映像人類学研究会第12回研究会【9月19日】のお知らせ

日本映像学会映像人類学研究会12回研究会(2026年9月19日)のお知らせ

下記の通り、日本映像学会映像人類学研究会第12回研究会を、対面とZoomでのオンラインの同時ハイブリッドで開催します。
 今回のゲストは、人形アニメーター、演出家の眞賀里文子氏です。
 人形アニメーションはアニメーション表現の一領域でありながら、実際の人形やミニチュア、セットを撮影対象とする点で、実写映像とも深い接点を持っています。近年はCG技術の発展により映像表現の境界が変化しつつありますが、人形アニメーションは「実在するモノを撮影する」という実写的特性と、「生命のないものに動きを与える」というアニメーション特有の表現を併せ持つ、極めて独自性の高い映像文化です。
本研究会では、60年以上にわたり日本の人形アニメーション界の第一線で活躍されてきた眞賀里氏を迎え、人形アニメーションの歴史や制作技術のみならず、実写映像との関係性についても掘り下げます。また、フィルムからデジタルへの移行によって制作環境がどのように変化したのか、人形を演じさせ、撮影する行為をどのように捉えることができるのか、さらに人形アニメーション教育の現状と可能性についても議論を行います。
人形アニメーションを単なるアニメーション技法としてではなく、実写映像・アニメーション・映像人類学を横断的に考えるための重要な視点として位置づけ、その意義を改めて考える機会としたいと思います。

概要:
インターネットとデジタル機器の発達により実写映像、CG映像、アニメーションなど様々な映像表現が氾濫する現代社会において、スマホアプリの普及によりストップモーション、いわゆるコマ撮りの技法により制作された映像作品も身近なものとなっている。特に人形アニメーションに注目すると、商業現場においても、国内外を問わず『オオカミの家』(クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ監督 2018 ※日本公開2023)、『ごん GON, THE LITTLE FOX』(八代健志監督 2020)、『PUI PUI モルカー』(見里朝希監督 2021)、『JUNK HEAD』(堀貴秀監督 2021)、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(ギレルモ・デル・トロ、マーク・グスタフソン監督 2022)、『ウォレス&グルミット 仕返しなんてこわくない!』(ニック・パーク、マーリン・クロシンガム監督 2024)、『かたつむりのメモワール』(アダム・エリオット監督 2025)など、毎年のように大作、話題作が制作され、公開されている。
しかしながら、人形や立体などのコマ撮りアニメーションは国内においては手描きアニメと比べて制作会社はとても少なく、産業としては発展しているとは言い難い。また人形アニメーションは映像の制作技法としても、アニメーションという点で手描きアニメと共通点がありながら、撮影対象があり現実の物体と空間を必要とするという点で、実写映像との共通点もあり、映像分野の中でも独特な位置を占めている。この位置付けや関係は映像制作技術のデジタル化によって変化しているようにも思われる。さらに、近年は大学等におけるアニメーション教育も盛んになっているが、人形アニメーションのカリキュラムは確立しているとは言い難い。
「人形アニメーション」は、ジョルジュ・メリエスやJ・S・ブラックトンなどのアニメーション映画の先駆者も取り組んだと言われており130年近い歴史を持つ。しかし、2026年現在、映像人類学の視点から改めて捉え直す意義がある。
そこで今回は、60年以上に渡り日本の人形アニメーションの最前線で活躍する眞賀里文子氏を招き、実体験に基づく貴重なお話を伺い、人形アニメーションについての知見を深めたい。
眞賀里氏は世界の人形アニメーションのパイオニアであった持永只仁氏の元で制作を始め、その後、テレビや映画を中心に、国内外の短編・長編作品、ドラマ、特撮、CM、博物館展示映像、自主制作作品など、多彩な作品制作に携わってきた。そのキャリアは、フィルム時代からデジタル化された現在に至るまで続いている。携わった作品は1,000本を超えるとも言われるが、中にはほぼ一人で全てのアニメーションを行なった長編人形アニメーション映画『くるみ割り人形』(1979)や、世界初のIMAX用人形アニメーション『天までとどけ』(1993)など、話題作も数多くある。さらに、ランキン・バス(アメリカ)の作品や、ストップモーションアニメ『ピングー』(スイス)など、海外作品にも携わっている。近年はアート・アニメーションの小さな学校の学校長を務めたり、立体アニメーションを学ぶ場としてマガリ塾を開設したりするなど、教育活動にも精力的に取り組み、多くの教え子が活躍している。
今回の研究会では、
・人形アニメーションと実写映像の関係性 ~共通点と相違点を探る~
・人形アニメーション制作と映像のデジタル化〜フィルム時代からの変化〜 
・人形を演じさせ、撮影するとはどういうことか?〜人形・演技・撮影〜
・産業、仕事としての人形アニメーション〜人形アニメーションを仕事とするには?〜
・人形アニメーションの教育方法〜人形アニメーターを育てるには何が必要か?〜
・人形アニメーションという文化はどのようなものか?〜海外との比較検討〜
といった多角的な視点から議論し、人形アニメーションをめぐる実践と研究の双方を深める場としたい。

日時:2026年9月19日(土)14時00分〜16時00分(予定)
形式: 対面とZoomによるオンラインの同時ハイブリッドで開催
場所:桜美林大学東京ひなたやまキャンパス(東京都町田市本町田2600-4)
https://www.obirin.ac.jp/access/#campus_3
*オンラインでの参加を希望される方には、研究会前日の18時までにZoomの招待を送らせていただきます。
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。
なお、ご参加いただく皆様には、眞賀里氏のご厚意により、事前視聴用資料として「眞賀里氏のCM作品集」「青森県・長崎県関連の作品集」、さらに日米合作人形アニメーション映画『マッド・モンスター・パーティー』(1966年)および『くるみ割り人形』(1979年)のダイジェスト映像を、お申し込み後に配信いたします。

参加申し込み方法:下記 Googleフォームからお申し込みください。ご質問、ご不明点がございましたら、以下のメールでお問い合わせください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは一週間前の2026年9月12日(土)18:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/P9xB5bJw28CL4bmr6
メールでお問い合わせ:visualanthropology2021gmail.com

ねらい
1.人形アニメーションと実写映像との関係性を再検討する。
人形アニメーションが持つ実写性とアニメーション性の双方に着目し、その映像表現上の特性と可能性を明らかにする。
2.日本の人形アニメーションの歴史や海外との関係を再検討する。
 人形アニメーションの歴史や文化の奥深さや多様性、国際性を見つめ直す。
3. 眞賀里氏の教育方法や教育論を伺い、記録する。
 人形アニメーター育成の可能性について検討する。
4.人形アニメーションの文化としての可能性について検討する。
 映像文化やアニメーション文化における人形アニメーションの可能性を見つめ直す。
5. 眞賀里氏のキャリアを紹介する。
 日本において人形アニメーションがまだ広く普及していなかった時代から現在までの眞賀里氏のキャリアを概観し、キャリア形成の可能性を示し、若手研究者・制作者の将来設計に資する。

ゲストスピーカー略歴:眞賀里 文子 Magari Fumiko
人形アニメーター、演出家。
人形アニメーションのパイオニア・持永只仁氏の会社で美術のアルバイトしている時に人形アニメーションに出会う。持永氏の指導を受け、日米合作のテレビシリーズ『ピノキオの冒険』(原題”The New Adventures of Pinocchio”Jules Bass,Arthur Rankin Jr.,持永只仁 1961)等の制作に参加する。その後、「アニメーションの神様」の一人として知られる岡本忠成氏の設立した株式会社エコーの作品制作にも参加するなど、60年以上に渡り人形アニメーションの制作を行う。テレビや映画を中心に子ども向け番組や特撮、CMなど幅広く活動し、関わった作品は1,000本を超える。近年はアート・アニメーションの小さな学校で学校長を務めたり(2007年〜2023年)、マガリ塾(2023年〜)を開設したりするなど、アニメーションの教育・育成活動も積極的に行っている。
主な作品
<テレビシリーズ>
 『コメットさん』(1967年)
 『ちぃちゃんとヒゲおじさん』NHK Eテレ プチプチアニメ(2004年~)
<長編人形アニメーション映画>
 『くるみ割り人形』(1979年)
 『キティとミミィのあたらしいかさ』(1981年)
<映画(特撮)>
 『帝都物語』(1988年)
 『孔雀王』(1988年)
<自主作品>
 『くまの子ウーフ』(1983年)
 『東京大空襲・あおよかえってこい』(1987年) 
 『ちいちゃんのかげおくり』(1988年)
<博物館等上映映像>
 沢航空発祥記念館『天までとどけ』(1993年)※世界初IMAX用人形アニメーション
 長崎県三井楽ふるさと館『遣唐使物語』(1999年)
 青森県航空科学館『ミス・ビードルの大冒険』(2003年)
<CM>
『ホンダ』 『サントリー』 『コンタック』 『ドコモダケ』 『イソジン』 他

司会・パネリスト:本研究会代表・田淵俊彦(桜美林大学)
運営:中垣恒太郎(専修大学)・西野毅史(桜美林大学)

式次第(予定)
14時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第11回)の活動報告
14時15分〜 ゲストスピーカー・眞賀里文子氏とのトークセッション(対面)
15時15分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 終了予定              

映像人類学研究会代表:田淵俊彦

関西支部第46回夏期映画ゼミナール2026年【9/4・5・6】

日本映像学会関西支部第46回夏期映画ゼミナール2026年
《チャンバラ映画 その興隆と変革》

主催:日本映像学会関西支部・共催:京都府京都文化博物館
日本映像学会2026年度研究活動費助成事業

9月4日(金)1920年代~1930年代(戦前、マキノ一家)
午後1:30~ 開会の辞
午後1:35~午後2:57 『忠魂義烈 実録忠臣蔵』(牧野省三)サイレント 1928年 82分 マキノ御室
午後2:57~午後3:27 トーク&ディスカッション
 トーク:中村聡史(日中文化芸術学院、日本映像学会会員)
 司会進行:橋本英治(日本映像学会会員)
午後6:30~午後8:13 『恋山彦(前後編・総集編)』(マキノ正博)1937年 103分 日活
午後8:13~午後8:43 トーク&ディスカッション
 トーク:小川順子(中部大学、日本映像学会会員)
 司会進行:豊原正智(大阪芸術大学名誉教授、日本映像学会会員)
                                    
       
9月5日(土)『用心棒』『椿三十郎』以前
午後1:30~午後3:04 『血槍富士』(内田吐夢)1955年 94分 東映
午後3:04~午後3:34 トーク&ディスカッション
 トーク: 原田徹(映画監督)
 司会進行:大橋勝(大阪芸術大学、日本映像学会会員)
午後5:00~午後6:25 『鳳城の花嫁』(松田定次)1957年 85分 東映
午後6:25~午後6:55 トーク&ディスカッション
 トーク:石塚洋史(近畿大学、日本映像学会会員)
 司会進行:豊原正智

9月6日(日)『用心棒』『椿三十郎』以降
午後1:30~午後3:43 『切腹』(小林正樹)1962年 133分 松竹
午後3:43~午後4:13 トーク&ディスカッション
 トーク:倉田修二(撮影監督)
 司会進行:石塚洋史
午後5:00~午後7:08 『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(内田吐夢)       
1964年 128分 東映
午後7:08~午後7:38 トーク&ディスカッション
 トーク:吉田馨(大阪芸術大学、日本映像学会会員)
 司会進行:中村聡史
午後7:38~ 閉会の辞

会場:京都市中京区三条高倉 京都文化博物館 http://www.bunpaku.or.jp
TEL075(222)0888  FAX075(222)0889
[ 交通機関 ]
○地下鉄「烏丸御池駅」下車、5番出口から三条通を東へ徒歩約3分
○阪急「烏丸駅」下車、16番出口から高倉通を北へ徒歩約7分
○京阪「三条駅」下車、6番出口から三条通を西へ徒歩約15分
○市バス「堺町御池」下車、徒歩約2分

参加費:学会会員は、3階フィルムシアター 入口の日本映像学会関西支部受付へ直接お越しください。入館証をお渡しします。
問合せ先:〒585-8555  大阪府南河内郡河南町東山469 
      大阪芸術大学映像学科内 日本映像学会関西支部事務局(大橋)宛
      TEL 0721(93)3781 内線:3327 FAX 0721(93)6396 Mail : eizouosaka-geidai.ac.jp

チラシをPDFで開く

アジア映画研究会(第3期第36回)【9月10日】

日本映像学会アジア映画研究会(第3期第36回)開催のお知らせ

アジア映画研究会(第3期第36回)を下記のとおり開催します。
日時:2026年9月10日(木)19:00~20:30  ZOOMによるオンライン開催

下記URLより事前登録してください。会議前日にミーティング参加に関する情報の確認メールをお届けします。
https://forms.gle/avx29ci41iiDSjSs9

報 告:『秘境熱河』における熱河表象――「秘境」と観光空間の編成
報告者:管 新寧(大阪公立大学文学研究科/本学会員)
コメンテーター:晏 妮(日本映画大学/本学会員)

要旨:本発表では、南満洲鉄道株式会社が1936年に製作した記録映画『秘境熱河』を取り上げ、同作において熱河がいかに「秘境」として表象され、同時に観光空間として編成されていくのかを分析する。現存する第一巻および第三巻を対象に、地図や移動経路、宗教建築、清朝ゆかりの旧跡、市街地の景観や人びとの往来などに注目し、熱河が未知の土地として提示される一方で、観客が映像を通してその移動経路をたどり、見物しうる空間として組織されていく過程を明らかにしたい。さらに、映像・字幕・解説のあいだにみられる重なりやずれを検討することで、こうした熱河表象を支える日本側の歴史認識と視線のあり方について考察してみたい。

皆様のご参加をお待ちしております。

9月座長:韓燕麗