アジア映画研究会(第3期第16回)開催のお知らせ【2月7日】

アジア映画研究会[第3期第16回(通算49回)]を下記の通り開催いたします。

日時:2023年2月7日(火) 18:00 – 20:00
(ZOOMによるオンライン開催:事前申込制)
申し込み締め切り:2月3日(金)
下記URLより所定のフォームにご記入の上、お申し込みください。
https://forms.gle/nMd6ZwboPZp8EaEx8

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「インドネシア映画再訪」

昨年の東京フィルメックスでは、インドネシア映画『自叙伝』がグランプリを受賞。また、新たな世代を牽引してきたカミラ・アンディニの作品も特別招待枠で上映されました。
これら2作品に代表されるように、ここ数年でこれまでになかったインドネシア映画の胎動が始まっているように思われます。2月のアジア映画研究会では、研究サイドと現場サイド、ふたつの方向から、インドネシア映画を再訪してみたいと思います。

報告1:
「インドネシア映画の変化を読む」
西 芳実[映画研究者・京都大学 東南アジア地域研究研究所准教授]

インドネシア映画はどこに向かいつつあるのか。2021年、2022年のインドネシア映画は、今を生きる若者たちの戸惑いを描いた『自叙伝』(マクブル・ムバラク)や『フォトコピー』(レガス・バヌテジャ)といった1990年代生まれの監督作品や、『復讐は私にまかせて』(エドウィン)や『ナナ』(カミラ・アンディニ)といった「時代もの」が国内外に鮮烈な印象を残した。
本報告では、ガリン・ヌグロホ以降のインドネシア映画の系譜にこれらの作品を位置づけるとともに、独立戦争やスハルト時代、1998年民主化といったインドネシア現代史が映画によってどのように語り直されようとしているのかを考えることで、インドネシア映画の現状と今後を探る。
[参考]
西芳実著『夢みるインドネシア映画の挑戦』英明企画編集、2021
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784909151223 

報告2:
「現場から見る、インドネシア映画の現在・未来」
森永泰弘[サウンドデザイナー/サウンドアーティスト]

長らく東南アジアの映画制作を実践するなかで、インドネシア現代映画の中心人物たち、ガリン・ヌグロホ、カミラ・アンディニ、イファ・イスファンシャ、ヨーゼプ・アンギらと協働し作品を創ってきた。今回、彼らとの実践経験を通じて、いま現在のインドネシア映画の実情を、多角的な観点から語ってみたい。

2月座長:杉原賢彦

クロスメディア研究会第16回研究会のお知らせ【2月11日】

クロスメディア研究会第16回研究会のお知らせ

下記の通り日本映像学会クロスメディア研究会第16回研究会を開催します。
今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のためオンライ開催になります。
会員の皆様の参加をお待ちしております。

【日時】:2023年2月11日(土)15:00-17:00

【参加方法】*事前申し込み制
ZOOM会議システムを利用して開催します。下記のURLで事前にお申し込みをお願いします。
申込み後、ZOOMのID, PASSをお知らせいたします。
https://forms.gle/pqmS7YppFg51gQYG7

 

【発表内容】NFTの動画コンテンツへの可能性

近年注目されているNFT(Non-Fungible Token)ですが、デジタルコンテンツを中心にその可能性と応用範囲に期待が集まっています。映像分野においても例外でなく、すでに様々な萌芽事例の試みが進行中です。今回はNFTとは何か、といった基礎知識から始まり、各コンテンツにおけるNFT活用の具体事例、大手企業のNFTビジネス参入動向、NFTがもたらす未来の展望までを紹介していきます。

【発表者】
内山雄介 東京工芸大学芸術学部デザイン学科映像情報領域准教授

 

お問い合わせ
日本映像学会クロスメディア研究会
代表 李 容旭
〒164-8678東京都中野区本町2-9-5
東京工芸大学芸術学部映像学科内
e-mail:leeimg.t-kougei.ac.jp

アナログメディア研究会 協力企画のご案内【1月29日】

アナログメディア研究会 協力企画のご案内です、

ブラジルコンテンポラリー8ミリフィルム 作品上映&トーク
「小さなしぐさについての小さな心覚」

[日程]
2023年1月29日(日) 16時00分〜

[会場]
イメージフォーラム3F「寺山修司」
東京都渋谷区渋谷2-10-2
TEL. 03-5766-0116
※ご来場の際は必ずマスクをご着用ください。

映像学会会員 資料代 800円 (イメージフォーラム 会員は600円)

[主催]
丸山徹也
イメージフォーラム

[協力]
Spice Films
日本映像学会アナログメディア研究会
株式会社ダゲレオ出版

イントロダクション
ブラジル在住の映像作家・丸山徹也によるセレクション。ニューヨークやリオ・デ・ジャネイロの映画祭で紹介された、知られざるインディペンデントでエクスペリメンタルなブラジルの映像作家による8ミリフィルム作品を特集する。宇宙に行くなどのグランジェスチャー(Grand Gesture)がグランメディア(Grand Media)で祝福される世界では、昆虫の死体を集めるなどの小さなジェスチャー(しぐさ)が変位の点となりえるだろうか? ブラジルのさまざまな場所のアーティスト/シネアスタ(artista-cineasta)によって作られたこれらの作品郡は、その場での小さな仕草を祝うための断片化された時空間を提供する。祖先への儀式的な呼びかけ、母なる大地の頭蓋骨から盗用/発掘された自然文化(nature-culture)、8ミリフィルムという素材に対面する作家自身の仕草、人間と人間以外の一時的な生まれ変わり。すべてではないがほとんどの作品は組織的な支援無しにアーティスト自身によって現像、製作された。プログラム内のすべての作品はオリジナルフォーマットである8ミリフィルムで上映され、その性質上それぞれのフィルムが唯一無二のものである。映写技師の存在は体験の重要な部分を占める。 このプログラムは、一つしか存在しない我が子を提供する各作家の信頼によるネットワークによって可能になった。スーパー8は今も昔も、非商業的なアーティストにとって完璧な媒体である。16ミリや35ミリなどの大きな形式とは異なり、この小型映画形式は、そのアマチュア (amador)と認識される特徴において、ブラジルの軍事独裁政権の間、検閲を通過しなかった。今日のブラジルの芸術的土壌におけるスーパー8を熟考することは適切であり、現在の巨大なメディア/資本力の存在においてはなおさらである。(企画・文:丸山徹也)

作品紹介

レヴェン・ナチュラ(Revém Natura) Ж / 7分/ 2013 「地球」(それは何か)「天国(それは無)から逃れられない」(エックハルト・フォン・ホッホハイム)『レヴェン・ナチュラ』は、CI.NE(Natural Expanded Cinema)と呼ばれる大規模な研究の一部を形作っている。これは人間以外のものと接触しながら生物中心のバイオリズムについての映画を制作する試みである。映画システムにネイティブ・アメリカンの遠近法を取り入れた実践的な経験であり、スーパー 8 フィルム(海に投げ出され回収されたもの)とその装置(スクリーン、プロジェクター)からなるこのシステムを、「水、海、“環境”」と生命システムとの共生の中に位置づけた経験でもある。 偽りの分裂した自然と文化を破壊するシンプルな試み。食人映画の提案。「食人とは環境を飲み込むこと」(H. Oiticica)

フィルムは戦場(A Film is a Battleground) ニコラス・キャンディド(Nikolas Candido )/ 5分/ 2022  最初に白い先端の上の音。 金属音。 文字。 ばらばらの手紙。 戦闘的な音。 汚れ。 白地に赤のレイヤー。 映画制作の象徴的な戦いを想起させる音と映像の質感の断片。

デデントロ(Dedentro) マテウス・ホーザ(Mateus Rosa) / 3分/ 2018 この映画は人類の出現についての祖先の体験であり、彼らが人生の始まりにおいてどのように泥の中を移動したかを描いている。

美術館訪問(Visita ao Museu) リジア・テイシェイラ、フランシスコ・ベンヴェヌー ト(Lígia Teixeira & Francisco Benvenuto) / 4分/ 美術館での午後、花とブルーベリーのスープ。 コロナのパンデミックの隔離中に撮影された。 ブルーベリー、秋の花、ハーブのスープで自家現像された。2021 年 3月。

ヴェール2(Véu II) ホドリーゴ・ファウスチーニ(Rodrigo Faustini) / 3分/ 2022「ヴェール」は、フィルム上映、上映会場、イメージとしての神秘的なフィルムロール、サウンドを使うためにチューニングを外したAMラジオなどを素材とした、偶然と機会によるシリーズである。『ヴェールI』 は、40年の眠りから覚めて復活したカメラで撮影されたフィルムロールの投影だった。『ヴェールII』 は、ブラジルの路上で現像前に発見されたロールの最初の投影であり、1974年頃にコダクロームで撮影され、2020年に白黒ネガとして処理されたものである。それは「幽霊」のような人々の偶然の映像で、時間が経過が感じられ、親密な雰囲気で統一されているが、文脈や色彩が欠如している。それらがスクリーン上で新たに再構築される。

我を復活せよ(Ressuscita-me) アトス・デ・ムーカ・コレクティブ(Coletivo Atos da Mooca) / 6分/ 2017 糸車の前で老婆が糸を紡いでいる。繭と糸玉の間で遊んでいる子供。糸、生地、質感、テキスト – 言葉についての言及が現れる。本作はスーパー 8で撮影された各ショットによる集合的な構成の、詩的な実験の結果である。映画的な恍惚。

ナルキッソスの変身または頭の上のタマネギ(Metamorfose de Narciso ou Uma cebola na cabeça) デュオ・ストラングロスコープ & アンヘル・ルエダ(Duo Strangloscope&Angel Rueda)/ 4分/ 2016 この少年は何をもって一日中鏡で自分自身を見なければならないのか? 頭には玉ねぎ。人間は疲労による深い眠りによって野菜になり、神々は彼らの情熱 による透明な催眠術によって植物になる。しかしナルキッソス、あなたは透明な思春期の恐ろしい香りの現れによって形成され、水の花のように眠る。動けなくなったナルキッソスは、食虫植物の消化の遅さを反映して、姿が見えなくなる。彼に残っているのは彼の頭の幻覚的な真っ白な曲線だけで、頭は再び繊細になり、愚かな手の指先で、恐ろしい手で、食糞の手で、彼自身の反射による死すべき手で支えられる。この頭が分かれるとき、この頭が割れるとき、この頭が激しく砕けるとき、それは花になる、新しいナルキッソス、レアンドロ – 私たちの愛。

閉じ込められた流転(Fluxo Confinado) ヘルダー・マルティノフスキー(Helder Martinovsky)/ 3分/ 2022 閉じ込められた流転から脱出する短い試み。

破れ目(Rasgos) ホザーナ・カシアトーレ(Rosana Cacciatore)/ 3分/ 2022 野生の混沌から身を守るために、人間は自分の周りに驚異的な要塞を築くが、この防御は彼らを窒息させる。そのため、生命を維持しようと、太陽への窓、シミュラクラ現象、色鮮やかな混沌の粗い複製を描く。

若人頌歌(Ode aos Jovens) ナタリア・ポリ(Natália Poli)/ 3分/ 2022 無情な昆虫の死骸のコレクション。 残されたもの。 無情な人骨のコレクション。 残されたもの。 ヴァニタスのシンボル、メメントモリ。 有限性。 儚さ。 無常。

アンチフィルム(ANTFILM) 丸山徹也(Tetsuya Maruyama)/ 3分/ 2021 あなたがその一部である場合、どのようにシステムに反対することができますか?

丸山徹也
1983年、横浜生まれ。映画、パフォーマンス、サウンド、インスタレーションとそのすべてを学際的に実践するアーティストである。彼の作品は日常的に見受けられる誰も気に留めない記録としての、ファウンド・フッテージの素材やその質感の再文脈化から始まっている。彼の作品は各国の映画祭、美術館、ギャラリーなどで幅広く展示されており、ハイチの同名民話から着想を得たデビュー作は、2018年のVIII FestivalMárgenes(マドリード、スペイン)で最優秀作品賞を受賞した。現在リオ・デ・ジャネイロ在住。アーティストが運営するフィルムラボ 「Megalab」 を設立し活動している。

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アジア映画研究会(第3期第15回)公開イベントのお知らせ【2月1日-4日】

アジア映画研究会(第3期第15回)公開イベントのお知らせ【2月1日-4日】

「イラン映画を福岡の宝物に(AIFM)」プロジェクト東京上映会
モフセン・マフマルバフ監督作品セレクション
デジタルリマスター版上映とオンライントーク
◎会期:2023年2月1日(水)~2月4日(土)
◎会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水・水道橋)
◎料金:webページ参照 
 ※「日本映像学会会員」または「アジア映画研究会会員」は無料。当日受付にて別添「日本映像学会会員 アジア映画研究会会員の皆様」に必要事項を記入して提出ください。
【開催趣旨】
アジア映画研究会は本年度3回目の公開イベントとして、「イラン映画を福岡の宝物に(AIFM)」プロジェクト実行委員会、アテネ・フランセ文化センターと共催で「モフセン・マフマルバフ監督作品セレクション デジタルリマスター版上映とオンライントーク」を開催します。
アジアフォーカス・福岡(国際)映画祭(1991~2020)で上映されたアジア映画の収集と保存を行い、日本とアジアの国々との文化交流の一翼を担って来た福岡市総合図書館。そのコレクションの中には多くのイラン映画の名作が含まれています。映画祭が終了した現在、その志を継続すべく立案されたのが「イラン映画を福岡の宝物に(AIFM)」プロジェクトです。今回は、福岡市総合図書館に寄託・寄贈されることとなったモフセン・マフマルバフ監督の4作品をデジタルリマスター版で上映。マフマルバフ監督のオンライントークも予定しています。なお、最終日には、アボルファズル・ジャリリ監督の『グリーン、ホワイト、レッド—イラン映画の歴史を求めて』を特別上映します。当研究会はオンライントーク等の運営に参加します。
主催:「イラン映画を福岡の宝物に(AIFM)」プロジェクト実行委員会
   アテネ・フランセ文化センター
共催:日本映像学会アジア映画研究会
協力:福岡市総合図書館
   コミュニティシネマセンター
   映画美学校
   スモールトーク

web頁&チラシ画像:http://www.athenee.net/culturalcenter/program/ma/makhmalbaf.html

【スケジュール】
2月1日(水)                                                          
14:20 『サラーム・シネマ』(90分)
16:20 『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』(92分)
18:00 トーク:四方田犬彦(映画誌・比較文学研究者)
19:30 『パンと植木鉢』(78分)
2月2日(木)                                                          
14:40 『タイム・オブ・ラブ』(70分)
16:20 『サラーム・シネマ』(90分)
18:00 トーク:市山尚三(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)
19:30 『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』(92分)
2月3日(金)                                                            
14:30 『パンと植木鉢』(78分)
16:20 『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』(92分)
18:00 トーク:ショーレ・ゴルパリアン(映画プロデューサー)
19:30 『サラーム・シネマ』(90分)
2月4日(土)                                                           
15:30 プレゼンテーション:山口吉則(「イラン映画を福岡の宝物に(AIFM)」プロジェクト代表)/特別上映『グリーン、ホワイト、レッドーイラン映画の歴史を求めてー』(75分)
17:30 『タイム・オブ・ラブ』(70分)
19:00 オンライントーク:モフセン・マフマルバフ(映画監督)
司会:石坂健治(日本映像学会アジア映画研究会代表)

【監督プロフィール/作品解説】
モフセン・マフマルバフ(Mohsen Makhmalbaf)
1957年にテヘランの貧しい下町に生まれる。弁護士である義父の影響を受けて15歳で高校を中退し、パーレビ王朝打倒の反体制運動に加わる。17歳の時に警察官から銃を奪おうとナイフで襲い逮捕される。未成年であったため死刑を免れ、イスラム革命で釈放されるまで4年半の獄中生活を送る。革命後は政治活動から離れて文化活動に転じ、作家、ラジオ・プロデューサー、映画監督として活躍。革命後のイラン映画ニューウェーブの創始者の一人となる。
イラン政府による検閲に抗議し、2005年の大統領選挙後にイランを離れる。現在、映画監督、脚本家、プロデューサーとして活躍し、世界で最も影響力のある映画監督の一人である。2015年に第72回ベネチア国際映画祭でロベール・ブレッソン賞を受賞。
作家としては「イランのスタインベック」とも呼ばれ、著書に『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』『闇からの光芒 マフマルバフ、半生を語る』(共著)等がある。
主な映画作品は『ボイコット』(85)『ザ・ペドラー/行商人』『サイクリスト』(89)『タイム・オブ・ラブ』(91)『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』(92)『サラーム・シネマ』(95)『ギャッペ』(96)『パンと植木鉢』(96)『キシュ島の物語(99)『カンダハール』(01)『独裁者と小さな孫』(14)

『タイム・オブ・ラブ』TIME OF LOVE
1991年/カラー/70分/DCP
脚本・編集・監督:モフセン・マフマルバフ
撮影監督;マームード・カラリ
音響:ジャハンギール・ミルシェカリ
出演:シバ・ゲレデ、アブドルラフマン・パレイ、マンデレス・サマンジラール、アケン・トゥンジ、ジャラール・コスローシャヒ
主人公グゼルをめぐる3つの恋愛物語。グゼルと夫であるタクシー運転手、グゼルの愛人とある老人の4人が同様なシチュエーションからスタートして、それぞれの心の世界の変化によって全く異なった物語へと展開していく。トルコのイスタンブールで撮影され、95年のカンヌ映画祭「ある視点」部門で上映された。

『ワンス・アポン・ア・タイム、シネマ』ONCE UPON A TIME, CINEMA
1992年/カラー/モノクロ/92分、英語タイトル/DCP
脚本・編集・監督:モフセン・マフマルバフ
撮影監督:ファラジ・ヘイダリ
音楽:マジッド・エンテザミ
メイクアップ:アブドラ・エスカンダリ
音響: アーマド・アスカリ
出演:エザトッラー・エンテザミ、メーディ・ハシェミ、モハマド・アリ・ケシャヴァルズ、アクバル・アブディ、ファテメ・モタメドアーリヤ
1900年、ガージャール朝の第5代国王の時代にイランに映画が紹介される。映画を見てヒロインに恋をした国王は、スクリーンから飛び出してきた女優を追いかけ回し、俳優になることを熱望するが…。喜劇仕立ての映画の中にイラン映画史における名作の断片をふんだんに取り入れ、イラン映画の歴史に対してオマージュを捧げた作品。

『サラーム・シネマ』SALAAM CINEMA
1995年/カラー/81分(日本上映版90分)/DCP
脚本・編集・監督: モフセン・マフマルバフ
撮影監督:マームード・カラリ
音響:ネザムディン・キアエ
音楽:シャハルダッド・ロハニ
出演:アザデ・ザンゲネ、マリアム・ケイハン、フェイゾラ・ゲシュラギ、ハミド・ゲシュラギ、ハムド・ゲシュラギ
マフマルバフ監督が「映画生誕100年を記念して俳優志望の人々を題材とした映画を作る」と新聞に公告を出すと、オーディション当日数千人の人々が殺到して大混乱となる。監督は既にその模様を撮影し始めていたのだ。参加者は監督の前で、歌い、泣き、笑い、機関銃乱射により倒される演技をしていく。

『パンと植木鉢』A MOMENT OF INNOCENCE
1996年/カラー/78分/DCP
監督・脚本・編集・出演:モフセン・マフマルバフ  
撮影監督:マームード・カラリ
音響:ネザムディン・キアーイ
音楽 :マジッド・エンテザミ
出演:ミルハディ・タイエビ、アリ・バクシー、アマル・タフティ、マリアム・モハマド・アミニ、モハラム・ゼイナルザデ
マフマルバフ監督は高校を中退してパーレビ王朝打倒の反体制運動に加わり、17歳の時に警察官から銃を奪おうとナイフで襲うが失敗し逮捕される。監督と警察官本人が、20年前に二人の人生を運命的に結びつけた重要な事件を映画で再現する。個人史、ドキュメンタリー、フィクションの絶妙な組み合わせによる作品。

グリーン・ホワイト・レッドーイラン映画の歴史を求めて』GREEN,WHITE,RED
2015年/カラー/75分/DCP
監督/脚本/編集:アボルファズル・ジャリリ
撮影監督:メーディ・イルベイギ
音響:モスタファ・ファゼリ
スチル:キアン・アバスアバディ
出演:マーヤ・デヘガニ、ファルディン・シャーホセイニ
主人公は映画大学の最終学期に在籍しており、卒業論文の準備をしなければならない。彼女はボーイフレンドを故郷に訪ねて、彼が持つイラン映画史の本をすべて借りてテヘランに戻る。列車の中で本を読んでいると、革命前からの映画史における傑作のシーンが次々と目に浮かんでくる。2015年に釜山映画祭が企画した作品の完全版。

アボルファズル・ジャリリAbolfazl Jalili
1957年イラン中央部のサヴェー生まれ。70年代から8ミリで自主映画製作を始め、イランテレビに入ってドキュメンタリーや短編映画を作る。第3作の『かさぶた』(87)で注目を集め、後にイラン映画を代表する監督のひとりとなった。主な作品に『春へ』(85)『ダンス・オブ・ダスト』(92)『7本のキャンドル』(95)『トゥルー・ストーリー』(96)『少年と砂漠のカフェ』(01)『ハーフェズ ペルシャの詩』(2007)。

※全作品日本語字幕
※全作品デジタルリマスター版
※トークは本特集のチケットをお持ちの方はご入場になれます。
※先着順/入替制(整理券は当日初回の20分前から販売いたします)

会場&お問合せ:
アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)
東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4階
(JR/地下鉄 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分)
TEL.03(3291)4339(13:00―20:00)
http://www.athenee.net/culturalcenter/
Email:infor@athenee.net

入場申込書は、下記よりダウンロードください。
https://drive.google.com/file/d/1zefIth504ca2fzkKCteH189ivVyBjpWG/view?usp=share_link

映像人類学研究会第4回研究会【2月19日】のお知らせ

日本映像学会映像人類学研究会第4回研究会(2023年2月19日)のお知らせ

下記の通り日本映像学会映像人類学研究会第4回研究会をオンライン(Zoom)にて開催いたします。会員に限らず多くの方の参加をお待ちしております。
ドキュメンタリー映画 『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督であり、ドキュメンタリー作家の信友直子氏をお迎えして、セルフドキュメンタリーにおける介護の問いを通して、自身と身内を被写体にすること、さらに、エイジズム、アンコンシャス・バイアスなどの問題を考えてみたいと思います。

概要:参加者の皆さんには、ゲストスピーカー(信友直子氏)が制作した上記の作品『ぼけますから、よろしくお願いします。』の公式サイト:http://www.bokemasu.com/の中にある予告編を事前にご覧頂き、当日はこの作品にまつわる講演を信友氏から頂き、その後、参加者で活発な意見交換、ディスカッションを行いたいと思います。

日時:2023年2月19日(日)14時00分〜16時00分
形式:Zoomを使ったオンライン開催
参加費:無料
どなたでも参加できます。学生さんも歓迎です。
出入り自由ですので、お気軽にお申し込みください。若手制作者、若手研究者の方で興味がある方も是非ご参加ください。

参加申し込み方法:下記 Googleフォームや映像人類学研究会宛のメールでお申し込みください。参加者リスト作成などの準備のため、締め切りは2月13日(月)0:00厳守とさせていただきます。
Googleフォーム:https://forms.gle/QWwp3E6U6RwDAPRRA
メールでのお申し込み、お問い合わせ: visualanthropology2021gmail.com

『ぼけますから、よろしくお願いします。』劇場公開:2018年11月3日
作品概要:テレビディレクターの信友直子氏が、故郷の両親を撮影し反響を呼んだドキュメンタリーに、追加の取材と再編集をして映画化。80代後半で認知症になり自身の異変に戸惑う母と、95歳で家事と介護を担う父の姿を、葛藤しながら離れて暮らす娘の視点で映し出す。長年連れ添ってきた両親の日常を、ドキュメンタリー制作者の視点で真っすぐに見つめる。
作品情報:https://www.cinematoday.jp/movie/T002…
製作・配給: ネツゲン
製作・配給: フジテレビ
製作・配給: 関西テレビ
ねらい:本研究会でとりあげる『ぼけますから、よろしくお願いします。』の前にも信友氏は『おっぱいと東京タワー 私の乳がん日記』にて自らの病を主題にしたセルフドキュメンタリーにより、数々の賞を受賞するなど高い評価を得ている。自身のプライベートな領域に踏み込み、ドキュメンタリーを創るというそのスタイルのパワーはどこから生まれてくるのか。映像を通して人間を描き出すプロセスにおける表現の手法や被写体との距離感をめぐる関心は、映像人類学における主要な課題のひとつである。
本研究会では「セルフドキュメンタリーで食べていく覚悟」と題して、信友氏が実際にドキュメンタリー制作をする中で体感したさまざまな葛藤や(自身が介護をしながら仕事を続けてゆけるのかといった)悩みを通して、ドキュメンタリー制作者としての在り方、介護や認知症などの社会問題、さらに、エイジズム、アンコンシャス・バイアスなどについても考えてみたい。

ゲストスピーカー略歴
信友直子 / ドキュメンタリー作家
1961年 広島県呉市生まれ
1984年 東京大学文学部英文科卒業
1986年 映像制作の仕事を始める
      フジテレビを中心にドキュメンタリー番組を100本以上制作
      テーマは北朝鮮拉致問題、ひきこもり、ネットカフェ難民など、
      社会的なものから、市井の人の人間ドキュメンタリーまで様々。
2009年 自らの乳がん闘病をまとめたセルフドキュメンタリー番組
      「おっぱいと東京タワー~私の乳がん日記~」で
      ギャラクシー賞奨励賞、ニューヨークフェスティバル銀賞など受賞
2018年 認知症の母と老老介護する父を娘の視点で描いたドキュメンタリー映画
      「ぼけますから、よろしくお願いします。」公開
      20万人を動員する大ヒットに。
      令和元年度文化庁映画賞文化記録映画大賞など受賞
2019年 映画の舞台裏を描いた書籍「ぼけますから、よろしくお願いします。」
      新潮社より出版
2022年 第2弾書籍「ぼけますから、よろしくお願いします。おかえりお母さん」出版
2022年 第2弾映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」公開

司会:本研究会メンバー(田淵俊彦、中垣恒太郎)

式次第(予定)
14時00分〜 開会の挨拶、映像研究会のこれまで(第1回~第3回)の活動についての報告
14時15分〜 ゲストスピーカー・信友氏による講演「セルフドキュメンタリーで食べていく覚悟」
15時15分〜 参加者との意見交換
16時00分頃 終了

映像人類学研究会代表:田淵俊彦

第9回ドキュメンタリードラマ研究会【2月4日】

日本映像学会会員各位

下記の通り、研究会を開催いたします。

第9回ドキュメンタリードラマ研究会
「ドキュメント・バラエティの先駆作を探る
――『アメリカ横断ウルトラクイズ』『世界ウルルン滞在記』制作者に聞く」

日時:2023年2月4日(土)14時〜17時30分
場所:専修大学神田校舎1号館102教室
 アクセス:神保町駅(地下鉄/都営三田線、都営新宿線、半蔵門線)出口A2より徒歩3分
 主催:日本映像学会ドキュメンタリードラマ研究会、専修大学人文科学研究所

【概要】

ドキュメント・バラエティの先駆作として、『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ「木曜スペシャル」、1977-98、テレビマンユニオンの関与は第11回の1987年まで)は、クイズ番組の形をとりながら、「知力、体力、時の運」のキャッチフレーズ、「敗者」に向けられた罰ゲームなど、特定のシチュエーションに置かれた人間ドラマ(人間ドキュメンタリー)の演出に特色がありました。

『アメリカ横断ウルトラクイズ』(50分ダイジェスト版)を参考上映した後、『アメリカ横断ウルトラクイズ』(第1回~第10回)の演出に携わられた白井博氏をお招きし、その試みについてテレビメディア史の観点からお話を伺います。

白井氏は、『アメリカ横断ウルトラクイズ』の前年にも『米建国200年記念・夢と冒険! アメリカ大横断 奇跡の7人大成功』(日本テレビ「日曜スペシャル」1976年7月)として、キャンピングカーでアメリカ大陸を横断するという壮大なスケールの旅番組を手がけられており、さらに『アメリカ横断ウルトラクイズ』以降も、紀行ドキュメンタリー・バラエティ番組『地球ZIGZAG』(1989-94、TBS系列)、『世界ウルルン滞在記』(1995-2007、TBS系列)のプロデューサーをつとめられています。テレビバラエティ史およびリアリティ番組の先駆的番組の試みを振り返りながら、テレビメディアの特質を探っていくことにします。

*参加無料、学生の参加歓迎。
*事前申込みなしでも参加できます。
*資料の用意の関係で事前申込みいただけると助かります。

【ゲスト登壇者】

白井 博  氏 (テレビマンユニオン取締役副会長) 
今野 勉  氏 (テレビマンユニオン最高顧問)
丸山 友美 氏 (福山大学人間文化学部メディア映像学科専任講師)

【プログラム】
14時00分〜『アメリカ横断ウルトラクイズ(ダイジェスト版)』(50分)参考上映
15時00分〜 白井博氏に聞く「『アメリカ横断ウルトラクイズ』とテレビメディアの可能性」
16時10分~ 討論
17時30分  終了予定

【問い合わせ先】
参加申込みgoogleform
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本研究会Webサイト
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ドキュメンタリードラマ研究会(代表:杉田)メール
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