藝術学関連学会連合第11回公開シンポジウム「ニュースを創り出すアートの力」【6月11日】

藝術学関連学会連合
第11回公開シンポジウム「ニュースを創り出すアートの力」開催のお知らせ

日時:2016年6月11日(土) 13:30-18:00(13:00開場)
会場:早稲田大学 戸山キャンパス 382教室(36号館3階/収容人員250名)
   (東京都新宿区戸山1-24-1)
入場無料/申し込み不要
http://geiren.org/news/2016/20160611.html

オーガナイザー
藤澤 茜(国際浮世絵学会・学習院大学)
武田 潔(日本映像学会・早稲田大学)

 芸術的な表現がどのようになされ、受容されてきたのか、という問題については、これまでにも様々な場で解釈がなされてきた。作品表現の中には、作り手や表現者の意思、個性以外にも多くの要素が含まれ、背景にある社会通念や社会情勢、政治的なメッセージ、同時代の流行などを読み解くことは作品を理解するための重要な作業となる。情報を伝達する「ニュース性」を持った作品は、絵画、写真、映像、音楽、演劇などにも数多くみられるものであり、こうした作品が生み出された状況や文化的環境に与えた影響について、多角的に検討することには大きな意義があると思われる。
 「ニュース性」をキーワードにすえると、様々な問題が浮かび上がってくるだろう。その作品が果たしたメディアとしての役割を明らかにすることも重要であり、その過 程で加わり得る人為的な操作を検証する必要も生じる。また時には、ニュース性を帯びるが故に、独特な表現が生まれる場合もある。例えば、幕府の出版統制を受け、浮世絵版画では規制の対象となり得る内容を描く場合に、別のものに置き換える作業を経てカモフラージュし、重層的にニュースを伝える。あるいは、報道写真についても、被写体や構図や撮影する瞬間の選択から、時に加えられる演出やキャプションの言葉に至るまで、伝えることと創ることにまつわる幾多の要因が介在する。
 客観的な事実の報道にとどまらず、一つの「作品」としてニュースが創出され、そこから新たな流行や世界観が生み出されることがある。こうした大きな流れを生み出すアートの力について、政治的な観点、あるいは戦争や災害等に特化するのではなく、ファッションや最新文化などの情報伝達にも積極的に目を向け、各方面から検討したい。

【プログラム】

開会の辞 (13:30-13:45)
挨拶 礒山 雅(藝術学関連学会連合 会長)
趣旨説明 藤澤 茜(国際浮世絵学会・学習院大学)
司会 武田 潔(日本映像学会・早稲田大学)

報告 (13:45-16:15)

「ニュースになった江戸文化 ―浮世絵が創る「時代の顔」―」
藤澤 紫(国際浮世絵学会・國學院大學)
 新興都市・江戸のメディアとして開花し、国内外を問わず今も多くの愛好者を有する浮世絵。とりわけ錦絵に代表される木版画は、庶民層の娯楽品のみならず、貴重な情報源として受容された。そこに選択された様々な主題は、まさに江戸庶民が求めた「ニュース」そのものと言える。今回は、「評判娘」、「死絵」、「鯰絵」の3点から、江戸の出版文化におけるビジュアル・イメージの役割を考える。

「語りの変遷 ―作られる白虎隊イメージ―」
川延 安直(東北芸術文化学会・福島県立博物館)
 戊辰戦争末期、敗走の末、飯盛山山腹から煙に包まれる城を見て絶望し、命を絶つ。このような白虎隊を巡る言説はどのように成立したのか。報道、伝聞、絵画化された資料が言説を作りあげていく。その過程について報告する。

「藤田嗣治《アッツ島玉砕》(1943)と「玉砕」の誕生」
長田 謙一(美術科教育学会・名古屋芸術大学)
 1943年5月29日、米軍に追い詰められた日本軍アッツ島守備隊は、最後の決死攻撃を挙行し全員戦死を遂げたとされた。大本営はそれを初めて「玉砕」と呼び大々的に報じたが、それを伝える画像はあろうはずもなかった。同年9月1日に発表された藤田嗣治《アッツ島玉砕》こそは、「一億国民の身体」に響くイメージ「玉砕」の誕生をつげるものとなった。

「見えるものは真か偽か」
小松 弘(日本映像学会・早稲田大学)
 例えば裁判における証拠能力という観点から見て、「映像」は一般的に視覚的に真実を表象していると考えられている。だが一方で、コンピュータによる映像技術の発展はSFX技術を駆使した最近の映画が作り出しているような視覚的真実からの隔たりを実現しているという意味で、偽(=似せ)を表象していることは一般的に明らかである。こうした映像の視覚的両義性を映画史の始まりを事例として説明しようと試みるのが本発表である。

(休憩10分)

「政吉ヴァイオリンがニュースになるとき」
井上 さつき(日本音楽学会・愛知県立芸術大学)
 発表者が鈴木ヴァイオリンの創業者である名古屋の鈴木政吉(1859‐1944)に関する調査研究を行う過程で、何がニュースとなり、その結果どのような展開が生じたか、その実例を紹介し、ニュース性と音楽学研究との関係について考える。

「音による出来事の表現の展開 ―録音コンテストの記録から―」
金子 智太郎(美学会・東京工芸大学)
 日本では60年代から70年代にかけて、録音装置が一般に普及していくなかで、いくつもの録音コンテストが開催された。本発表はこうしたコンテストの記録にもとづいて、音による出来事の表現が移り変わっていく経緯をたどる。

「萌芽的文化とアート概念の拡張 ―神戸ビエンナーレ、10年の試み―」
大森 正夫(意匠学会・京都嵯峨芸術大学)
 地域での芸術文化力による震災復興と、既存のアート概念の拡張をめざした「神戸ビエンナーレ」。ポピュラーカルチャーに不可欠な先取性と多様性に着目したコンペティションと展示作品の「ニュース性」について報告する。

討議 (16:30-17:50)

閉会の辞 (17:50-18:00)
挨拶 山﨑 稔惠(藝術学関連学会連合 副会長)

以上
日本映像学会
〒176-8525
東京都練馬区旭丘2-42-1
日本大学芸術学部内
e-mail:JASIAS@nihon-u.ac.jp

アナログメディア研究会「実験映画・実験アニメーション 35mm film特別上映プログラム」【5月29日】

アナログメディア研究会
実験映画、実験アニメーション35mm filmで上映
日本映像学会第42回大会@日本映画大学での企画です。

少数ながら三十五ミリフィルムで作られた、実験的な映画がありました。カンヌ国際映画祭やロッテルダム国際映画祭などで上映または受賞し、高い評価を得た作品を、三十五ミリフィルムで上映する希少な機会です。

日時:5月29日(日曜日)15時30分~16時40分
会場:日本映画大学白山キャンパス H202教室
(川崎市麻生区白山2-1-1)

主催:日本映像学会アナログメディア研究会
https://www.facebook.com/analogmedia
日本映像学会第42回大会についてはホームページでご確認下さい。
https://jasias.jp/conference/news_conf/2016main

上映作品 
『浮世物語』アラン・エスカル 24分
『FRONTIER』宮崎淳 23分
『3つの雲』辻直之 13分
合計60分
上映後に作家、関係者のトークあり

■浮世物語(Le conte du monde flottant)
35mm/カラー/ドルビーSRD/24分/1:1.85/2001年/フランス・日本
監督・脚本・ヴィジュアル・エフェクト:アラン・エスカル
撮影・照明:浜口文幸
出演:大橋可也、小林良也、中村優子、鈴木卓爾、中原和宏、他
プロデューサー:木部直之、水由 章
制作会社:MISTRAL FILM (フランス)
配給:ミストラルジャパン

受賞・上映歴
IMAGINA2002/グランプリ(モナコ)
クレモンフェラン国際短編映画祭2002/最優秀音楽賞(フランス)モントリオール・国際ヌーヴォシネマ&メディア・フェスティバル2001/デジタル映像大賞(カナダ)ロカルノ・ビデオ・フェスティバル2001/ヨーロッパ理事賞(イタリア)デジタルコンテンツ・グランプリ2001/NICOGRAPH CG賞&アート部門映像賞(日本)アヌシー国際アニメーション映画祭/メルボルン国際映画祭/サンダンス国際映画祭/ロッテルダム国際映画祭/広島国際アニメーション映画祭 他

解説
『浮世物語』は、1945年の広島、室町、平安という日本の三つの時代を交錯しながら、まるでキャンバスに画を描くように、1フレームごと映像を制作し続けた壮大な夢物語。構想・制作期間に5年、合成・編集に1年半(延べ2,000時間)を要した、グラフィカルな映像の数々。現実の世界と幻想の世界が入り交じるデジタル映像絵巻。

アラン・エスカル(ALAIN ESCALLE)
1967年南仏生まれ。’91年よりテクノロジーを駆使しながらスペシャル・エフェクト・アーティストとして活動する。映像をグラフィックとヴィジュアルの両面から探求したアラン独特の映像センスは、ピーター・グリーナウェイ監督や著名なCMディレクターとのコラボレーションも多い。『浮世物語』以降はルイ・ヴィトン、ランコムなど仏大手企業のCMを監督する一方、『THE BOOK OF DEAD』(2013)、『DA VINCI PROJECT』(2014)などの監督作品は、国際映画祭で多数上映されている。

■FRONTIER
35mm/モノクロ/モノラルサウンド/23分/1:1.33/2003年/日本
製作・監督・撮影・編集:宮崎淳 音楽:Four Color 協力:佐々木雅之

受賞歴
2004年、第57回カンヌ国際映画祭監督週間にて「Regards Jeunes(若い視点)」賞を受賞。
※この作品は、文化庁「日本映画海外映画祭等出品支援事業」に基づいて財団法人日本映画海外普及協会(ユニジャパン)が実施する「日本映画海外展開助成」を受けてカンヌ国際映画祭に出品されました。

解説
ストーリーを持たず、人物を追う事もなく、ただ団地の風景を映し出した映画。
風景だけを映し出す事で、どれだけ人を惹きつけ、強い印象の映画を作り出す事が出来るかを試みた作品である。

宮崎 淳(みやざきじゅん)
1965年生まれ。1988年、東京造形大学卒業。映像作家。
大学の卒業制作「Ring Android」がイメージフォーラム・フェスティバル(IFF)’88で大賞を受賞。1990年に制作した「真空氷」IFF’91でエクスペンタル・イマジネーション賞を受賞。ミュージック・ビデオクリップやTVCM等の監督/撮影/編集を経験した後、科学番組や企業VP、博物館等の大型映像の脚本/監督を手がける。
日本映像学会アナログメディア研究会 会員

■3つの雲
35mm/モノクロ/モノラルサウンド/13分/1:1.33/2005年/日本
監督・脚本・アニメーション:辻直之 音楽:高梨麻紀子

上映歴
カンヌ映画祭監督週間2005年/Media Scope An Evening with Naoyuki Tsuji MoMA 2007年(アメリカ)/AURORA国際映画祭2007年(イギリス、Norwich)

解説
3本の短いアニメ集。
1「呼吸する雲」
人間が、水蒸気のような気体だったら。人間が、皮膚によって区切られない浮遊する魂だったら。
2「雲を見ていたら」
主人公の男子生徒はノートに雲の絵をスケッチしていた。彼が描いていた雲に目が現れ、窓の外から睨みつけてきた。ノートに描かれた雲の絵が飛び出して、鼻から体の中に入り込む…。
3「雲から」
人々は柔らかい雲の上でひっそり静かに暮らしている。人々がうたたねをしている時に遠くでベルが鳴る。人々はそれを合図に、身支度をし下界に降りて行く…。
35mm版制作助成ユニジャパン

辻直之(つじ なおゆき)
実験アニメーター。1972年 静岡県静岡市生まれ1995年 東京造形大学彫刻専攻卒業。専門学校等での教員の仕事の傍ら、木炭で描くアニメーションフィルムを制作している。作品は、国内外の映画祭、美術館、ギャラリーなどでの展覧会に参加している。チラシや、イラストの仕事をすることもある。

以上
日本映像学会アナログメディア研究会
代表 西村智弘
〒166-0011 東京都杉並区梅里1-3-3
阿佐ヶ谷美術専門学校(担当:末岡一郎)

ショートフィルム研究会主催若手短編映像制作者交流会「tea time video (第1回)」【5月15日】

ショートフィルム研究会主催「tea time video」開催のお知らせ
(ショートフィルム研究会第15回活動)

この度、若手映像作家交流会「tea time video :meeting vol.1」を開催することとなりました。
本企画は、映像を中心とした若手作家の交流&発信を支援し、お茶会を楽しむように作家と交流しながら作品を鑑賞するイベントです。
お時間ありましたら、是非お越しください。

tea time video :meeting vol.1
日時/2016.5.15 (日) 15時より
会場/〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須二丁目32-24マエノビル2階 シアターカフェ
※参加費 要1drink (¥500)

◎当日スケジュール
14:40 開場
15:00〜16:30 各作家プレゼンテーション
16:40〜17:30 ディスカッション&交流タイム

◎会場アクセス
名古屋市営地下鉄鶴舞線 大須観音駅2番出口徒歩4分
名古屋市営地下鉄名城線・鶴舞線 上前津駅8番出口徒歩5分
http://www.theatercafe.jp

主旨:映像制作者同士が定期的に気軽に交流できる場を設け、また、交流会のまとめとして展示上映を開催した後、一連の記録をまとめた冊子を配布。
内容:交流会、展示、記録作成など

主催:日本映像学会ショートフィルム研究会
企画:伊藤仁美
協力:N-Mark・深谷崎子

tea time video
Web: http://teatimevideo.strikingly.com/
Mail: teatimevideo@yahoo.com

以上
日本映像学会ショートフィルム研究会
代表 林緑子
〒460-0011
愛知県名古屋市中区大須二丁目32-24
マエノビル2階
シアターカフェ 内

日本映像学会第42回大会(日本映画大学)のご案内【5月28・29日】

日本映像第42回大会第3通信が発行されました。以下をご参照ください。

日本映像学会第42回大会第3通信(プログラム)

pdfPDFファイル

日本映像学会第42回大会第3通信1/3画像

 

日本映像学会第42回大会第3通信2/3画像

 

日本映像学会第42回大会第3通信3/3画像

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日本映像学会第42回大会第2通信(会報第173号21頁より)

I. 大会概要
==========
1. 大会テーマ:映像教育の可能性について~創作と研究の二面から(仮)
2. 会場:日本映画大学[白山キャンパス]
3. 会期:2016年5月28日[土]・29日[日]
4. プログラム(予定)
   第1日:5月28日[土] 13:00~20:00
    シンポジウム(内容・登壇者未定)
    研究発表・作品発表
    懇親会
   第2日:5月29日[日] 10:00~18:00
    研究発表・作品発表
    理事会・第43回通常総会
5. 大会参加費(2日間通し)
会員3,000円 一般2,000円 学生1,000円
懇親会5,000円(予定)
※プログラムの詳細は、大会ホームページおよび「第3通信」(5月初旬)にてお知らせいたします。

II. 大会研究発表・作品発表申込要領
==========
①各発表の申込資格は、2015年度在籍会員に限らせていただきます。
②各発表は学会の趣旨にそぐわない場合、あるいは技術的な理由などで対応しかねる場合にはお断りすることがあります。
③各発表は日本映像学会理事会(2016年3月末開催予定)において承認の上、大会実行委員会として正式に受理致します。
④発表を希望される方は、所定の申込書を郵送・FAX・メールのいずれかで日本映像学会第42回大会実行委員会までお送りください。
⑤必要事項に不備のある場合や申込資格のない場合は無効になります。
⑥各発表の申込期日は、理事会開催の都合上、2016年2月26日(金)必着といたします。
⑦理事会承認後に正式受理の可否についてご連絡致します。
⑧正式受理の場合、発表概要原稿(2000字、MS-Wordファイル)を2016年4月22日(金)までにご提出ください。正式受理者には発表概要書式をお送りします。

III. 大会への出欠はがきの送付
[1月発送予定のペーパー版第2通信に同封]
==========
参加のみの出席なのか、研究・作品発表もおこなうのか、1月発送予定のペーパー版第2通信に同封のはがきに必要事項を記入し、切手を貼らずに投函してください。
必着日厳守でお願い致します。

IV. 大会研究発表・作品発表申込方法
==========
①1月発送予定のペーパー版第2通信に同封の申込用紙に手書きで記入し郵送する場合の送り先(封筒・郵送料はご自身でご負担願います。)
〒215-0014
神奈川県川崎市麻生区白山2-1-1 日本映画大学
日本映像学会第42回大会実行委員会行
②1月発送予定のペーパー版第2通信に同封の申込用紙をFAXで送る場合の送り先
FAX:044-988-7575(大会実行委員長:石坂健治 宛)
③申込用紙を大会HPからダウンロードし、メール添付で送る場合
大会HP:https://jasias.jp/2016main
大会実行委員会メールアドレス:jasias2016@eiga.ac.jp
※1週間以内に受領のメールを差し上げます。受領の連絡がない場合は電話にてお問い合わせください。
TEL:044-328-9123(大会実行委員会)
④直接メールで送る場合は、申込用紙の項目に従って必要事項を記入し、大会実行委員会メールアドレスにお送りください。
申込締切 2月26日[金]必着厳守

V. 発表時間・使用機材
==========
①[発表時間]:研究発表・作品発表の発表時間は25分、質疑応答を5分とします。
②[使用機材]:研究発表・作品発表には、DVD、ブルーレイ、VHS、OHPなどが使用可能です。ご持参されるパソコンを接続するVGA接続端子は教卓に設置されていますが、接続用アダプタは発表者ご自身でご用意ください。またフィルム(8mm、16mm)やDVテープの上映に関することなど、詳細はメールにてご相談ください。

日本映像学会第42回大会実行委員会
顧問    佐藤忠男(日本映画大学学長)
実行委員長 石坂健治(日本映画大学映画学科長・教授)
委員    高橋世織(日本映画大学映画学科教授)
      安岡卓治(日本映画大学映画学科教授)
      伊津野知多(日本映画大学映画学科准教授)
      土田環(日本映画大学映画学科准教授)
      藤田純一(日本映画大学講師)
      川崎賢子(日本映画大学映画学科教授)
      田辺秋守(日本映画大学映画学科准教授)

実行委員会事務局
〒215-0014 神奈川県川崎市麻生区白山2-1-1
日本映画大学 白山キャンパス内
日本映像学会第42回大会実行委員会
[TEL]044-328-9123 [FAX]044-988-7575
[E-MAIL]jasias2016@eiga.ac.jp
[大会HP]https://jasias.jp/2016main
以上

発表申込用紙フォーム
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pdfPDF版

アナログメディア研究会主催公開講座「現代アメリカの実験映画: ライダ・ラーチュンディの作品と作家性 “ Here We Are Together “」【5月13日】

アナログメディア研究会 公開講座 開催のお知らせ

『現代アメリカの実験映画:ライダ・ラーチュンディの作品と作家性 ” Here We Are Together “』

講師;西川智也(映像作家・キュレータ)

現代アメリカの実験映画の状況を、NY在住の映像作家、西川智也氏に解説していただきます。特に今回は、若手女性映像作家ライダ・ラーチュンディ氏に注目し、彼女の作品を通して、アメリカに於ける『現代性』『女性作家の評価』『アナログメディアの状況』等を中心にレクチャーしていただきます。

西川智也
映像作家、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校助教授。2007年より映像キュレータとして活動を始め、恵比寿映像祭、[+](プラス)、アナーバー映画祭、ドレスデン短編映画祭、サンフランシスコ近代美術館、エコ・パーク・フィルムセンター等で上映プログラムを紹介。2008~10年までアメリカの実験映画配給組織「キャニオン・シネマ」の理事を務める。2010年にクアラルンプール実験映画祭(KLEX)を現地の作家らと設立し、2013年よりニューヨーク州ジョンソンシティで開催されている映像祭「TransientVisions」のキュレーターを務める。
( http://www.tomonarinishikawa.com )

ライダ・ラーチュンディ(Laida Lertxundi 1981年〜)はロサンゼルス在住の映像作家・アーティスト。映像作品は、主に16mmフィルムでロサンゼルスとその周辺を撮影し、人々、風景そしてその場の音で作られ、彼女の作品の語り口は制作過程や物性に注視する事へと置き代わり、断片化された素材に接近する方法を取っている。作品は、アメリカ・欧州を中心に様々な映画祭、美術館等で取り上げられている。
バードカレッジで学士(BFA)を、カリフォルニア芸術大学で修士(MFA)を取得。ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインでアーティストに映画/ビデオを教えている。

プログラム:”Here We Are Together”
Footnotes to a House of Love (2007, 13 min, 16mm)
My Tears Are Dry (2009, 4 min, 16mm)
Cry When it Happens / Llora Cuando Te Pase (2010, 14 min, 16mm)
A Lax Riddle Unit (2011, 6 min, 16mm)
The Room Called Heaven (2012, 11 min, 16mm)
We Had the Experience but Missed the Meaning (2014, 8 min, 16mm)
(TRT: 56 mins)

*上映作品はデータ版となります

会場:阿佐ヶ谷美術専門学校 5号館 521教室
166-0011 東京都杉並区梅里1-3-3
(最寄駅:東京メトロ丸ノ内線・新高円寺駅南口下車徒歩4分)
http://www.asabi.ac.jp/access/

日時;2016年5月13日(金) 17:30〜19:30

主催:日本映像学会アナログメディア研究会
協力:阿佐ヶ谷美術専門学校
入場無料

以上
日本映像学会アナログメディア研究会
代表 西村智弘
〒166-0011 東京都杉並区梅里1-3-3
阿佐ヶ谷美術専門学校(担当:末岡一郎)

関西支部第78回研究会【5月14日】

日本映像学会関西支部第78回研究会(5月14日)開催のお知らせ

下記の通り日本映像学会関西支部第78回研究会を開催いたします。会員の皆様の参加をお待ち申し上げます。

日時:平成28年5月14日(土)午後2時より
会場:花園大学 拈花館(ねんげかん)104教室

研究発表1:痙攣する「白いボディコンスーツの秘書」 ――押井守監督『トーキング・ヘッド』(1992年)にみる俳優とアニメーション・キャラクター、それぞれの身体の描写
The depiction of human figures in Mamoru Oshii’s Talking Head
発表者:松野敬文会員
 関西学院大学
要旨:『トーキング・ヘッド』(1992年)は、押井守(1951-)監督3作目の実写映画である。劇場アニメの制作途中で失踪した監督、丸輪零の代役として雇われた「私」が、制作スタジオを舞台にした連続殺人事件に巻き込まれる、という内容の同作では3本の短編アニメが劇中劇として挿入される。
「押井映画イズムの集大成」(『PERSONA』)であるこの作品は、主にその「物語批判とメタフィクションのスタイル」(上野俊哉)において賞賛を受けてきた。だが、先行研究は主にダイアローグの分析に終始しており、「映っているもの」(蓮實重彦)に対する検討は十分になされていない。
本発表は、『トーキング・ヘッド』を特に俳優とアニメ・キャラクター、それぞれの身体の描写に注目しながら読み解いていく。例えば、「私」がプロデューサーの待つ車内へと歩みを進めていくショット(シーン2、カット1)では、車両の横に秘書の女性が立っている。「待ち受けている下品なアメ車/白いボディコンスーツの秘書/SMOKEあり」と、絵コンテ上に記されたこの場面では、秘書はその身体を小刻みに震えさせ、今にも倒れそうな様子をみせる。勿論、秘書のこの痙攣を役者の演技力不足、撮影上の瑕疵と受け取ることも可能であろう。しかし、痙攣する身体というモティーフは劇中の線画アニメ「作画監督大塚の告白」(シーン25)においても、繰り返されるものである。
以上のような検討をもとにして、本発表が提示する結論は、以下の通りである。押井守は『トーキング・ヘッド』において、俳優とアニメ・キャラの身体を対置させることにより実写のみ、あるいはアニメのみでは実現しえない、総合体としての「〈映画〉」(『絵コンテ集』)の実現可能性を探っている。その試みは完全に成功したとは言えないものの、同作に独自の効果をもたらしている。

研究発表2:日本映画と「読み手」の論理――溝口健二映画を中心に
発表者:長門洋平氏
 国際日本文化研究センター技術補佐員
要旨:わが国における映画学/映画批評の方法論は多岐にわたるが、本発表では「表層批評」や「テクスト分析」といった概念を軸にその現在性を再考してみたい。映画を「読む」ことの創造性と実証主義はどのように関係するか、作品を「作る」のは作者なのか観客なのか、といった大きな問題系を念頭におきつつ、具体的には溝口健二映画を例に、あり得べき「読み手」の可能性について検討する。「われわれは対象について語っていると信じがちだが、逆に見(語)ることがその対象をシステマティックに形成する」(宮川淳)との論理がいまなお一定の存在感を有するとすれば、いま我々はいったい何について語っているのか。そして、「イメージの背後には何もない」(松浦寿輝)のテーゼが現在の映画研究においても有効性をもつならば、我々はいったい何を明らかにしようとすることができるのか。しばしば「日本的」とも評される溝口映画のスタイルを再考すると同時に、映画を見たり聴いたりすることの学術的な意義についての問題提起をおこないたい。

 

[会場アクセス]
花園大学 〒604-8456 京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1  TEL:075-811-5181(代)
JR嵯峨野線「円町駅」より徒歩8分 または 市営地下鉄「西大路御池駅」より徒歩12分
京阪「京阪三条駅」下車 市バス61、62、63、64、65系統(約30分乗車)「西ノ京馬代町(花園大学前)停留所」下車 徒歩2分
阪急「西院駅」下車 市バス26、特27、27、91、202、203、205系統(約10分乗車)「太子道停留所」下車 徒歩5分
阪急「四条大宮駅」または「四条烏丸駅」下車 市バス26、91、203系統(約30分乗車)「太子道停留所」下車 徒歩5分
http://www.hanazono.ac.jp/about/campusguide/access

以上
日本映像学会関西支部事務局
〒585-8555大阪府南河内郡河南町東山469
大阪芸術大学映像学科内
Tel: 0721-93-3781(内線3327)