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日本映像学会 映像テクスト分析研究会
2024年度(通算第24回)研究発表会 開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位
映像テクスト分析研究会の研究発表会を下記のとおり開催します。
対面のみでの開催です。みなさまのご参加をお待ちしています。
日本映像学会映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
■日時===========================
2025年3月28日(金曜日)17時(19時40分終了予定)
各発表後に質疑応答あり
■会場===========================
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館2階演劇映像実習室(283教室/定員60人)
〒162-8644 東京都新宿区戸山1-24-1
最寄り駅:地下鉄東京メトロ東西線「早稲田駅」、副都心線「西早稲田駅」
https://www.waseda.jp/flas/hss/access/
■発表1 17:00~17:50
中村秀之(東部支部会員)
幾重にも時は折られて――『河内山宗俊』(1936年)の〈雪の場〉のテクスト分析
『河内山宗俊』(1936年)の〈雪の場〉(と呼んでおく)については、比類なく美しいショットの出現と物語の決定的転換の生起という2つの特長が(それぞれ蓮實重彥氏と藤井仁子氏によって)正当に語られてきた。本発表ではさらに進んで、そこに居るのに無視されがちな広太郎(市川扇升)という人物に焦点を合わせ、この場面の遥かに特異な実相を明らかにしたい。まず、脇の人物でしかないように見える広太郎の作品全体における中心性をアダプテーションとステージングの二面から簡潔に立証する。これを踏まえて〈雪の場〉の映像と音響を詳細に分析し、そこで(慣習的技法におさまらない方法によって)複数の異質で不定形な時間が折り重ねられる、という言語化が容易でない効果の解明を企てる。さらに、その重層的な時間性と広太郎のライトモチーフと呼べる〈水の三態〉との結びつきを指摘し、素材の指示性に関する理論的考察を手短に経由して、件の雪の動きの映画的力能を論じる。
■発表2 18:00~
堅田諒(北海道大学大学院文学研究院専門研究員/東部支部会員)
演技の実験――ジョン・カサヴェテス『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』をめぐって
『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(The Killing of a Chinese Bookie, 1976, 以下『ブッキー』)は、ジョン・カサヴェテスがベン・ギャザラを主演に迎え、自身のフィルモグラフィーにおいて初めてギャング映画の要素を取り入れて制作した作品である。従来の研究では、『ブッキー』をギャング映画として評価し、その完成度の低さを批判する論調が主流であった。一方で、カサヴェテス自身は、前作『こわれゆく女』のインディペンデントな制作に限界を感じ、本作において「人間的、芸術的経験の別の領域を扱い」、「知的な実験」を試みたかったと述べている。この発言を踏まえるならば、『ブッキー』は単なるギャング映画ではなく、カサヴェテスが初期から実践してきた俳優重視の映画制作を、新たな視点から探求する試みだったと考えられる。本発表では、この仮説をもとに『ブッキー』を演技論・パフォーマンス論の観点から再考する。具体的には、銃撃を受けて傷を負うギャザラ演じるコズモの身体とそのパフォーマンス、さらに作中に虚構内虚構として導入されているストリップクラブ「クレイジー・ホース・ウェスト」の分析を通じて、カサヴェテスの俳優演技に関する実践の意義を明らかにする。
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お問合せ先:
日本映像学会 映像テクスト分析研究会
代表 藤井仁子
〒162-8644 新宿区戸山1-24-1
早稲田大学文学学術院
e-mail: jinfujiiwaseda.jp