日本映像学会映像人類学研究会第7回研究会(2024年6月23日)のお知らせ
下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第7回研究会を、Zoomでのリアルタイムオンラインにて開催いたします。
「アニメーション・ドキュメンタリー」の手法・特色や可能性を探った前回第6回研究会に続き、手描きのアニメーション動画を手に、風景の中で撮影するという独特な手法を用いた作品『Wiener Wuast』の制作者であるドイツ在住のアニメーション作家・米正万也氏をお迎えして、「アニメーションと実写映像の融合」の可能性を検討します。
会員に限らず多くの方の参加をお待ちしています。特にこれから映像業界を目指す学生さん、アニメーションやドキュメンタリーを専攻している学生さんなどにも積極的に参加いただけましたら幸いです。
概要:参加申請をしてくださった皆さんには、ゲストスピーカー(米正万也氏)が制作した作品の中から厳選した下記の作品を事前にご覧いただきます。参加申し込み後に視聴URLをお送りします。当日は、これらの作品にまつわる制作秘話や苦労話、そして米正氏の講演、そしてその後に参加者との質疑応答、意見交換をおこないたいと思います。時差があるなかで現役のクリエイターでもある方に海外からご登壇いただき、お話を伺い、意見交換をするという大変貴重な機会です。多くの皆様の参加をお待ちしています。
日時:2024年6月23日(日)15時00分〜17時00分(予定)
形式: Zoomによるオンライン開催
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。
参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは2024年6月14日(金)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/7EWzUvp6thytsrY9A
メールでお問い合わせ:visualanthropology2021gmail.com
作品概要:以下4作品を事前に視聴していただく予定です。
『believe in it』(1998, 3’30″) 第45回オーバーハウゼン国際短編映画祭入選、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、インド・ウィークオブザマスターズアニメーションセレブレーション審査員特別賞ほか/大切なのは、できると信じてやってみること。想像していた枠を超えること。
米正氏は過去には『ポンキッキーズ』のクレイアニメ、NHK教育「いないいないばあっ」の抽象アニメなども手がけられていますが、現在は世界各国の街で、その街の方々と一緒に「お国自慢のアニメ作品」を創るというワークショップを展開されています。これを「Daumenreise(ドイツ語でDaum=親指, Reise=旅、つまり「親指の旅」を意味する造語)」と名付けています。2006年にウィーン滞在する機会を得た際、手持ちの材料と機材のみ、すなわち前作「Üks Uks」の制作の残りの和紙を半分に切って倍の枚数にし、デジカメで撮影してラップトップで編集したのが始まりです。
「Daumenreise」シリーズ作品は、22カ国、39都市、46作品に至ります。その「Daumenreise」シリーズの中から3作品を事前視聴いただきます。
『Wiener Wuast』(2006, 4’54”)/『Wiener Wuast』は、「ウィンナーソーセージ」はドイツ語で「ヴィーナーヴルスト」。ウィーン訛りで「ヴィーナーヴアシュト」。ソーセージはありふれていること、いろいろ混ぜてあること、両方の意味が含まれ、ウィーン訛りのタイトルをいうだけでも地元の人達が笑顔になります。
『Daumenreise 32 Bologna Italy: Sottalportig 』(2012, 2’13”) /イタリアのボローニャでのワークショップに日本からの画材が届かず、現地ですぐ手に入る赤ワインとコーヒーで描くことに。ピンチはチャンス、の醍醐味。
『Daumenreise 23 Kyoto2: おこしやしておくれやす』 (2011, 7’00”)/京都といえば何を思い浮かべますか。京都をテーマに、関西の5つの美大の学生達が、それぞれの大学に関するモチーフも一つずつ入れているところも見所。
ねらい:
米正氏は、手描きのアニメーション動画を手に、風景の中で撮影するという独特な手法を用いて数々の作品を発表している。そしてそのほとんどが日本や海外の様々な場所を旅しながら、その土地の人々や学生とワークショップや共同制作をおこないながら作り出したものである。そのパワーの源や発想の原点はどこにあるのだろうか。多くの賞を受賞した初期の作品『believe in it』との比較をおこないながら、その軌跡を探る。また「手持ちアニメーション」で制作された「Daumenreise」シリーズにおける「アニメーションと実写映像との融合」についての考察を通して、その可能性や将来性、有効性について検討する。
ゲストスピーカー略歴:
米正万也/Maya Yonesho
映像作家、講師。嵯峨美術短期大学(現:嵯峨芸術大学)でデザインと映像を学び、中学校美術科教諭として6年間勤務。そののち京都市立芸術大学、同大学院で日本画、造形構想を専攻、交換留学先のイギリス Royal College of Art で「言葉がわからなくても、わかりあえる」をテーマに13カ国の言語にシンクロする抽象アニメーション『introspection』を制作。帰国後、言葉と音楽にシンクロする『believe in it』で1998年に文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。2002〜2003年に文化庁在外研修員としてバルト三国のエストニアに滞在。8人のエストニア製本作家の協力を得て制作した『Üks Uks』は2005年オーストリア Tricky Women 国際女性アニメーション映画祭のトレイラーに採用。作品は、国際映画祭、デュッセルドルフ・クンストハレ現代美術館(ドイツ)、エストニア・デザイン博物館等で展示・上映。子供から大人まで対象の様々なワークショップを各地で行っている。手描きの動画をウィーンの風景の中で撮影した『Wiener Wuast』の後、その手法を用いた 「Daumenreise プロジェクト(Daumen=親指、Reise=旅)」を個人制作とワークショップとして3大陸22カ国で展開、2024年はポーランドとスイスで開催予定。ドイツ・シュトゥットガルト在住。
司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、中垣恒太郎)
式次第(予定):
15時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第6回)の活動についての報告
15時15分〜 ゲストスピーカー・米正氏による講演
16時15分〜 参加者との意見交換
17時00分頃 終了
協力:
芸術科学会
映像人類学フォーラム
日本アニメーション学会海外文献研究部会
映像人類学研究会代表:田淵俊彦