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関西支部第93回研究会【3月5日】

日本映像学会関西支部第93回研究会(3月5日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第93回研究会をリモート(Zoom)にて開催いたします。関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。

日時:2022年3月5日(土)午後2時より4時頃まで。

参加希望の方は下記リンク(Googleフォーム)にて事前申し込みをお願いします。申し込み締め切りは3月3日(木)いっぱい日付変更まで、締め切り翌日(研究会前日)にZoomリンクをメールにてお知らせします。
https://forms.gle/kUh2fPuue11aGBGa8

研究発表1:「コマの配置空間と物語空間の関係」における異化効果の検出実験に関する報告〜イマジナリーラインの跨ぎを中心に
発表者:京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン学専攻博士後期課程1年 杜若飛(ト・ジャクヒ)会員
要旨:
 漫画と映画は同じくコマの繋がりによって展開するメディアである。漫画は時間軸ではなく空間にコマを配置する特徴があり、これは映画と異なる点である。また漫画は、二次元としての紙面空間と、遠近法による二次元的な物語空間が重なって表現されるために、並置されたコマ同士の相互作用を通じて物語空間に影響を与える。このような漫画の特性に従い感情移入という観点からは、次の3者による議論が重要である。竹内オサム(2005)は手塚の作品を分析した上で、漫画に「映画主観ショット」の導入を中心にして「同一化技法」を示した。泉信行(2008)は漫画のコマが「キャラクターに感情移入しながら、距離を取って客観視する」という身体離脱効果があるという概念を打ち出した。これに対して鈴木雅雄(2014)は時間の経過によって表せるコマたちが目の前に共存するため、読者が漫画を読んでいる時に、読者自身が物語の当事者となりながら観察者にもなるメディア特性を論じた。
 現在流行しているタブレットやスマートフォンなどを利用した「縦スクロール漫画」の表現は、デバイスの面積と形状が漫画雑誌の紙面と異なるため、「語り」に対する没入効果も異なる。映画に使われて、紙漫画に無視されるイマジナリーラインのルールは縦スクロール漫画には利用されている。先述した3つ観点は、漫画というメカニズムからブレヒトの異化効果のような現象を説明したが、コマ配置の左右上下前後という三つの方向の差異や効果の詳細については論説していない。
 以上の問題設定を踏まえ、本発表では、発表者自身が行ったイマジナリーラインに関する認知実験の結果を紹介(中間報告)し,縦スクロール漫画で失われた、自在にコマを平面空間上に配置できる紙漫画のような物語への没入感が、新しいデジタル漫画などでどのように活かせるのかを考察する糸口を示したい。

研究発表2:展示室空間における映像プロジェクション ―現代日本における作品を中心に
発表者:関西学院大学大学院博士課程後期課程 髙見翔子会員
要旨:
 本発表では、現代美術において数多く存在する「プロジェクション(投影)」を伴う映像作品のうち、美術館や科学館などの展示室内で展示を行う作品を中心に、映像の内容に加えてスクリーンの設計や空間的配置、身体とのインタラクションを含む関わりなどについて、その総合的な特性を明らかにすることを目的とする。
映像をスクリーンや壁面、オブジェクトなどに投影する技法である「プロジェクション」は、19世紀に幻燈が登場するなど、映像史においてその技術は古くから人々の日常に多く用いられてきた。近年では、タブレット型端末の急速な普及などの影響により、映像が投影される媒体や、展示空間における身体的な関わりは大きく変容するなど、映像の鑑賞を巡る方法が多様化している。
とりわけ、本発表では、作品に対して条件が整えられた展示室内での展示を行なってきた池田亮司、クワクボリョウタ、チームラボの作品を中心に採り上げる。2000年以降、データを主題とする表現を模索し続けてきた作曲家/アーティストの池田亮司(1966-)は、展示空間に映像をプロジェクションし、またその空間に映し出される映像と連動した音圧のあるサウンドにも特徴を持つ。メディアアーティストのクワクボリョウタ(1971-)は、2010年以降、LEDライトを搭載した車輌を走らせ、光を当てた日用品の影を展示空間の壁面に投影し、映像のように展開する作品を制作している。アートコレクティブのチームラボは、科学館や美術館といった展示空間で、鑑賞者の動きに合わせて空間を構成する映像や音楽すべてがインタラクティヴである作品を多く展開してきた。展示空間に投影される映像には、継ぎ目がない点もその特徴である。
 このように、本発表では映像プロジェクション作品について、展示空間とスクリーンの在り方や鑑賞者によるインタラクティヴィティの点も含めた特性を明らかにする。

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内(大橋)
Tel: 0721-93-3781(内線3327)
email:eizouosaka-geidai.ac.jp

第8回ドキュメンタリードラマ研究会【2月23日】

日本映像学会会員各位

さまざまに懸念される状況が続いておりますが、
下記の通り、オンライン研究会を開催いたします。

第8回ドキュメンタリードラマ研究会

「テレビ番組の制作者と視聴者の意識・態度の違いについて考える
――テレビ番組の「やらせ」に着目して」

日時:2022年2月23日(水・祝日)14時〜16時30分
ZOOMによるオンライン開催
(ZOOMアカウントは開催日の数日前に伝達いたします)

事前予約が必要です。
Google フォームにて、お申し込みください。
https://forms.gle/6pPsNfyrAc3XDJq29
締め切り:2月20日(日)17時

概要
テレビ・ディレクターとしてドキュメンタリー番組の制作に携わり、テレビ番組制作者と視聴者の意識・態度のギャップをめぐる観点から、研究活動およびメディア・リテラシー教育活動を展開している村井明日香氏による講演会を開催します。
テレビをめぐる捉え方も時代によって、また、世代によって変容している中で、ドキュメンタリー表現のあり方、「やらせ」と「演出」をめぐる問題、メディア・リテラシーをめぐる観点について講演を軸に参加者の皆様とご一緒に考えてみたいと思います。
映像メディアに関心がある学生の参加も歓迎します。

参加費無料

講師プロフィール
村井 明日香(むらいあすか)氏
東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。東北大学大学院情報科学研究科博士後期課程在学中。桜美林大学、東京工芸大学非常勤講師。
フリーランスのテレビ・ディレクターとして、これまでに、NHK「アジア情報交差点」、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」、テレビ東京「カンブリア宮殿」など、多くの報道・情報番組、ドキュメンタリー番組を制作。
テレビ番組制作者としての経験から,テレビ番組制作者と視聴者の意識・態度のギャップに関心を持ち,研究活動およびメディア・リテラシー教育活動を行っている。

内容(予定)
2月23日(水・祝日)14時〜16時30分 オンライン(ZOOM)

14時00分〜挨拶、村井氏のご紹介
14時15分 講義(60分)
15時20分〜 ディスカッション(60分)
16時30分 終了予定(17時まで延長の可能性有り)

主催:専修大学人文科学研究所・日本映像学会ドキュメンタリードラマ研究会 

会報第193号を発行しました。

会報第193号(2022年2月1日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter193

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
PDF表示画面が出ずに真っ白や真っ黒の画面になることがあります。
また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンをクリックしてみてください。

会報への会員による投稿につきましては以下の投稿規定をお読みのうえ、末尾の連絡フォームによりご連絡ください。のちほど担当よりご連絡申し上げます。

日本映像学会 会報 投稿規定(2017年10月 理事会決定)

1.投稿資格

(1) 投稿の時点で正会員の資格を有していること。

(2) 投稿者本人が執筆者であること。共著の場合は、投稿者が筆頭執筆者であり、必ず他の共著者全員の承認を得た上で投稿しなければならない。

2.投稿内容

(1) 映像に関する研究を推進し、広く映像文化の向上に寄与するもの(「日本映像学会会則」第2章第4条にもとづく)。

(2) 未発表のもの。二重投稿は認めない。投稿者自身の既発表論文や口頭発表と関連がある場合には、そのことを必ず明記すること。

(3) 投稿者は、自らが著作権を有しない著作物や図版などを引用するに際しては、著作権法(第32 条第1項)が定める引用の条件に則って行なうものとし、必要な場合はその著作権所有者の許諾を得なければならない。

3.字数

(1) 字数は自由(1ページは2,400字程度・複数ページも可)

(2) 図版を添付する場合には、図版の大きさを文字数に換算し、全体の文字数に含める。

4.体裁

(1) 完成原稿であること。

(2) メール本文に、題名、執筆者名、住所、電話番号、Eメールアドレス、所属等を記すこと。なお、総務委員会が原稿を確認し、事務局からEメールで「原稿受付」の通知をする。

5.提出方法

(1) 電子データをメール添付で事務局に送信すること。

(2) メール本文にOSの種類とソフト名(Wordもしくはテキスト)を明記すること。

6.投稿先

E-mail: officejasias.jp

7.校正

著者校正は初校のみとし、以後は総務委員会が行なう。

8.著作権

会報に発表された研究報告等の著作権は日本映像学会に帰属する。他の著作に転載する場合には、事務的な手続きのため、事前に文書等で学会に連絡し、転載する際に、会報への掲載に関する基本的な書誌情報を明記すること。

9.締切

投稿は随時受け付ける。

10.その他

(1) 掲載の可否については、総務委員会が決定する(一部改稿を求めることもある)。また、「採否の通知」は事務局からEメールで送信する。

(2) 投稿原稿掲載部分はPDF電子版会報の内としてホームページ上で一般公開

以上


日本映像学会第48回大会(京都大学)<2022年6月4日・5日>について

日本映像学会第48回大会のウエブサイトを開設いたしました。

第48回大会(京都大学)


大会第二通信は、こちらです。
大会発表申し込みは、2月21日(月)締め切りです。
みなさまの発表及び参加をお待ちしております。

日本映像学会第48回大会実行委員会事務局
〒606-8501 京都府京都市左京区吉田二本松町
京都大学大学院人間・環境学研究科内
日本映像学会第48回大会実行委員会
大会ウェブサイト:http://jasias.jp/eizo2022
メールアドレス:kyoto-conventionjasias.jp

アジア映画研究会(第3期 第10回)開催のお知らせ【2月1日】

アジア映画研究会会員/日本映像学会会員各位
「日本映像学会アジア映画研究会(第3期第10回)開催のお知らせ」

アジア映画研究会(第3期第10回/通算第43回)を下記のとおり開催します。

日時:2022年2月1日(火)17時~19時 ZOOMによるオンライン開催
下記URLより事前登録してください。登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tZYlceyupzwqHdZHRyACQ_7cJCIIfd0_v1mf

内容:
発表:曾文莉(中央大学非常勤) 
【1980年代の台湾映画における日本のイメージ――ニューシネマ以外の映画を中心に】
要旨:1980 年代の台湾映画と言えば、やはり台湾ニューシネマに注目が集まる。1980年代前半、ニューシネマは広く人気を得たし、興行収入もよかった。しかしこれは一時的な繁栄に過ぎなかった。興行市場を重視する民営映画制作会社も一時期郷土小説を多くリメークし、『金大班的最後一夜』(1984)、『嫁妝一牛車』(1985)、『孽子』(1986)などの文芸映画を作ったが、興行収入が低かった。結局コメディー映画、ヤクザ映画など、ギャグや暴力やエロを見せる娯楽映画をたくさん作った。今回の発表では、これまで看過されてきたニューシネマ以外の1980年代の台湾映画に注目し、その中に登場する日本の表象をニューシネマと比較して考察してみたい。

報告:秋山珠子(神奈川大学)
【偶然と選択:翻訳者が語る『侯孝賢の映画講義』】
要旨:侯孝賢が、その創作について余すところなく語った『侯孝賢の映画講義』(みすず書房、2021)。偶然と選択は、侯孝賢の映画制作やキャリア形成にいかに寄与したのか? さらには、語られた言葉から読む言語への翻訳にいかなる作用を及ぼしたのか? 本書翻訳者が偶然と選択のあわいで考察する。
(参考)
侯孝賢著・秋山珠子訳『侯孝賢の映画講義』みすず書房、2021
https://www.msz.co.jp/book/detail/09050/
皆様のご参加をお待ちしております。

2月座長:韓燕麗

クロスメディア研究会第15回研究会のお知らせ【2月5日】

 クロスメディア研究会第15回研究会のお知らせ

 日本映像学会クロスメディア研究会第15回研究会を下記の通りに開催します。
 今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンライ開催になります。
 会員の皆様の参加をお待ちしております。

【日時】:2022年2月5日(土)14:00-16:00

【参加方法】*事前申し込み制
 (Zoomによるオンライン開催)
下記URLより所定のフォームにご記入の上、お申し込み下さい。
 申込み後、ZOOMのID, PASSを送らせていただきます。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdqPf329I_-6EJVEj0FCD1DhnUjgne2Pe2DKK639nqhcQ2kug/viewform?usp=sf_link

【講演概要】
  講演タイトル:アーカイヴのエクリチュール

 GHQの占領政策の中で、漢字かな交じりの日本語表記が、日本人の識字率を低くしてい
るという誤解があり、民主化を推進するために、ローマ字表記の導入が真剣に検討された
ことはよく知られている。ところが、1948年に実施された全国規模の調査の結果、却って
日本人の識字率が極めて高いことが立証されてしまった。自民族中心主義(エスノセント
リズム)の典型であろう。
 こうした圧力を受けながら、文部省は1946年秋に芸術祭を立ち上げ、サン・フランシス
コ講和条約締結後の1952年には、東京国立近代美術館を設置した。芸術祭の対象は、第2
回目の1947年には、演劇と音楽(洋楽)の2部門だったのが、翌1948年には、映画を含む
演劇、舞踊、音楽、放送(ラジオ)の5部門へと拡大された。実演を中心に構成された芸
術祭には、伝統的な古典芸能の擁護と欧米由来の現代芸術の摂取という2つの潮流が看取
されるだろう。
 東京国立近代美術館に映画事業(フィルム・ライブラリー)が設置されたのには
、MoMAが映画を収集していた先例があった。1969年には同美術館内にフィルムセンター
が設置され、2018年に6番目の国立美術館として、国立映画アーカイブへと改組される。
隣接ジャンルの写真や漫画と比べると、文化政策における映画の優先的地位は明らかであ
る。
 フィルムセンターは、1990年に国際シンポジウム「フィルム・アーカイヴの4つの仕事
」を開催、「収集・保存・復元・カタロギング(目録化)」をその中心的業務に位置付け
た。アーカイヴ機関としての自己規定を確認したフィルムセンターは、国立映画アーカイ
ブへの改組に四半世紀先立つ1993年、FIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)に加盟した
。FIAFが設立された1938年は、トーキーへの移行に伴い、サイレント映画を保存する意味
が明確化された時期であり、翌1939年には映画法が制定されている。
 ここで注意したいのは、美術館(ミュージアム)、図書館(ライブラリー)、アーカイ
ヴといった名称の混在である。こうした表記のゆれは、京都文化博物館、福岡総合図書館
といったフィルム・アーカイヴ部門を有する日本の類似組織にも見られる。(議論を先取
りして言ってしまえば、唯一無二の存在に、反復可能性のある言葉で名付ける行為には、
原暴力が秘められていることになる。)
 周知の通り、ミュージアムの語源は、「ムーサたちの館」を意味するムセイオンmuseion
に由来する。ビブリオテーク(フランス語の図書館)の語源は、やはり「文庫」を意味する
ビブリオテーケーbibliothekeだが、これはアポロドーロスの『ギリシャ神話』の原題とし
ても使用されている。アーカイヴの語源は、デリダが『アーカイブの病』(1995)でも指
摘しているように、「アルコン(アテナイの執政官)の家」であるので、三つの組織の中
で、政治的な色彩が最も濃厚な言葉でもある。
 デリダの『アーカイブの病』は、1994年のロンドンで、国際精神医学・精神分析史協会
、フロイト博物館等の後援で開催された国際会議『記憶 アーカイヴの問い』の講演録で
ある。精神分析、ユダヤ人(ユダヤ性)、アーカイヴといったテーマが錯綜して論じられ
る一方、ヨセフ・ハイーム・イェルシャルミの『フロイトのモーセ』(1993)への批判が
展開された。ユダヤ人は滅びるかもしれないが、ユダヤ性は永遠であるとしたイェルシャ
ルミに対して、「世俗的ユダヤ人」と思われるデリダが反発したのは、当然のことかも知
れない。こうしたユダヤ人=ユダヤ性の問題に焦点を当てるのではなく、デリダがアーカ
イヴの「病=悪mal」と呼ぶものに対して、我々がどのような態度を取り得るのか、再考
してみたい。

【講演者】
西村安弘(東京工芸大学芸術学部映像学科 教授)

お問い合わせ
日本映像学会クロスメディア研究会
代表 李 容旭
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5
東京工芸大学芸術学部映像学科内
e-mail:leeimg.t-kougei.ac.jp

ショートフィルム研究会第29回活動【2/19】のお知らせ

草月から次世代へメタモルフォーゼするアニメーション  「グループえびせん」と80年代のアマチュア・アニメーションの隆盛

アニメまたはアニメーションは、現在ポピュラーカルチャーの代表的なものの一つとして国内外から認知されている。娯楽的なコンベンションイベントから芸術的な国際映画祭までさまざまな場において、多種多様な作品を観ることができる。特にデジタル化が進んだ2010年以後は、少なくない個人や少人数制作によるアニメーション作品がオンライン上で配信されるようになった。このような個人制作のアニメーションは、デジタル化以前に遡ると、どのような文脈を持つのだろうか。
国内で個人によるアニメーションが注目を集める契機となるのは1960年に草月会館で開催された「アニメーション3人の会」による上映会以降である。個人作家達による実験的なアニメーションは国内外で高い評価を得る。70年代に入りそれまで作家の交流と登竜門的場を提供してきた草月アートセンターが解散し、作家達は新たに「日本アニメーション協会」を設立する。また彼らはワークショップを通じ次世代育成にも尽力する。その受講生らは実験系・商業系作品などさまざまな作品から影響を受けゆるやかに新しいアニメーション作品を形作り、80年代のアマチュア・アニメーションのムーブメントを牽引する。
草月で実践された実験的な試みや形式を受け継ぎ、そしてメタモルフォーゼさせながら新時代のアニメーションを作り出す作家たちの活動は、ロシアの映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインが言及したアニメーションの魅力の本質「どんな形式を呈することもできる」「原形質性」にも通底するといえる。それは、手描きのキャラクターが可塑的に自由に変形できることと同様に、動きや演出、形式などを先行する作家から受け継ぎつつも自己流に変形していく遊びや試みの実験場ともいえるのである。
本研究会では未だ研究が寡少な個人制作アニメーション、とりわけ草月系作家から次世代の作家へと受け継がれたアニメーション制作の方法論と次世代のアニメーション作家たちが牽引した80年代のアマチュア・アニメーションのムーブメントを「原形質性」や「メタモルフォーゼ」をキーワードに、当時最も注目されたアニメーショングループ「グループえびせん」の中心的作家であるはらひろし。氏と角銅博之氏を招聘しインタビューを通じて実証的に検証する。

日時 2022年2月19日(土)13:30-16:00
オンライン開催(zoomを予定)
ご予約はこちらからお願い致します
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdRWyT-V1sYFLc0REsba2LM-7zMQG1cY7dZIu2tPBUIaOl7Sw/viewform

企画・インタビュアー 森下豊美(日本映像学会関西支部会員/関西大学ほか非常勤講師)
主催 日本映像学会ショートフィルム研究会

●ゲスト登壇者

はらひろし。
日本アニメーション協会会員。日本アニメーション協会主催第1回「アニメーション・ワークショップ」受講後、受講生のうち6人で「グループえびせん」をを結成。歯科医の傍らNHKのプチプチアニメ、「グループえびせん」の上映会など作家活動を行う。主な代表作に『セメダイン・ボンドとG-17号』シリーズがあり、同作は庵野秀明へも影響を与えた。

角銅博之
アニメーション監督・演出家。日本アニメーション協会理事。日本アニメーション協会主催第1回「アニメーション・ワークショップ」受講後、受講生のうち6人で「グループえびせん」を結成。主に東映アニメーションでTVアニメの監督や演出を行いながら「グループえびせん」上映会の運営も行う。主な代表作に自主制作アニメーション『錆びた館』(1982)、『白い手』(2005)、監督作品にTVアニメ『遊☆戯☆王』(1998)、『デジモンアドベンチャー』(1999)など。

※内容や出演者などは都合により変更となる場合もありますので予めご了承下さい

映画にとってフィルムとは何か その2 オンラインで8mmフィルム映画制作

映画にとってフィルムとは何か その2 オンラインで8mmフィルム映画制作

アナログメディア研究会 主催

趣旨:

 今日フィルムでの映画、映像制作は映画学科等でもほとんど行われていない。全国で映画、映像を学ぶ学生のみならず、映画映像制作に関わる少なくない人達にフィルムが“新しいメディア”としてその表現が注目されている。しかし、フィルムについて実践的に学ぶ機会は限られている。かつてフィルムでの映画映像制作の入門的フォーマットであった8ミリフィルムはその機材が生産、販売を終了して既に数十年経ち、購入は中古市場しか無い。フィルムは限定的に購入可能だが、日本国内で商業的にそれらを現像している現像所は東京に1箇所あるだけだ。しかもその現像所は現在存亡の危機にある。

 8ミリフィルムで映画作品、映像作品として完結させる場合はもとより、デジタル映像に全部または一部を使う場合でも、まずは8ミリフィルムで撮影、現像、編集、映写、場合によってはテレシネを自分だけの力で行う必要がある。講座では、8ミリフィルムカメラの使い方や自分で行う現像のやり方、編集や上映、映写、テレシネのやり方まで実際に機材、フィルム、薬品、などを使いながら、“オンラインで”行う。既に前回行った講座では沖縄などの遠方からも参加する受講者があった。オンラインでどこに住んでいる人も基本的に講座に参加出来る。

8ミリフィルムでの映像作品制作、ワークショップ形式での実証的研究

参加者へ機材などを郵送し、4回のZOOMセッションを通じて遠隔でフィルム作品制作の実習を行います。また、実習に参加せずにZOOM視聴のみの参加も可能です。
■8ミリフィルムカメラでの撮影
■撮影した8ミリフィルムを自家現像
■自家現像したフィルムを編集
■映写、テレシネ、講評
参加方法(以下の①②のどちらか)

①ZOOMセッションを通じて実際に制作する実習参加【定員5名】
注:資料代1000円およびフィルム等の材料費、機材送料等実費がかかります。(メールでお問い合わせください)機材等郵送の関係で国内在住会員に限らせて頂きます。全回参加が必要です。

②ZOOMセッション視聴のみ参加【定員20名】
参加無料。

遠隔ワークショップの実際(参加者①を中心に説明)
1:事前に参加者へ必要機材などを郵送。カメラの使用法、撮影方法、制作構想などをZOOMと配布資料で解説。参考作品を紹介。その後参加者各自で作品を計画し、撮影。
2:撮影済みフィルムの自家現像。ZOOMと配布資料で現像方法等を解説。
3:編集と映写、出来る人は自力でテレシネ。
4:テレシネした作品を遠隔で視聴し、ZOOMで全員参加の講評。
5:フィルムで映画やパフォーマンス作品を制作する作家によるレクチャー
  映画にとってフィルムとは何か、オンラインでレクチャーセッション6と同じものです。

■スケジュール

■参加募集期間 〜2022年1月21日金曜日締め切り

■ワークショップスケジュール 2022年

1:1月30日 日曜日 13時~14時30分
2:2月13日 日曜日 13時~14時30分
3:2月20日 日曜日 13時~14時30分
4:2月27日 日曜日 13時~14時30分
5:3月6日  日曜日 13時~15時

主催:アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia

申し込み、問い合わせ:
太田曜(オオタ ヨウ)
distortedcinema-ws@yahoo.co.jp

映画にとってフィルムとは何か その1 オンラインレクチャー

映画にとってフィルムとは何か その1オンラインレクチャー

趣旨
1895年12月28日のシネマトグラフ一般公開以来、百年以上にわたって映画の媒体(支持体)はフィルムだった。急速なデジタル化が進む中、それは忘れ去られつつあるようだ。
しかし映画産業に関わる者や映画制作者の中には、デジタル映像とは異なるフィルムでの映像表現に、今なお新たな可能性を見出す者も存在する。
コストや情報伝達の合理性から見放されたことは否めないが、表現の分野ではその魅力は失われていない。そして多様な選択肢は表現の裾野を広げ、より豊かな実りに繋がるはずである。
更なる映像表現の可能性に向けて、フィルムによる映画製作(制作)のこれまでを理解し、これからを志向するレクチャーを実施する。
「映画にとってフィルムとは何か」レクチャーでは3日間・6セッションに渡り、フィルムのプロセスである【撮影】【現像】【映写】【アーカイブ】について、それぞれの専門家から紹介・解説を行う。またフィルムによって作品制作やパフォーマンス表現をしている作家から、フィルムを使う理由とともに、新たな表現の可能性について問う。

■スケジュール 2022年
①1月16日(日) 13時〜15時
セッション1:「フィルムとは何か」
レクチャー担当 稲見成彦(コダックジャパン)
1963年生まれ。大学卒業後、ソニーPCLに入社、映画フィルム現像所の品質管理全般に従事。1992年より日本コダック(現コダック合同会社)に入社、米イーストマン・コダック社開発の映画用デジタル、ハイブリッド、フィルム製品の日本導入及び技術サポートに従事、2011年に執行役員エンタテインメント イメージング本部長に就任、現在に至る。
コダック合同会社(コダックジャパン)
米イーストマン・コダック社の日本法人。イーストマン・コダック社は印刷ならびに先端材料、化学薬品分野に特化したグローバルテクノロジー企業として、業界をリードするハードウェア、ソフトウェア、消耗品ならびにサービスを主に商業印刷、パッケージ印刷、出版印刷、製造ならびにエンタテインメント分野のお客様に提供している。

セッション2:「撮影 デジタルと異なる撮影について」
レクチャー担当 丸池納(撮影監督、元桜美林大学映画学科准教授)
●平成30年度文化庁映画賞(映画功労 部門)受賞
●劇映画担当作品
「よあけの焚き火」2020「ミッドナイト・バス」2018 「さくらんぼ-母と来た道」2007
「絆-きずな」1997「眠る男」1995「快盗ルビィ」1988「ウホッホ探険隊」1986

②1月23日(日) 13時〜15時
セッション3:「現像 現像所の仕事」
レクチャー担当 郷田真理子(IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)
1982年生まれ。フィルム技術者。株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス メディア制作部 アーカイブグループ勤務。大阪のフィルムプロセス部にてタイミング、フィルム調査等を担当のち、現在は東京にてタイミング、整理場の担当。大学卒業後、NPO法人映画保存協会の活動、映像制作会社、8mmフィルム現像所での仕事を経たのち、東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館で5年間フィルム調査に従事、2014年より現職。その他活動にプラキシノスコープなど初期映像装置の製作と関連したワークショップの講師など。

株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
https://www.imagica-ems.co.jp/ 事業内容は、フィルムの現像・プリントの他、映像の修復・復元・保存サポート、映画の映像・音声編集、DCP(デジタルシネマパッケージ)作成、コンテンツ流通・配信サービス、デジタル合成・VFX・CG/グラフィックデザインの企画・制作、吹替・字幕・翻訳、各種映像技術サービス。

セッション4:「上映・映写 フィルム上映とデジタル上映との違い」
レクチャー担当 石川亮(元新宿ミラノ座、フィルムセンター(当時)映写技師、映像作家、SpiceFilms主宰)
84年生まれ。映像作家。音楽スタジオ勤務後、2007年より閉館まで新宿ミラノ座で映写スタッフとして勤務、2014年より東京国立近代美術館フィルムセンター(現:国立映画アーカイブ)技能補佐員として映写及び主に小型映画の検査を担当。2015年に東京国立近代美術館「Re:play1972/2015-「映像表現 ’72」展で8ミリフィルムの複製・現像を担当。 現在は都内の某劇場の映写担当。作家として、フィルムによる映像作品/インスタレーション作品などを制作。8ミリフィルム作品上映企画「!8-exclamation8」や、自家現像ワークショップを企画運営している映像作家集団SpiceFilms主宰。

セッション5:「アーカイブ フィルムで映画を保存する」
レクチャー担当 とちぎあきら(フィルムアーキビスト/国立映画アーカイブ特定研究員)
2003年より18年まで、東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)にて、映画フィルムの収集保管・保存復元・アクセス対応の業務を担当。現在は特定研究員として配信業務に携わるとともに、フリーでも活動している。国立映画アーカイブは国立美術館を構成する一館として、映画フィルムと関連資料の調査研究に基づいた幅広い保存活用事業を行っている、国立唯一の映画専門機関。

③3月6日(日) 13時〜15時
セッション6:「フィルムでの映画制作、パフォーマンスの作品制作」
レクチャー担当
■ 伊藤隆介(実験映画作家、美術家、北海道教育大学教授)
主に既存の映画フィルムを素材にした、物理的コラージュ映画を制作している。また美術作品として、人力フィルム映写機などの映像機材制作も制作。
■ 石川亮(元新宿ミラノ座、フィルムセンター(当時)映写技師、映像作家、SpiceFilms主宰)
84年生まれ。映像作家。音楽スタジオ勤務後、2007年より閉館まで新宿ミラノ座で映写スタッフとして勤務、2014年より東京国立近代美術館フィルムセンター(現:国立映画アーカイブ)技能補佐員として映写及び主に小型映画の検査を担当。2015年に東京国立近代美術館「Re:play1972/2015-「映像表現 ’72」展で8ミリフィルムの複製・現像を担当。 現在は都内の某劇場の映写担当。作家として、フィルムによる映像作品/インスタレーション作品などを制作。8ミリフィルム作品上映企画「!8-exclamation8」や、自家現像ワークショップを企画運営している映像作家集団SpiceFilms主宰。

■ 川口肇(映像作家、尚美学園大学准教授)
1967年東京生まれ。九州芸術工科大学で映像作品制作を始める。視覚現実の模造である映像、その擬制の側面に着目し、粒子/ノイズ/映写/時間等を基軸にしたフィルムおよびビデオ作品制作を続けている。尚美学園大学准教授、フィルムメーカー。

■ 水由章(映画作家、ミストラル・ジャパン代表)
実験的映像作品の制作・配給を行う。スタン・ブラッケージの回顧展を日本国内で開催。アラン・エスカル『浮世物語』(2001)、黒坂圭太『緑子/MIDORI-KO』(2010)などのプロデューサーを担当。自らも実験映画を制作し作品数は50本余を数える。

■ 南俊輔(造形作家、映像作家)
1985年北海道石狩市生まれ、現在は東京を拠点に活動中。映写機という装置そのものや映写技師による映写の行程など、映画周辺の環境に着目し、映像インスタレーションの制作やパフォーマンスを行っている。近年は8ミリフィルム映写機を素材にした作品を制作し、映写機の持つ本来の機能やその意味を分解・再構成し、映像の合成や変換を試みる「実験」を行う。

■ 太田曜(実験映画作家、日本映像学会アナログメディア研究会共同代表)
パリ第8大学映画科でクローディーヌ・エジックマン、ギィ・フィ・マンから実験映画を、フランクフルト シュテーデル美術大学でペーター・クーベルカから実験映画と料理を学ぶ。映画が作り出す時間と現実の時間との差異についての映画を主に制作。国内外で上映多数。『ブライドピーク(Bride Peak) チョゴリザ 花嫁の峰』2021年8mm 10分は映像学会元会長波多野哲朗先生がカラコルムの7.000m峰登山隊記録係として8ミリカメラで撮影したフィルムを編集した“ファウンドフッテージ”作品。

■参加募集期間
①〜2022年1月14日(金)締切
②〜2022年1月21日(金)締切
③〜2022年3月4日(金)締切

⬛︎申込・問合せ:
主催:日本映像学会アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
担当:太田曜(オオタ ヨウ)
distortedcinema-ws@yahoo.co.jp

「インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2021」オンライン開催のご案内

今年で第15回となる「インターリンク:学生映像作品展[ISMIE]2021」を映像表現研究会主催にて開催いたします。
昨年に引き続き、特設サイト(https://sites.google.com/view/ismie2021/)にて参加校教員による推薦作品を共有し、Zoomにて情報交換を行うオンラインでの研究会を行います。

会員諸氏や作者のみならず、在学生の方にも是非ご覧頂きたいと思っております。
詳細は以下をご参照ください。

【参加校一覧】
愛知淑徳大学
イメージフォーラム映像研究所
大阪芸術大学
九州産業大学芸術学部
京都精華大学 芸術学部
尚美学園大学
情報科学芸術大学院大学[IAMAS]
椙山女学園大学 文化情報学部
成安造形大学 情報デザイン領域
専修学校インターナショナルデザインアカデミー
宝塚大学 東京メディア芸術学部
玉川大学 芸術学部
東京工芸大学芸術学部
東北芸術工科大学 映像学科
名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科
日本大学 芸術学部(本年度幹事校)
文教大学情報学部メディア表現学科
北海道教育大学 北海道教育大学 芸術・スポーツ文化学科
武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科

【推薦作品の視聴】
12月12日(日)から、ISMIE2021特設サイト(https://sites.google.com/view/ismie2021)にて各校推薦作品を公開します。
※公開は12月26日(日)までです。

【研究会概要】
日時:2021年12月26日(日)13:00〜15:00
会場:Zoom
事前に、各校推薦作品をご覧になった上でご参加ください。
参加する推薦教員から自校と他校の作品について講評を行い、その後、議論を行います。
ISMIE2021特設サイト(https://sites.google.com/view/ismie2021/)にて参加申込みを受け付けております。
研究会前日までに申込みいただいた方には、当日メールにてZoomへの参加リンクをお送りします。
また、研究会当日にISMIE2021特設サイトにもZoomへの参加リンクを設置します。

以上です。
みなさまのご参加をお待ちしております。

日本映像学会映像表現研究会
ISMIE 2021 事務局
〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部映画学科(研究室A)
担当:奥野邦利/野村建太/山﨑汐音