでも参加できますが、資料作成の都合上、12月12日までに下記までお申し込み頂けますと助かります。
なお申込み無しでのご参加の場合、配布資料をご用意できない場合がございますので、予めご了承ください。

■参加申込・問合せ先============================
日本映像学会映像心理学研究会
〒156-0045 東京都世田谷区桜上水3−25−40
日本大学文理学部心理学研究室(横田正夫)
E-mail: myokota@chs.nihon-u.ac.jp
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427
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報告:会報第166号(2014年4月1日)10頁

第33回映画文献資料研究会【12月7日】

第33回映画文献資料研究会のお知らせ

日本映像学会映画文献資料研究会では下記の如く研究例会を開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちしています。

日 時:2013年12月7日(土) 15時〜17時
場 所:日本大学芸術学部江古田校舎東棟2階E204教室
      西武池袋線江古田駅下車 徒歩5分
            http://www.art.nihon-u.ac.jp/information/access.html#map

発表者:山口博哉氏(映画史家)
テーマ:映画監督・春原政久(すのはら・まさひさ)のフィルモグラフィー作成について        今回は、轟夕起子の研究者として知られる山口博哉氏をお招きし、氏がもう一つのライフワークとして10年かけて調査した、春原政久監督のフィルモグラフィーについて、その作成の経緯や情報収集の苦心談等を発表して頂きます。これまで東宝の『三等重役』を撮った監督と言う程度にしか知られていなかった春原政久監督の全貌が、今回の発表で明らかになることでしょう。

問合せ先:日本映像学会映画文献資料研究会
        代表 田島良一
        〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
        日本大学芸術学部映画学科内
          TEL 03−5995−8220・8944

 


報告:会報第166号(2014年4月1日)12頁-13頁

インターリンク:学生映像作品展[ISMIE] 2013 【京都上映会/11月29・30・12月1日】

〈インターリンク学生映像作品展(ISMIE2013)京都上映のご案内〉

映像表現研究会が運営する〈インターリンク学生映像作品展(ISMIE2013)〉が『京都メディアアート週間2013』(11月29日(金)~12月1日(日))のプログラムとして「元・立誠小学校“特設シアター”(木屋町通蛸薬師下ル)」にて上映されます。今回は、日本アニメーション学会&日本アニメーション協会の実行委員会が主催する〈インターカレッジ・アニメーション・フェスティバル(ICAF2013)〉からの選抜作品集も同時にプログラムされています。また例年のドイツからのアニメーション作品集や短編作品集も上映されます。
ISMIE参加校の先生方はもとより、会員諸氏の参加をお待ちしております。詳しくは、以下のサイト( Kino-Vision )にてご確認ください。

http://www.kyoto-seika.ac.jp/kino/2013/index.html

cf. 〈京都メディアアート週間2013〉
———————————————————
日時:11月29日(金)30日(土)12月1日(日) 〈14:00~19:10〉
会場:元・立誠小学校“特設シアター”(木屋町通蛸薬師下ル)
主催:KINO-VISION + GOETHE-INSTITUT Villa Kamogawa
共催:日本映像学会映像表現研究会+ICAF実行委員会+日本アニメーション学会&日本アニメーション協会
協力:AG Kurzfilm、京都精華大学芸術学部映像コース
———————————————————
以上

映像表現研究会 伊奈新祐
[西部会]
〒606-8588 京都府京都市左京区岩倉木野町137
京都精華大学芸術学部内


報告:会報第165号(2014年1月1日)10頁-11頁

会報第164号PDF公開版を掲載しました。

会報第164号(2013年10月1日)PDF公開版を掲載しました。
以下のPDFよりお読みください。[ペーパーによる完全版は会員配布]

JASIAS_NewsLetter164
会報第164号PDF公開版

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
PDF表示画面が出ずに真っ白や真っ黒の画面になることがあります。
また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンを
クリックしてみてください。

第7回クロスメディア研究会【11月2日】

第7回クロスメディア研究会開催のご案内

第7回クロスメディア研究会を下記のごとく開催します。
会員の皆さんのご参加をお待ちしております。

開催日時:2013年11月2日(土)14:00-17:00
開催場所:京都造形芸術大学芸術学部 教室 A11
〒606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116
京都造形芸術大学芸術学部
http://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/access/
後援:京都造形芸術大学

【研究発表プログラム】
14:0014:25 実写とアニメの融合の行方
森本純一郎会員 (東京工芸大学、横浜美術大学非常勤講師)
 映像の媒体が、フィルムからデジタルに移行することによって、かつて明確に区別されていた実写とアニメーションは、その境界を曖昧にしてきた。それは、単にデジタルとアナログという二項だけでなく、映像の作り手の心理にも変化があったと考えるべきなのだろう。撮影するとはどういう意味があったのだろうか。動きを作り出すとはどういうことだったのだろうか。映像芸術における作り手の意識の方向性。それが、実写をアニメに近付けたのか、アニメが実写を凌駕してしまったのか。例えば、モーションキャプチャーで動きを獲得するCG、在ってはならないものを消され、欲しいものを合成された映像。今回は、その両者の境界線上で起きている越境表現について発表する。

14:30−14:55
観察する自己変容:ジョン・ケージから一乗法界図へ
河合孝治氏(サウンドアーチスト、河合明会員)
 
「理性・意識・分節」を基本とし主観的なエクリチュール主義の音楽に対して、ジョン・ケージは「唯音を聴く」ことで、自己意識を自我から非我へと導く。このようなケージの試みを基にさらにそれを超える方法として私が考案したのが「一乗音界図」 である。「一乗音界図」は音楽作品ではあるが、同時にウィパッサナー瞑想を取り入れた音楽心理療法でもある。様々なバージョンが存在するが、「聴衆のための心理療法」 および「演奏家のための心理療法」の2作品について述べる。

15:00−15:25
「O.メシアンの作品における時間の表現について」
斎藤恵氏(大妻女子大学)
 
本発表では20世紀を代表するフランスの作曲家、オリヴィエ・メシアン(1908~92)の代表的なピアノ曲『鳥のカタログ』(全13曲)(1956~58)をおもに採り上げ、そのスコアに記された時刻や時間帯を示す言葉(フランス語)、たとえば「午前3時、午後5時、夜、真夜中、日の出、朝、正午、日没」といった表記に着目し、そこに書かれた音符、即ち音楽との前後関係や作品の構成について、実際にOHCでスコアを示しながら明らかにしてゆく。

15:30−15:55
子供たちとの映像ワークショップ活動を通してみた映像表現の可能性について
李容旭会員(東京工芸大学)
李の研究室では3年前から伊豆の大島や今年は福島県のいわき市で子供たちとの映像ワークショップを進めている。研究室の学生らと地域の子供が力を合わせて映像づくりを試みたわけだが、結果的にでき上がったのは地元を紹介するプロモーションビデオ。この何年間のワークショップのプロセスを紹介しながら成果や課題などを検討していく。

16:00−16:25
「戦前・戦中のマンガ」
牛田あや美会員(京都造形芸術大学)
 
多くの小説家・芸術家たちは、戦後、戦争責任を糾弾された。しかしながら、マンガに関してはあまり戦争責任を追及されることもなく、戦後も活躍した人も多い。直接的な戦争賛美を謳った作家のなかには、戦後それをなかったかのように振るまい続けた人々もいる。今回は、作家の戦争責任を追及することでなく、子ども雑誌の挿絵(いまでいうところのマンガ)を中心に、少年、少女雑誌が「外国への憧れ」を使用し、プロパガンダの役割を果たしていったのかを検証していく。

16:30−17:00
カメラから獲得する〈存在・イメージ・世界〉を越えて
三橋純会員(横浜美術大学)
 
カメラから獲得する〈存在・イメージ・世界〉とは、現代人が迎える新しい意識の地平の話を想定している。既成概念に囚われないニュートラルな存在、インテグラルな世界と呼ばれる価値世界、その中で私たちが基軸としなければならないモノやコトを再考するとりわけ発明以降写真家が模索してきた世界のあり方を参考にしながら、いま一度世界の見え方、そしてあり方を検証する。

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発表者プロフィール
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森本純一郎
1975年生まれ。日本大学大学院芸術学研究科博士前期課程映像芸術専攻修了。『識閾を拡張する者─実写とアニメの融合』(「KAWADE夢ムック 文藝別冊 押井守」へ寄稿)元東京国立近代美術館フィルムセンター非常勤職員。

河合孝治(河合明)
サンタフエ国際電子音楽祭、ISEA 電子芸術国際会議、ETH デジタルアート週間(スイス)、チリ・サンディアゴ国際電子音楽祭”Ai-maako 2006″、ISCM 世界音楽の日々2010(豪)、Opus medium project などで、“Chaosmos”“一乗音界図”と言う自らの芸術思想を基にパフォマンスや作品を発表している。

斎藤恵
東京藝術大学音楽学部器楽科卒業、同大学大学院音楽研究科器楽・音楽学修了。現在、大妻女子大学教授。音楽学会、音楽教育学会、美学会、美術史学会、日本オルガニスト協会各会員。東京の夏音楽祭、大妻女子大学ヒーリングコンサート、東京女子大学昼休みオルガンコンサート、北陸学院パイプオルガンチャリティコンサート等に出演、O.メシアンに関する論文多数。

李容旭
2005年日本大学大学院芸術学研究科芸術専攻博士後期課程満期退学
2003年より東京工芸大学講師、現在東京工芸大学芸術学部映像学科教授
映像芸術の創造特性や映像と美術の関係に強く関心をもち理論と表現の両面で研究、創作活動を進めている。4年間、メディア芸術•情報美学国際会議を主宰。日本、中国、韓国、アメリカ、イギリスなど国際間の研究者と作家らの出会いをプロデュース。論文「電子メディア時代の映像芸術の創造特性−ナムジュンパイクの場合」他、作品(「お山の駱駝」のために)2013他。

牛田あや美
2006年日本大学大学院芸術学研究科芸術専攻博士後期課程修了。博士(芸術学)。現在京都造形芸術大学専任講師。単著に『ATG映画+新宿 都市空間の映画たち!』(D文学研究会)2007、共著に『横溝正史研究2』(光祥出版)2010、『아시아영화의오늘 – 아시아영화미학과산업 (アジア映画の今-アジア映画美学と産業)』【한울아카데미(ハヌルアカデミ)】2012、『メディア文化論』(ナカニシヤ出版)2013、他。

三橋純
広告写真制作プロダクション退社後日本大学大学院芸術学研究科復学。1999年博士課程単位取得満期退学。現在、横浜美術大学映像メディアデザイン研究室准教授。2000年以降国内外にてグループ展及び個展多数。日本映像学会・日本写真学会・日本写真芸術学会所属。

[問い合せ先]
日本映像学会クロスメディア研究会
代表 李 容旭
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5
東京工芸大学芸術学部映像学科
lee@img.t-kougei.ac.jp
Tel&Fax 03-5371-2717

[当日会場等問い合せ先]
牛田あや美
〒606-8271京都市左京区北白川瓜生山2-116
京都造形芸術大学芸術学部マンガ学科
a-ushida@kuad.kyoto-art.ac.jp
Tel&Fax 075-791-9712

なお、研究会終了後および翌日に市内の寺社見学を以下のように予定しています。集合場所・タイムテーブル等詳細は上記研究会へお問い合わせください。
[クロスメディア研究会主催のエクスカーション]
1.青蓮院門跡見学と交流会
日時:2013年11月2日(土)17:45~21:30
参加費:1,200円程度(拝観料と交通費)
2.二条城、建仁寺、東寺の見学
日時:2013年11月3日(日)10:00~17:00
参加費:4,000円程度(拝観料と交通費)

以上


報告:会報第165号(2014年1月1日)6頁-9頁

インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2013【東京会場/10月25・26・27日】

「インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2013」(東京会場)開催のご案内

今年で第7回となる「インターリンク:学生映像作品展2013」を映像表現研究会主催にて開催します。例年は京都会場からスタートする催しでしたが、今回より東京会場からご覧頂く形に変わりました。
京都会場は、11/29(金)~12/01(日)の3日間、「京都メディアアート週間2013」のプログラムとして元・立誠小学校“特設シアター”にて実施します。追って情報発信します。
東京会場は、10/25(金)~10/27(日)の3日間、新宿三井ビル1F 55スクエアにて実施します。詳細は下記です。
★10/25(金)、10/27(日)は、10:00~18:00に各校25分以内で推薦された全作品を上映します。
★10/26(土)は、12:30~16:00に各代表作品(10分2作品以内)のプログラムを上映し、17:00~19:00に作品推薦教員による「現在の映像教育とその表現を巡る」シンポジウムを予定しています。尚、東京会場ではシンポジウム直前の16:30より、協賛のエプソン販売株式会社より使用機材及び印刷展示物のデモンストレーションを予定しています。

何れの会場も会員諸氏や作者のみならず、大勢の方にご覧頂きたいと思っています。是非お立ちよりください。全て入場無料です。

[ISMIE2013参加校]
阿佐ヶ谷美術専門学校 メディアデザイン科
大阪芸術大学 芸術学部
大阪成蹊大学 芸術学部
九州産業大学 芸術学部
京都精華大学 芸術学部
尚美学園大学 芸術情報学部
情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]
成安造形大学
多摩美術大学 映像演劇学科
東京工芸大学 芸術学部
宝塚大学 東京メディア・コンテンツ学部
玉川大学 芸術学部
東京造形大学
東北芸術工科大学 映像学科
名古屋学芸大学 メディア造形学部
名古屋市立大学 芸術工学部
日本大学 芸術学部
文教大学 情報学部
北海道教育大学
武蔵野美術大学 造形学部
早稲田大学 川口芸術学校

[プログラム]

10/25(金)
10:00~
Aプログラム(67分)
文教大学 情報学部/名古屋市立大学 芸術工学部/東京造形大学/京都精華大学 芸術学部

11:30~
Bプログラム(84分)
玉川大学 芸術学部/北海道教育大学/成安造形大学/阿佐ヶ谷美術専門学校 メディアデザイン科/武蔵野美術大学 造形学部

(約30分間の休憩)

13:30~
Cプログラム(70分)
東京工芸大学 芸術学部/早稲田大学川口芸術学校/九州産業大学 芸術学部/大阪成蹊大学 芸術学部

15:00~
Dプログラム(81分)
情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]/宝塚大学 東京メディア・コンテンツ学部/名古屋学芸大学 メディア造形学部/多摩美術大学 映像演劇学科

16:45~
Eプログラム(77分)
尚美学園大学 芸術情報学部/大阪芸術大学 芸術学部/日本大学 芸術学部/東北芸術工科大学 映像学科

10/26(土)
12:30~
代表作品プログラム I(52分)
文教大学 情報学部/名古屋市立大学 芸術工学部/東京造形大学/京都精華大学 芸術学部/玉川大学 芸術学部/北海道教育大学/成安造形大学

13:45~
代表作品プログラム II(55分)
阿佐ヶ谷美術専門学校 メディアデザイン科/武蔵野美術大学 造形学部/東京工芸大学 芸術学部/早稲田大学川口芸術学校/九州産業大学 芸術学部/大阪成蹊大学 芸術学部/情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]

15:00~
代表作品プログラム III(63分)
宝塚大学 東京メディア・コンテンツ学部/名古屋学芸大学 メディア造形学部/多摩美術大学 映像演劇学科/尚美学園大学 芸術情報学部/大阪芸術大学 芸術学部/日本大学 芸術学部/東北芸術工科大学 映像学科

16:30~
エプソン販売株式会社によるプレゼンテーション(30分)

17:00~
作品推薦教員によるシンポジウム「現在の映像教育とその表現を巡る」(120分)

10/27(日)
10:00~
Eプログラム(77分)
尚美学園大学 芸術情報学部/大阪芸術大学 芸術学部/日本大学 芸術学部/東北芸術工科大学 映像学科

11:30~
Dプログラム(81分)
情報科学芸術大学院大学 [IAMAS]/宝塚大学 東京メディア・コンテンツ学部/名古屋学芸大学 メディア造形学部/多摩美術大学 映像演劇学科

(約30分間の休憩)

13:30~
Cプログラム(70分)
東京工芸大学 芸術学部/早稲田大学川口芸術学校/九州産業大学 芸術学部/大阪成蹊大学 芸術学部

15:00~
Bプログラム(84分)
玉川大学 芸術学部/北海道教育大学/成安造形大学/阿佐ヶ谷美術専門学校 メディアデザイン科/武蔵野美術大学 造形学部

16:45~
Aプログラム(67分)
文教大学 情報学部/名古屋市立大学 芸術工学部/東京造形大学/京都精華大学 芸術学部

日本映像学会ホームページ https://jasias.jp/
映像表現研究会ブログ   http://d.hatena.ne.jp/e_h_kenkyu/

会場:新宿三井ビルディング1F 55SQUARE
http://www.shinjukumitsui55info.jp/access/index.html

日本映像学会映像表現研究会
ISMIE 2013 事務局
〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部映画学科
TEL 03-5995-8221
担当:奥野邦利
e-mail:okuno.kunitoshi@nihon-u.ac.jp


報告:会報第165号(2014年1月1日)10頁-11頁

中部支部2013年度第1回研究会【8月3日】

中部支部2013年度第1回研究会開催のお知らせ

日時:2013年8月3日(土)14時~18時
会場:名古屋大学情報科学棟第1講義室
(名古屋市千種区不老町〒464-8601 地下鉄「名古屋大学」下車1番出口より西へ徒歩6分,下の地図のA4③)
http://www.nagoya-u.ac.jp/access-map/index.html

■ スケジュール
14時 あいさつ
14時5分 研究発表3件(詳細は下記参照)
(15時35分-45分 休憩)
15時45分 remoによる講演(詳細は下記参照)
16時45分 ディスカッション
司会:宮下十有会員(椙山女学園大学文化情報学部メディア情報学科)
ディスカッサント:森田剛光会員(名古屋大学大学院文学研究科博士研究員),青山太郎会員(名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士前期課程修了),稲垣拓也会員(名古屋大学大学院情報科学研究科博士前期課程)

17時20分 支部総会
17時30分 全学教育棟中庭のフェリーチェ・ヴァリーニ作品見学
18時 中華料理店「香蘭楼」で懇親会

■ 講演者・タイトル
・ remo
「『野生のアーカイブ』の方法論- オールド・ビジュアルメディアのアーカイブプロジェクト、AHA!の実践 -」
■ 講演要旨
近年、コミュニティの記録・記憶を次代に継承することの気運が、国内において急速に高まっています。それに伴い、博物館(美術館)・図書館・公文書館などに よって確立されてきた従来のアーカイブ構築の理論と実践の外側で、NPOなどを主体としたアーカイブの実践が草の根的に萌芽しています。
このような市民参加型のメディア実践は、東日本大震災を契機にますますその意義を高めており、わが国のアーカイブ実践における新しい潮流を形成していくことが予想されます。しかしながら、解決すべき課題やさまざまな障壁も山積しており、いまだ発展の途上にある状況です。
本講演では、2005年から大阪を中心に独自の発展を遂げてきたアーカイブプロジェクト・AHA!の取り組みを、[収集・公開・保存・活用]といった一連のワークフローのプロセスを辿りながら、当事者みずからご紹介します。そして、国内における諸処のアーカイブ実践における本事例の独自性を明らかにすると ともに、その可能性―あるいは「光の遅さ」について―を皆さんと分かち合いたいと思います。
■ プロフィール
AHA![ Archive for Human Activities / 人類の営みのためのアーカイブ ]
パーソナルな記録に潜在する社会的な価値に着目し、それらの収集・公開・保存・活用をめざす試み。「想起」という集合的行為を媒介とした「場づくり」の創出をめざし、独自の方法論でアプローチしている。remo[記録と表現とメディアのための組織]の事業の一つとして、2005年に始動。大阪を拠点にしつつ、全国各地で展開中。昭和30?50年代にかけて一般家庭に普及した「8ミリフィルム」をアーカイブの対象にしている。アーティスト、デザイナー、研究者など、様々なバックグラウンドをもったメンバーによって運営されており、プロジェクトごとにチーム編成を流動的に行いながら展開している。

http://www.remo.or.jp
http://blog.livedoor.jp/daigo8miri/
http://coop-kitakagaya.blogspot.jp/

■ 研究発表者・タイトル
・森田剛光会員(名古屋大学大学院文学研究科博士研究員)
「映像活用によるミュージアムの再生:インドネシア・バリ島トゥガナン村の事例」
発表要旨:
本研究発表は、映像の活用を通じて、長年放置されていたミュージアムの再生をはかる目的で実施したプロジェクトの報告とその考察である。プロジェクトの対象であるトゥガナン・プグリンシンガン慣習村は、インドネシアのバリ島東部に位置する。1963年アグン山の噴火により、農業から観光業を生業に加えた。スハルト体制下の観光開発の流れに乗り、バリの「原住民」文化を残す村として広く宣伝され、国内外から観光客、文化研修の学生らが常に訪れる観光と共に生きる村落である。
しかし、村の文化を伝える方法を模索する中、村の長老らは、多数訪れる人々の質問の相手役に引っ張り回され疲弊していく。1990年代、その打開策として村内に博物館の建設計画が立ち上げられたが、バリ島の高温多湿の環境下で収蔵品の保管、管理の課題を解決出来ないまま、建物の建設途中で中断された。
2010年、村のリーダーの一人(司祭)を中心に、前計画の反省から現物展示の博物館ではなく、自分達の文化を映像として蓄積し、自分達の力で自文化を発信する情報センターとしての機能を重視したミュージアムの再生ができないかという話が持ち上った。村落の人々と共同で計画が練られ、その一つとして「バリ島の先住民村落デジタル・ミューアム建設にむけた若手人材育成プロェクト」 が、KDDI財団の助成を受け実施された。
発表者は、本プロジェクトに、映像技術者、映像人類学者として参画した。 本発表では、本プロジェクトでの村落内での組織作り、機材の選定、映像制作のフローを紹介すると共に、プロジェクトを通じて村落の人々の経験に注目し、レンズを通して自分の世界を見る経験と、ビデオカメラ、編集環境というツールを独自に持つことの意味を考察する。

・青山太郎会員(名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士前期課程修了)
「知的探求の方法としての映像制作の可能性について―宮永亮『arc』にみられる記憶の表象」
発表要旨:
デジタル技術の発達と普及によって私たちの映像体験は一見きわめて多様化したが、それにともなって日常に膨大な数の映像が氾濫し、それらを無批判に消費・再生産することで私たちの思考が抑圧されるという事態がしばしば指摘されている。
本発表は、思考を賦活するメディアとしての映像との関わり方を考察する契機として、映像を作る過程において生じる思考や知について論じる。
その参照項として本発表では映像作家の宮永亮の制作プロセスに注目する。宮永の制作手法は、ビデオカメラで撮影した実写映像を素材とし、PCでミックスやエフェクトを繰り返しつつ複数の映像レイヤーを重ね合わせるというものである。宮永が2011年に発表した『arc』(HD, 7min. 30sec.)は、震災前後の東北地方の風景などを重層的に組み合わせることで、それらの映像の間の断絶した関係を再構築している。それは記憶―イメージを見る側の人間の記憶だけでなく、イメージとしてみられる側の世界の記憶―のあり方へのビジョンをもたらしている。
発表者は宮永へのインタビュー調査によって、彼の制作プロセスを分析・構造化し、そこからいくつかの特性を抽出した。本発表では、それらがどのように制作者の思考に関わり、その制作プロセスを経ることでどのような知が創造されるかについて、『arc』イメージがもたらす記憶の問題を通じて論じる。

・稲垣拓也会員(名古屋大学大学院情報科学研究科博士前期課程)
「アーカイブ化された展覧会をARで体験する」
発表要旨:
過去におこなわれた展覧会を、ARを利用して実地にて体験できるシステムを開発している。システムでは、展覧会を仮想的に再現したものをiPadのカメラを通して見るとともに、展示と作品についての情報を表示する。記録誌や記録映像とは異なるアーカイブの受容の機会を提供することで、展覧会についての多様な理解をもたらし、新たな気づきを得ることを目的とする。

——-

以上。

日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒487-8501愛知県春日井市松本町1200
中部大学人文学部コミュニケーション学科内


報告:会報第164号(2013年10月1日)43頁