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日本映像学会第44回大会【5月26・27日】

日本映像学会会員各位

新緑が眼に沁みる季節となりました。
いよいよ、明日26日(土)正午より、第44回大会を開催いたします。
お陰様をもちまして、例年にないほどの多数の研究発表・作品発表のお申し込みをいただきました。
大会実行委員会一同、会員の皆様のふるってのご参加を、心よりお待ちししています。

・大会プログラム最新情報
https://drive.google.com/file/d/1KXL2FYmpPFVCGZt2KjkyUsmDj9J9QSs7/view

・第3通信PDF(会場アクセス等)
https://drive.google.com/file/d/1hhBd1eJ4QNNtR2lHbTz9awVBQhvdCMkX/view

以上
日本映像学会第44回大会実行委員会
https://eizo2018.jimdo.com/
〒164-8678
東京都中野区本町2-9-5
東京工芸大学芸術学部映像学科内

会報第182号を発行しました。

会報第182号(2018年4月1日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter182
会報第181号

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
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また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンをクリックしてみてください。


会報への会員による投稿につきましては以下の投稿規定をお読みのうえ、末尾の連絡フォームによりご連絡ください。のちほど担当よりご連絡申し上げます。

日本映像学会 会報 投稿規定(2017年10月 理事会決定)

1.投稿資格

(1) 投稿の時点で正会員の資格を有していること。

(2) 投稿者本人が執筆者であること。共著の場合は、投稿者が筆頭執筆者であり、必ず他の共著者全員の承認を得た上で投稿しなければならない。

2.投稿内容

(1) 映像に関する研究を推進し、広く映像文化の向上に寄与するもの(「日本映像学会会則」第2章第4条にもとづく)。

(2) 未発表のもの。二重投稿は認めない。投稿者自身の既発表論文や口頭発表と関連がある場合には、そのことを必ず明記すること。

(3) 投稿者は、自らが著作権を有しない著作物や図版などを引用するに際しては、著作権法(第32 条第1項)が定める引用の条件に則って行なうものとし、必要な場合はその著作権所有者の許諾を得なければならない。

3.字数

(1) 字数は自由(1ページは2,400字程度・複数ページも可)

(2) 図版を添付する場合には、図版の大きさを文字数に換算し、全体の文字数に含める。

4.体裁

(1) 完成原稿であること。

(2) メール本文に、題名、執筆者名、住所、電話番号、Eメールアドレス、所属等を記すこと。なお、総務委員会が原稿を確認し、事務局からEメールで「原稿受付」の通知をする。

5.提出方法

(1) 電子データをメール添付で事務局に送信すること。

(2) メール本文にOSの種類とソフト名(Wordもしくはテキスト)を明記すること。

6.投稿先

E-mail: jasias@nihon-u.ac.jp

7.校正

著者校正は初校のみとし、以後は総務委員会が行なう。

8.著作権

会報に発表された研究報告等の著作権は日本映像学会に帰属する。他の著作に転載する場合には、事務的な手続きのため、事前に文書等で学会に連絡し、転載する際に、会報への掲載に関する基本的な書誌情報を明記すること。

9.締切

投稿は随時受け付ける。

10.その他

(1) 掲載の可否については、総務委員会が決定する(一部改稿を求めることもある)。また、「採否の通知」は事務局からEメールで送信する。

(2) 投稿原稿掲載部分はPDF電子版会報の内としてホームページ上で一般公開

以上

2018年度研究会活動費助成の公募について(応募期間:2018年4月1日~4月30日)

2018年度研究会活動費助成の公募について

研究会活動費助成の公募
2018年度、本学会は映像に関する研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する研究活動に対して研究会活動費助成の公募をします。
有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とし、研究会活動費助成の公募をします。
応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。
・応募期間:2018年4月1日~4月30日
・応募資格:各支部に所属する研究会の代表者
・公募内容:研究会が企画・運営する研究会活動費として今年度は一種類の助成金を交付します。今年度は学会予算上の都合で昨年より総額が減少しておりますがご理解のほどよろしくお願いいたします。(作品賃借料については会員の作品は含まない)
予算額: ¥80,000以内(4件程度) (総額¥320,000程度)
・審査結果の通知:2018年5月中旬
・助成金の交付:審査結果にもとづき助成金額を通知します。原則として年度末に領収書と引き換えに交付します。事情により事前の交付についても柔軟に対応する用意があります(総務扱い)。
・研究会活動の結果の報告書の提出:基本的に年度末 3月31日(学会報、大会などでの公表)を予定しておりますが、予算の配布時期によって変更の場合があります。
・研究会活動費の運用についての報告:基本的に年度末 3月31日(学会報、大会などでの公表)を予定しておりますが、予算の配布時期によって変更の場合があります。
*なお、申請内容に食い違いが生じたものや、実施できなかったものについては、報告と助成金の返還を求める場合があります。

「研究会活動費助成申請書」について
応募する研究会の代表者は記入票(研究会活動費助成申請書.xlsx)及び予算案を学会ホームページ(https://jasias.jp/archives/4095)よりダウンロードし、必要事項を記入のうえ映像学会事務局・研究企画委員会宛に送ってください。(電子メールの場合の送信先アドレス: jasias@nihon-u.ac.jp

*「研究会活動費助成申請書」の記入内容については記入票をご覧ください。

xlsx.ico

記入票:研究会活動費助成申請書.xlsx

docx.ico

予算案.docx

以上

日本映像学会研究企画委員会
〒176-8525
東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部内

 

2018年度第1回アジア映画研究会【4月4日】

日本映像学会会員各位

アジア映画研究会(第4回)開催のお知らせ

アジア映画研究会(第2期第4回/通算第22回)を下記のとおり開催します。
日時:2018年4月4日(水)18:00-20:00
会場:国際交流基金・御苑前オフィス7階アジアセンター(702-703会議室/席数30)
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-16-3-7F
(東京メトロ丸ノ内線 四谷三丁目駅 2番出口 から徒歩8分)
アクセスマップ https://www.jpf.go.jp/j/access/map.html

今回は報告1件、講演1件です。

①報告「『アジア三面鏡2018』ミャンマー撮影報告」
    石坂健治会員(日本映画大学/東京国際映画祭)30分+討議

②講演「アジアとの共同製作を振り返る~プロデューサーの立場から」
    井関惺氏(映画プロデューサー)、聞き手:石坂健治 45分+討議

①は国際交流基金と東京国際映画祭が共同製作中のアジア3か国オムニバス映画『アジア三面鏡2018』の製作部に所属する発表者が、3月にヤンゴン(ミャンマー)で進行中の松永大司監督の撮影現場に立ち会った報告。
②は同じ『アジア三面鏡2018』の統括プロデューサーをつとめる井関惺(いせきさとる)氏に、アジア諸国との共同製作に関わってきた豊富な経験談をお話しいただく。井関氏は、大島渚『戦場のメリークリスマス』、黒澤明『乱』、陳凱歌『始皇帝暗殺』、ウェイン・ワン『スモーク』、ジェイコブ・チャン『墨攻』などを製作。日本を代表する国際派プロデューサーである。

———————-
ご参加についていくつか注意点がございます。

<19時までにご来場の方>
御苑前オフィスビルの正面玄関からお入りいただき、直接7階アジアセンターフロアまでお越しください。

<19時以降ご来場の方>
19時以降はビルが施錠されます。ご来場の都度、中から職員がお迎えに参りますので、到着次第、座長あてにご連絡ください。(4月座長:石坂)

<出席について>
国際交流基金の会場の都合で、前日までに参加者全員のお名前とご所属を報告する必要があります。
参加をご希望の方は「調整さん」でおこないますので、下記のサイトへ行き、「出欠を入力する」をクリックしてください。
「表示名」にお名前(フルネーム)を入力、○(出席)△(不明)×(欠席)のいずれかを選び、コメントの欄にご所属などをご記入ください。
出席の方は、前日4/3(火)18:00までにお願いします。
https://chouseisan.com/s?h=67cc06cd4dbe4af3bbf26c50d559ad7b

以上

アジア映画研究会
代表 石坂健治
〒215-0014
神奈川県川崎市麻生区白山2丁目2−1
日本映画大学内

関西支部第83回研究会【3月24日】

日本映像学会関西支部第83回研究会(3月24日)開催のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第83回研究会を開催いたします。研究会終了後には懇親会も予定しております。会員の皆様の参加をお待ち申し上げます。

日時:平成30年3月24日(土)午後2時より
会場:大阪経済大学 E31教室(座席数168)

研究発表1:増村保造作品の、“妻”に対する男たち――『清作の妻』と『華岡青洲の妻』をめぐって
発表者:関西学院大学 中村聡史会員
要旨:増村保造の作品が、女性に対する強権的、暴力的、支配的なふるまいを示す、男性的あるいは男性優位的な側面を強く持ったものであるということは明らかなように思われる。なぜなら増村の作品において女たちは捨てられ(『親不孝通り』、『妻は告白する』、『妻二人』)、利用され(『黒の試走車』、『陸軍中野学校』、『しびれくらげ』)、飼育・調教され(『痴人の愛』、『盲獣』)、そして犯される(『赤い天使』、『セックス・チェック 第二の性』、『でんきくらげ』、『御用牙 かみそり半蔵地獄責め』)からである。にもかかわらず増村保造の作品は「印象としてはほとんどが女の映画というふうに見える」(山根貞男『増村保造 意志としてのエロス』)。それは増村保造が描く女性たちが、そうした男たちによる支配や暴力に対して必ずしも従順ではなく、時に抵抗し、時に反逆し、時には逆に支配するような、主体的で、強い女性であるからである。彼女たちは強烈で鮮烈な印象を鑑賞者に与え、これまでの増村をめぐる言説では、そうした「増村的女性」(そして、その象徴としての若尾文子)についてのものが中心的であった。つまり「増村的男性」が議論の中心となることは少なかったのである。
 本発表は、そうした状況をふまえたうえで『清作の妻』(1965年)および『華岡青洲の妻』(1967年)を取りあげ、女性主人公に対する男たち(“妻”の“夫”すなわち清作と華岡青洲)をとおした増村保造論を展開するものである。

研究発表2:実験工房におけるインターメディアの試み
発表者:大阪経済大学人間科学部 北市記子会員
要旨:本発表では、1950年代に活躍した前衛芸術家集団「実験工房」の活動に焦点をあて、多角的な視点からの分析を試みる。
 実験工房は、美術・音楽・舞台芸術・写真などの、既存の芸術の諸領域を横断的に融合する「インターメディア」の試みをいち早く実践したグループとして知られているが、新たなテクノロジーによって生み出された素材やメディアを積極的に表現に取り入れるそのアプローチは、現代のメディアアートに通ずるものである。こうした実験工房の活動について、今回は特に中心メンバーの一人である山口勝弘の動向や言説に照らし合わせながら分析を進めるが、そこでは前衛の旗手・岡本太郎が提唱する「対極主義」の概念との関連性が浮かび上がってくる。また、山口自身が真にインターメディアな表現として位置づけるオートスライド作品『試験飛行家W.S.氏の眼の冒険』(1953)に着目し、オーディオ・ヴィジュアルな表現を通して表出する先駆的思考(機械を通して人間を表現すること)について考察する。

大阪経済大学 〒533-8533 大阪市東淀川区大隅2-2-8
TEL:06-6328-2431(代表)
アクセス
 ・阪急京都線「上新庄」駅、徒歩約15分
 ・地下鉄今里筋線「瑞光四丁目」駅、徒歩約2分
 ・市バス「大阪経大前」「大経大正門」下車すぐ
 交通アクセス http://www.osaka-ue.ac.jp/profile/access/
 大阪経済大学周辺マップ http://www.osaka-ue.ac.jp/profile/access/areamap/

日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)
email:eizou@osaka-geidai.ac.jp

2017年度第1回写真研究会【3月20日】

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日本映像学会 写真研究会
2017年度第1回研究発表会開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位

写真研究会の研究発表会を下記のとおり開催致します。
皆様のご来場をお待ちしております。

日本映像学会写真研究会
代表 前川 修

・日時===========================
 2018年3月20日(火曜日)14:30開始-18:00終了予定
 発表後に質疑応答の時間があります。

・会場===========================
 同志社女子大学今出川キャンパス 楽真館R006教室(座席数44)
 〒602-0893 京都府上京区 今出川通寺町西入
 最寄り駅:地下鉄烏丸線「今出川駅」
 交通アクセス
 http://www.dwc.doshisha.ac.jp/access/imadegawa/index.html#p3
 キャンパス案内図
 http://www.dwc.doshisha.ac.jp/access/imadegawa/campusmap.html

発表者・発表内容:
 報告1 舘かほる氏(神戸大学人文学研究科博士前期課程)
  「内なる他者の身体表象――鳥居龍蔵の千島アイヌ調査写真をめぐって」
 報告2 笠間悠貴会員(明治大学理工学研究科博士後期課程)
  「さかさ双眼鏡と蜃気楼――渡辺兼人の80年代初期作品と風景論を辿る」

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発表要旨

舘かほる(神戸大学人文学研究科博士課程前期課程)
「 内なる他者の身体表象――鳥居龍蔵の千島アイヌ調査写真をめぐって――」

 本発表では写真を用いた先駆的な調査で知られる人類学者、鳥居龍蔵の撮影した写真表象について考えてみたい。とくに彼が千島アイヌ調査で撮影した写真、その身体表象を素材にすることで、そこにどのようにして内なる他者としてのアイヌが表象されていたのかを探りたい。

 本発表ではまず、北海道開拓以降にアイヌが日本でどのように政治的に位置づけられていたのかを確認し、そのうえで当時の日本の人類学がアイヌをどのように「内なる他者」として写真資料を用いて表象していたのかを検討する。鳥居の人類学調査は、日本の旧植民地であった台湾、満州、樺太など、日本の周縁の民族を対象としたものであった。その調査の目的は、日本人の起源を突きとめることであった。当時の日本の人類学では大森貝塚の石器発見を発端とした、アイヌと日本人の起源(=大森貝塚で発掘された石器時代人)との関係をめぐる論争が起きていた。それがコロポックル論争である。鳥居の研究もまた、結果的にアイヌに及ぶことになり、特に千島アイヌを日本人の起源として注目し、調査を行っていった。

 鳥居の千島アイヌに対する理論的な構えを考える上で、当時の対アイヌ政策の文脈と人類学の言説におけるアイヌの立場の関係は重要である。鳥居が千島アイヌを対象に調査をおこなった1890年代から1910年代当時アイヌは人類学において言説構築のために身体的・文化的差異を強調されていた。しかしそれと同時にアイヌは明治政府から公布されるあらゆる同化政策の対象でもあり、彼らは文化的慣習の実践を禁止されていた。つまり当時のアイヌは、同化政策が進められる一方で、人類学的に特権的な対象として日本人との差異を強調されながた扱われていたのである。それは鳥居にとっても同様にアイヌは同化政策の対象となりうる他者でありながら、同時に自文化の起源(あるいはそれに近い)民族でありうるという考えの基に認識されていたのである。これはつまり、自己(日本)のなかに属しながらも他者として自己と区別される対象、すなわち内なる他者ということができるだろう。

 発表の後半では、次に鳥居が撮影した千島アイヌの写真表象およびその枠組みとなる理論を明らかにする。ここで重要なのが形質人類学という骨格の特徴によって民族の分類を行う方法であり、鳥居もこの分類のために用いる写真を多く残している。このような写真による身体の表象方法は欧米にその先行例をみることができる。それはアラン・セクーラが示したようにフランシス・ゴールトンやアルフォンス・ベルティヨンがおこなった犯罪者や病人といった社会的な他者を表象する方法である。さらに身体を写真によってアーカイヴすることで社会的他者の領域を画定し、自己との断絶をおこなうのである(Allan Sekula,”The Body and Archive,” October, Vol. 39(Winter, 1986), p. 7)。こうした欧米の方法はたしかに日本の人類学でも輸入され、実践されている。しかし、日本の人類学においては、自己の源泉を求めるために内なる他者の身体を写真でアーカイヴするのである。そうして形成されたアーカイヴがどのような意味をもち、そこで写真はどのような機能をもっていたのかについて考察していきたい。

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笠間悠貴(明治大学大学院理工学研究科建築都市学専攻総合芸術系博士後期課程)
「さかさ双眼鏡と蜃気楼――渡辺兼人の80年代初期作品と風景論を辿る」

 金井美恵子との共著『既視の街』で第7回木村伊兵衛写真賞を受賞し、現在まで30年以上ほぼ毎年展覧会を開催してきた写真家・渡辺兼人の80年代の写真作品と、本人による初期の写真論を辿る。スクエア・フォーマットで切り取られたモノクロの風景写真には、どこで撮影されたのかを伝える情報、例えば目印となる建物や、特徴的な地形、地名を示す文字などが注意深く避けられている。また、仰角や俯角を用いることもほとんどなく、カメラはアイレベルから水平に対象に向かっている。その端正な構図からは、はっきりとした意思を持って撮られたことが伝達される一方で、その目的や動機を読み解くことは非常に困難である。そのため、シャッターが切られたというその事実だけが際だって前景化している。こうした渡辺の写真を評するのにこれまで用いられてきた「何も写っていない」という言われ方や、「不在感」に関して、実証的に論じる。

 本発表は三つの側面から渡辺作品を考察する。まず、銀座ニコン・サロンで1981年に開催された展覧会「既視の街」、それに続いてツァイト・フォト・サロンで1982年から84年まで3年連続で開催された展覧会「逆倒都市(さかさとし)」に出品された風景写真の撮影場所を、そのフレームの中の極めて少ない情報と、1970年代の航空写真を照らし合わせることで特定していく。渡辺はこれまで、自身の作品がどこで撮影されたかを明記したことはなく、場所を特定する作業は作家の意図に対して逆行することになるが、写真には必ず時間と場所が伴うものであるという信念で、50点以上の場所を探し当てた。ただそれはあくまでも場所を解き明かすこと自体に目的があるのではなく、撮影された場所が作品にとってまた作家にとってどういう意味を持つのかを明らかにしたい。次に、「既視の街」は金井美恵子によるテクストと組み合わされ発表された経緯があるため、小説としての側面にも注目する。渡辺の写真は、物語の中に描かれる主人公が見た夢の場面と連動している。新潮社版『既視の街』(1980年)のレイアウトや物語に着目し、写真とテクストがどのような関係を結び、「既視感」を構築するのかを考証する。最後に、雑誌『芸術生活』1974年3月号の特集「謎の写真家アッジェの世界」に寄せた渡辺の論考「存在の乱反射」を検証し、写真に対する渡辺の主張、構想、興味に触れる。この論考で渡辺は、蜃気楼をモチーフにした江戸川乱歩の奇怪小説『押絵と旅する男』を取り上げ、蜃気楼や双眼鏡の像といった光学現象の顕在化と、写真を潜在的に支えている光学的な構造をパラレルに捉え、写真における被写体の存在と、撮影者の立場について検討している。以上を分析することで、渡辺作品の重層的な世界に迫り、写真に内在する撮影された場所と時間が、鑑賞者によってどのように受容されるのかを探求したい。

以上
日本映像学会写真研究会
代表 前川修
〒657-0013 兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1
神戸大学人文学研究科 前川修研究室

中部支部2017年度第3回研究会【3月5日】

日本映像学会会員各位

2017年度 | 日本映像学会 中部支部 | 第3回研究会
http://jasias-chubu.org/wp/?p=616

日時:2018年03月05日(月)13:30より
会場:名古屋学芸大学 メディア造形学部棟 MCB210教室(約80席)
   (愛知県日進市岩崎町竹ノ山57)

◎スケジュール
-13:30~13:35 開催校挨拶

-13:35~14:00 研究発表:梶川瑛里 氏|「重力と落下−−『くもとちゅうりっぷ』の空間表象と運動表現」
-14:05〜14:25 研究発表:村上将城 会員|「作品『landschaft』について」

-14:45~18:20頃 学生作品プレゼンテーション
 参加校:愛知県立芸術大学/愛知淑徳大学/情報科学芸術大学院大学[IAMAS]/椙山女学園大学/名古屋学芸大学/名古屋芸術大学/名古屋造形大学/名古屋文理大学 (五十音順)
 ※学生作品プレゼンテーションの詳細は、下記URLをご確認ください
  http://jasias-chubu.org/wp/?p=616

-18:30頃より  学内にて懇親会

◎研究発表

重力と落下——『くもとちゅうりっぷ』の空間表象と運動表現
梶川瑛里氏(名古屋大学大学院 文学研究科 博士課程前期課程)

要旨:1943年に製作された日本アニメーションの金字塔と言われる『くもとちゅうりっぷ』の受容には、相反する二つの意見が見られる。一方で、戦時下の状況にも関わらずアニメーションの美的表現、詩情性を突き詰めたと称賛されるが、他方近年の研究では、そのキャラクター表象が戦時下のイデオロギーに基づいていると指摘される。いずれにしろ、このアニメーション作品の中で、空間や身体という物理的側面からどのような意味が構築されているのかという問題は軽んじられてきた。しかし、『くもとちゅうりっぷ』に見られる物理的な空間や身体は、戦前および戦時下のアニメーション文化を色濃く映し出しているのみならず、戦後日本のアニメーションにも継承される表現技法と技術を示している点で、極めて重要なものである。
本発表では、『くもとちゅうりっぷ』を題材として、そのリアリズム的表現に注目すると同時に、アニメーションにおける重力という空間表象や落下運動の分析を行う。ディズニーやジブリのアニメーション作品との比較も交えながら、『くもとちゅうりっぷ』の日本アニメーション史上における意義を空間表象と運動表現の側面から捉え直していく。

作品「landschaft」について
村上将城会員(名古屋学芸大学 映像メディア学科 専任講師)

要旨:2006年より継続して写真作品「landschaft」を制作している。風景という言葉だけでは回収することのできない、人間の視覚によってとらえられる目の前の認識像 landschaft / 景観を写真で遺し、記録していく本作品を、これまでに制作したシリーズを踏まえて解説する。

**
◎会場へのアクセス
<公共交通機関でお越しの方>
 東山線「上社」駅と、鶴舞線「赤池」駅より、スクールバスが出ています。
 両駅とも、大学までの時間は15分ほどとなります。
 乗車時に、車掌に「学会での来校の旨」お伝えいただくことで、乗車できます。
 スクールバスの時刻表は下記のPDFにてご確認ください。
 https://www.nuas.ac.jp/download/2017bustimetable_spring.pdf

<お車でお越しの方>
 はじめに正門入ってすぐの「守衛室」にお寄りください。
 来客用の駐車場位置について、守衛より説明があります。
 https://goo.gl/maps/MCTeanvsB2F2

以上
日本映像学会中部支部
http://jasias-chubu.org/wp/
〒470-0196
愛知県日進市岩崎町竹の山57
名古屋学芸大学メディア造形学部映像メディア学科内

ショートフィルム研究会主催「黒坂圭太―不定形のドローイング 映像作品「不定形シリーズ」をめぐる対話」【2月18日】

日本映像学会会員各位

ショートフィルム研究会主催(第23回活動)
「黒坂圭太―不定形のドローイング 映像作品「不定形シリーズ」をめぐる対話」
ライブ・ドローイング、上映、講演、交流会開催のお知らせ
 
作家・黒坂圭太氏の映像作品「不定形シリーズ」について、研究者・赤塚若樹氏との対談により読み解いていく。またライブ・ドローイングと関連作品上映も行う。具体的には、黒坂氏のフィルモグラフィを振り返りつつ、手法と表現、描くという行為、抽象的な映像表現など、本シリーズにまつわるさまざまな事柄について、作家と研究者の対話を通して考察する。ライブ・ドローイング+作品上映+作家と研究者の考察的対話を行うことで、抽象的な短編映像作品への理解を深める。

期日 2018年2月18日(日)14:00-17:30(予定)
ゲスト 黒坂圭太(アニメーション作家)、赤塚若樹(首都大学東京 教授)
内容 ライブ・ドローイング、上映、講演、交流会
会場 シアターカフェ 〒460-0011愛知県名古屋市中区大須二丁目32-24 マエノビル2階
定員 20名 (main@theatercafe.jp へご予約ください)
入場無料
企画 林緑子
主催 日本映像学会ショートフィルム研究会
日本映像学会研究会活動費助成対象研究

以上
日本映像学会ショートフィルム研究会
代表 林緑子
〒460-0011
愛知県名古屋市中区大須2丁目32-24
マエノビル2階

アナログメディア研究会協力「太田曜16㎜実験映画上映」【2月10・11日】

アナログメディア研究会協力事業
「太田曜16mm実験映画上映」(2月10・11日)開催のお知らせ

日時:2月10日(土曜日)・2月11日(日曜日)
   14時00分 Aプロ
   15時30分 Bプロ
   17時00分 Cプロ
   18時30分 Dプロ
   ★★★ 全て16mm フィルム作品 フィルム映写機で映写して上映します ★★★
場所:TATARABA / タタラバ(座席数約30)
   https://tataraba-tataraba.jimdo.com/access/
   東京都品川区北品川2-25-17
   京浜急行「新馬場駅(品川駅から2つ目)」北口より徒歩約5分 北馬場参道通りを山手通り方向へ、山手通りを渡って、ミユキハウジングと日本経済新聞の間の細道を真っすぐ進んだ左手。ショーウィンドウのタタラバのロゴが目印。
入場料:1プログラム1000円 2プログラム以上1500円

Aプログラム  サイレント作品 1980年代 12作品 71分
Bプログラム  サウンド / サイレント作品 1990年代 9作品 70分
Cプログラム  サウンド作品 2000年代 8作品 66分
Dプログラム  最近の作品 2010年代 9作品 63分

主催:TATARABA / タタラバ & MALTESE CROSS VISION
協力:日本映像学会アナログメディア研究会
お問い合わせ先(太田曜):distortedcinema-joei@yahoo.co.jp
080−1276−8478(オオタ)
太田曜 ホームページ : http://www.tokyo100.com/ota/

上映作品 プログラム

Aプログラム サイレント作品 1980年代 12作品 71分

●RELATIF HORAIRE 16ミリ カラー サイレント 2分 1980年
●UNE SUCCESSION INTERMITTENTE 16ミリ カラー サイレント 2分1980年
●UN RELATIF HORAIRE No3 16ミリ カラー サイレント 3分 1980年
●UN RELATIF HORAIRE No4 16ミリ パートカラー サイレント 5分 1980年
●TEMPS TOPOLOGIQUE 16ミリ モノクローム サイレント 11分 1981~82年
●UN RELATIF HORAIRE No5 16ミリ カラー サイレント 8分 1983~84年
●STÄDEL 16ミリ カラー サイレント 7分 1985年
●STUHL 16ミリ カラー サイレント 6分 1986年
●5400Secondes 16ミリ カラー サイレント 10分 1986年
●CHAISE PLUS 16ミリ カラー サイレント 4分 1987年
●15h-3h 16ミリ カラー サイレント 4分 1988年
●段・ボール 16ミリ カラー サイレント 9分 1989年

Bプログラム サウンド / サイレント作品 1990年代 9作品 70分

●INSTALLATION TIME 16ミリ カラー サウンド 6分 1989~90年
●FLOTTE 16ミリ カラー サウンド/サイレント 9分 1993年
●LUNAISON 16ミリ カラー サイレント 8分 1994年
●ENTOMOLOGIST 16ミリ カラー サウンド/サイレント 8分 1995年
●SYNONYM OF ANIMATION カラー サイレント 5分 1996年
●DISTORTED “TELE” VISION カラー サウンド 11分 1997年
●DISTORTED MOVI SION カラー サウンド 8分 1998年
●INCORRECT CONTINUITY カラー サウンド 9分 1999年
●INCORRECT INTERMITTENCE カラー サウンド 6分 2000年

Cプログラム サウンド作品 2000年代 8作品 66分

●RELATIVE TIME-TABLE 2001 パートカラー サウンド 6分 2001年
●OFF THE SYNC パートカラー サウンド 8分 2002年
●DISCREPANT SIGHT パートカラー サウンド 7分 2003年
●SNAIL DANCE パートカラー サウンド 9分 2004年
●SPEED TRAP カラー サウンド 6分 2004年
●ANTONYM of CONCORD(E) カラー サウンド 9分 2005年
●INCLINED HORIZON カラー サウンド 8分 2007年
●PILGR IMAGE of TIME カラー サウンド 13分 2008年

Dプログラム 最近の作品 2010年代 9作品 63分

●REFLEX/REFLECTION カラー サウンド 8分 2009年
●SURF/LENGHT カラー サウンド 8分 2010年
●FANTÔME カラー サウンド 8分 2011年
●根府川(Nebukawa) パート・カラー サウンド 6分 2012年
●L’Image de la Pucelle 2 カラー サウンド 12分 2013年
●ULTRAMARINE

以上
日本映像学会アナログメディア研究会
代表 西村智弘
https://www.facebook.com/analogmedia/
〒166-0011
東京都杉並区梅里1-3-3
阿佐ヶ谷美術専門学校内(担当:末岡)

日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会合同研究発表会【2月11日】

日本映像学会
映像心理学研究会・アニメーション研究会合同研究発表会のご案内

日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会の合同究発表会を下記の要領で開催いたします。是非ご参加くださいますようご案内申し上げます。

日本映像学会映像心理学研究会・アニメーション研究会 代表:横田正夫

■開催概要

日時:平成30年2月11日(日曜日) 午後2:00~6:00
会場:日本大学文理学部百周年記念館会議室2
http://www.chs.nihon-u.ac.jp/about_chs/campus_map/
(東京都世田谷区桜上水3-25-40)

■プログラム

第1部 アニメーション研究会(2:00~3:00)

2:00~3:00
アニメの感情の谷
横田正夫会員(日本大学)

アニメに描かれる物語では、主人公がある出来事によって激情を誘発され、異世界に行ってしまったり、無意識に陥ったり、さまざまな心理的な反応が生ずる。例えば、マンガの原作とアニメ化された「進撃の巨人」では、主人公は、巨人と戦う訓練を経て、巨人と戦えると過信した時に、巨人と戦うことになり、初戦で巨人に食べられてしまう。この時には「駆逐してやる」という断片的な意識はあるもののもとの人間の意識は失われている。つまり感情の谷に落ちている。そしてこの谷から出るためには自らの力で出ることはできず、友人が外から声をかけてやる必要があった。感情の谷から抜け出るのは、難しい。このように感情の谷をひとつの図式として当てはめると、物語の構造が分かりやすい。そして感情の谷に落ちること、ならびにそこから出てきたときには感情の谷に落ちる以前よりも人格が高まっていると描くのが、日本でヒットしているアニメの基本構造になっている。

第2部 映像心理学研究会(3:10~5:20) 

3:10~4:10
造形力に頼らないアニメーション制作実習課題の検討
野村建太会員(日本大学)・野村康治会員(松蔭大学)

 アニメーション制作実習課題を行うにあたり、課題対象者の造形力が問題となることがある。将来アニメーターを目指し、デッサンなどの専門教育を受けている場合はその限りではないが、初等中等教育過程の生徒や高等教育過程でも絵を描かない分野の学生に対し、アニメーション制作実習課題を行う場合、造形力の基礎がないことを前提に実習課題を設定する必要がある。将来アニメーターにならない場合でも、アニメーションの動きを理解出来る人材を育成することを目的に、アニメーション制作実習課題の検討を行う。
 発表者は日本大学芸術学部映画学科でアニメーションを教えているが、画力にばらつきがある学生を対象としたアニメーション制作の教育、特に動きの制作を習得する初歩として、カットアウト人形を使用した歩きのアニメーション制作課題を課している。学生には、人形の体の部位と関節の数を指定し、人形を制作してもらう。撮影方法やデータ提出方法の規定を提示し、撮影は自宅で行ってもらう。完成した映像は、講評会で見ながら問題点を指摘し、何度か作り直す。毎回の講評会では、自身が制作したアニメーションを自己評価してもらい、各段階に制作された映像は第三者にも評価してもらうことで、データを収集し、実習課題の有効性の調査も行っている。また、その調査を行いながら授業内容のブラッシュアップを行っている。
 大学で行っている実習課題の他に、小・中学生を対象としたアニメーションのワークショップを複数回行った経験から、課題対象や環境に合わせて実習課題を行う方法を検討する。

4:20~5:20
笑いの力
阿部恒之氏(東北大学大学院文学研究科心理学講座)

2012年から,哲学・ 国文学の研究者と共に,復興の狼煙ポスタープロジェクトのポスターに写った東日本大震災の被害者の「顔」を巡って議論してきました。私は,知覚心理学的アプローチから,怒り顔と笑顔の持つ「魅力」を考えてきたのですが,今回は,笑顔のほうを中心にして,笑いの発する「力」についてお話しさせていただこうと思います。
高笑いと共に登場する黄金バット。黄門さまの呵々大笑。『ワンピース』の初登場シーンで笑いながら登場する強面キャラクター。密かに笑い方の訓練を受けていたデロリンマン。笑いの力を自覚的に用いたニューヒーロー・オールマイト・・・多くの娯楽作品における笑いを取り上げながら,笑いという感情の表出が有する異質な強さを考えてみたいと思います。

5:20~6:00 質疑応答

■参加申込

どなたでも参加できますが、資料作成の都合上、2月9日(金)までに下記までお申し込み頂けますと助かります。

■参加申込・問合せ先:

日本大学文理学部心理学研究室(横田正夫)
東京都世田谷区桜上水3-25-40
E-mail: myokota@chs.nihon-u.ac.jp
Tel: 03-5317-9720 Fax: 03-5317-9427