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日本映像学会第50回全国大会(九州産業大学)<2024年6月1日・2日>第三通信・プログラム公開のお知らせ

日本映像学会会員 各位

日本映像学会第50回全国大会(於:九州産業大学)の第三通信・プログラムを公開いたしました。

第三通信
https://jasias.jp/wp-content/uploads/2024/05/50th_3rd.pdf

大会プログラム、研究・作品発表プログラム
https://jasias.jp/wp-content/uploads/2024/05/50th_program.pdf

また、懇親会に参加する参加者の参加締切日を、5月26日(日)としております。
大会参加申込ページのURL
https://jasias.jp/eizo2024/apply
まだ申し込みがお済みでない方は早めに申し込みください。
(payventでお申し込みの方も、この参加申し込みをしてください。)

皆さまのご参加をお待ちしております。

日本映像学会第50回大会実行委員
委員長 黒岩俊哉(九州産業大学)
大会ウェブサイト:http://jasias.jp/eizo2024
メールアドレス:kyusan-conventionjasias.jp

映像人類学研究会第7回研究会【6月23日】のお知らせ

日本映像学会映像人類学研究会第7回研究会(2024年6月23日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第7回研究会を、Zoomでのリアルタイムオンラインにて開催いたします。
「アニメーション・ドキュメンタリー」の手法・特色や可能性を探った前回第6回研究会に続き、手描きのアニメーション動画を手に、風景の中で撮影するという独特な手法を用いた作品『Wiener Wuast』の制作者であるドイツ在住のアニメーション作家・米正万也氏をお迎えして、「アニメーションと実写映像の融合」の可能性を検討します。
会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。特にこれから映像業界を目指す学生さん、アニメーションやドキュメンタリーを専攻している学生さんなどにも積極的に参加いただけましたら幸いです。

概要:参加申請をしてくださった皆さんには、ゲストスピーカー(米正万也氏)が制作した作品の中から厳選した下記の作品を事前にご覧いただきます。参加申し込み後に視聴URLをお送りします。当日は、これらの作品にまつわる制作秘話や苦労話、そして米正氏の講演、そしてその後に参加者との質疑応答、意見交換をおこないたいと思います。時差があるなかで現役のクリエイターでもある方に海外からご登壇いただき、お話を伺い、意見交換をするという大変貴重な機会です。多くの皆様の参加をお待ちしています。

日時:2024年6月23日(日)15時00分〜17時00分(予定)
形式: Zoomによるオンライン開催

参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。

参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは2024年6月14日(金)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/7EWzUvp6thytsrY9A
メールでお問い合わせ:visualanthropology2021gmail.com

作品概要:以下作品を事前に視聴していただく予定です。
『believe in it』(1998, 3’30″) 第45回オーバーハウゼン国際短編映画祭入選、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、インド・ウィークオブザマスターズアニメーションセレブレーション審査員特別賞ほか/大切なのは、できると信じてやってみること。想像していた枠を超えること。
米正氏は過去には『ポンキッキーズ』のクレイアニメ、NHK教育「いないいないばあっ」の抽象アニメなども手がけられていますが、現在は世界各国の街で、その街の方々と一緒に「お国自慢のアニメ作品」を創るというワークショップを展開されています。これを「Daumenreise(ドイツ語でDaum=親指, Reise=旅、つまり「親指の旅」を意味する造語)」と名付けています。2006年にウィーン滞在する機会を得た際、手持ちの材料と機材のみ、すなわち前作「Üks Uks」の制作の残りの和紙を半分に切って倍の枚数にし、デジカメで撮影してラップトップで編集したのが始まりです。
「Daumenreise」シリーズ作品は、22カ国、39都市、46作品に至ります。その「Daumenreise」シリーズの中から作品を事前視聴いただきます。
『Wiener Wuast』(2006, 4’54”)/『Wiener Wuast』は、「ウィンナーソーセージ」はドイツ語で「ヴィーナーヴルスト」。ウィーン訛りで「ヴィーナーヴアシュト」。ソーセージはありふれていること、いろいろ混ぜてあること、両方の意味が含まれ、ウィーン訛りのタイトルをいうだけでも地元の人達が笑顔になります。
『Daumenreise 32 Bologna Italy: Sottalportig 』(2012, 2’13”) /イタリアのボローニャでのワークショップに日本からの画材が届かず、現地ですぐ手に入る赤ワインとコーヒーで描くことに。ピンチはチャンス、の醍醐味。
『Daumenreise 23 Kyoto2: おこしやしておくれやす』 (2011, 7’00”)/京都といえば何を思い浮かべますか。京都をテーマに、関西の5つの美大の学生達が、それぞれの大学に関するモチーフも一つずつ入れているところも見所。

ねらい:
米正氏は、手描きのアニメーション動画を手に、風景の中で撮影するという独特な手法を用いて数々の作品を発表している。そしてそのほとんどが日本や海外の様々な場所を旅しながら、その土地の人々や学生とワークショップや共同制作をおこないながら作り出したものである。そのパワーの源や発想の原点はどこにあるのだろうか。多くの賞を受賞した初期の作品『believe in it』との比較をおこないながら、その軌跡を探る。また「手持ちアニメーション」で制作された「Daumenreise」シリーズにおける「アニメーションと実写映像との融合」についての考察を通して、その可能性や将来性、有効性について検討する。

ゲストスピーカー略歴:
米正万也/Maya Yonesho
映像作家、講師。嵯峨美術短期大学(現:嵯峨芸術大学)でデザインと映像を学び、中学校美術科教諭として6年間勤務。そののち京都市立芸術大学、同大学院で日本画、造形構想を専攻、交換留学先のイギリス Royal College of Art で「言葉がわからなくても、わかりあえる」をテーマに13カ国の言語にシンクロする抽象アニメーション『introspection』を制作。帰国後、言葉と音楽にシンクロする『believe in it』で1998年に文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2002〜2003年に文化庁在外研修員としてバルト三国のエストニアに滞在。8人のエストニア製本作家の協力を得て制作した『Üks Uks』は2005年オーストリア Tricky Women 国際女性アニメーション映画祭のトレイラーに採用。作品は、国際映画祭、デュッセルドルフ・クンストハレ現代美術館(ドイツ)、エストニア・デザイン博物館等で展示・上映。子供から大人まで対象の様々なワークショップを各地で行っている。手描きの動画をウィーンの風景の中で撮影した『Wiener Wuast』の後、その手法を用いた 「Daumenreise プロジェクト(Daumen=親指、Reise=旅)」を個人制作とワークショップとして3大陸22カ国で展開、2024年はポーランドとスイスで開催予定。ドイツ・シュトゥットガルト在住。

司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、中垣恒太郎)

式次第(予定):
15時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第6回)の活動についての報告
15時15分〜 ゲストスピーカー・米正氏による講演
16時15分〜 参加者との意見交換
17時00分頃 終了

協力:
芸術科学会
映像人類学フォーラム
日本アニメーション学会海外文献研究部会

映像人類学研究会代表:田淵俊彦

アナログメディア研究会主催:実験映画を観る会 vol.9【5月19日】

実験映画を観る会 VOL-9
“伝説の廃墟8ミリ映画” 関根博之 特集上映
日時:2024年5月19日 日曜日 14時から上映
場所:小金井市中町天神前集会所   〒184-0012 東京都小金井市中町1丁目7-7
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/13210/21331137107/
武蔵小金井駅南口から徒歩約14分
参加は予約制です。予約フォームにご記入ください。
https://forms.gle/BgvHFHsf2VnQqYAeA
上映作品の詳細なども研究会face book twitter にアップ予定
参加資料代千円(当日現金でお支払い下さい)
スケジュール
13時45分開場
14時00分〜 16時30分 上映 解説
16時30分〜 16時45分 休憩
16時45分〜 17時30分 トーク 関根博之 聞き手 横江れいな & 質疑応答
実験映画を観る会は、フィルムで制作された実験映画をフィルムで上映することをコンセプトに、これまで8回行ってきた。第9回目は、伝説の8ミリ廃墟映画作家 関根博之の特集上映。全て8mmフィルムで作られた作品で、8ミリフィルム映写機で上映。上映と作家による解説、関根博之のトーク&質疑応答が予定されている。
上映プログラム
全5作品 116分
1、エチュード
13分 1978年 スーパー8シングル8混合
MD出し
2、Tokyo Sampo vol1
28分 1987年 シングル8 MD出し
3、AKIHABARA
23分 1991年 シングル8 MD出し
4、U・O
22分 1992年 シングル8
 マグネ2トラックモノ
5、U・O 2
30分 1993年 シングル8 MD出し
【関根博之プロフィール】
1957年10月7日 東京生まれ
10代終わりに佐藤重臣主催の「黙壺子(もっこす)フィルムアーカイヴ」などでアメリカのアンダーグラウンド映画を見て、衝撃を受ける。1980年多摩芸術学園映画学科卒業。在学中より1980年代前半までほしのあきら率いる「上映集団ハイロ」に参加。8mmによる作品制作、上映活動を始め、その後20年ほど個人映画の可能性を模索し続ける。
さらなる情報は研究会のFACE BOOK イベントからもどうぞ
https://www.facebook.com/events/736503018360611/
主催:
日本映像学会 アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
https://twitter.com/analogmedia2022
8ミリフィルム小金井街道プロジェクト
http://shink-tank.cocolog-nifty.com/perforation/
https://twitter.com/8mmfkkp

日本映像学会第49回大会基調講演記録掲載のお知らせ

日本映像学会会員各位

昨年の第49回全国大会で韓国総合芸術大学校の金素榮氏の基調講演「悲しみが私たちを連れていくところ:哀悼、場所、女性史」の記録が、本学の言語文化41号に掲載されました。以下のリンクからPDFでダウンロード可能ですので、お知らせいたします。

・言語文化41号 https://www.meijigakuin.ac.jp/gengobunka/bulletins/archive/41.html

悲しみが私たちを連れていくところ:哀悼、場所、女性史

日本映像学会第50回全国大会(九州産業大学)大会参加申込ページのお知らせ【5月24日〆切】

日本映像学会会員各位

日本映像学会第50回大会(於:九州産業大学、2024年6月1日、2日)の参加申し込みのページがアップされました。
参加申し込み締め切りは、2024年5月24日となっております。
今大会は、5年ぶりの対面での懇親会も予定しております。

大会参加・懇親会参加の申し込みのURLは下記の通りです。
https://jasias.jp/eizo2024/apply

参加申し込みに際して幾つかの留意点があります。
・参加区分で「正会員」「正会員(学生の資格を持つ方)」のチェックボックスがありますので、忘れずにチェックしてください。
 正会員で学生の資格を持つ方は、大会当日窓口で必ず「学生証」を提示してください。

多くの会員の皆様の参加をお待ちしております。

日本映像学会第50回大会実行委員会
kyusan-conventionjasias.jp

アナログメディア研究会主催:実験映画を観る会 vol.8【3月31日】

実験映画を観る会 VOL-8
伊藤隆介特集上映
●2024年3月31日(日)14:00~
●場所:小金井市中町天神前集会所   
〒184-0012 東京都小金井市中町1丁目7-7
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/13210/21331137107/
(武蔵小金井駅南口から徒歩約14分)
●参加資料代1,000円(当日現金でお支払い下さい)
●参加は予約制です。
予約フォームにご記入ください。
https://forms.gle/MrgZurWShAyf5sQVA
上映作品の詳細なども研究会face book twitter にアップ予定
●スケジュール
13:45 開場
14:00~16:45 上映&解説
16:15~16:45 休憩
16:45~17:30 トーク&質疑応答 伊藤隆介 水由章
実験映画を観る会は、フィルムで制作された実験映画をフィルムで上映することをコンセプトに、これまで7回行ってきた。第8回目は、実験映画作家、美術家、伊藤隆介作品の上映。全て16mmフィルムで作られた作品で、16ミリフィルム映写機で上映。上映と作家伊藤隆介による解説、水由章とのトーク&質疑応答が予定されている。
●上映プログラム (全89分)
『版 #2, #1 及び#3』(1999/4分)
『版 #9, #6, #7, #11, #5 及び#8』(1999/8分)
『版 #13, #14, #12, #5 及び#10』(2000/7分)
『版 #15-18』(2001/7分)
『版 #19-22』(2003/3分)
『Songs (版 #23)』(2003/3分)
『版 #24 (回転体)』(2004/3分)
『Household Movie』(2005/4分)
『版 #26-29』(2007/8分)
『Flat, Split Reel』(2008/9分)
『版 #43-44(二枚舌)』(2009/9分)
『当映画館にて上映されます(V NASICH KINECH UVIDITE)』(2010/4分)
『悪魔との契約(Zmluva s diablom)』(2014/5分)
『私がスパイだったら(Breakdown; If I Were a Spy)』(2014/7分)
☆ 新作 『段差と性欲(仮題)』(2024/8分予定)
●プロフィール
伊藤 隆介(いとう りゅうすけ)
実験映画作家、美術家。北海道出身。東京造形大学で映像作家かわなかのぶひろに師事、その後、シカゴ美術館附属美術大学大学院修了(MFA)。映像と支持体等の物質性を主題に、『版シリーズ』などコラージュ手法の実験映画、ミニチュア等をライブビデオで投影するインスタレーション『Realistic Virtuality』などを制作発表。1980年代より「村雨ケンジ」名義でマンガ評論なども多数。
●主催:
日本映像学会 アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia/
https://x.com/analogmedia2022?t=dxNTS46fhNqdPnVCES_Jig&s=06
8ミリフィルム小金井街道プロジェクト
http://shink-tank.cocolog-nifty.com/perforation/
https://twitter.com/8mmfkkp

2024年度 研究会活動費助成の公募について(応募締切:2024年4月30日12:00)

日本映像学会 会員各位

 平素より日本映像学会にご参加およびご協力いただきありがとうございます。映像にかんする研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する本年度の研究活動に対して研究会活動費助成の公募をおこないます。有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とします。「2024年度研究会活動費助成申請書」に必要事項を記入の上、応募期限までにご提出ください。
応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。

〆切は2024年【4月30日(月)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や本年度の申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2024年度研究企画委員会による研究活動助成について」.pdf
2024年度研究会活動費助成申請書」.xlsx
日本映像学会 研究会活動費助成 予算書」.docx
[参考]「日本映像学会 研究会活動費助成 決算報告書」.docx *研究会活動費の運用についての報告書式

2024年度 春期新規研究会登録申請について(応募締切:2024年4月30日12:00)

日本映像学会 会員各位

平素より日本映像学会の活動にご参加・ご協力いただき、ありがとうございます。
日本映像学会では会員のみなさまに活発な学会活動をおこなっていただくため、2024年度春期の新規研究会を募集します。
従来の研究会にない枠組みでのご活動を検討されている方、映像学への新たな視点をお持ちの方、是非ご申請ください。

〆切は2024年【4月30日(火)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2024年度春期_新規研究会登録申請について.pdf
新規研究会登録申請書.xlsx

2023年度 西部支部研究例会・総会ご案内【3月13日】

【日本映像学会西部支部 2023年度 研究例会・総会ご案内(3月13日(水)開催)】

下記のとおり日本映像学会西部支部2023年度研究例会・総会・第50回大会委員会を開催いたします。
万障お繰り合わせの上ふるってご参加ください。

日時:2023年3月13日(水) 14:00~16:30
   (「研究例会」14:00~、「総会」16:00~)
場所:九州産業大学芸術学部17号館6階 デジタルラボ601
(九州産業大学アクセス https://www.kyusan-u.ac.jp/guide/summary/access.html

1)オキーフ グレッグ (福岡女学院大学 国際キャリア学科 准教授)

タイトル:Visual Sociology: Transforming the classroom through Project Based Learning

この論文では、プロジェクトベースラーニング(PBL)のフレームワーク内での視覚社会学の応用を明らかにしようとしています。
この1年間のコースの目的は、学生が自ら選んだ社会学的枠組みを用いて、簡潔なドキュメンタリー(6-7分)を制作することです。
コース全体を通して、学生はさまざまな学習レベルで取り組みます。最初に、彼らは社会学的概念を物語の構成に統合する能力を身につけます。
その後、ビデオ制作のスタイリッシュなアプローチを開発し、視覚的、質的、量的データを収集します。
このプロジェクトの長期間の実施は、多くの学生にとって以前に長期的な取り組みに参加したことがないため、著しい挑戦を提供します。
そのため、このコースはコミュニケーションや時間管理などの重要なスキルの紹介として機能します。
プロジェクトの協調的な性質を考慮すると、効果的なコミュニケーションスキルが最重要視されます。
さらに、複数の締切が存在するため、学生はプロジェクトのタイムリーな完了を確実にするために時間管理に対する高い意識が求められます。
この論文は、このコースに直接参加した26人の学生の発言をまとめており、人間関係スキルと計画能力の明確な向上を示しています。
多くの学生が、将来の取り組みにおける経験の知覚価値を強調しました。これらの感情は、彼らの記録された発言で裏付けられています。
映像:15:26

2)八尋義幸(映画研究者)

タイトル:アジアフォーカス・福岡国際映画祭の達成と残したもの

アジアフォーカス・福岡国際映画祭は1991年から2020年まで、30年間にわたって福岡市で開催された映画祭である。
主催者はアジアフォーカス・福岡国際映画祭実行委員会であり、福岡市長をはじめ福岡市の大企業が実行委員会構成メンバーとなった。
福岡市が財政的な保証を行うことで安定した運営が行われた映画祭だった。
この映画祭は1991年当時の映画祭では珍しくディレクター制を採用し、日本を代表する映画評論家の佐藤忠男が1991年から2006年までディレクターを務めた。
映画祭の上映作品は、東は日本から西はトルコまでの広範囲なアジア地域の作品を選定し、日本語字幕だけでなく英語字幕を付けて上映された。
ベトナム、モンゴル、スリランカ、バングラデシュ、インド、イランなどアジアフォ-カス・福岡国際映画祭で日本初公開された作品は多い。
日本国内だけでなく国際的にも高く評価された映画祭だった。
また福岡市民主催による関連映画祭の誕生を促した事、映画祭上映作品を福岡市総合図書館が収蔵したことなど、他の日本国内の映画祭では見られない特徴ある映画祭でもあった。
本稿の目的はまず30年におよぶ映画祭の実績と特徴をまとめることにある。
その上で映画祭が終了した後の福岡市において継続して開催されている福岡市民による小規模な映画祭や、多くのアジア映画を収蔵している福岡市総合図書館の映画祭後の活動を見ることで、アジアフォーカス・福岡国際映画祭が福岡市に残したものを検証するものである。

 西谷 郁(西部支部研究会代表)
 連絡先 日本映像学会西部支部
 住所 〒815-8503 福岡市東区松香台2-3-1
 九州産業大学芸術学部内(趙瑞)
 e-mail jasiaswestgmail.com

写真研究会 2023年度第12回研究発表会開催のお知らせ【3月24日】

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日本映像学会  写真研究会
2023年度第12回研究発表会開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位
写真研究会の研究発表会を、対面、オンライン併用にて開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。
日本映像学会写真研究会
代表  佐藤守弘

https://sites.google.com/site/jasiasshaken/

▼開催概要
日時
2023年3月24日(日) 13:30開始 17:30終了予定(日本時間)
場所
同志社大学今出川キャンパス 寧静館N31教室、およびリモート配信
参加方法
*事前申し込み制
上記会場にての対面とリモート配信でのハイブリッド方式で開催いたします。会場参加、リモート参加とも、こちらのフォームからお申し込み下さい。いただいたメールアドレスに参加方法をお知らせします。
https://forms.gle/fN4RAUvrTXkcmhva6

なお、先着順で会場定員が埋まってしまった場合は、リモートでの参加をお願いすることもありますので、その場合はご了承ください。

▼報告者・報告内容
■研究発表1
戸部瑛理(明治大学博物館)
「写真と被災地——志賀理江子「螺旋海岸」(2012)の位置」

■研究発表2
福西恵子(立命館大学)
「帝国主義的・白人至上主義的なイデオロギーの(脱)構築——セントルイス万国博覧会における写真の分析」

■座談会
「「フォトグラフィック・アート——技術と芸術のあいだ」(『美術フォーラム21』第47号特集)を巡って」
司会:佐藤守弘(同志社大学)
討論者:倉石信乃(明治大学)、前川修(近畿大学)、中村史子(大阪中之島美術館)ほか

▼報告の要旨
■研究発表1
戸部瑛理(明治大学博物館)
「写真と被災地——志賀理江子「螺旋海岸」(2012)の位置」
 本発表は、写真家の志賀理江子(1980-)の写真作品「螺旋海岸」(2012)と東日本大震災の関係を再検討するものである。一般に、志賀は2011年3月11日の東日本大震災に罹災し、津波により宮城県沿岸部「北釜」の住居とアトリエを失っていることが知られている。彼女は、震災の半年後に宮城県が10年間の復興計画を公表し、沿岸部の防潮堤の建設や防災林の整備など震災復興の具体的な内容が固められる間、対話やインタビューの形式で震災について語ってきた。その翌年に志賀は、震災前後にかけて北釜とその住民を中心に撮影した写真作品「螺旋海岸」を発表し注目を集めたが、本作には震災前に撮影されたイメージも含まれる。また、震災が作品の成立背景としてどのように関係するかという点に対しては、これまで明言を避け続けていた。本発表は改めてこの関係性に焦点を当て、いくつかの写真の分析から「螺旋海岸」の位置づけを確認することを目的とする。
 志賀の写真作品には、不可解ともいえる光景が写されている場合も少なくない。それは、しばしば作者である志賀が「シャーマン」という言葉とともに語られてきたことの要因ともなった。ここではそれらの言説を精査するとともに異なる視座に立ち、写真作品と東北における民俗写真の系譜との接続、特に民俗学者としても東北を研究していた写真家の内藤正敏(1938-)の写真との比較を試みる。両者は、被写体の記録か創作かという点においては異なる一方、人物像の異様な写し方に一定の共通性があり、ともに土着性に対する強い関心が認められる。特に「螺旋海岸」の場合には、津波常襲地である北釜の土着性に基づく意識が志賀の創作の背景にあることを明らかにしたい。また、緑地景観の歴史的変遷を研究する菊池慶子の調査結果から北釜の成立背景を振り返り、志賀が1940年頃の北釜の「記念写真」を複写・引用した写真作品の分析をおこなう。そのことを通じて本作の位置づけにも関わる、被災地における写真家の「当事者性」のあり方の一端を検証する。

■研究発表2
福西恵子(立命館大学)
「帝国主義的・白人至上主義的なイデオロギーの(脱)構築:セントルイス万国博覧会における写真の分析」
1904年、セントルイスでは、アメリカがルイジアナ州一帯の地域をフランスから買収してから100年が経過したことを記念して、壮大な国際博覧会が行われた。このセントルイス万国博覧会の主催者たちは、当時アメリカで最新の農業、科学、そして建築技術や、諸外国の文化に関する展示を通じて、アメリカにおける文明の優越性、また、アングロサクソン系アメリカ人の人種的優越性をアメリカ内外の一般人に教育することを本博覧会の主な目的の一つとしていた。当時会場で作成され、流通した写真に関しては様々な先行研究が存在するが、こうした研究の中では写真が副次的な役割をしたものとされがちである。つまり、写真という媒体が、博覧会における人種的、または帝国主義的なイデオロギーをいかに忠実に反映しているか、といった議論があまりにも多いのだ。
本発表では、映画研究の理論を応用しながら、写真が当時「リアル」であると考えられていた概念やイデオロギーを単に映し出したのではなく、それらを「構築した」側面に注目する。更に、当時の写真で使用された「レタッチ(retouching)」などの技術に注目することで、写真がどのようにしてイデオロギー構築に積極的に関わったかについて詳細に議論したい。また、会場の主な展示スペースで撮影された写真と、モデル・プレイグラウンド(Model Playground)という会場の保育・託児施設などで撮影された写真を比較・分析することで、写真が当時の人種主義的・そして帝国主義的なイデオロギーを構築しつつも、それらの矛盾点を示したり、更には相反する意味を構築する、つまりは脱構築するかのような役割を果たしていた点についても論じる。

■座談会
「「フォトグラフィック・アート——技術と芸術のあいだ」(『美術フォーラム21』第47号特集)を巡って」
司会:佐藤守弘(同志社大学)
登壇:倉石信乃(明治大学)、前川修(近畿大学)、中村史子(大阪中之島美術館)ほか

 昨年の6月、『美術フォーラム21』第47号(きょうと視覚文化振興財団)が刊行され、特集として、本座談会の司会を務める佐藤守弘の編集で、「フォトグラフィック・アート——技術と芸術のあいだ」が組まれた。その特集には、写真と芸術のあいだの複雑な関係を、写真発明直前から現代のデジタル時代までおおまかに歴史を辿りながら、再考しかつ挑発するような論考を14編掲載されている。また特集以外にも「現代作家紹介」では、中村史子が金サジの写真作品を紹介し、資料紹介や表・裏表紙に至るまで、雑誌全体にわたって、写真を中心的なテーマとして採り上げた。
 今回の座談会では、執筆者を中心として、その特集の意義や問題点について、存分に語り合いたいと考えている。
参考資料:佐藤守弘・特集概要「フォトグラフィック・アート——技術と芸術のあいだ」(pp. 21-22)