第47回映画文献資料研究会のお知らせ
日本映像学会映画文献資料研究会では、下記のように研究例会を開催いたします。会員の皆様のご参加をお待ちいたします。
記
「日本インディペンデント映画研究 獅子プロの時代」
企画概要:小林悟の『肉体の市場』(1962)を第1号とする<ピンク映画>は、大手映画製作会社のブロック・ブッキングの隙間を縫うようにして製作され、一時は国産映画の半数を占めるほどの量産体制を誇った。しかしながら、今世紀に入って、フィルムからデジタルへの移行が進展してくると、35ミリのフィルム撮影、オール・アフレコの<ピンク映画>の製作を維持することが事実上不可能となった。<ピンク映画>のデジタル化に対応できない老朽化した成人映画館の多くは、営業終了を余儀なくされる状況となる。
<ピンク映画>黎明期の『肉』(1965)で成人映画へ進出した向井寛(1937~2008)は、
東映セントラルで『生贄の女たち』(1978)を手がけた後、獅子プロを立ち上げ、にっかつ買取作品を含めた成人映画を量産する。獅子プロの名称は、四×四=一六もの監督がいたからだという説が巷間囁かれるように、ベテランの渡辺護や山本晋也、深町章(稲尾実)らを起用する一方、新進気鋭の滝田洋二郎、佐藤寿保、瀬々敬久、田尻祐司、いまおかしんじ(今岡信司)らを輩出した。日本映画情報システムで、製作会社として獅子プロを検索すると、1979年から1994年の間に、175本の映画がヒットする。カリスマ的な監督・プロデューサーの若松孝二が君臨した若松プロとは異なり、獅子プロの活動は未だに十分な検討がなされているとは言いがたい。
今回は、獅子プロ製作の作品上映に併せて、同プロで助監督を経験した後、『激愛!ロリータ密漁(狂った触覚)』(1985)でデビューした佐藤寿保監督をゲストとしてお招きし、佐藤監督の初期作品『人妻コレクター』及び『暴行クライマックス』の上映後、同時代の貴重な証言をお聞きする機会を設ける。
日時:2019年9月10日(火)14時~17時
会場:国立映画アーカイブ試写室
スケジュール 14時:参考上映『人妻コレクター』(1985年)
『暴行クライマックス』(1987年)
16時:鼎談
〇佐藤寿保:映画監督(1959~)
東京工芸大学短期大学部卒業。獅子プロで深町章(稲尾実)や滝田洋二郎の助監督を務めた後、『激愛!ロリータ密漁』(1985)でデビュー。サトウトシキ、佐野和宏、瀬々敬久らと一緒に、<ピンク四天王>として注目された。近作の『眼球の夢』(2016)は、ハーバード大学感覚人類学研究所のルーシャン・キャスティーヌ=テイラーとベレナ・バラベラが共同プロデューサーを務めた。
〇田島良一:日本大学藝術学部映画学科教授。
〇西村安弘:東京工芸大学芸術学部映像学科教授(進行)
参加費:入場無料
※会場の関係で、今回は先着15名までがご参加できます。参加希望の学会員は、連絡先のメール・アドレスに9月1日(日)までにお申し込み下さい。
連絡先:西村安弘 nishimur@img.t-kougei.ac.jp
主催:日本映像学会映画文献資料研究会(代表:西村安弘)
※例会の後に、有志による懇談会を予定