日本映像学会関西支部第91回研究会(6月26日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会関西支部第91回研究会をリモート(Zoom)にて開催いたします。関西支部会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。
日時:2021年6月26日(土)午後2時より4時頃まで。
研究発表1:「作品の周りのもの」から考える
発表者:山田聡会員 (名古屋造形大学)
要旨:
額縁や展示台といった「作品の周りのもの」がある。それらは見えてはいるが、本来的に表現の外側の要素である。しかし、作品に合っていない額縁や展示台が使われていると、特別な意味があるのではないかと感じてしまい、鑑賞体験の質が変わってしまうことがある。これは「作品の周りのもの」によって作品の質が規定されていると言えるのではないだろうか。
展示台の上にりんごを置き照明を当てキャプションを設置すれば、作品然としたものが出来上がってしまう。このことから「作品の周りのもの」こそが作品を仕立て上げている制度や枠組みであると言える。
映像を使う作品であれば、プロジェクターの吊り方、ディスプレイから出るケーブルの処理の仕方、ディスプレイの縁などが「作品の周りのもの」に当たる。インスタレーションの場合はどこまでが作品で、どこからが「作品の周りのもの」なのかがより曖昧になる。それらが「作品の一部」なのか、「無いもの」として見てほしいのかによって展示の仕方や搬入の振る舞い方が変わってくる。
「作品の周りのもの」とは作品の質を規定するかもしれない部分であり、作品と作品以外の部分の境界であり、作品を仕立て上げている制度でもある。「作品の周りのもの」を積極的に意識することで、別の視野を開くことができると考えている。
研究発表2:パンデミックの映像制作と作品の変容
発表者:稲垣智子会員 (美術家)
要旨:
2020年11月に個展『Diary 2020』を開催した。展示された映像は作家の日記的要素を含み、パンデミックの影響を否が応でも受けた内容となり、おのずと社会的要素を強く持ちあわせることとなった。展示作品は《愛の無表情》、《Project ‘Doors’》、《パーテーションズ》のパフォーマンス的要素を持った三つの映像である。今までとは異なる方法を用いて、三つの映像すべてに自身が出演し、撮影から制作まで全て一人で制作した。例えば、《愛の無表情》は別々の男女の映像に見えるが、作家がアプリの男女変換機能を使用し、一人で演じている。発表では作品が社会の影響を受けどのように変化したか、そして、個展後から現在の作品に至るプロジェクトの変化に注目する。自粛や社会活動の制限されている環境下での一作家の思考と制作活動の過程や変化をこの三作品を通して発表する。
参加希望の方は前日6月25日(金)までに eizoukansaigmail.com までメールをお送り下さい。メールにはご所属・氏名のみ記入いただければ結構です。追ってZoomの招待メールを返送いたします。
日本映像学会関西支部事務局
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大阪芸術大学映像学科内
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