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2023年度 研究会活動費助成の公募について(応募締切:2023年6月26日12:00)

日本映像学会 会員各位

 平素より日本映像学会にご参加およびご協力いただきありがとうございます。映像にかんする研究・活動の活性化を図るために、研究会が企画・運営する本年度の研究活動に対して研究会活動費助成の公募をおこないます。有意義と期待される研究活動や、継続的な研究活動を続けている研究会、および新規発足の研究会による研究活動の奨励を目的とします。「2023年度研究会活動費助成申請書」に必要事項を記入の上、応募期限までにご提出ください。
応募された「研究会活動費助成申請書」については審査委員会による研究・活動計画内容、実施の実現性などについて厳正な審査のうえ、助成対象となる研究・活動計画を決定します。

〆切は2023年【6月26日(月)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や本年度の申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2023年度研究企画委員会による研究活動助成について」.pdf
2023年度研究会活動費助成申請書」.xlsx
日本映像学会 研究会活動費助成 予算書」.docx
[参考]「日本映像学会 研究会活動費助成 決算報告書」.docx *研究会活動費の運用についての報告書式

2023年度 春期新規研究会登録申請について(応募締切:2023年6月26日12:00)

日本映像学会 会員各位

平素より日本映像学会の活動にご参加・ご協力いただき、ありがとうございます。
日本映像学会では会員のみなさまに活発な学会活動をおこなっていただくため、2023年度の春期新規研究会を募集します。
従来の研究会にない枠組みでのご活動を検討されている方、映像学への新たな視点をお持ちの方、是非ご申請ください。

同時に「研究会活動費助成」の申請をご検討の方は、こちらをご覧ください。

〆切は2023年【6月26日(月)12:00まで(厳守)】となっております。
みなさまのご応募お待ちしております。

日本映像学会 研究企画委員会

詳細のご案内や申請フォーマットは、以下よりダウンロードしてご使用ください。
2023年度_春期新規研究会登録申請について.pdf
新規研究会登録申請書.xlsx

アナログメディア研究会主催:実験映画を観る会 vol.4【5月28日】

実験映画を観る会 VOL-4

日時:2023年5月28日 日曜日 13時から上映
場所:小金井市中町天神前集会所
〒184-0012 東京都小金井市中町1丁目7-7
https://www.mapion.co.jp/phonebook/M13007/13210/21331137107/
武蔵小金井駅南口から徒歩約14分
参加は予約制です。予約フォームにご記入ください。
https://forms.gle/Js13PTwRVZV9K6R98
参加資料代千円(当日現金でお支払い下さい)
スケジュール
12時45分開場
13時 〜 15時 上映 川口肇 プログラム
15時 〜15時10分 休憩
15時10分 〜17時10分 上映 芹沢洋一郎 プログラム
17時10分 〜17時20分 休憩
17時20分 〜17時50分 トーク 川口肇 芹沢洋一郎 横江れいな
実験映画を観る会は、フィルムで制作された実験映画をフィルムで上映することをコンセプトに、これまで3回行ってきた。第4回目は、フィルムとデジタルを縦横に行き来する作品を制作する川口肇、芹沢洋一郎映画の上映。フィルム作品はもちろんフィルムで、デジタル作品やフィルムとのミックス作品はそれぞれオリジナルのメディアで上映し、改めて映画にとってフィルムとは何かを考える。

川口肇 プログラム
川口肇プロフィール:1987年より福岡で映像作品制作を始め、映像作家集団フィルムメーカーズフィールドの活動に参加。その後、山形、東京と活動の場を移す。視覚現実の模造である映像、その擬制の側面に着目し、「機械の生理」粒子/ノイズ/映写/時間等を基軸にしたフィルムおよびビデオ作品制作を続けている。
川口肇映像作品集【MIRROR/RORRIM:デジタルとフィルムの鏡面反射】
1.粒子/ノイズ
Air(8mmフィルム/06min /1992)※サイレント作品
Corridor (ビデオ/11min/1994)
2.透過/積層
消失点(デジタルビデオ/07min/2009)
vanishing-eight(8mmフィルム/03min/2009)
3.ぶれ、滲み
掌のオーロラ(8mmフィルム+デジタルビデオ ミックス上映/15min/2010)
帰途・セラフの森(デジタルビデオ/11min/2010)
Sumie(16mmフィルム/05min/2018)
4.D/Fの混交
rack-pinion(wired-glass No.4)(16mmフィルム/05min/2017)
MIRROR/RORRIM(16mmフィルム+デジタルビデオ ミックス上映/06min/2019)
miniature(8mmフィルム/06min/2019)※サイレント作品
フィルム5作品25分 デジタルビデオ3作品29分 ミックス上映作品2作品21分(合計10作品 75分)
F:5作品25分 V:3作品29分 F+V(MIX):2作品21分 合計:10本 75分
※Fはフィルム上映、Vはビデオプロジェクター上映、F+V(MIX)はミックス上映

芹沢洋一郎 プログラム
FILMは露光し焼け塗られ音を出し重ねられ光を透過するが、デジタル化できるのか?
芹沢洋一郎:17歳で作った「まじかよ?」(1980)がPFF81に入選し、自主映画や実験映画の存在を知る。流血映画を数年撮り続け行き詰まるが、ロベール・ブレッソンと奥山順市から「主題と手法の一致」を学び作風を転向。80~90年代に多くの作品を発表し国内外で評価を得るが「殺人キャメラ」(1996)発表後沈黙。「サヴァイヴァル5+3」(2016)を20年ぶりに発表し活動を再開、現在に至る。
上映作品(上映順・計71分)
1. 走れウサギ(8mm/03min/1991)
2. 間男(8mm/06min/1989)
3. 煮奴(デジタル/01min/2021)
4. いどうだいすき(8mm/25min/1991)
5. 殺人キャメラ(16mm/03min/1996)
6. サヴァイヴァル5+3(8mm/08min/2016)
7. サヴァイヴァル5+3【デジタル捕獲版】」(デジタル/09min/2017)
8. DIRECT LIGHT(16mm/16min/1995)
トーク:川口肇、芹沢洋一郎、横江れいな
横江れいな:プロフィール
よこえれいな
8ミリフィルムを偏愛する8ミリ女子。2015年に8ミリに出会い、主に8ミリにデジタルテクノロジーを掛け合わせたインスタレーションの制作活動をする。日本映像学会アナログメディア研究会所属。
https://www.yokoereina.com/

主催:
日本映像学会 アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
https://twitter.com/analogmedia2022
8ミリフィルム小金井街道プロジェクト
http://shink-tank.cocolog-nifty.com/perforation/
https://twitter.com/8mmfkkp

会報第197号を発行しました。

会報第197号(2023年5月15日)を発行しました。
以下のPDFよりお読みください。

JASIAS_NewsLetter197

PDFがウィンドウに表示されない(画面が真っ白や真っ黒等)ときは、
ウィンドウ右下端のサイズ調節をマウスで動かして調節してみてください。
ウィンドウの幅のサイズが会報の幅のサイズより大きいときなどに、
PDF表示画面が出ずに真っ白や真っ黒の画面になることがあります。
また、文字が一部しか表示されないときは、URL表示のそばにあるリロードボタンをクリックしてみてください。


会報への会員による投稿につきましては以下の投稿規定をお読みのうえ、末尾の連絡フォームによりご連絡ください。のちほど担当よりご連絡申し上げます。

日本映像学会 会報 投稿規定(2017年10月 理事会決定)

1.投稿資格

(1) 投稿の時点で正会員の資格を有していること。

(2) 投稿者本人が執筆者であること。共著の場合は、投稿者が筆頭執筆者であり、必ず他の共著者全員の承認を得た上で投稿しなければならない。

2.投稿内容

(1) 映像に関する研究を推進し、広く映像文化の向上に寄与するもの(「日本映像学会会則」第2章第4条にもとづく)。

(2) 未発表のもの。二重投稿は認めない。投稿者自身の既発表論文や口頭発表と関連がある場合には、そのことを必ず明記すること。

(3) 投稿者は、自らが著作権を有しない著作物や図版などを引用するに際しては、著作権法(第32 条第1項)が定める引用の条件に則って行なうものとし、必要な場合はその著作権所有者の許諾を得なければならない。

3.字数

(1) 字数は自由(1ページは2,400字程度・複数ページも可)

(2) 図版を添付する場合には、図版の大きさを文字数に換算し、全体の文字数に含める。

4.体裁

(1) 完成原稿であること。

(2) メール本文に、題名、執筆者名、住所、電話番号、Eメールアドレス、所属等を記すこと。なお、総務委員会が原稿を確認し、事務局からEメールで「原稿受付」の通知をする。

5.提出方法

(1) 電子データをメール添付で事務局に送信すること。

(2) メール本文にOSの種類とソフト名(Wordもしくはテキスト)を明記すること。

6.投稿先

E-mail: officejasias.jp

7.校正

著者校正は初校のみとし、以後は総務委員会が行なう。

8.著作権

会報に発表された研究報告等の著作権は日本映像学会に帰属する。他の著作に転載する場合には、事務的な手続きのため、事前に文書等で学会に連絡し、転載する際に、会報への掲載に関する基本的な書誌情報を明記すること。

9.締切

投稿は随時受け付ける。

10.その他

(1) 掲載の可否については、総務委員会が決定する(一部改稿を求めることもある)。また、「採否の通知」は事務局からEメールで送信する。

(2) 投稿原稿掲載部分はPDF電子版会報の内としてホームページ上で一般公開

以上


日本映像学会第49回大会(明治学院大学)第三通信・プログラム公開のお知らせ

日本映像学会会員 各位

日本映像学会第49回大会(明治学院大学)<2023年6月10日・11日>のホームページを更新いたしました。

大会ホームページ    
https://jasias.jp/eizo2023

第三通信
https://jasias.jp/wp-content/uploads/2023/05/49jasias_no3.pdf

大会プログラム、研究・作品発表プログラム
https://jasias.jp/wp-content/uploads/2023/05/49presentationprogram.pdf

 また、大会参加申し込みが5月15日までですので、まだ申し込みがお済みでない方はは早めに申し込みください。
 (payventでお申し込みの方も、この参加申し込みをしてください。特に領収書の必要な方は、この申し込みには、領収書宛名の項目があります)

日本映像学会第49 回大会実行委員会
大会ウェブサイト:https://jasias.jp/eizo2023
メールアドレス: meigaku-conventionjasias.jp

メディア考古学研究会(第1回)ダイジェスト映像公開のお知らせ

メディア考古学研究会(第1回)ダイジェスト映像公開のお知らせ

メディア考古学研究会では、先日3月11日(土)に板橋区立教育科学館で開催したメディア考古学研究会(第1回)「「動く」装置でよみがえる戦前の天災と防災意識」のダイジェスト映像を下記サイトで会員向けに限定公開しております(2023年9月30日まで)。

https://youtu.be/xsiqgscIMDE

明治期の幻燈機での実演、昭和初期のローヤルベビー映写機によるフィルム上映、蓄音機でのレコード演奏の様子などをまとめた6分程度の短い動画ですので、ぜひご高覧ください。

メディア考古学研究会代表
福島可奈子

写真研究会 2022年 第10回研究発表会開催のお知らせ【3月21日】

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日本映像学会  写真研究会
2022年度第10回研究発表会開催のお知らせ
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日本映像学会会員各位
写真研究会の研究発表会を、対面、オンライン併用にて開催致します。皆様のご参加をお待ちしております。
日本映像学会写真研究会
代表  佐藤守弘

開催概要
日時
2023年3月21日(火・祝) 14:00開始 17:30終了予定(日本時間)
場所
同志社大学今出川キャンパス良心館 RY320(定員30名)およびリモート開催
参加方法
*事前申し込み制
上記会場にての対面とリモート配信でのハイブリッド方式で開催いたします。会場参加、リモート参加とも、こちらのフォームからお申し込み下さい。いただいたメールアドレスに参加方法をお知らせします。
https://forms.gle/LD2g4wBiWdUThndq5
なお、先着順で会場定員が埋まってしまった場合は、リモートでの参加をお願いすることもありますので、その場合はご了承ください。

発表者・発表内容
発表1
「写真家及び写真集編集者としてのジョン・シャーカフスキー——写真集The Idea of Louis Sullivan(1956)の分析を通して」
山際美優(同志社大学大学院文学研究科美学芸術学専攻博士前期課程)

発表2
「写真における「日常」とコンセプチュアル・アート以後の芸術——ジェフ・ウォールの写真観」
折居耕拓(大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻博士後期課程)

発表3
「儀礼の国の肖像:国家戦略としてのタイ写真史からアピチャッポンまで」
中村紀彦(映像/アピチャッポン・ウィーラセタクン研究)

研究発表の要旨
発表1
「写真家及び写真集編集者としてのジョン・シャーカフスキー——写真集The Idea of Louis Sullivan(1956)の分析を通して」
山際美優(同志社大学大学院文学研究科美学芸術学専攻博士前期課程)
 ニューヨーク近代美術館の写真部門のディレクターとしての活動で知られるジョン・シャーカフスキー(John Szarkowski, 1925-2007)は、2005年の展覧会によって、彼の写真作品が注目されている。写真家でもあったシャーカフスキーは、キュレーター職に就く以前に二冊の写真集を、退職してから更に一冊の写真集を制作、出版している。本発表で対象とする写真集The Idea of Louis Sullivanは、「形は機能に従う」の言葉で知られるルイス・サリヴァン(Louis Sullivan, 1856-1924)の建築を対象に、シャーカフスキーが撮影・編集・文章の選択を行った、第一作目の写真集である。冒頭であげた、2005年にサンフランシスコ近代美術館で開催された展覧会”John Szarkowski : Photographs”では、未発表の資料の公開、時系列的な整理が行われたが、写真及び写真集そのものの精緻な分析には至っていない。
 そこで、本発表ではシャーカフスキーと同時期にサリヴァンの建築を撮影したアーロン・シスキンド(Aaron Siskind, 1903-1991)らによる写真を比較対象として取り上げる。これらの比較により、シャーカフスキーの写真は、建築の構造を精緻に写し取ったり、一つの画面としての構図の美しさを追求するものではなく、夾雑物の写り込みも厭わず対象を撮影し、経年劣化の様子をも積極的に写し取っていることを指摘する。その上で、シャーカフスキーによる写真集制作の理念を整理する。これにより、シャーカフスキーが目指したのは、サリヴァンの建築を「美的・社会的文脈」に戻すことを目的に、「形」のみでなく「生活」を写した写真制作を行っていたことを確認する。そして、写真と文章の組み合わせによって、写真では建物が生み出した「結果」を、文章では建物が生み出された「原因」を示しており、サリヴァンの同時代性とシャーカフスキーの現代性を実現しようとしたことを指摘する。これらの指摘は、文脈を廃し、形だけで判断を行い、写真というメディウムの純粋視覚性を目指したとされる、従来のシャーカフスキーのモダニスト及びフォルマリストとしての一面的な評価を相対化するための一助となるだろう。

発表2
「写真における「日常」とコンセプチュアル・アート以後の芸術——ジェフ・ウォールの写真観」
折居耕拓(大阪大学大学院文学研究科文化表現論専攻博士後期課程)
 本発表では、バンクーバー出身の写真家にして美術家であるジェフ・ウォール(Jeff Wall, 1946-)の作品と著述を対象として、彼の作品と著述の両方のうちに指摘される「日常」(the everyday)の観念に注目することから、彼の写真観を浮き彫りにすることを試みる。
 ウォールは、大型のライトボックスにカラーの透明フィルムを貼りつけた写真作品で知られる。一見ありふれた日常の場面を写す彼の写真は、撮影前の演出と撮影後の合成をとおして入念に構築されたものであり、同じイメージのうちにありのままの様子ととわざとらしい様子が混在する。
 アメリカの美術史家であるマイケル・フリードは、『なぜ写真はいま、かつてないほど芸術として重要なのか』(2008)において、こうしたウォールの写真作品におけるいわば演出されたリアリズムを、彼のインタビューに見られる「日常」や「ありふれたもの」(the commonplace)という観念に関連づけることから論じている。フリードにとってウォールの写真における「日常」とは、「撮影されることなく過ぎ去った」出来事の外観を復元したものである。言い換えれば、たんなる自然の断片であった光景は、制作者によって適切な視点をあたえらえることで初めて芸術作品になる。
 このように芸術作品がそれ自体のうちに自律性を有することを求めるフリードの解釈は、1960年代に展開された彼のモダニズム的美術史観に立脚するものであり、それゆえウォールの仕事におけるある側面を意識的に考慮していないと思われる。それはコンセプチュアル・アートにおける写真の役割をめぐる彼の議論である。本発表では、フリードが指摘する「日常」や「ありふれたもの」の観念から出発して、これらの視点からウォールが論じる1960年代後半以後の「フォトコンセプチュアリズム」をとらえ返してみたい。
 議論の流れとしては、まず、上述のフリードのウォール論における「日常」の観念について整理したのち、ついでウォールの論考「「取るに足らないものの印」——コンセプチュアル・アートにおける/としての写真の諸相」(1995)および「河原温のトゥデイ・ペインティングにおけるモノクロームとフォトジャーナリズム」(1996)に目を移していきたい。これらの論考におけるウォールの記述をふまえて、コンセプチュアル・アートにおけるありふれた自然らしい画像の使用は、一方でその芸術としての地位を否定するものでありながら、他方で描写という写真の本質的な特性を明らかにしたということについて論じる。以上の議論をとおして、本発表では、「日常」の観念が、「自律的な芸術」としての写真と、むしろ自律性や固有性に反する「理論的な対象」(ロザリンド・クラウス)としての写真という、ウォールの作品と著述から引き出されてきた相異なる写真観をともに構成する論点であるということを指摘する。

発表3
「儀礼の国の肖像:国家戦略としてのタイ写真史からアピチャッポンまで」
中村紀彦(映像/アピチャッポン・ウィーラセタクン研究)
 本発表は、タイの国王や王族による肖像写真を用いた国家戦略の歴史的位置づけを検討し、タイ出身の映像作家アピチャッポン・ウィーラセタクンをはじめとする同世代作家の諸実践にたいする影響関係を分析するものである。
 タイでは、国王や王族の巨大な肖像写真が都市を埋め尽くし、農村部ではそれらの写真が信仰の対象となってきた。国王や王族の肖像写真は権力の表象であると同時に、国家と国王の身体を同一化させるイデオロギーを維持・保管する装置として機能した。
 国王と写真技術は、その当初から密接な関係を築いてきた。1845年には現在のバンコクに写真機が渡来し、1855年にラーマ4世(モンクット王)がはじめて国王として自身の肖像写真を撮影した。モンクット王は自身の肖像が映ったダゲレオタイプをヨーロッパ圏の権力者や指導者に贈るなど、国王の肖像は政治的なツールとして用いられたのである。こうした写真技術と国王の接近は、発表者が論じてきた映画(投影)のテクノロジーと国王の関係性と近しい戦略であると考えている。
 ところで、地理学者のトンチャイ・ウィニッチャックンが指摘したように、国家による地図作成という行為が新しいシャムを創造した。つまり、国家の仮想的な領土を地図上に先立って投影した結果、近代的なタイの国民国家の空間概念と国家の意識形成が編み出されていった。この一連をトンチャイは「地理的身体(geo-body)」の形成という。発表者はさらに、この地理的身体が構築/維持される過程で、国王の肖像の拡散と浸透による国家戦略が写真技術と手を結んだことが重要であると推測している。
 以上のような国王の肖像による国家戦略の影響は、映画の「投影」という営為と相互に高め合った。1932年には、家庭内や会社や店舗、そして映画館での映画上映前に肖像写真を掲げることを保証する法律が制定された。以後、ラーマ8世(プミポン国王)や政府によってイメージ戦略は大規模に展開され、今日の国王の象徴的な力が確立された。このことは、イメージと種々の儀礼のもとに国民を統御する「儀礼的空間」をタイ全土に形成するに至ったのである。
 この「儀礼的空間」を批判的に検討することは、アピチャッポンの諸作品のひとつの主題であるはずだ。とはいえ、国王イメージの国家戦略と表現の検閲は、かれの制作の障壁であると同時に想像力の源泉のひとつであることも否定できない。本発表は、このジレンマの渦中にある作家たちの写真/映像表現をいくつか取り上げたい。以上のことから発表者は、国王の肖像を用いた国家戦略によって構築されたタイ写真史の一側面をまずは素描し、近代タイ国家の意識形成に国王の肖像が与してきたことを明らかにする。そして、アピチャッポンや同世代作家にも目配せをしながら、王政のイメージ戦略や「儀礼的空間」の創出を批判的に作品表現へと昇華させるあり方を分析する。

第25回ヴィデオアート研究会【3月23日】開催のお知らせ

第25回ヴィデオアート研究会(3月23日)開催のお知らせ
日時:2023年3月23日(木)19:30-21:00
オンライン開催(ZOOM会議形式)

アクセス方法:
当日17時までに下記メールにご連絡頂ければ、ZOOMのアクセス先のURLをご返信致します。

内容:飯村隆彦「ヴィデオ・フィールド」ヴィデオ・テープ作品のアーカイブ作業検証
本研究会は、ヴィデオアートのアカデミックな研究と、制作や展示現場のフィールドワークを交互に行なう方針で発足されました。今回はオンライン開催の研究会で、2022年7月に他界した飯村隆彦のヴィデオ・テープ作品の修復・保存作業の過程と成果についての検証を行いたいと思います。アーカイブ作業にかかわったスタッフによる作業プロセスの紹介と、先月の「恵比寿映像祭2023飯村隆彦特集」(https://www.yebizo.com/jp/program/2361)や現在京都で開催中の展覧会「飯村隆彦 ヴィデオ・フィールド」(http://www.moriyu-gallery.com/exhibition/index.html)などでデジタル化された飯村作品が紹介された経緯と成果について報告します。

パネリスト: 服部かつゆき、西山修平、大江直哉ほかアーカイブ作業スタッフ
(飯村隆彦アーカイブ準備室)

進行:瀧健太郎(ビデオアートセンター東京/飯村隆彦アーカイブ準備室/学会員)

お問合せ:
日本映像学会ヴィデオアート研究会
代表 瀧健太郎
e-mail:taki.kentarouebony.plala.or.jp
https://jasias.jp/study_group/videoart

日本映像学会第49回大会(明治学院大学)参加申込について【5月15日〆切】

日本映像学会会員各位

日本映像学会第49回大会(於:明治学院大学、2023年6月10日、11日)の参加申し込みのページがアップされました。
参加申し込み締め切りは、2023年5月15日となっております。
参加される会員の方は忘れずにお申し込みください。
尚、会員(学生会員を除く)に限りインターネットでの3,000円の参加費支払いが可能となっておりますので、ぜひご利用ください。
※当日、大会受付での支払いは現金のみとなります。
※学生会員の方は、大会受付のみの現金支払いとなります。必ず学生証を提示してください。

参加申し込みに際して幾つかの留意点があります。
・参加費領収書は大会窓口でお渡しいたしますが、領収書が必要な方は、申し込みフォーマットに「領収書の宛名」の項目がありますので、忘れずに記入してください。
・「会員」「学生会員」のチェックボックスがありますので、忘れずにチェックしてください。学生会員の方は、大会当日窓口で必ず学生証を提示してください。

大会参加申し込みのURLは下記の通りです。
https://jasias.jp/eizo2023/apply

多くの会員の皆様の参加をお待ちしております。

日本映像学会第49回大会実行委員会
meigaku-conventionjasias.jp

日本映像学会第49回大会(明治学院大学)HP

アジア映画研究会(第3期第17回)開催のお知らせ【4月4日】

日本映像学会のみなさま

アジア映画研究会(第3期第17回/通算第50回)を下記のとおり開催します。オンライン開催ですので、お気軽にご参加いただければ幸いです。

日時:2023年4月4日(火)18時~20時
場所:Zoomによるオンライン開催/事前申込制
申込:3月28日(火)締め切り

下記URLより事前登録してください。 登録後、ZOOMミーティングのアドレスが届きます。
https://docs.google.com/forms/d/1WPohB8roRp0uMV258vmX7vs7X9szg4ydJCcqhxSJ_XI/edit

<内容>
①発表:ショーレ・ゴルパリアン氏
(映画プロデューサー、翻訳家、東京芸術大学大学院映像研究科客員教授)
「著書『映画の旅びと イランから日本へ』を語る」
2021年にみすず書房より刊行された著書『映画の旅びと』について、ご講演いただきます。お話のあとは10分ほど質疑応答の時間をとりたいと思います。
出版社のサイト『映画の旅びと イランから日本へ』
https://www.msz.co.jp/book/detail/09033/

②発表:夏目深雪氏
(映画批評家、編集者、多摩美術大学講師)
「編著『韓国女性映画 わたしたちの物語』を語る」
2022年に河出書房新社から刊行された編著『韓国女性映画』について、研究会会員に語っていただきます。現在Tokyo Art
Beatで連載中の『#Me Too以降の女性映画』の内容も絡め、他国の女性映画との比較や、最新の韓国女性映画についても触れる予定。10分ほど質疑応答の時間をとりたいと思います。
出版社のサイト『韓国女性映画』
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309292168/

12月座長:金子遊